
願書にAI加工写真を貼った女、大学でサークルを作り、なぜか起業する
まだ何者でもない私が、大学に入った理由
私はまだ、何者でもない。いい歳なのに、去年開校したばかりのオンライン大学に入学した。
理由は、何者かになりたかったから。起業仲間を見つけたかったから。そして、大卒の資格が欲しかったから。
正直、入る時はめちゃくちゃ迷った。募集が始まってすぐ、入学動機などを提出しなければならなかったので、とりあえず書いた。書いて、下書き保存した。
そこから2ヶ月、「本当に今、入るべきなのか?」「学費を払うぐらいなら、起業資金にしたほうがよくない?」「でも1期生ってブランド、めちゃくちゃ強くない?」と、頭の中でずっと会議していた。
しかも優柔不断な私である。そりゃ決まらない。
入学前からすでに前途多難
特に嫌だったのが、願書に貼る顔写真を撮ること。それと、中退した大学に中退証明書を出してもらうこと。
めんどくさい。あまりにもめんどくさい。
その2つが嫌すぎて、2ヶ月放置した。写真が嫌すぎて、ふざけてAIで加工した全く違う人みたいな写真を作り、試しに願書に貼ってみたりもした。
「いや、これはさすがにダメだろ」と思って消した。次に免許証の写真を貼ってみた。「いや、これもやっぱりな……」と思って、また消した。
貼っては消し、貼っては消し、私は願書ではなく自分の人生を編集していたのかもしれない。
そして締切最終日、ギリギリで提出した。その後、オンラインで顔出しして、免許証を出して本人確認をして、なんとか入学できた。
さあ、楽しい大学生活を送るぞ!そう気合いを入れて迎えた入学式の日。YouTubeで入学式の様子を見ながら、わくわくと不安が止まらなかった。
願書にAI加工写真を貼った女
入学当日にSlackが使えるようになり、大学のサイトにもログインできるようになった。そこで自分の学籍番号を確認した。
そして私は見てしまった。自分の顔写真が、AIで加工した写真になっていることを。
終わった。入学初日に終わった。
私はパニックになり、姉に連絡した。「間違えたーー!最悪!大学辞めたーい!」と泣き言を言った。理由が顔写真で大学を辞めたい女、たぶん私ぐらいだと思う。
姉にその顔写真を見せたら、大笑いされた。「さすがすぎる笑」と言われた。さすがとは何なのか。
私は本気で落ち込んでいたが、姉に「そんなんで大学辞めるのもったいないし、面白いし、そんなこと大したことないよ」と言われ、なんとか大学に連絡して、写真を差し替えてもらった。
前途多難な入学の日だった。今思えば、笑えるいい思い出である。当時は全然笑えなかったけど。
はじめてのSlack、はじめてのハドル
Slackに入ってすぐ、宣伝されていて気になったサークルに入った。なんとか交流したい。友達がほしい。オンライン大学だからこそ、自分から動かないと何も始まらないと思っていた。
そう思っていたら、そのサークルで歓迎会があった。勇気を出して、ハドルという通話機能に参加した。
本当は声を出そうと思っていた。でも、私以外の人たちは入学式前から1ヶ月ほどSlackを使っていて、すでに仲が良さそうだった。無理だった。
声を出す勇気が出なくて、私はなんとかチャットでやり取りした。
今見返すと、そのハドルにいた人たちは、今でも絡んでいる人が多い。仲良くなった人も多い。しかも、主催者の方は、なんと今では私のボイトレの先生である。
人生、どこでつながるかわからない。やっぱり、行動することは大事なんだと思い知らされる。
友達作りに必死だった1年目
今、2年生になって、大学生活1年目を振り返ると、本当に怒涛の日々だった。
なぜ自分はあんなに必死だったのか。まず、私は楽しく過ごしたかった。だから友達作りに必死だった。
でも、もう出来上がっているコミュニティに入るのは至難の業だった。疎外感もあったし、嫌なこともあった。それでも、「ここでめげたり諦めたら負けだ」「私は人生を変えに来ている」「あんたらと覚悟が違う」と、自分に言い聞かせた。
口は悪いが、本気だった。
なんとか、しつこくそのコミュニティで生き延びると決めた。そして私は、しがみついて居座ることに成功した。
友人もでき、楽しく過ごしていた。が、さすがオンライン大学。癖強が多い。
いい大人同士が言い合い、罵り合い、時には「これは青春なのか?」と思うようなこともあった。
それでも私は、友人ができたことで新たな野望が芽生えた。
砂漠で水を探すようなサークル作り
私は以前、資格を取りたかった時期があった。でも、いろいろ情報を集めると、独学で勉強するだけでもお金がかかる。
だったら、誰でも勉強できる場所を作りたい。大学内で資格を持っている人がいたら、無料で生徒に教える勉強会を開きたい。大学の勉強も、お互い助け合い、協力し合えるコミュニティを作りたい。
それに、大学のSlackは過疎っていた。いつも大体同じメンバーしかいない。もっといろんな人に参加してもらって、輪を広げたい。
そんなことを、大学生活を送るうちに思うようになった。
友人たちに相談したら、「それはとてもいいことだし、素晴らしい」と言ってくれた。しかし同時に、「でも難しいよ」「不可能に近い」「この過疎ってるSlackでは、砂漠で水を見つけるぐらい難しい」とも言われた。
そんなにか?!!!
