
KICKの収益システムが大きく変わる。KPP計算ミス、30日平均化、BOT対策、広告、今後のKickまで――Director Ethanが語った全内容【Kick Talk Episode 107】(2026年9月19日)
2026年9月19日(土)、Kickで「KICK TALK EP 107!! With @Ethan Director of KICK」が配信された。
この週、Kick共同創業者のEddie Cravenは欠席。代わりにKick DirectorのEthan(@KICKEthan)が出演し、Santamaria(@Svntvmvriv)との2人で約1時間にわたりトークセッションを行った。
今回の中心テーマは、9月に大きな議論となったKPP(Kick Partner Program)の報酬問題だった。
だが、実際に最後まで聞いてみると、単なる「KPPの不具合説明」にとどまらない。
今回のEpisode 107では、
KPP報酬計算の問題
報酬決定ロジックの変更
BOTやtabbingへの対策
大規模イベント配信の扱い
全PartnerへのAccount Manager構想
Featuredの透明化
For Youアルゴリズム
Kickの広告テスト
Kicksの改善
Multi-view
BAN機能
Watch Time
小規模配信者や独自企画の支援
Kickの今後の開発方針
まで、かなり広いテーマが語られた。
さらに配信2日後の9月21日には、Ethan本人がXで「KICK Partner Program and More」と題した長文声明を公開。
Kick側のミスを正式に認めて謝罪し、KPPの新しい考え方も改めて説明した。
今回の記事では、Kick Talk Episode 107本編の流れをなるべく残しながら、後から出た公式補足も含めて整理していく。
Eddie Cravenは休暇中。それでも「ほとんど休まない人」
配信冒頭は、Eddie Cravenについての雑談から始まった。
Santamariaが「Eddieはちょっと休暇中なんだよね」と触れると、Ethanはすぐに、
「Eddieは本当に休まない。夜になってもオフィスを離れたがらないくらい、かなり勤勉な人だ」
という趣旨で答えた。
Santamariaも、以前オーストラリアのKickオフィスを訪れたときのEddieの働き方が印象的だったという。
経営者だからといって大きな個室にこもるのではなく、日によって違うフロアに座り、普通の社員と同じようにオープンスペースで働いていた。
特にエンジニアの近くに座ることが多いという。
Ethanによれば、Eddieはエンジニアの隣に立ちながら、
「これ今すぐ出せるんじゃない? いこう、いこう」
と開発を促すようなタイプらしい。
Ethan自身も、Partnerships、Ads、Engineeringなど、そのとき集中したいテーマに合わせて席を移動していると話している。
Kickの経営陣と開発現場の距離の近さが分かる一幕だった。
最初の本題はKPP。「本当に直ったのか?」
ここからSantamariaは、視聴者から寄せられていた批判的なコメントを取り上げる。
Xでは、
「イベントシステムやBOT対策を自画自賛する前に、KPPの問題にきちんと向き合ってほしい」
という声も出ていた。
Santamariaは、
「先週EddieはKPPの不具合を見つけて修正したと言っていた。それでもまだKPPがおかしいという声がある。今どうなっている?」
という形でEthanに質問した。
Ethanは、ここ2週間ほどKPPについてかなりの作業を続けていると説明する。
まず問題が発覚した段階で、影響を受けた数百人のクリエイターへメールを送り、不足分を追加で支払ったという。
その後さらに別の問題も見つかり、先週追加のパッチを適用。
今週も細かな修正を継続しているという。
「Kick側が間違えたなら、クリエイターは必ず補填される」
今回のEpisode 107で、Ethanが何度も繰り返した言葉がある。
creators will always get made whole
ニュアンスとしては、
「Kick側の問題によって本来受け取るべき金額が不足した場合、最終的には必ず本来の金額まで補填する」
という意味だ。
ある視聴者から、
「本当に不足分は戻ってくるのか?」
という質問が出た際にも、Ethanは明確に答えた。
「もちろん。今までもそうしてきた。こちらのミスなら必ず支払う」
Kickとしては、報酬支払いの信頼性を非常に重要なものとして扱っていることを強調している。
KPPの問い合わせは「1日数百件」から約30件へ
Ethanによると、問題が大きかった時期には、KPP関連の報告が1日数百件届いていたという。
一方、配信直前に確認した直近のシフトでは、約30件まで減少していた。
だからといって「完全解決」とは言っていない。
Ethanの言い方は、
かなり良いところまで来ているが、まだedge caseを確認している
というものだった。
そして残っている報告についても、個別に調査していると説明した。
KPP最大の変更。「1配信ごとの評価」から「複数配信の継続評価」へ
今回のEpisode 107で最も大きな情報がここだ。
従来のKPPでは、
1回の配信のパフォーマンス
が、その配信の報酬レートに強く影響していた。
つまり、大成功した配信なら大きく上がる。
反対に、静かな配信だと大きく下がる。
Ethanは、この仕組みについて、
KPP was heavily based on the performance of one stream.
