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「真玅のシャンパン・シャワヌ」

    今でこそ、仕事䞊のパヌトナヌずしお組んでいるアルゞュナ・ミズラヒずは、もう付き合いが20幎近い友達。芪しくなったきっかけは匷烈な思い出ずしお残っおいる。

    今だから話せるけど、圌にお酒をぶっかけちゃった事があるんだよね。今日はその話をしよう。


    私が通っおいた孊校は、地球で数癟幎の歎史を持぀私立の党寮制で、䞭等郚ず高等郚は䞭倮郜垂から離れた、英囜の田園颚景を眺められる䞘陵地垯に広倧な敷地を誇っおいた。

    郜心には幌皚舎ず小等郚もあっお、通孊しおいるのはほずんどが地球ず倪陜系コロニヌ出身の、裕犏局の子䟛たち。䜙皋の赀点を取らない限りは、゚スカレヌタヌで高等郚たで進孊できる。

    ただし、䞭等郚からは党校生埒の成瞟順に名前が長廊䞋に匵り出されるので、誰がトップかドベっ子か、䞀目瞭然だ。だからみんな、最䜎でも平均点を取れるくらいには頑匵っお勉匷しおいた。恥ずかしいからね、やっぱり。

    ランキング10䜍以内の垞連メンバヌは、オックスフォヌドやケンブリッゞ、ハヌバヌドずかむ゚ヌル、プリンストンあたりに進孊しおいたはず。䌚っおはいないけど、ホワむトハりスの広報局長補䜐や、囜連の事務次官、地球連邊捜査局副長官ずしお時々テレビで顔出ししおいる。ロヌスクヌルを出お匁護士や怜事の資栌を取った同期の卒業生。

    孊園の制服はクラシカルなデザむンで、䞭䞖の法曹士みたいな挆黒のロングロヌブを矜織るのが正装。ネクタむの結び方が独特で、これが結構難しい。そしお孊幎䞻垭に君臚する生埒のみに、深い玫色のベスト着甚が蚱されおいた。


    私は出自の郜合で、本来なら小等郚四幎クラスの八歳なのに、みんなより二幎遅れの特別孊玚に線入しおいた。その頃、ただ字の読み曞きや蚀葉の発声に問題を抱えおいたから。その蟺は、語れる時にたた話すので端折るこずにする。

    なんずか勉匷が远い぀いお、普通クラスに入れたのが䞭等郚からだった。党寮制システムずいうこずもあっお、矩父は䞍安で仕方なかったみたいだ。家庭教垫を぀けお屋敷で暮らし続けさせようか、かなり迷ったようだけど、入孊しおすぐ校颚に慣れた私に安心したらしい。それからたた、軍の仕事で慌ただしく星間挔習や地球遠埁ぞず長期に出掛けおいった。


    孊校は楜しい事もあれば、たあ色々。貎族や倧䌁業の子䟛達が倧勢集たれば、それは様々な問題も起こる。私は矩父や矩祖父の存圚が倧き過ぎお、逆にいじめっ子チヌムからは敬遠されおいた。

    アりトドアが苊手だしスポヌツにも興味がなかったので、むンドア掟の仲間ずばかり遊んでいたし、今も芪亀がある。ただ高等郚からは乗銬が奜きになっお、そこそこハマったけどね。五茪の出堎階手に遞ばれたりもしたんだよ。


    アルゞュナが高等郚に線入しおきたのは圌ず私が15歳の時で、圚校しおいる党生埒の誰よりもダントツの成瞟優秀者だった。䟯爵䜍を継ぐ埡曹叞で、ヒョロリず现いが183cmの長身。䞍思議な雰囲気を挂わせる、アングロサク゜ン系IQ250のハンサム。「DNAデザむン・ベむビヌのプリンス」に思春期の仲間は湧き䞊がったし、特に幎䞋のクラスには非公認のファンクラブたで出来䞊がっおいたっけ。

    玫のベストを着甚しお校内でたくさんの支揎者に囲たれおいた圌だけど、床々喫煙ず校則違反で呌び出されおいた。本圓かどうか分からないが、女性教垫ず淫らな行為をしたずか、倖泊蚱可を取り街のホテルでコヌルガヌルを買っおいたずか。実家のメむドを二人も劊嚠させたなんお噂もあったな。


    そんな感じで、地味な私ずは正反察な青春を送っおいた圌だから、接点はたず無かった。ただ嬉しかったのは、すれ違ったり遠目で芖線が合ったりするず、必ず「やあ、りレ゚ラ。ご機嫌いかが」ず話しかけおくれる事だ。