気が強いけれど、意外と反対されると弱気なかいぽんが出る。頑固なところは頑固なのに、変なところで豆腐メンタルである。
試験前に生まれた勉強サークル
しかし、転機は訪れる。入学して初めての試験が近づいてきた。
友人たちと「試験対策どうする?」と話していた。1期生だから、何も情報がない。過去問もない。何が出るのかもわからない。
私たちはハドルで毎日のように話して、情報共有していた。でも、他の人たちはどうしているのだろう。不安な人もいるんじゃないか。
そんな流れで、ノリで私が作りたいと言っていたサークルを作ることになった。そこで毎日のようにハドルで勉強会を開いた。
すると、10日で90人以上がチャンネルに参加した。
私は完全に調子に乗っていた。調子がいい時ほど、一番気をつけなければいけない。なのに私は、完全に天狗になっていた。
傷ついた私を救った「ありがとう」
前述した通り、入学して1ヶ月ほどで、私は人間関係でかなり傷ついていた。人と言い合いになったり、裏切られたと感じたり、絶望したりもした。
本当に大学をやめてやろうと思った。Slackで作っていたtimes、いわゆるブログみたいな場所も閉じた。毎日入っていたハドルにも入らなくなった。
なんで、こんなにも言われなきゃいけないのか。目立つだけで、なんで?
人に話しても、「目立つから仕方ないよ」と言われた。やるせなかった。やっぱり、私は人が嫌いだ。そう再確認した。
今回の試験が終わったら、大学を辞めよう。そう思った。
でも、この試験の間だけは頑張ろうと決めた。自分にできる最大限のことをやろうと思った。
友人に教えてもらい、AIを使って試験対策問題を作成し、サークルで共有した。すると、思ったよりも反響が良かった。めちゃくちゃ感謝された。
裏切りや、傷つく言葉を投げつけられ続けて、めちゃくちゃになっていた私の自尊心と自信が、少しずつ回復していった。
私は気が狂ったように問題を作った。嫌なことを思い出さないように、一心不乱に作って、共有し続けた。
気がついたら、1週間でサークルの人数が300人を超えていた。
そして、初めての成績は悪かった。悪かったんかい、と思う。
でも、それでもよかった。私という存在意義が見つけられたから。
試験後、みんなに感謝された。私はここにいていいんだ。そう思えた。
人数が増えて、自信もついた。同時に、プレッシャーも押し寄せてきた。ハイになって、夜も眠れない。睡眠時間は4時間ぐらい。でもハイになっているから動ける。
今思うとかなり危ない。
その後もいろいろあったが、ここでは割愛する。怒涛で、苦くて、濃い1年だった。
1300人のサークルと、謎の自信
私はこの大学に入って、変な人に絡まれても、アンチみたいな動きをされても、落ち込んだり悩んだりすることはあった。
それでも、「こいつらを黙らせるには、圧倒的実力が必要だ」と思って、積極的に動いてきた自負がある。
私は2年生になる前に、念願の起業をする予定を立てていた。私が作った勉強サークルは、大学内で一番人数が多いサークルになり、1300人を超えた。
だからこそ私は、こう思ってしまった。
「これだけ人数を集められたなら、起業もうまくいくんじゃね?」
甘い。あまりにも甘い。
今思えば、オンライン大学のSlackという一つの世界で少し目立っただけで、私は完全に世間をわかった気になっていた。
しかも私が挑もうとしていたのは、起業という激戦区。
最初はアロマのオーガニックコスメを作る予定だったが、いろいろあって今の時点では断念した。そのあたりの詳しい話は、最初のnote記事に書いている。
Slackのtimesも、生徒の中では人数が一番多かった。私は謎の自信に満ちあふれていた。
Slackの有名人、世間では無名
しかし、世間は厳しい。そんなに、というか、全くうまくいかない。
Slackでは有名な私。(自分で言う。)
でも、XやInstagramのように世界中の人が使っている場所では、まったく通用しない。
フォロワーは増えない。いいねも少ない。なんなら0の時もある。あまりにもいいねが少なくて、自分でいいねを押す。八百長である。
でも、それでも私はまだ始めたばかりだ。
まだ何者でもない私へ
私はまだ何者でもない。
でも、入学初日にAI加工写真でパニックになった私が、1年後には1300人を超えるサークルを作って、起業して、色々準備までしている。
何者でもないなりに、動いてきた。
傷ついたし、落ち込んだし、人間嫌いも再確認した。それでも、人に救われた。人を傷つけ、傷つけられたのに、人に感謝されて、また立ち上がった。
矛盾している。でも、たぶん人生ってそんなものだと思う。
私はこれからも、恥をかきながら進んでいく。願書にAI加工写真を貼った女でも、人生はなんとかなる。
いや、なんとかする。
まだ何者でもない私が、これから何者かになっていくところを、よかったら見ていてほしい。