なろうの「ダンジョン経営もの」を、本当にやってみたくて作っている
Claude Codeで、なろう系小説によくある「ダンジョン経営もの」の世界観と、Civのような4X戦略ゲームを掛け合わせた個人開発ゲームを作っている。
これまでの記事では、開発の途中で起きた技術的な話や気づきを中心に書いてきた。今回はいったん技術ログから離れて、そもそもどんなゲームを作っているのか、全体像を紹介する回にする。
きっかけ:なろうの世界に自分が入ったら
なろう系のダンジョン経営作品を読んでいて、自分が実際にダンジョン経営してみたいという欲が出てきた。
なろう系小説を読んでいると、自分がその世界に入ったらどうするかを考えることがよくある。よく読む人なら、この感覚に共感してもらえるんじゃないかと思う。
中でもダンジョン経営ものは、ゲームに落とし込みやすそうだと前から感じていた。
ただ、ダンジョン経営できるゲーム自体はあっても、なろうの世界観でダンジョンマスターとして本格的に異世界のダンジョン経営を体験できるゲームは、自分は見かけたことがなかった。
もともとCivのような戦略・戦争系ゲームも好きだった。この2つを掛け合わせれば作れるんじゃないか、というのが出発点になっている。
このゲームは何なのか
一言でいうと、Civライクな4X戦略ゲームと、なろう系「ダンジョン経営もの」の世界観を掛け合わせた作品。
なろう系ダンジョン経営ものの典型的な世界観をざっくり説明すると、魔王やダンジョンマスターがDP(ダンジョンポイント)でダンジョンをやりくりする話が多い。
DPは冒険者を倒す、滞在させる、あるいは冒険者の喜怒哀楽の感情から得る。稼いだDPで魔物を召喚したり、ダンジョンの罠や構造をアップデートしたりしていく。
この世界観はCivのようなゲームと相性がいいはずだと、以前から考えていた。
ゲームは大きく、自分のダンジョンを経営する「ダンジョンパート」と、Civのような地上での戦略パートの2つで構成されている。
ダンジョンパート:感情もDPになる

ダンジョンパートでは、実際に自分の作ったダンジョンに冒険者が攻め入ってくる。
DPは冒険者を倒すだけでなく、冒険者のダンジョン内での感情からも得られるようにしている。たとえば、冒険者が配置した宝箱を開けた瞬間に生じる「喜び」の感情が、そのままDPに還元される。

そのため、冒険者の感情を揺さぶれるダンジョンを作れるかどうかも、うまく経営するために重要になる。単に強いだけのダンジョンより、冒険者の感情を動かせるダンジョンの方が稼げる、という設計にしている。
開発はUnityの2Dゲーム開発プロジェクト機能を、Claude Code(MCP接続)と組み合わせて進めている。2Dで生成したダンジョンマップ上を、冒険者は幅優先探索で実際に歩いて探索する。
この探索アルゴリズムには改造を加えていて、各タイルに重み付けをしている。近くに宝箱があればそちらへ向かう、といった動きになるようにしてある。
ダンジョンは複数階層からなり、各階層に階層ボスを置ける。冒険者は階層ボスを倒さないと次の階層には進めない。
進行はターン制で、ターンが進むほど、またダンジョンが有名になるほど、来襲する敵の数が増えていく。より強い冒険者が混じるようにもなる。
地上パート:競争相手も脅威も複数いる
地上には自分のダンジョン以外に、プレイヤーと同じ仕組みで経営しているbotのダンジョンが複数存在している。これが競争相手になる。
マルチプレイ対応も計画している。複数プレイヤーが同じマップ上でダンジョンを経営し、競い合える形を考えているが、まだ実装はできていない。
地上の脅威はほかのダンジョンだけではない。人類の軍が攻めてくることもある。
地上の仕組みは基本的にCivライクにしていて、六角形タイルの上でユニットの戦略的なやり取り、施設の建設、領域争いが起こる。

