短歌とウイスキー⑤ 枡野浩一と角瓶(水割り)
仕事ですこし嫌なことがあった。人間関係に関する、どうでもいいようなことだ。そういう日はすっきり眠るためにちょっとした努力がいる。社会に出てから10年を過ぎて、こういうときの眠りかたは上手になってきたと思う。人間関係は下手くそなままだが。
お風呂にお湯をためて、ゆっくり浸かる。スマホを持ち込んでどうでもいいような動画を流しておく。こんな夜に静寂は敵だ。考え込むきっかけになりかねない。
暑くなりすぎないうちに風呂から上がったら、すぐに酒の準備だ。安価で美味しい酒がいい。炭酸水はないので水割りになる。炭酸の刺激すらいまの私には敵になりかねないので、ちょうど良い。
角瓶はSUNTORYが誇るジャパニーズブレンデッドウイスキーだ。居酒屋等でも定番の一杯なので、ハイボールを飲む人で角瓶を飲んだことがない人はいないだろう。飲みやすく親しみやすい一杯ながら、ウイスキーファンにも根強い人気がある名作ウイスキーだ。
飲みながら、職場のストレスのことなどとうに忘れていたことに気がつく。動画配信サイトでスターウォーズを流して、見るともなしに見る。そうして、好きな短歌を思い出す。
こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう/枡野浩一
私が短歌を好きな理由のひとつには、わりあい簡単に暗記して持ち歩けることがある。少なくとも、たいていの詩や、小説の一節を覚えるよりは短いことが多い。そして、覚えた短歌は私の心を支えている。
テレビの画面ではルーク・スカイウォーカーが「うそだー!」と叫んでいる。彼にとってはまさしく「こんなにもふざけたきょう」であろう。翻って私の悩みはどんなものだったか、もう半分忘れてしまった。
角瓶と枡野さんに救われた夜である。ありがとう。ついでにルークにも、ありがとう。