と説明している。
この変動を抑え、クリエイターがある程度報酬を予測できるようにするために、計算方法を変更したという。
配信中、Ethanは、
rolling 30 days
30-stream average
という表現を使った。
ざっくり言えば、
直近30日、あるいは直近30配信程度の実績をならして見る方向
だ。
たとえば時給4ドルなら、
「今日は5時間配信するから、おおよそ20ドルくらい」
と配信前からある程度予測できる。
良い配信が続けば徐々に上がる。
低調な配信が続けば徐々に下がる。
一度の結果で大きく跳ねたり落ちたりするのではなく、継続的に変化していく。
Kickが狙っているのは、「安定性と予測可能性」だ。
「30配信固定」ではなく、正式説明は「直近の複数配信+現在の配信」
ここは後から出た公式声明を踏まえて整理しておきたい。
Episode 107では、Ethanが「30日」「30配信平均」というかなり具体的な数字を出した。
しかし9月21日に本人がXへ投稿した正式声明では、
a stretch of your recent streams, including the one you're live on right now
と表現されている。
つまり公式な説明としては、
「直近の一連の配信に、現在Live中の配信も含めて評価する」
という形だ。
したがって、
「必ず過去30配信だけで固定される」
と断定するより、
直近の複数配信を継続的に評価する方式へ変わった
と理解するのが適切だろう。
一度の低調な配信でKPPが壊れにくくなる
Ethanの正式声明では、この変更理由もかなり分かりやすく説明されている。
旧方式では、
本人の努力やコミュニティの成長とは直接関係のない要因によって、レートが大きく上下する可能性があった。
しかも配信を終えるまで、
「今日の配信がいくらになるのか」がほとんど分からない。
Ethanは、
「これを仕事にしている人にとって理想的な状況ではない」
と認めた。
新方式では、
Show up consistently, get paid consistently.
という考え方を掲げる。
つまり、
継続して配信する人には、継続性のある報酬設計を目指す
ということだ。
では、大型イベント配信は不利になるのか?
新しい平均化方式について、すぐにコミュニティから懸念が出た。
「イベントを頑張って5万人集めても、その1回が平均化されるなら、大型企画をする意味が薄れるのでは?」
という問題だ。
Santamariaは、報酬だけを理由にイベントをやめるべきではないと話す。
イベントを作り、独自企画をすること自体がクリエイターとしての経験になるという考えだ。
ただ、Ethanはより具体的な解決策を示した。
全Kick PartnerへAccount Managerを付ける構想
Kickが進めている大きな構想の一つが、
すべてのKick PartnerにAccount Managerを付けること
だ。
Ethanは例として、
「普段は100人くらいの視聴者だが、このイベントでは5万人来る予定だ」
というケースを出した。
その場合、担当者に事前相談できるようにする。
大型イベント、特殊な企画、通常とはまったく違う視聴規模。
そういったケースを、
完全にアルゴリズム任せにするのではなく、人間の担当者が把握して調整する
方向を考えているという。
Account Managerは、
KPP
Featured
イベント
成長支援
Analytics
などを相談できる存在になる。
KPPには毎週「数万件規模」の攻撃・悪用試行
KPPの修正が単純ではない理由について、Ethanはかなり具体的な数字を出した。
KPPに対しては毎週、
tens of thousands of attacks
があるという。
「数万件規模の攻撃・悪用試行」と捉えられる。
具体例として、
DDoS
システムへの侵入
KPPをゲームしようとする行為
非オーガニックな視聴
BOT
などが挙げられた。
KPPは、配信者に対してプラットフォーム側から直接報酬が支払われる仕組みだ。
当然、その仕組みを悪用して金を得ようとする人も現れる。
Ethanは、
KPPのintegrity=健全性を守る
ことが重要だと強調した。
KPPは毎週「数百万ドル」を支払っている
KPPの規模についても重要な数字が出ている。
Ethanは、
KPP now costs millions a week.
