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レトルト食品は栄養がない、は少し言い過ぎである

    レトルト食品について、よく言われることがあります。

    「どうせ栄養ないんでしょ?」

    これ、半分正しくて、半分間違いです。

    レトルト食品は、栄養が全部消えた抜け殻ではありません。

    ただし、

    熱に弱い栄養はかなりやられている

    と思った方がいい。

    つまり、レトルト食品は栄養ゼロの砂漠ではなく、

    ビタミン部隊がだいぶ戦死したカレー

    くらいの理解が現実的です。


    レトルト食品は高温高圧で殺菌されます。

    120℃前後でしっかり加熱する。

    これにより、常温でも長く保存できる。

    すごい技術です。

    しかし当然、代償もあります。

    熱に弱い栄養素は壊れます。


    一番弱いのはビタミンCです。

    これはかなり繊細です。

    熱に弱い。

    酸素にも弱い。

    時間にも弱い。

    まるで豆腐メンタルの栄養素です。

    レトルトの高温加熱では、かなり減ると考えた方がいい。


    ビタミンB1や葉酸も、そこそこ弱い。

    特にビタミンB1は豚肉や穀類で大事な栄養素ですが、熱と加工で減りやすい。

    葉酸も同じく繊細です。

    だからレトルト食品を食べて、

    「野菜が入っているからビタミン完璧」

    とは言いにくい。

    野菜はいても、ビタミンが元気とは限らない。


    一方で、しぶとい栄養もあります。

    まずミネラル。

    鉄。

    カルシウム。

    カリウム。

    マグネシウム。

    これらは熱で壊れません。

    ミネラルは栄養界の岩石です。

    煮ても焼いても、基本的には残ります。


    食物繊維もかなり残ります。

    もちろん食感は変わる。

    野菜は柔らかくなる。

    でも食物繊維そのものは大きく消えるわけではない。

    だから、豆入りレトルトカレーや野菜多めのレトルト食品なら、食物繊維はそれなりに期待できます。


    脂溶性ビタミンも比較的しぶとい。

    ビタミンA、D、E、K。

    水溶性ビタミンよりは残りやすい。

    要するに、

    ビタミンにも体育会系と文化系がいる

    わけです。

    ビタミンCは文化系。

    ミネラルは土木作業員。

    かなり耐久力が違う。


    では、レトルト食品の栄養成分表示はどう見ればいいのか。

    ここが少しややこしい。

    表示は、原材料データから計算されていることがあります。

    つまり、

    「この材料を使ったから、このくらい入っています」

    という計算値です。

    しかし実際には、加熱で一部の栄養素は減ります。

    だから表示だけ見て、

    「ビタミンも全部そのまま残っている」

    と思うのは少し危ない。

    ウソではない。

    ただし、実物とは多少ズレる。

    これはレシートの予定金額と、実際の会計が少し違うようなものです。


    ではレトルト食品は悪いのか。

    そんなことはありません。

    むしろ非常に優秀です。

    常温保存できる。

    すぐ食べられる。

    味が安定している。

    災害時にも強い。

    一人暮らしにも強い。

    忙しい日にも助かる。

    食品界の便利な助っ人外国人です。


    ただし、万能選手ではありません。

    レトルトだけで栄養を全部まかなうのは厳しい。

    特にビタミンCや葉酸は、別で補った方がいい。

    サラダ。

    果物。

    冷凍野菜。

    味噌汁。

    ヨーグルト。

    そういうものを少し足すだけで、かなりバランスは良くなります。


    結論として、

    レトルト食品は栄養ゼロではない。

    ミネラルも食物繊維も残る。

    たんぱく質や脂質、炭水化物も当然ある。

    ただし、

    ビタミン類はかなり戦力ダウンしている

    と考えるのが正しい。

    だからレトルト食品は、

    悪者ではなく、

    少し補強が必要な便利選手です。

    レトルトカレーを食べるなら、

    果物か野菜を少し足せばいい。

    それだけで、

    栄養の穴はかなり埋まります。

    つまりレトルト食品は、

    そのまま食べて終わりにするから弱い。

    一品足せば、かなり頼れる。

    そういう食品なのです。

     
     
    海外と日本を行き来しながら、食と旅とビジネスの現場を歩く実践派。市場も食堂もフレンチ(免許アリ)も同じ目線で観察、リアルな体験で価値を掘り起こすタイプ。現場主義、でも分析は緻密。動いて試して本質をつかむ人。日英仏トリリンガル。

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