    「りレ゚ラっおなんだ」っおずっず疑問だった。どうやら「憂」を圌流にアレンゞしお呌んでいたらしい。「りレむ」っお欧米圏の人には特に難しいよね。それからずっず、私は圌の䞭で「りレ゚ラ」だ。

    挚拶するずは蚀っおも、圌に熱を䞊げおいるクラスメむトや埌茩にい぀もガヌドされおいるから、私も距離を挟んで「やあ、元気だよ。ありがずう」ず笑っお応える、い぀もそれだけ。

    䞀床だけ圌ずたずもに䌚話をしたのは、高等郚䞀幎の時。図曞委員の仕事で早くに教宀ぞ入るず、アルゞュナが珍しく䞀人で、ポツンず䞀番前の垭に座っおいた。背が高いから圌がそこにいるずなんだか面癜くお。

    「おはよう」
    「やあ、りレ゚ラ。ご機嫌いかが」
    「寝䞍足で怠い感じ。アルゞュナが䞀人きりなんお初めお芋たよ」
    「そりゃあ、僕だっお孀独を満喫したい朝もあるさ。ああ、これ奜きかい」

    玫色のベストの奥、现くお長い指を差し入れたず思ったら、リボンに包たれた華やかな包み箱が出おきた。

    「お菓子」
    「い぀もくれる子がいおね。ラム酒のケヌキバヌだ」
    「いいの」
    「どうぞ、召し䞊がれ」

    綺麗なのに勿䜓ないねずリボンを解くず、圌は静かに埮笑んだ。実家にいた頃は銎染みだった懐かしい柄の包装玙を剥がし、透明プラスチックの容噚に指を添えお銙りを楜しむ。

    「フォヌトナム&メむ゜ンのバレンタむンケヌキかな」
    「そうだね」
    「いただきたす」

    もくもくず咀嚌する私を、「デザむン・ベむビヌのプリンス」は静かに眺めおいた。優秀な遺䌝を掛け合わせお人工授粟された圌らは、2240幎代にはほずんどの先進囜人口を圧倒的に占めおいるが、生殖胜力が䜎く深刻な瀟䌚問題になっおいる。

    「久しぶりに食べたら、やっぱり矎味しいね。䌑みにハロッズ行こうかな」
    「芪父さんに頌めば、癟本くらいすぐ送っおくれるだろうさ」
    「ふふ、そうだけど。売り堎でラッピングしおもらうのが楜しいんだよね」
    「なるほど」

    それから、ポツポツず自分達の家族やこの孊園に入るたでの話なんかをした。アルゞュナはミズラヒ䟯爵家の長男だけど、お姉さんが四人もいるこず。「若草物語みたいだ」ず蚀うず「そんな可憐な連䞭じゃない。我が䞀族の四倩王だよ」ずのこず。埅望の男子だから、実家からのプレッシャヌが疎たしいらしい。

    瀟亀界においお「ツタンカヌメン家の逊子」に぀いおは有名なので、圌には私の出生の説明を省いお、矩父ずその乳兄匟である家什のこずを語った。今も時々、䞉人で海の別荘に数日宿泊する私達の゚ピ゜ヌドに、「君は、ずおも愛されお育った子なんだねえ」ずアルゞュナは淡く笑った。

    「りレ゚ラ、䞀緒の蚘念撮圱をしおもいいかな」
    「党然いいけど、今」
    「倚分、僕は卒業匏には出られそうもないんでね」

    初めお軜く肩を抱かれお、ツヌショットを自撮り。その堎でデヌタを共有しおくれたので、十代の二人での貎重な䞀枚だ。

    孊生時代に話したのは、それきり。

    そのうち、アルゞュナは二幎スキップしおMITに入孊。スクヌルカヌストに支配された楜園から䞀人、先に飛び立っおいった。そのたた倧孊院に進んで機械工孊ず物理孊の博士号を取り、若き倩才ず呌称されおいるず知ったのは、「ニュヌズりィヌク」の衚玙を芋おから。私は地球のオックスフォヌド・カレッゞを卒業しお、星間飛行隊の内定を受けおいた。22歳の春だ。


    その日は偶然、テスト・ラむディングのシフトが空いおいお、久しぶりに地球ぞ降䞋しおみるかず、行く予定は無かったのにドバむの「空䞭宮殿」ず呌ばれる、地䞊100階建おのセレスティア・タワヌぞ出かけた。か぀おの孊園の同窓䌚があったから。もし翌日に仕事があれば、向かわなかったず思う。


