
ツインズ
僕は双子だったらしい。
"らしい"と言うのはママのお腹の中でもう1人を僕が吸収しちゃったんだって。
「心臓はちゃんと2つあったのよ」
ママがよく言っていた。そして必ず
「だから貴方の中にはもう一人いるの」
そう言うママの目は、僕の中のもう1人の僕を優しく見つめ、嬉しそうに僕を抱きしめるんだ。
でも、ママが抱きしめているのは僕じゃない。
僕の中の僕。
ママが好きなのは僕の中の僕なんだ。
優しい子守唄も僕には届かない。
暖かい手で撫でられても僕には届かない。
ママの愛する僕は僕の中で愛情たっぷりにスクスク育った。
そして16歳の誕生日。
僕の中の僕が僕になった。
ママは今までに見た事がないくらい、とっても幸せそうな笑顔で僕に言うんだ。
「会いたかった」
ママが幸せなら僕は寂しくないよ。僕は僕の中で静かに眠りにつくことにするね。
「おやすみなさい。ママ」