と発言。
つまり、
KPPでは毎週数百万ドル規模がクリエイターへ支払われている
という。
Kick Partnerの人数については、3万人以上 と回答。
さらに約1万5,000人が週次払いを利用しているという趣旨のやり取りもあった。
KPPはすでに、小さな試験制度ではない。
数万人を対象にした巨大な報酬システムになっている。
「50ドル/時から8ドル/時になった」――KPPは何を見ている?
視聴者から、
「KPPが時給50ドルから8ドルまで下がった。これは普通なのか?」
という質問が出た。
Ethanは、「50ドルから8ドルは確かにきつい」と認める。
一方で、
「個別のアカウントを見ていないので、この場では原因を断定できない」
とも話した。
そして、レート低下の要因として、
Organic viewershipの低下
Engagementの低下
複数端末
tabbing
watch-for-watch community
bot farm
device farm
などを挙げた。
さらに、
We have hundreds of signals.
と説明。
つまりKPPは、
平均同接だけを見て報酬を決めているわけではない。
数百種類ものSignalを使いながら、
「その視聴が本当にオーガニックなものなのか」
を見ているという。
正常な配信が誤って怪しく見えるedge caseもある
もちろん、その検知が100%正しいわけではない。
Ethanによれば、その週だけでも、数十件のedge case を発見したという。
Signal上では怪しく見える。
しかし実際に調べると、
「このSignalは実態を正しく反映していないのでは?」
というケースだ。
そういう場合には、
クリエイター本人へ連絡して追加情報を確認することもある。
逆に、
「これは明確に非オーガニックな行動だ」
と判断できる場合は、
KPPから除外
レート引き下げ
アカウント停止
といった措置が取られる。
不正利用アカウントは実際にBANされている
Santamariaは、
「BANされたのは休眠アカウントや、認証条件を満たさなかった人なのでは?」
という疑問を取り上げた。
Ethanは、「そうではない」という立場を示した。
明確にKPPをゲームしようとしているアカウント。
つまり不正に報酬を取ろうとしているケースが対象だという。
Santamariaからは、直近2週間〜1か月で415件 という数字も出た。
一方、会話中には「数万アカウント」という表現もあり、こちらは期間や対象範囲が異なる可能性がある。
いずれにしても、
KPPをめぐる不正対策が大規模に行われていることは分かる。
「小規模配信者だけKPPが下がっている」は違う
コミュニティでは、
「大手配信者がBOTを使っていてもKPPが下がっていないように見える」
という不満もある。
Santamariaがこの点をEthanにぶつけると、Ethanは明確に、
大手であっても非オーガニック視聴が検知されればレートは下がる
と答えた。
ただし、その本人がSNSで、「自分のKPPが下がった」と公表していないだけかもしれない。
Ethanは、「TwitterやFacebook、Instagram、Redditなどで見るものをすべて信じるべきではない」とも話している。
Kickは長い間、新しい個別契約を出していない
SNSでは、
「自分はKickからこんな契約をもらった」
という投稿が出ることもある。
しかしEthanは、
We haven't offered contracts for a long time.
と発言。
少なくともKick側の説明では、
新しい個別契約を長い間積極的に出しているわけではない
という。
KPPを廃止する予定はない
KPPそのものが縮小されるのではないかと不安に思う人もいる。
これについてEthanは、
We've got no intention of cutting KPP.
