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読書感想文 米澤穂信「倫敦スコーンの謎」

    小市民を志す小鳩君と小佐内さんが、遭遇する謎を解いていく小市民シリーズの番外編的な連作短編集。

    「桑港クッキーの謎」
    小鳩君が通う船戸高校の卒業生で美術家の縞大我が海外の賞を受賞した。その取材の一環でテレビ局から縞大我ゆかりの品はないかと高校に問い合わせがあった。

    校内新聞で縞の記事を書いた関係で小鳩君の同級生の堂島健吾が探してみた結果、縞が美術部に在籍していた頃に県の展覧会に出品した作品が見つかった。

    しかし、それは海外の画家の絵の模写だった。なぜ縞はそのような作品を出品したのか?

    「羅馬ジェラートの謎」
    小鳩君は小佐内さんとジェラートを食べにショッピングモールに行った。二人で美味しいジェラートを味わっていた時、小鳩君は奇妙なことに気付く。

    目の前にあるジェラートを食べずに携帯をいじり続ける女性がいたのだ。彼女はなぜ絶品のジェラートに手をつけないのか?

    「倫敦スコーンの謎」
    家庭科の授業で調理実習をした際、小佐内さんの班はスコーン作りに失敗した。小佐内さんが見ていた限り、スコーンを担当した生徒に調理の過程で特にミスはなかった。

    その生徒はなぜスコーン作りに失敗したのか?

    「維納ザッハトルテの謎」
    縞大我が船戸高校で講演をすることになった。講演に先立って、縞の作品が校内で展示されることになった。

    講演の前日、縞の作品が何者かによって壊された。しかも翌日には直っていた。一体なぜ?


    本作で特に印象に残ったのが、次の一節である。

    (中略)この絶妙な組み合わせを発見するまでに、いったいどれほどの失敗が積み重ねられたのだろう。
     そうした全ての思いは、しかし、たった一言にしかならなかった。
    「おいしいね」

    まるで本作を読んだ私の思いを代弁しているかのように感じた。

    別にバッドエンドというわけではないが、さりとて無事に謎を解いてハッピーとはいかない。むしろ、真相を突き止めた先に見えた、人間誰しもが抱いているかもしれない、けれど表には出てこない複雑な感情や業が見えてくることによるほろ苦い読後感。

    まさに米澤作品である。

    他にも言いたいことや思ったことはあるけれど、それでもたった一言、「面白い」としか言えない。

    それが無念だ。

    #読書感想文
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    #オールカテゴリ部門

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