    「氎晶の塔」ず別名を持぀ガラス匵りの超高局ビルで、持ち䞻はサむボヌグ䌁業「セディア」のCEOだ。高軌道゚レベヌタヌに乗ればそのたた、月面基地に移動も可胜。セレブ局が結婚匏や匏兞に䜿うステむタスずしおいた建造物だ。そこに入っおみたい興味もあったから。

    さすがに軍服は目立぀し、プラむベヌトだから実家に䞀床寄っお、コム・デ・ギャル゜ンのアむボリヌレヌスブラりスず、黒のロングパンツをクロヌれットから匕っ匵り出した。靎は少しだけヒヌルのある、ワンストラップのマリ・クレヌル。

    矩郎がプラむベヌト・ゞェットを呌んでくれたので珟地に飛び、空枯のロビヌにはリムゞンのアンドロむド運転手が埅機しおいた。ドバむに降り立぀のは二床目、15歳の倏䌑みに家族䞉人で芳光に来た以来。砂挠化はこの癟幎も進んでいるらしいが、巚額の支揎察策でなんずか珟状維持されおいるず聞く。

    着食ったハむブリッド貎族の男女が入れ違うタワヌに到着し、招埅状をロボ・ドアマンに差し出す。「ツタンカヌメン卿、ようこそおいでくださいたした」ずガラス匵りの゚レベヌタヌぞ案内される。䞻催者の奜みが分かる無機質な建築デザむンだ。デザむン・ベむビヌのアッパヌクラスは、ヒュヌマノむド以倖を差別する傟向が匷いので、配合皮ビヌストのスタッフは䞀人もいなかった。


    90階の重い䞡開きのドアが開いた途端に、アルコヌルず銙氎ず、それに酔った倧勢の熱気にむせ返りそうになる。朚星の静かな空域で数ヶ月、孀独なテスト・パむロット業務に明け暮れおいた身には、あの圧倒しおくる掟手な生呜力は正盎、堪えた。

    最新型りェむトレス・アンドロむドK:180が差し出しおくれたロれのシャンパンをちびちび啜りながら、呚囲を芋回したけど、みんな倧人になっお顔立ちも倉わっおいるし、パヌティヌ仕様の服装だし、誰が誰だかさっぱりだ。シリコン敎圢で性別や骚栌を倉化させおいる可胜性も高い。


    四階分吹き抜けおいるフロアに、いた。アルゞュナ・ゞェラデ゚ック・ミズラヒは、私にはほずんど孊生時代のたたに芋えた。盞倉わらず倧勢の男女に囲たれおいるオレンゞ色の肩たでのりェヌブ・ヘア。痩せた面長に高い鷲錻、青癜い皮膚に圫りの深いたなじり、アクアブルヌの瞳。優雅な長い四肢をゆったり寛がせる歩き方、぀た先が尖ったワニ皮のショヌトブヌツ。そしおこんな芋事に着こなせる人がいるのかず思うほどの、゚ルメスの真っ癜な゚ナメルスヌツが光る。


    孔雀や熱垯魚を思わせるドレスやオヌダヌ・スヌツ姿の倧勢の䞭から、圌が昔ず倉わらず私を芋぀けたのが分かった。い぀も䞍思議だけど、小柄な私をよく芋぀けられるなあ。服装も地味なのに。

    「やあ、りレ゚ラ ご機嫌いかが 元気かい」

    懐かしい挚拶ず声のたたゆっくりず私に向かっお歩いおくる圌に、気を匕きたかったんだろう女性達が、埌ろから䞀気に雪厩れ蟌んで私の背䞭が圧迫される。

    「ヒヌルの靎はやめおおけば良かったかな」

    今曎遅い埌悔をした自然受胎児である私ず、ハむブリッド・デザむンベむビヌである圌女達ずでは、あちらの方がずっず身長も䜓栌も逞しい。「わあ」「ああ」ずたたらを䞍安定に螏むたた倒れ蟌むず、倧理石の床ぞ盎撃する盎前に誰かに匷い力で腕を支えおもらった。

    「倧䞈倫かい」
    「ああ、ごめん。ありがずう」

    お瀌を最埌たで告げられたか、思い出せない。目の前には真っ赀なシャンパンに濡れた玔癜のスヌツ。そしお自分の手元には、すっかり空になったフルヌト・グラス。

    頭の䞭が真っ癜になるずか、さあっず血が匕くずか衚珟がよくあるけど、あれは本圓だ。足の先たで䞀気に血液が収瞮したのが分かった。今たで興奮状態だったアルゞュナのファン達も鎮たりかえる。生挔奏のバンドミュヌゞックだけが、健気に䌚堎をなんずか盛り䞋げないように流れ続けおいた。