技術ツリーはダンジョン側と地上側で分かれているが、一方の成果が他方にもメリットをもたらすノードもある。
ダンジョン経営の中身をもう少し詳しく
ダンジョンはゲーム開始時に、アルゴリズムに従ってランダムに自動生成される。最初は10×10タイルの広さしかない。
1ターンは「迷宮フェーズ(準備)→迷宮フェーズ(進行)→地上フェーズ」の3段階に分かれている。
準備フェーズが、迷宮経営の醍醐味の部分になる。初期DPを使って魔物を召喚し、部隊に編成する。
ダンジョンに配置できるのは、部隊に編成した魔物だけ。編成の組み合わせによっては、セット効果でバフが発動することもある。
1階層に配置できる魔物は、最初は5体まで。加えて、階層ボスを1体だけ配置できる。階層ボスは冒険者を次の階層に進ませないための、いわば守護神のような存在になる。
罠も配置できる。種類は多様で、ツリーを進めていくと使える罠が増えていく。トーテムを置けば、周囲の魔物にバフ、敵にデバフを与えられる。

魔物はレベルアップや進化(現在5段階)で強くなり、装備をつけさせることもできる。ダンジョンの主である魔王自身も、強化・進化させられる。階層の追加や、階層の広さの拡張も可能になっている。
ダンジョンには生成された時点で宝箱も自動生成されている。これに引き寄せられて、冒険者が冒険しにやってくる。
進行フェーズでは、冒険者が実際に迷宮内を歩いて探索・進行する。冒険者には「探索目的(くまなく探索する)」と「踏破目的(こちらを倒そうとガチで攻めてくる)」の2種類がいる。
冒険者にはjob(職業)もある。シーフは罠をMPを消費して解除する。魔法使いは遠距離攻撃が得意だ。
聖職者は周囲を回復する。タンク役の冒険者もいれば、最強クラスの勇者がまれに攻めてくることもある。
こうして稼いだDPで、ダンジョンをどんどん強化していく。育てた魔物は地上に進行させることもでき、地上での振る舞いはCivライクになる。
一番こだわっているところ
なろうのダンジョン経営を実際に体験できる、という点が一番の推しどころ。
「なろう系だから」と食わず嫌いせずに遊んでみてほしいと思っている。なろう系のダンジョン経営ものには、「実際にダンジョン経営するならこうだろう」という要素がたくさん詰め込まれている。
ダンジョン経営として、選択肢と試行錯誤の幅が広くなるように実装を頑張っているつもりでいる。自分のダンジョン経営ができている、という感覚を大事にしたい。
加えて、ドーパミン的にも楽しめる要素も意識して組み込んでいる。ただし、そこに侵食されすぎて、戦略系の地道な楽しみが消えてしまわないようにも気をつけている。
今の状態:遊べるけど、バランスがまだ
遊べる段階にはなっていて、実装したかった要素は一通り実装できた。
ただ、ゲームバランスや実際のプレイ体験の部分は、正直まだ全然だと感じている。世の中のゲームは、この辺りを本当にうまくやっているなと思う。
プレイして違和感のない体験を、どうやってあのバランスで設計しているのか、今の自分にはまだ見えていない。
ゲーム制作の知識がなく、何を調べればいいかも分からない初心者だからこそ、ここでつまずくのは当然だと捉えている。最近の作業は、ゲームバランスやUI周りの改善が多くなっている。
この記事を書いた理由
これまでの記事は、開発中に起きた具体的な出来事(詰まった話、直した話、判断した理由)を切り取って書いてきた。
でも、そもそもどんなゲームを作っているのかを知らないまま読むと、その面白さや意味が伝わりにくいはずだと思うようになった。だから、しばらくはこの紹介・状況説明の記事を挟んでいく。
実際の開発知識がない人間が、AIでゲーム開発をするとどうなるのか。どんなゲームを作っていて、その過程や現状で何を考えているのか。これからも発信を続けていく。
まずはこの記事でゲームの全体像を知ってもらって、その上で今後の技術ログやエッセイを読んでもらえたらうれしい。
このゲームはClaude Code(およびFable 5)で開発している個人プロジェクトです。この記事は実際の開発ログ(作業と同時進行で記録しているdev_log.md)と、執筆にあたって自分自身に行ったヒアリングを元に、要点を再編集して書いています。
