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第1話もしも吹奏楜団の団長が100億円を手に入れたらボロ吹奏楜団ずたながたの100億円

    【あらすじ】

    か぀お党囜倧䌚に出堎した名門「みなずみらい垂民吹奏楜団」。しかし今や団員は激枛し、サビだらけの楜噚ず感情論が蔓延する厩壊寞前の状態に陥っおいた。 そんなポンコツ楜団で長幎泥をすすっおきた団長・䞊杉薫は、ある日突然「100億円」ずいう莫倧な珟金を手にするこずになる。 しかし䞊杉は、この圧倒的な資金力を誰にも蚀わず、完党に隠し通すこずを決意する。目的はただ䞀぀。100億円の力ず冷培なたでの「ロゞック」を歊噚に、愛すべき楜団に朜む人間関係や環境の”バグ”を裏からすべお修正し、最匷のバンドぞず埩掻させるこず。 前代未聞の極秘マネゞメント実隓が、今幕を開ける


    「今日をもっお”みなずみらい垂民吹奏楜団”を退団したす。最悪な団でした。時間を返しおほしいです」


    緎習埌、呌び止められた私に突き぀けられたのは、その冷たい蚀葉だった。


    私の名前は䞊杉薫。サラリヌマンずしお働きながら、土日は趣味で「みなずみらい垂民吹奏楜団」を立ち䞊げ、団長ずしお10幎間奔走しおきた。


    か぀おは有名な指導者を招き、70人の団員を抱え、コンクヌルで党囜倧䌚にたで出堎した。しかし、指導者ずの方針の違いによる仲たがいを機に、楜団は音を立おお厩壊した。

    今や団員は30人を切り、ひどい日にはたった5人で合奏するこずもある。

    楜団の楜噚は、金具の錆び぀いたバスドラム、ペダルが動かないティンパニ。どれもガラクタず化しおいる。

    諞行無垞ずは蚀うが、今のりチはたさに壇ノ浊の戊いの埌だ。
    歎史の教科曞があれば「みなずみらい垂民吹、末期」ず分類されるだろう。

    「  もう、朮時なのか」 暗い気持ちず、今たで䞀人で泥かぶりをしおきた自分を慰める気持ちを抱えながら、私は倜の緎習堎をあずにした。



    ――翌朝。 圚宅勀務の日だったので少し寝坊しようず思っおいた私の倢の䞭に、スマホのバむブ音が土足で螏み蟌んで「起きろ」ず急かしおきた。 寝がけ県で電話に出る。

    「朝早くに申し蚳ありたせん。い぀もお䞖話になっおおりたす。竹䞭です。本日の21時、暪浜のシェラトンホテルでお打ち合わせのお時間をいただけないでしょうか。  䞊杉様が所有されおいる『株匏䌚瀟織田商店』の株の件で」

    『䞖界のODA垂堎』。

    今や䞖界を代衚する巚倧ECサむトずなったその䌁業は、倧孊時代の友人・織田圭祐が起業した䌚瀟だ。

    私は創業圓時、付き合いで数癟䞇の出資をしおいた。今でも織田ずは酒を飲む仲だが、すっかり雲の䞊の人になっおしたった感がある。

    電話の䞻である竹䞭あおばは織田の優秀な郚䞋で、倧株䞻である私ぞの連絡窓口ずしお、以前からよくやり取りをしおいる間柄だった。



    玄束の30分前にシェラトンホテルに着いおしたった私は、豪華なトむレで時間を朰し、指定された高玚䞭華料理店ぞ向かった。 個宀の扉を開けるず、そこには隙のないスヌツを着こなした若い女性――竹䞭さんが立っおいた。

    「この床はご足劎おかけしお  」

    「いえ、織田の䌚瀟の株の話ですよね あい぀、䜕かありたした」

    早く甚件を枈たせたい私の蚀葉を鮮やかにスルヌし、竹䞭さんは回るテヌブル越しに淡々ずドリンクの泚文を枈たせた。私はずりあえずビヌルを頌む。

    「䞊杉様がお持ちの創業時の株ですが、ぜひ匊瀟で買い取らせおいただきたいのです。瀟長の織田からの匷い垌望でしお」

    「織田のお願いなら党然構わないけど。今の株䟡だず、結構な額になるんじゃない」

    竹䞭さんは手元のタブレットをスワむプし、冷たいりヌロン茶を䞀口飲んでから、倩気予報でも読み䞊げるような平坊な声で蚀った。

    「はい。皎金等の諞々の凊理を差し匕きたしお、䞊杉様の手元に珟金で残る金額は、ざっず100億円になりたす」

    「  は」

    「驚かれるのも無理はありたせん。しかし、あの数癟䞇の出資がなければ、今の織田はありたせん。これは正圓な察䟡です」


    100億円。


    䞀生遊んで暮らせる額だ。家を買うか、高玚車を買うか。しかし、玠人がいきなりこんな倧金を持぀のは、皎金や手続きを考えおも色々ず面倒くさそうだ。

    絶句しおいる私に、竹䞭さんは淡々ず話を続けた。

    「そしおもし、䞊杉様がよろしければ、1幎間、私が䞊杉様の資産運甚や耇雑な財務手続き、ご生掻のお手䌝いを含め、専属゚ヌゞェントずしおサポヌトするようにず織田から申し付かっおおりたす」

    それは、お金の管理など现かいこずに疎い私にはたさに枡りに船だった。

    竹䞭さんずは長い付き合いで仕事の有胜さは知っおいるし、䜕よりこの状況で䞀番頌りになる。

    私は圌女にお願いするこずにした。

    「䜕から䜕たでありがずうございたす。ぜひよろしくお願いいたしたす」

    「なんなりずお申し付けください」

    さお、いきなり倧金持ちになっおしたったのだが、家族や友人に「100億持っおいる」ず知れれば、確実に関係性が壊れるだろう。友人たちずお金で繋がる関係は絶察に嫌だった。

    そこで、セキュリティ面も考え、私はこの100億円の存圚を誰にも蚀わず、完党に隠し通すこずを決めた。


    運ばれおきたビヌルを䞀気に飲み干した時、私の脳裏に、昚日の倜「時間を返しおほしい」ず吐き捚おお蟞めおいった団員の顔が浮かんだ。

    ボロボロのバスドラム。5人だけの合奏。 私は胞の奥で、小さく、しかし確かな反逆の炎が燃え䞊がるのを感じた。

    バレないように、この圧倒的な金力を䜿っお、もう䞀床、あの吹奏楜団を最匷のバンドに埩掻させおやる。 そう心に決めお眠りに぀いた。

     
     
    吹奏楜歎30幎。コンクヌル党囜倧䌚金賞受賞歎あり。吹奏楜を知らない人にもこの面癜さを䌝えたい圧倒的な資金力で組織の問題を論理的に解決する小説『もしも吹奏楜団の団長が100億円を手に入れたら』を連茉䞭。ビゞネスにも通じる組織論の゚ッセむや創䜜秘話を発信しおいたす。

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