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ロマンチックパラサむト

    䞖界が倉わったわけじゃない、倉わったのは私だった
    「ロマンチックパラサむト」 /   む゜ノ ナツカ

    過去に䜜った音楜の䞖界を物語におこしたした。
    「䞀床聎いたら忘れられないんだよね」ず蚀われるこの曲。聎くずあなたもロマンチックパラサむトに入り蟌たれるのかもしれたせん。


    .ナツの䞖界

    「なんこれ、気持ち悪いんやけど」

     お土産に向かっお吐いたセリフが嬉しかったらしく、アキはニダリず笑った。差し出された小さな箱に入っおいたのは歪な蝶のような圢をしたピアスだ。小指の先っぜ皋の倧きさがあり、耳に぀けるには少し倧きい。癜ず黄色の奇抜な色合いで、片方しかないデザむン。なんずも身に着けづらそうだった。
    「ナツに䌌合うず思っお」
     ニダけ顔のたた圌はそう蚀った。決しお喜んではいないのだが、どうやら圌は私の意衚を突くこずに快感を芚えるらしい。䜕かをねだるこずはほずんど無く、い぀も䞀方的にもらうプレれントに私はうんざり気味だった。
    「寄生虫博物通に行っおきたんよ。そこにあったず」
     驚きたくない。想像したこずもなかった寄生虫博物通ずいう堎所があるずいう事実にも、圌がそんな堎所を奜んで足を運んだずいうこずぞも。アキはい぀だっお私の知らない䞖界を生きおいる。自分がいかに䞖間知らずでちっぜけな人間であるずいうこずを知らされる。
    「ぞヌ」
     䜕も興味がないフリをしおその堎をやり過ごした。だけどアキが垰った埌、私はこの郚屋で䞀番目に぀く堎所にそのピアスを食った。どこにも売っおいないような、誰も知らないようなこの品物がずおも嬉しく誇らしかった。そうしお翌日そのピアスを぀けお私は出かけた。


    「䜕か倉なの぀けおるね」
    「さすがナキよく気づく」
     お排萜な圌女ならすぐに芋おくれるず思っおいた。予想通りの反応に私は二ダける。続けお蚀っおくれた「かわいいやん」の蚀葉にさらに浮かれた。
     

     い぀からだろう、人ず違うようになりたくお、それがカッコいいず思い始めたのは。

     この町できっず誰も぀けおいないこのピアス。簡単には぀けられないようなデザむンを身に着けおいる自分になんずも蚀えない満足感を抱いおいた。だけどそれをプレれントしおくれた圌氏にはなんでか満足できおいない。ずおも優しくおい぀も私のこずを思っおいお仕事もちゃんずしお皌いでいお、いい人だ。客芳的に芋たらずおもいい圌氏だ。なのに䜕故かい぀もムカ぀いおしたう。

     い぀ものように圌がプレれントをくれた時に「えヌ、奜きじゃない、いらない」ず突っぱねおみたこずがある。その日はどうにもアキのこずがムカ぀いおいたのだ。今思えばなんでそんなにムカ぀いおいたのかもよく分からない。でも差し出されたよく分からないキャラクタヌの文房具が本圓に奜みではなく玠盎にそう蚀ったのである。その時の圌の衚情が忘れられない。切れ長で鋭さを持った目は叱られた倧型犬のように䞞みを持っお最んでいた。䜙裕のあるニダけ顔は圱も無く、唇を少しすがめお「どうしよう」ずいう心の声が挏れ出おいる。この時、蚀いようのないゟクゟクずした感觊が脳をかすめる。人を傷぀けたずいう認識をはっきり持ち、それに察する気持ち良さを知っおしたったのだ。

     もちろん、そんな性栌の悪い自分に眪悪感を持った。しかしそれからずいうもの、アキの傷぀いた衚情を芋たくお幟床ずなく私は性栌の悪い女ずなっおいった。
    「ナツは面癜いから。奜きなように生きおたらいいんよ」
     性栌の悪い私にこんな蚀葉をかけるアキは仏なんだろうか。盞倉わらずムカ぀いお「はいはい」ずしか答えなかった。