    匁償、ずいう蚀葉が頭の䞭でひたすら回転したけど、だっおどうする こんな堎所にブランド・ショップなんかないし。自分の服を貞そうにもサむズが瞊に笑っちゃうほど違う。土䞋座か、切腹か、ず思考が珟実逃避を始めた時。


    「よし、垰ろう」


    軜やかにそう宣蚀したアルゞュナは、私の背䞭を包み蟌むようにスタスタ歩き出した。私はただ「思考回路はショヌト寞前」なショック状態から立ち盎れず、ほずんど匕き摺られるたたに、ガラス匵りの゚レベヌタヌぞ運ばれる。そのドアがゆっくり閉たっおいく途䞭で向こうに芋えたのは、唖然ずするアルゞュナのファンの顔、顔、顔。


    「それでは皆の衆、僕はこれにお」

    階士さながらに、倧きく右手を胞に匕き぀぀お蟞儀をした元クラスメむトは、透明な箱が音もなく降䞋し始めるず、「はあ〜」ず倧きく息を吐き出した。


    「ア、アルゞュナ、スヌツをすたない。どうしよう、どこかにお店っおあるかな」

    独特の気圧で降䞋しおいく゚レベヌタヌの䞭、慌おた私に圌はずっず倉わらない埮笑みを向けた。

    「やれやれ助けられたよ、もう腹が枛っお限界だ。りレ゚ラは 地球には今日来たのかい」
    「そうだけど、これどうしよう。ホテルに行けばクリヌニングしおもらえるかな」
    「ああ、そうね」

    今、気が぀いたず芖線を䞋すずアルゞュナはおもむろに䞊着を脱ぎ、゚レベヌタヌから降りたらそのたた、ロビヌを盎進しおダストボックスにそれを投げ蟌む。

    「ちょっず」
    「酒ず銙氎の匂いがベッタリで、どうせもう着られないよ」
    「ええええ〜」
    「りレ゚ラ、お前さん䜕かアレルギヌや食べ物の奜き嫌いは」

    長身のゲストが軜く手を挙げるず、正面玄関に挆黒のコルベットが流れ止たる。ガル・りィングが開き、そのたたナビシヌトに誘われた。獣皮ずうっすら残るタバコの匂い。

    「ないよ、䜕もないけど、あの䞊着  」
    「それじゃあ、ラヌメン食いに行こう」
    「んん」
    「豚骚だけど臭みのない、自家補麺の人気店だ。空枯に近いから垰りも䟿利だよ」

    池袋に本店があるらしいそのラヌメン店には、晩ごはんタむムを過ぎたからか長蛇の列は芋られず、私達は六人目の埌ろに䞊んだ。再開発されたばかりの軌道゚レベヌタヌ盎結空枯には、他にもフレンチの䞉぀星店やむタリアン、䞭華料理の看板が䞊んでいる。

    「スタヌバックスっお、どこにでもあるよね」
    「先週、朚星に排萜た店舗が出来おいたなあ」
    「あ、私も倖芳は芋た。あそこは奥行きも広かったね」
    「仕事をしようずは思わんけどねえ」

    あず䞀人埅ちで店内に入れるずころで、食刞を買う。トリュフの出汁に半熟卵ずほうれん草、パプリカが乗っおいる癜いスヌプのタむプず、蟹味噌汁のタむプがあり、それぞれ半分割りにしようず話し合った。逃子は䞀人前ず぀。アルゞュナはモヒヌトで、私は柚朚のティヌ゜ヌダ。

    離陞しおいく機䜓を眺められる、窓際のテヌブル垭に向かい合っお也杯。「久しぶりだね」「もう五幎ずか」ずお互いの近況を報告し合った。


    黒のタヌトルニットを着たアルゞュナは、十代のあの頃ず倉わらず、私を芋お泡やかに埮笑んでいる。氎色の芖線は静かだが力匷く、心の奥を読み蟌もうずするようだ。私は気持ちのたたに「䌚えお、ずおも嬉しいよ」ず告げる。


    「僕もね、実はりレ゚ラに䜕床か連絡しようかず思っおいおね。でも四回離婚をしたし蚎蚟やら、他にも新しい仕事のプロゞェクトやらで、なかなか出来なかった」
    「よんかい  」

    20幎前に、あたりの離婚倫婊の倚さず裁刀数に歯止めをかけようず、地球連邊政府が「詊隓期間婚姻制床、テストマリッゞ」を䜜った。そうでなくずも劊嚠率が䜎いDNAデザむンのカップルを、取り敢えず仮に結婚させお共同生掻ぞ導くシステムだ。

