
【予告編】『完璧な男』第7話02「黒硝子の間」【オリジナル小説】
─ 痛みの「輸出」を、幼き沈黙で断つ ─
【第7話02予告】
2026.03.03更新







◆年表:黒硝子の間◆
◆構造起点◆
葛城立真は、もともと少女として生まれた。
十三歳の春、父・葛城顕臣の判断により、
「完璧な男」を実現する国家計画の中核に据えられた。
その過程で身体は制度的に再構築され、
声を失い、戸籍は上書きされ、
女性としての将来は完全に断絶された。
この改変は不可逆であり、
彼の人生は父の決断から始まっている。【第一段階:再構築】
2019:団地→愛宕邸(01-01〜01-05)/監視選定開始
2019:身体改変・声喪失/完璧な男の誕生
2019年4月:嶺征学園高等部2年に13歳で編入
2019秋:「ドーナツ事件」
2019晩秋:「桐塚高校事件」
【第二段階:制度への固定】
2021:成人式、「成人登載儀礼」
2022:性別変更に抵抗、タカ(高橋孝)と共に逃亡
2023:捕縛・タカの死/「再構成」による少女性の根絶
2024:国際戦略応用大学(ISAU)開校
2026:メディコア・ホールディングス登壇式、身体完全体へ
2029:北郷と会い、目覚める
【第三段階:覚醒】
2035:制度輸出段階(虎ノ門・ISAU)
2058:カフェ再会・告白開始(01-01)/過去記録の覚醒第7話「構造の正体」01のあらすじ
監視室に映し出された複数の少女たちの中から、制度はひとりを選び出す。
選定の先に想定されている完成形──
六本木と芝浦の抗争を終結させた戦略家。
記録に残る名は、葛城立真。
社会は彼を「完璧な男」と呼んだ。
2058年。
その正体を追う者の前で、
立真だった彼女は静かに語り始める。
「その名は、いまは使っておりません」
父の、「完璧な男を作る」という命令が、
すべての始まりだった。
虎ノ門から白金台へ。
公用車の密室で、北郷が突きつけたのは、同盟の誘いではなかった。
「作品」として完成された立真を、
「所有」するという剥き出しの欲望だった。
白く静かな大学構内。
北郷が語ったのは、立真の“輸出”だった。
「君を基にした構造を、国家単位で輸出する」。
立真の身体は、もはや一人の人間ではなく、
世界へばら撒かれる「戦略物資」として値踏みされていた。
ビジネスが成功すれば、君という実体はいらなくなる。
北郷の残酷な宣告を、
立真は手帳の角を整える動作だけで静かに受け流す。
記録されるような反応はしない。
それが、完璧な男の矜持だった。
夜。葛城家の応接室でグラスの氷が溶ける。
岩村の前で、立真は静かに口を開いた。
北郷の誘いに、しばらく「乗る」と。
北郷が企てたのは、構造の“拡張”だった。
立真が見据えたのは、構造の“破綻”だった。
中からしか見えない綻びを集めるため。
氷の音の向こう側で、立真は己を消費しようとする巨大な怪物を、
内側から食い破る刃を静かに研ぎ澄ませていた。
「こういうとき、誰か“男の人”が来てくれると、助かります」
Scene 07-04【場所:乃木坂・旧防衛庁裏の小稽古場/2035年冬】