     この頃の私は䜕よりも音楜を愛しおいた。もちろん人ず䞀緒じゃ嫌なので、䜕か倉わっおいるず思われるような曲を䜜り歌う。だから恋愛の曲が倧嫌いだ。人はなぜ恋だの愛だのばかりを歌うのだろうず吐き気がする。恋愛なんお䞀時的な感情の盛り䞊がりで、セックスすれば男はすぐに冷めおいく。倧した亀わりもできないクセに倧事にする玠振りを芋せないず立ち去っおいく。正盎よく分からない。そんな事蚀いながら圌氏がいる自分にもうんざりしおいる。だから私は恋愛の曲を䜜らなかった。自分の奜きなものや生掻の鬱憀を歌っおいった。これがなかなかハマっおいたのか奜んで聞いおくれる人も増えおいき、それなりに音楜をやっおいけおいる。 
     そういう捻くれおいるずころをアキは面癜がっおいるんだず思う。
    「ナツが掻き掻きしお歌っおる姿が奜きだ」
     そう蚀われる事に悪い気はしない。でもあなた自身はどうなんだ、なんお偉そうに思う時もある。


     でも、私もどうなんだ。


    「そういえば今床さ、ディズニヌランド行くんだ」
     穏やかにそう蚀うナキの蚀葉に私はドキッずした。これたでの人生で避け続けおきたワヌドだ。
    「いいねでも私ディズニヌに興味持おないんだよね」
     ごく自然に蚀った぀もりだが、倧䞈倫だったろうか。おかしいず思われおいないだろうか。ナキの衚情に目を芋匵る。
    「たあ、ナツは倉わっずるっおいうか、人ず違うっお感じやしね」
     良かった。私らしい私ず受け取っおもらえたようで安心した。みんなず同じものに興味を持おなくお、自分独自の䞖界で生きおいる。そんな颚に思われるように生きおいる。

    「ディズニヌは興味ない」
     ディズニヌランドに行った事がない私の匷がるお決たりの台詞だった。

     幌い時から貧乏で‘‘みんなず同じ‘‘を垌望するこずが出来なかった。物心぀いた頃から芪に気を遣っおいた私は「お父さんずお母さんが困らないように」ず貧乏を豊かに過ごせる自分を挔じお生きおいる。ただ困窮しおいなかった3歳頃に習い始めたピアノが倧奜きで、ずっず音楜教宀に通っおいたかった。だけど、盎接蚀われたわけでもないのに「教宀代が高い」ずい぀からか頭の䞭に刷り蟌みがあり、䞭孊生に䞊がる時に自ら蟞めた。
     本圓はディズニヌランドに行っおみたかったし欲しいものもやりたい事もたくさんあった。高校生の時は匓道郚に憧れお入郚したかったが「そんな事よりバむトしなさい」ずあっさり华䞋されお改めおお金の必芁性を感じた。
     貧乏な家庭である、ずいう事実はずおも恥ずかしくお人にバレないように生きおきた。流行りものブランドものには興味が無くお、少し倉わった人間である自分でいれば貧乏がカモフラヌゞュできおいた気がする。
     
     でもこれは私が遞んで進んだ人生だ。

     ある時気づいた。高校の同玚生は「うちはお金がないから」ずいう理由で就職した子がいたのだ。「お金がない」ずいうセリフは毎日のように聞き、私自身もよく口にする。でもそれはあくたでも「自分が自由に䜿うお金、お小遣いが足りない」ずいう意味合いだった。誰も「自分の家はお金がなくお貧乏だ」ずいう意味合いで蚀っおいなかった。だ
     だけどその子は貧乏であるこずを公開しお就職したのだ。䞀方私は貧乏であるこずを誀魔化しお奚孊金を借りお倧孊に進孊した。その時は倧しお気にしなかったが、奚孊金の返枈が始たっおから「なんお銬鹿だったんだろう」ず倧きく埌悔する事になる。


     あれ、なんの話だっけ。


    「ちょっず、たた飛んでるでしょ」
     ナキからツッコミを受けお我に返る。
    「ごめん、なんかよく分かんないこず考えおた」
     そうしお二人で爆笑しお意味のない䌚話を続ける。

     い぀も頭の䞭で䜕かを考え続けおいお疲れるな。
     おか、そろそろ新曲䜜らんずいけんな。ラむブ近いし。
     でも今のバンドじゃなんかできんのよね。

     たた始たった。頭の䞭の䞀人劇堎。


    2.ナキの䞖界

    「ちょっず、たた飛んでるでしょ」

     目の前のナツが巊斜め䞋を芋おがヌっずしおいる。それが始たった合図だ。でもそれぐらいがちょうどいい。私の話をそんな真剣に聞かれおも困る。だっお掘り䞋げられる事なんお党然ない。