と明言した。
つまり、KPPをやめる意図はない。 さらに、
「オーガニックな視聴に対するレートを意図的に下げたわけでもない」
と話した。
むしろ、不正視聴をより正確に取り除けるようになれば、
We potentially will raise the rates.
つまり、
将来的にKPPレートを上げる可能性もある
とまで言及している。
考え方はシンプルだ。
BOTや不正利用者へ流れる金額を減らし、
その分を正当に活動しているクリエイターへ回したい。
9月21日、EthanがKPP計算ミスを正式に謝罪
Episode 107から2日後の2026年9月21日。
EthanはXに、
「KICK Partner Program and More」
という長文声明を投稿した。
ここで初めて、9月のKPP問題についてかなり明確な形で説明した。
Ethanによると、
9月、一部のKPPクリエイターの収益計算でmanual errorが発生した。
その結果、
本来より少ない金額が支払われた
明確な理由がないように見えるレート変動が起きた
Kick側からの説明が十分ではなかった
という。
Ethanは、
「これは起きるべきではなかった。個人的に申し訳なく思っている」
という趣旨で謝罪した。
さらに、
「Streamingは単なるcontentではない。多くの人にとってcareerであり、この数字は家賃や請求書、来月生活できるかどうかそのものだ」
と述べている。
かなり踏み込んだ謝罪だ。
不足分の補填はすでに完了
Kick側は問題を特定後、
影響を受けたクリエイターの計算を修正。
不足分をmanual paymentとして追加支払いした
と説明している。
対象者にはメールも送られた。
注意点として、
この追加支払いは、
Stripe Dashboardには表示されるが、Kick上のEarnings画面には反映されない。
「補填されていないように見える」
場合は、Stripe側も確認したほうがよい。
95/5のSubscriptions・KICKsには変更なし
今回変わるのは、
KPPの計算方法だ。
一方で、
SubscriptionsとKICKsの95/5分配
には変更がない。
ここはEthanが正式声明でもはっきり書いている。
サポートが「コピペ返信」なのはなぜ?
Episode 107では、Kick Supportへの不満も正面から取り上げられた。
コミュニティからは、
「メールを送れと言われて送っているのに、毎回同じテンプレート返信しか返ってこない」
という声が出ていた。
Santamariaは、
「これはTwitchのような一方通行のコミュニケーションに近づいていると感じる人もいる」
とかなり率直に話す。
Ethanはまず、
Kick Supportについて、
1日数万件のTicketを処理しながら平均Response Timeが約52秒
と説明した。
かなり高速なSupport Teamだという自負を持っている。
一方、
KPPのような商業的にセンシティブな問題では、
Support担当者がすべての情報を持っているわけではない
とも認めた。
だから返答そのものは定型的になってしまう場合がある。
しかし問い合わせ自体は記録されており、
KPP関連では、
Safety
Trust
Engineering
Partnerships
Ethan本人
Head of Product
Head of Engineering
などへ情報が送られるという。
Ethanが伝えたかったのは、
「返事がテンプレでも、問い合わせ自体は意味がある」
ということだ。
Trust Centreを公開へ
KPP問題でもう一つ重要だったのが、
透明性
だ。
Ethanは9月21日の声明で、
Trust Centre
を公開すると発表した。
ここでは、
KPP
Featured
Moderation
などについて、
「どういう基準で判断しているのか」
を公開する。
これまでのように、
「チャットの噂」
「誰かが投稿したスクリーンショット」
だけで仕組みを推測するのではなく、
Kick自身の情報を確認できる場所にする。
Ethanは、
「完璧ではないが、ここから改善していく」
というスタンスを示している。
Featuredの基準も明確化へ
同じ透明性の話として、
トップページのFeaturedにも触れた。
ユーザーからは、
「どうすればFeaturedされるのか?」
「なぜこの人が5時間もFeaturedされているのか?」
といった疑問が多い。
Ethanは、
Featuredのガイドラインを更新中
と説明。
そして、
Help Centerの記事として公開したい
と話している。
将来的には、
「Featuredされるには何が必要なのか」
を配信者自身が確認できるようになる可能性が高い。
For Youアルゴリズムもアップデート
Featuredの下にある、
For You
についても新しい推薦アルゴリズムを展開中。
Episode 107時点では、
約20%のユーザー
に導入済み。
翌週にかけてさらに広げる予定だという。
目的は、
「そのユーザーが見たい配信をもっと見つけやすくすること」。
単純な大手配信者の露出だけでなく、
視聴者との相性を重視する方向が見える。
「面白いことをしている小規模配信者をもっと拾いたい」
