
【予告編】『完璧な男』第1話03削除の儀式【オリジナル小説】
─ 失われる前の、最後の名前 ─
【第1話03予告】
2025.12.12更新

※本作には戦闘・制度的暴力に関する描写が含まれます
(詳細は本文下部の注意書きにて記載)

最初の一束。
黒い線が膝に触れ、するりと滑って床に散った。
まるで生き物が息を絶つように。



葛城立真(かつらぎたつま)の誕生
※本作は、サバイバル・バイオレンス小説です。詳細は下記参照。
この連載には、
性別の強制・構造的暴力・サバイバルとしての身体改造
といった重い主題が含まれます。
いわゆる“トランス文学”の文脈とは異なり、
自己決定の物語でも、変身譚でもありません。
少女が、自分の意思と無関係に「別の性と役割」へ組み替えられ、
そのまま暴力装置の中で生き延びざるを得なかった記録です。
癒しや共感、再生を求める方には向きません。
構造の陰で押しつぶされる側の視点、
生存のために“形を変えさせられた”人間の話を
静かに読み進める覚悟のある方だけ、お進みください。
第1話「削除の儀式」02のあらすじ
監視室に映し出された少女たちの中から、ひとりが選ばれる。
白いリボンの静かな子──それが“運命の起点”だった。
時は流れ、2058年夏。
港区の小さなカフェで、かつて“完璧な男”と呼ばれた人物が紅茶を淹れている。
六本木を炎に染め、芝浦で船を沈めた戦略家──記録に残る名は、葛城立真。
彼の正体を追ってきた片瀬の前で、その人物は静かに告げる。
「その名は、いまは使っておりません」
雑誌のグラビアに映っていた「完璧な男」。
記録の末尾に残された、十三歳の無表情な少女の写真。
二つの像が重なったとき、片瀬は“あの子”の存在に気づく。
そして今、紅茶の湯気の向こう側で、
その「あの子」がようやく、自分の物語を語ろうとしている。
舞台は2019年春休み、葛飾区東部団地の一室へとさかのぼる。
「2019年。私は、普通の女の子だった」
そう語るように、そこには、母と暮らす当たり前の日常があった。
しかし、その夜は静かに切り替わる。
呼び出しの声とともに、彼女は団地を離れ、
やがて“儀式”のために整えられた屋敷の奥へと導かれていく。
「……じゃあ……戻れないって、ことですか……?」
Scene01-08【場所:港区愛宕葛城邸/朝、処置室】
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