
【予告編】『完璧な男』第3話04訓練と黙殺 【オリジナル小説】
─ 少年の形が、秩序になる ─
【第3話04予告】
2025.12.26更新

声は少なく、足音は揃っていた。
その中心に、立真がいた。 特別なことはしていない。
ただ、何も言わず、何も許さなかった。
それだけで、すべてが決まっていった。
※本画像は生成AIによるイメージビジュアルです
※本作には戦闘・制度的暴力に関する描写が含まれます
(詳細は本文下部の注意書きにて記載)

「これからは、“仕分ける”側にまわってもらう」

声は甘い。
皮肉も、怒りもない。
ただ静かに、沈んでいた。


黒髪のまま、制服の襟をきちんと締め、
黙って立真の方を見ていた。

一ヶ月。話しかけられるのは、もう立真だけだった。
◆年表:削除の儀式◆
2019:団地→愛宕邸(01-01〜01-05)/監視選定開始
20193月:身体改変・声喪失/完璧な男の誕生
20194月:私立嶺征学園に13歳で高校2年生に編入
2058:カフェ再会・告白開始(01-01)/過去記録の覚醒
※本作は、サバイバル・バイオレンス小説です。詳細は下記参照。
この連載には、
性別の強制・構造的暴力・サバイバルとしての身体改造
といった重い主題が含まれます。
いわゆる“トランス文学”の文脈とは異なり、
自己決定の物語でも、変身譚でもありません。
少女が、自分の意思と無関係に「別の性と役割」へ組み替えられ、
そのまま暴力装置の中で生き延びざるを得なかった記録です。
癒しや共感、再生を求める方には向きません。
構造の陰で押しつぶされる側の視点、
生存のために“形を変えさせられた”人間の話を
静かに読み進める覚悟のある方だけ、お進みください。
第3話「訓練と黙殺」04のあらすじ
監視室に映し出された複数の少女たちの中から、制度はひとりを選び出す。
選定の先に想定されている完成形──
六本木と芝浦の抗争を終結させた戦略家。
記録に残る名は、葛城立真。
社会は彼を「完璧な男」と呼んだ。
2058年。その正体を追うジャーナリスト・片瀬の前で、
立真だった彼女は静かに語り始める。
「その名は、いまは使っておりません」
2019年、13歳の少女は突然「男」に作り替えられる。
最初は、ただの命令だった。
父の、「完璧な男を作る」という命令が、すべての始まりだった。
訓練棟には新たに春日桐が投入された。
外見上は男子訓練生として処理されたが、
所作や反応には制度の基準から逸脱する要素が確認される。
構造会議において、桐は「矯正対象」と分類され、
男性化強化方針が正式に決定された。
発声、所作、反応の修正が段階的に進められ、
本人は異議を示さないまま従属を続ける。
やがて絶食という形で拒絶が現れ、
立真は転籍を進言する。
判断は受理され、桐は訓練構造から搬出された。
空席は即座に補充される。
M3011とZ8427──異なる性質を持つ二名が配置され、
秩序は更新された。
ここから、立真は「耐える側」から「判断する側」へと移行していく。
「選べ。誰を潰すか。そして、どうやって潰すか。」
次回
Scene03-12【場所:港区愛宕葛城邸/執務室、2019年】