今回、個人的にかなり重要だと思ったのがこの話だ。
視聴者から、
「昔のKickは、変わったことや記録に挑戦している配信者をもっと取り上げていた」
という声が出た。
例として、
626日連続配信
81日連続Live
登山
世界旅行
記録挑戦
特殊イベント
などが話題に出る。
Santamariaは、まず事前に"ideas@kick.com"へ知らせてほしい と話した。
理由は単純で、
運営側がその企画の存在を知らない場合があるから。
つまり、面白い企画をやる。
それだけではなく、運営へ企画として届けること も重要になる。
これは小規模配信者にとってかなり実用的な情報だと思う。
「5 viewersを5,000 viewersへ」
EthanはAccount Manager構想についてさらに話を続けた。
担当チームでは、
「誰が次の大きなStreamerを育てるか」
「誰が5 viewersのCreatorを5,000 viewersまで持っていくか」
という話をしているという。
言い換えるとKickは、
既に有名なStreamerを獲得することだけではなく、Kick内から次の大手を育てること
にかなり関心を持っている。
Episode 107全体を見ると、
この方向性はかなり一貫している。
Ethanは約4,000のDiscord Serverに入っている
Ethan自身についても面白い発言があった。
本人によれば、
I'm actually in, I would say, 4,000 of the Discord servers.
約4,000のクリエイター関連Discordに参加しているという。
もちろん全員に返信することはできない。
そのためOffline表示にしているが、
毎晩その中から一部を選び、
Supportが機能しているか
Analyticsを受け取れているか
Growthについて相談できているか
などを確認しているという。
Kick内DM/Whisper機能は「予定なし」
視聴者から、
「KickにもWhisperやDM機能を付けないのか?」
という質問があった。
Ethanはかなり明確に、
We've got no intention of launching that.
と回答。
現時点では、
Kick内DMを作る予定はない。
理由として、
Discord、Telegram、WhatsAppなどがすでに存在すること。
そしてDMは、
非公開
監視しにくい
リスクが高い
ことが挙げられた。
Kickとしては、プラットフォーム内の交流はなるべく公開された場所に置きたいようだ。
Googleとの関係は「非常に良好」
一部SNSでは、
「KickとGoogle AdSense/Google Ad Managerの関係に何か問題があるのでは」
という話も出ていた。
Ethanはこれを否定。
Googleとは、
非常に良い関係にある
と説明した。
Google Ad Managerだけではなく、複数領域で密接に協力しているという。
本人もGoogle Leadership Summitへ参加予定だったが、オーストラリア側の仕事で参加できなくなったと話している。
Kick広告はまだ「限定テスト」
広告についても進捗が共有された。
現在は、
pre-roll
mid-roll
post-roll
それぞれをかなり限定された範囲でテスト中。
一時期、
「配信がクラッシュした直後に広告が出るから、広告が原因で落ちているのでは?」
という声があった。
Ethanによれば、
これは実際には、
配信が落ちたあとpost-roll広告が再生されていた
だけだった。
そのため現在は、post-rollをほとんどのカテゴリで停止。
広告については、
意図的にかなりゆっくり進めている
という。
今後1か月についても、
「多少広告を見かけることはあるかもしれないが、大量展開するつもりではない」
というニュアンスだった。
数百人のCreatorが広告テストに参加中
広告テストには、
数百人のCreator
が参加している。
Ethanによれば、
現在、
8時間あたり約50件
のFeedbackが来ているという。
また、
Kick上で広告のようなものが出ていても、
必ずしもKick公式広告とは限らない。
Streamer自身が企業スポンサーを獲得し、
OBS Overlayなどで広告を表示している場合もある。
Santamariaはここで、
「Creatorは自分でスポンサーを取りに行っていい」
という点を強調した。
Affiliateだけではなく、
実際に企業へ連絡し、
自分のCommunityにスポンサーをつけることもできる。
Santamariaらしい、かなり実務寄りの話だった。
KicksがYouTube Super Chatに近づく
Kicksにもアップデートが入った。
送信UIをシンプルにし、
最大25,000 Kicksまで購入可能。
さらに、
Kicks付きMessageがChat上部にどれくらい残るか
が分かりやすくなった。
Santamariaはこれを、
YouTubeのSuper Chatに近い機能だと評価。
Creator側が、
「一定額以上のKicksを優先して読む」
という運用もしやすくなる。
Kicks支援者向けの専用Badge?