     プヌドルのようなくるくるパヌマをかけた目の前のナツは、犬よりも猫に芋える。しっかり自分の意志を持っおいるのに䜕を考えおいるのかよく分からない。私には玠を芋せおくれるような時も倚くお愚痎を蚀ったり甘えおくれる時もある。でも私の偎でじっずしおいるわけではない。

    「終電間に合わないかず思っお走ったらめっちゃこけたんやけど」
     その文章ず共にナツは自分の擊り傷だらけの膝を出した写真をツむヌトしおいた。そそっかしいのはい぀もの事なので、たたやっおるなず思うず同時に゜ワ゜ワした。
     昚日は私ず遊んでたけど、今日は䜕か違うずころで遊んでたんだな。芪友だず思い合っおる気はするけど知らない面もたくさんある。恋人でも家族でもない友達だから距離感はそんなものかもしれない。でもナツは倉わっおるずころが倚いから掎めなくお、私の立ち䜍眮がどういうものなのかも分からなくおたたにフッず寂しくなる。ほんのたたにだけどね。

     極め぀けが、この‘‘飛んでる‘‘時だ。目の前に私がいるのに、䌚話もしおるのに、党然違うこずを考えおるんだろう。でもこんな颚に女友達ずゆっくり2人きりで遊ぶのは私ぐらいのはずだ。だからいいんだ。私は特別だから。

     「ディズニヌのキャラで奜きなのっおいるの」

     前にも聞かれたけど。

     「この猫だよ」
     そう蚀っお鞄に぀いおるぬいぐるみを芋せる。
     「あ、かわいいヌ」
     倚分本圓はそう思っおない。いや、かわいいずは思っおるんだろうけど、別にどうでも良さそうだ。だけど私のためにディズニヌの䌚話を広げおくれたんだなず思うず嬉しい。
     「お土産買っおくるからね」
     興味がないず今日も蚀われたし、それは前から知っおいる。でも私は絶察にナツにディズニヌのお土産を買っお枡すのだ。い぀も。絶察に。


    3.アキの䞖界

     僕は平凡だ。誰に蚀われなくおも自芚しおいる。ごく普通の家庭に生たれお普通の孊生生掻を過ごしお就職しお、困らない皋床に皌いで過ごしおきた。なんずなく軜音楜郚に入ったら面癜くおカッコいい人ばかりでさすがに焊った。平凡であるこずは問題ないが、このたただず誰にも遞ばれない人生な気がしおいた。
     ず、蚀うのも、軜音楜郚では挔奏するのが必須だ。アコギを持っお歌うようなひずりで掻動するスタむルもあるが、倧抵はバンドを組む。その䞭で人気な奎は倉なや぀だ。ただカッコいいだけの人は最初だけ泚目を济びるけどすぐに飜きられおいる。倉なや぀は音楜の趣味も特殊だったり䜜る曲も面癜いから䞀目眮かれお匕っ匵りだこになっおいる。
     そういう䞖界の圚り方に気づいた時、自分が困らないようにするには面癜くなる必芁があるず悟った。でも倩才型には勝おない。だったら努力しお面癜くなるしかない。今たでだっお努力で生掻しおきたんだから。
     そこから挫画を読み持り色んなバンドの曲を聎いお順調に面癜い人物像を造り䞊げおいった。

     「アキさ、モヌルル奜きだったよね。䞀緒にコピバンやろヌよ」
     ニッチな音楜を奜きなこずで組めるバンドも増えた。そうするこずで誰かに必芁ずされ続ける僕は、自分の存圚する意味のようなものをがんやりず捉えおいったように思う。

     「おやすみプンプン持っおるの」
     突然声をかけおきたのはナツだった。







    創䜜倧賞に応募しようず曞き始めたしたが間に合いたせんでした
    がちがち続き曞いお来幎には絶察応募したす

    #創䜜倧賞2026 #オヌルカテゎリ郚門



     
     
    気になる事䞍思議な事に突っ蟌んで䜓隓しお感想を綎るのが生きがいです。怪談歌ったりしおいたす。

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