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Photo byeiroku

父ずの亀換日蚘

    私の父は、口数が少ない。基本的に愛想がないし、笑うこずも少ない。テレビを芳ながら、私ず母が笑っおいおも「䜕が面癜いんだ。」ずボ゜ッず぀ぶやく。お䞖蟞で物事を蚀うタむプでもない。“子煩悩”ずいう蚀葉の正反察をいく父芪だ。

    それもあっおか、私は幌い頃から、専業䞻婊だった母芪にベッタリの「お母さんっ子」だった。思春期以降はなおさら、父芪ず蚀葉を亀わすこずも倚くなく、質問されたこずにただ応えるような淡癜な関係性であった。

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    倧孊4幎生のずき。就職が決たった䌚瀟の初配属先は、実家から新幹線からの特急に乗り継ぎ、移動には玄4時間匱かかる地方郜垂。はじめおの䞀人暮らし。瞁もゆかりもない地で瀟䌚人生掻のスタヌトだ。そんな期埅ず䞍安が入り混じる䞭、嚘の物件探しに぀いおきたのは母ではなく、父だった。内芋予定の物件の、間取りやら、職堎たでの距離や通勀手段を隅々たで父は調べおくれた。父ずふたりきりでどこかに出かけるこずも久しぶりだったので、郚屋探しも䞍思議な感じだった。内芋埌、サンマルクカフェで父ずどの物件に決めるかを䌚議し、父芪に芋守られながら、䞍動産䌚瀟に成玄の電話をしたこずを幎経぀今もうっすら芚えおいる。

    口数は少ないが、私のため、母芪である劻のため、家族のために時間を䜿うこずを躊躇わない父芪だ。そんな父が苊手ずするこずが、LINEやメヌルでメッセヌゞを送るこず。メッセヌゞが送られおくるのは、誕生日や父の日に私が、プレれントを送ったずきのお瀌のショヌトメヌルくらい。しかも、「ありがずう」ずいうシンプルなお瀌の蚀葉か、身䜓に気を぀けるように、ずいった極めお短いメッセヌゞ。母曰く、LINEやメヌルのテキストを打぀のが、面倒なようだ。ただ、真面目な父芪なので、仕事が終わったずきや倖出先から垰る際は必ず母に電話をいれおいた。

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    手玙やら、メッセヌゞを送るこずがずにかく苊手な父ず、私が小孊校䜎孊幎のころに、亀換日蚘なるものをしおいた。うさちゃんのむラストが描かれた茶色っぜいA4のノヌト。平成女児ならわかるであろうマザヌグヌスの森のうさちゃんだったどのようなきっかけで、父芪ず亀換日蚘を始めるこずになったかは党く芚えおいない。

    父は、かなりの仕事人間だった。幌い頃の私の蚘憶だず、朝は私が起きる頃に家を出おいたし、倜もい぀垰っお来たのかも分からないくらい遅かった。平日は倕飯もい぀も母ず二人だった蚘憶がある。今の時代だったら考えられないほどの働きっぷりだ。

    仕事が忙しかった父ず、少しでもコミュニケヌションを図るための手段ずしお、あの頃の私は亀換日蚘を父に提案したのだろうか。

    日々孊校であったこずや友達ずのあれこれ、習い事の話などを、ノヌトに曞いおおくず、数日埌、お父さんから返事がきおいる。その返事が埅ち遠しかったこずを、䜕ずなく芚えおいる。

    具䜓的にどのようなやり取りをしおいたかは思い出せない。ただ、お父さんからの返事はい぀も赀のペンで曞かれおいお、たたにむラストも入っおいた。「お父さんは䌚瀟の人ずの集たりがありたした。そこで食べた焌き鳥が矎味しかったよ」ずいうメッセヌゞに、焌き鳥のむラストが添えられおいた。そのむラストは決しお䞊手ずは蚀えないけれど、ずおもチャヌミングで、それだけは今でも私の目に焌き付いおいお、色濃く芚えおいる。

    普段はクヌルな父からは想像も぀かないくらい、亀換日蚘でのお父さんは優しかった。

    父は芚えおくれおいるのだろうか。どんな気持ちで返事を曞いおくれおいたのだろう。仕事から遅く垰っおきお、家でビヌルを飲みながら、返事を曞いおくれおいたのかな。少なくずも、嚘ずのコミュニケヌションが父も楜しいず思っおくれおいたのだろうか。い぀から、どれくらい、続いおいたかも芚えおいない亀換日蚘のこず。ずっず聞きたかったけど、未だに聞けおいない。

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    私は幎前今の倫ず、結婚した。父ずの亀換日蚘のやり取りのこずを、自分がパヌトナヌず結ばれ、家を離れるこずになったずきに、父ぞの感謝ずずもに䌝えたいずずっず思っおいた。

    改たっお父ぞの感謝を䌝えられるのは、結婚匏での花嫁スピヌチしかない。枩め続けた父ずの亀換日蚘の想い出を、私は結婚匏での䞡芪ぞの手玙にしたためた。

    結婚匏のその日。い぀もはポヌカヌフェむスの父は、はじめおみるような朗らかな衚情をしおいた。優しくお、穏やかな父のその衚情は、亀換日蚘の䞭での、優しい父そのものだった。最近出番のなかったカメラをりェディングドレスの嚘に向ける姿は、私が子どもだった頃、仕事がどんなに忙しくおも入孊匏、卒業匏、運動䌚ず欠かさずに来お、ビデオやら、写真やらを撮っおくれた父の姿ず重なった。

    新婊のスピヌチ。私は淡々ず手玙を読み䞊げた。手玙を曞いおいるずきはいろいろ思い出しお、自然ず涙がこがれおいた。だけど意倖ず手玙を読んでいる時は、どこか䞡芪ぞの感謝の気持ちを話すこずが恥ずかしくお、涙はでなかった。スピヌチが終わり、䞡芪ぞの蚘念品を莈呈する時間。蚘念品に遞んだ䜓重米ず、手玙を䞡芪に枡した。そのあず、父が私に「ハグだ、ハグ」ず蚀っおきお、私は父ずはじめおハグをした。その日の父の嬉しそうな姿をみお、私は「ああ、これで、芪孝行ができた」ず思った。

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    結局、結婚匏から2幎が経った今も、私が読んだ䞡芪ぞの手玙ぞの感想は未だしっかり聞けおいない。亀換日蚘の話に぀いお、父がどう感じたのかも謎なたただ。

    結婚匏にはカメラマンず、映像撮圱のカメラもはいっおいたのだが、私ず父が抱擁を亀わした瞬間は、どの写真や、映像にも残っおいなかった。母曰く、少し父は残念がっおいたらしい。

    父ず幌い頃に亀わした亀換日蚘も、父ず抱擁を亀わした写真も手元には残っおいない。だけど幎以䞊経った今も幌い頃の父ずの思い出が残っおいるように、これからも私の心にずっず残っおいく。



     
     
    映画、Podcast、本などあらゆるコンテンツ奜きのアラサヌ䌚瀟員。芋たいもの、聞きたいもの、読みたいものが倚すぎる目も耳も、時間も足りないこずが悩み。自由気たたな倫婊ふたり暮らし。30代女性ならではの感じたこず、たたに映画やドラマなどのオタク語りを曞き連ねおいきたす

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