視聴者から、
「一定額以上Kicksを送った人へ、そのChannel独自のBadgeを付けられないか?」
というアイデアも出た。
現在はSubscription Badgeがある。
しかし、
Kicks専用Badgeはない。
SantamariaとEthanは、
「Channel Kicks Badgeみたいな感じだね」
と話している。
明確な実装約束ではないが、
アイデアとしては認識された。
「333 Kicks」のような任意額送信も検討
Kicksについては、
固定額ではなく、
「333 Kicks」
など好きな数字を送りたいという要望も出た。
Ethanは、
「やると約束はできないが、理屈は分かる。見てみる」
という反応。
誕生日やラッキーナンバーなど、
任意額送信へのニーズは理解しているようだ。
Multi-viewはなぜ4画面?
視聴者から、
「外部のMulti Kickは9画面表示できるのに、Kick純正はなぜ4画面なのか?」
という質問。
Ethanによれば、
単純に技術的に4画面までしかできないわけではない。
10画面でも作ろうと思えば作れる。
ただし、
1080p×10
720p×10
10個のChat
10個のSubscription処理
10個のEmote処理
をスマートフォンで同時に動かすのは厳しい。
Kick側では、
端末性能、地域、Device mixなどを確認したうえで、
4画面が視聴と参加を両立できるスイートスポット
と判断したという。
今後も見直しは続ける。
イベント参加Streamerから直接Multi-viewへ
イベント機能についても改善された。
以前は、
Prodigy RPやNoPixelなどのイベントを見る場合、
カテゴリページへ移動し、
イベントを選び、
Multi-viewを開く必要があった。
現在は、
イベント参加中のStreamerページへ行くとPop-upが表示され、そこから直接Multi-viewへ移動できる
ようになっている。
Santamariaは、
こうしたイベントとMulti-viewを組み合わせることで、
NetflixやYouTube TVとは違う、
ライブ配信ならではの体験
が作れると評価していた。
BANした人にLive・VOD・Clipまで見せない機能を開発中
Moderation周辺でも具体的な話が出た。
Creator側から、
「BANした相手にはChatだけでなく、Live、VOD、Clipまで見せたくない」
という要望がある。
Ethanは、
このBAN周辺の機能はactively being worked on
と説明。
つまり現在実際に開発中だ。
いわば、
「そのChannelから完全に追放する」
ような強いBANに近い。
もちろんAlt Accountを作られれば完全ではない。
それでも現状よりかなり強力な仕組みになる。
LurkerのWatch Timeもちゃんとカウントされる
「ChatしないLurkerはWatch Timeに入らないのでは?」
という質問もあった。
Ethanはこれを否定。
Kick本体では、ChatしなくてもWatch Timeはカウントされる。
誤解の原因の一つがBotrixだという。
Botrixの「!watchtime」は、
Kick内部のWatch Timeそのものではなく、
Botrix側のロジックで算出している。
そのため、
Botrix上の数字とKick内部の数字が一致しない場合がある。
Watch Timeには3〜4週間前まで不具合もあった
ただしEthanは、
Kick側にも以前ロジック上のGapがあったことを認めた。
たとえば1時間見る必要があるところを、
1時間4分、
1時間8分、
と少し余計に見ないと条件達成にならないケースがあった。
この問題は、
約3〜4週間前に修正済み
とのこと。
iOSでKickアプリが15GBになる問題を修正
Ethan自身のiPhoneでは、
Kickアプリが、約15GB もストレージを使っていたという。
本来なら、数百MB程度。
原因はCacheの問題。
App Store版を更新し、このCache肥大化を修正した。
これによって、端末のOverheating問題も軽減される という。
Google TV、Roku、LGにも対応強化
TV系についても、
Google TV UI更新
Roku App更新・全面展開
LG App公開
などが行われた。
スマホ・PCだけでなく、リビングでの視聴体験も強化している。
EthanはKick Directorになって約1年
終盤、SantamariaはEthanに、
「Kick Directorになってどれくらい?」
と質問。
Ethanは、もうすぐ1年 と答えた。
Ethanは元々Finance出身。
Commercial Financeを中心に、
CA(Chartered Accountant)として10年以上働いた後、Tech業界へ。
一方でゲームは昔から好きで、DotaではImmortalまで行ったという。
2026年のKickは「安定化 → 機能 → ユーザーの声」
Ethanはこの1年間のKickを、かなり分かりやすく振り返った。
最初にやったのが、Platform polishing つまり基盤の安定化。
2026年第1四半期には、
Crash-free rateを、95% → 99.9% まで改善したという。
次に、Product parity
つまり他サービスと比べて不足している基本機能を揃える段階へ。
その後、
「Kickはユーザーの声を聞いていない」
というFeedbackが増えた。
そこで、
scrap everything we said. We're just going to listen now.
という方向へ切り替えた。
つまり現在のKickは、
「まずコミュニティの声を聞き、それを作る」
というフェーズにある。
Ethanは勤務時間外にも週40時間Kickを見る
Ethanは、勤務時間外にも、
週平均40時間ほどKickを見ている
と話した。
さまざまなCommunityへ入り、
ChatやFeedbackを直接確認している。
先ほどの約4,000 Discord Serverの話と合わせると、
かなり現場を直接見るタイプのDirectorであることが分かる。
Episode 107の最後は小規模StreamerへSubs
配信終盤。
EthanとSantamariaは、
「来週からKick Talkの最後にSubsを配る時間を作ろう」
という話になる。
10〜15分ほど、Live中のCreatorを回りながら、Subsをプレゼントする。
Santamariaは、
「1,000 CCV級ではなく、もっと小さいStreamerを探したい」
というニュアンスでチャンネルを探していた。
Dadbot Gaming 91というCreatorが、
Seven Days to DieでKickをイメージした巨大な拠点を作っていた話も出た。
EthanとEddieはすでにその配信へ訪れ、Subsを送っていたという。
ここでも、
大手だけではなく、面白いことをしている小規模Creatorを見つけたい
という方向性が見える。
Kick Talkは「CommunityからQualitative Dataを集める場」
最後にSantamariaは、
視聴者からの、
ポジティブな意見
ネガティブな意見
批判
Trolling
まで含めて、
すべてが、
Kickを改善するためのQualitative Dataになる
と話した。
「もっと声を上げてほしい」
という呼びかけでEpisode 107は締めくくられた。
今回のEpisode 107で一番重要だったこと
今回のEpisode 107を、
「KPPで計算ミスがありました」
だけで終わらせると、本質をかなり見落とす。
今回見えたのは、
Kickが収益システムそのものをどう変えようとしているか
という話だ。
これまでのKPPは、
1配信の成功や失敗が、その日の報酬に大きく影響しやすかった。
これからは、
直近の複数配信を継続的に評価する方向
へ変わる。
さらに、
Organic viewership
Engagement
Retention
BOT検知
tabbing
その他数百種類のSignal
を見ながら、
「本当に継続してCommunityを作っているCreator」
を評価する方向へ向かっている。
つまり、
“一瞬の数字”から“継続的な人気”へ。
これが今回のKPP変更の大きな意味だと思う。
一方で「大型イベントが意味を失う」と決まったわけではない
新しい平均方式を見ると、
「じゃあRaidや大型イベントで5万人集めても意味がないのか?」
と思うかもしれない。
だが、Episode 107を見る限り、
Kickはそこを単純に切り捨てようとしているわけではない。
むしろ、
Account Manager
Featured
Event support
ideas@kick.com
Front page
Multi-view
などを使って、
特殊なイベントは別の形で支援する
方向へ進もうとしている。
つまり、
「平常時のKPPは継続性を重視」
しながら、
「特殊企画は運営との連携で押し上げる」
という二層構造になっていく可能性がある。
Kick Japan側からは「平均同接だけではない」という説明も
日本側では、コレコレさんがKick Japan運営のたいちさんから聞いた内容として、
新しいKPPについて、
平均同接
Chat参加率
Viewer retention
など、
複数の配信指標を総合的に考慮する
という説明も共有されている。
これは、EthanがEpisode 107で話した、
We have hundreds of signals.
とも整合する。
したがって、
「過去30日の平均同接だけで時給が固定される」
という単純な仕組みではなく、
直近の一定期間における複数のパフォーマンス指標を総合評価する
と考えるのが現時点では自然だろう。
「レイドだけで稼ぐ」より「戻ってきてもらう」ことが重要になる
この方向性を配信者目線で考えると、
今後より重要になるのは、
単純に、「その瞬間に何人来たか」だけではない。
むしろ、
その人たちがどれくらい見続けたか
Chatに参加したか
また次回も戻ってきたか
本当にそのChannelに定着しているか
といった、
RetentionとCommunityの強さ
がより重要になると考えられる。
大きなRaidを1回もらうことより、そのRaidで来たViewerを、
次の配信にも戻ってくるViewerへ変えられるか
の方が重要になる。
そして透明性が次の課題になる
今回の問題では、「計算ミスそのもの」だけではなく、
何が起きているのか分からなかったこと
も大きな不満になった。
Ethan自身も、「説明が不足していた」と認めている。
だからこそ、
Trust Centre、
Featured guideline、
KPP Help Center、
公式Communication、
といった話につながっている。
Kickが本当にCreator-firstを掲げ続けるなら、
報酬額だけではなく、
なぜその結果になったのかを、どこまで理解可能な形で示せるか
も重要になってくる。
まとめ
今回のKick Talk Episode 107は、KPPの不具合から始まった。
だが最後まで聞くと、Kickが今、
「単発の数字」から「継続的な活動」へ
評価軸を動かそうとしていることが分かる。
KPPは、1配信単位の激しい変動から、
直近の複数配信を見ながら安定させる方向へ。
不正対策では、BOT、tabbing、watch-for-watch、device farmなどを数百のSignalで見ていく。
透明性では、Trust CentreやFeatured guidelineを公開する。
Creator支援では、全PartnerへのAccount Manager構想。
小規模Creatorについても、
独自企画をideas@kick.comへ知らせてほしいと呼びかける。
広告は急がず、限定テストを継続。
For You、
Multi-view、
Kicks、
BAN、
TVアプリ、
iOS改善など、
Product側の更新も続いている。
もちろん、KPPの計算ミスは軽い話ではない。
実際の生活費に関わる金額を間違えた以上、
Kick側の責任は大きい。
Ethan自身もそれを認め、正式に謝罪した。
ただ、その問題をきっかけに、報酬ロジックそのものを見直し、
透明性やCreator supportまで変えようとしている。
今回のEpisode 107は、
「KPPの不具合説明回」ではなく、Kickが次にどんなプラットフォームを目指すのかをかなり具体的に示した回
だったのではないかと思う。
そして今後の配信者に求められるものも、
少し変わっていく。
一瞬の高同接。
一度のRaid。
一回のバズ。
それだけではなく、
Viewerがまた戻ってくる理由を作ること。
継続して見てもらえるCommunityを作ること。
そして、面白い企画をしているなら、
その存在をKick運営にもきちんと届けること。
Kickの収益システムは、
「瞬間最大風速を見る仕組み」から、
「継続して選ばれている配信を評価する仕組み」へ
少しずつ姿を変え始めている。
最後まで見てくれてありがとう。