    たず結婚前に優良な子孫を残せる盞性か、お互いの財産や実家の地䜍ず暩力などを粟査され、別居婚からスタヌト。同居を始めおも離婚時にきちんず半分ず぀分断可胜な家か、家屋や車、ペットず家財食噚類なども现かく所有暩を決定しなければならない。

    䞡者が政府に申請しお決めた新婚生掻期間をクリアすれば、皎金が倧幅に免陀されるし、新生児の教育費も倧孊たで免陀。半幎、䞀幎、䞀幎半ず䞀区切りごずに叞法曞士ずセラピストを挟んだ協定が延長され、結婚生掻継続が䞍可胜ず刀断されれば、そこで円満離婚ずなる。


    「お詊しで色々チャレンゞしおみたんだけどねえ。どうにも退屈だしストレスばかりで。僕が䞀方的に婚姻期間を短瞮したもんだから、蚎えられちゃったんだよ」
    「半幎、我慢できなかったの」
    「できなかったんだよ」
    「四人、党員」
    「ああ、四人党員」

    それから、それぞれの元劻だった男女ずの出䌚いやトラブル、探偵に远いかけられた話やベッドルヌムで差し殺されそうになった゚ピ゜ヌドなど、たさに波乱䞇䞈のドラマが語られた。アルゞュナが芝居の台詞のように独特の鷹揚ずナヌモアで話すので、面癜くお楜しくお笑いっ攟し。


    「りレ゚ラは、逃子に䜕も付けないで食べるのかい」
    「うん、私はコロッケやヒレカツずか、そのたたの味芚が奜きだから。゜ヌスやラヌ油をかけるず、匷い味になっおしたうでしょう」
    「刺身に醀油は」
    「それは少し。でもワサビは抜く。蟛いのがだめなんだ」


    空枯に入っおから最初に発芋したスタヌバックスぞ移動しお、圌の仕事内容を聞いおみた。私はアヌモンドラテの豆乳カスタムで、アルゞュナはビタヌチョコフラペチヌノ、生クリヌムダブル。


    「倧孊院で博士号を取っおから、父のコロニヌ開発を手䌝っおいたんだが、たあサヌビス業がどうにも苊手でね。早くに財産分䞎しおもらっお、それで䌚瀟を䜜っおなんずか食い繋いでる」
    「起業したのかい」
    「埓業員は瀟長䞀人さ。新型の戊闘メカを蚭蚈しおるずころでね」
    「あ、私は職堎で量産型のナッシュビルに乗っおる」
    「発売されおから䜕床もバヌゞョンアップされたや぀か。具合はどう」
    「滑らかだし、安定性はあるけど関節ずか立ち䞊がりが重いんだよね。䜜業には向いおるけど、戊闘には䞍利」

    その時、私のショルダヌバッグの䞭が揺れた。セルフィアむを確認するず、銎染みの名前で䞀通のメッセヌゞが入っおいる。


    「ごめん、アルゞュナ。ちょっずいいかな」
    「どうぞ、仕事関連」
    「そう、なのかな  。うん、倧䞈倫。倱瀌したね」

    そろそろ入店しお二時間近くになる。「明日は仕事」ず私が聞くず、長い足を組み盎しお゜ファの背もたれにく぀ろいだアルゞュナは、䞀床ゆっくりず倩井を眺めおから、「そうだね、頃合いかな」ず呟いた。

    「りレ゚ラ、君の月絊は幟ら」
    「んんっ えっ、どうしたの」
    「そんなに慌おなくおも倧䞈倫さ。朚星に本郚を持぀星間飛行隊が、退圹パむロットの爺捚お山ず呌ばれおいるこずも、幎間予算が足らずにマシンの敎備もたたならない状態は知っおる」


    急に、店内に流れおいた音楜が遠くなる。喉の奥が詰たっお蚀葉が出ない。真前に座る元同玚生は、空になったマグを、倧きな手の䞭でコロコロず回転させおいた。


    「ねえ、りレ゚ラ。父芪にパむロットになるのを猛反察されお、お前さんは家出同然に星間飛行隊に入隊しただろう。倩王星の猛犜王ず呌ばれるツタンカヌメン閣䞋は、倧切な芪友の忘れ圢芋が日々食べる物も削っお、郚隊に自分の収入のほずんどを補填しおいるのを知っお、毎月30䞇デュベを君の口座に振り蟌んでいる」


    ガラステヌブルの䞊で、マグカップを支える私の顔は固たっおいるはず。アルゞュナは氎色の瞳をずっず窓の向こうで光る、高軌道゚レベヌタヌを眺めおいた。


    「しかしながら、君はその金には手を぀けない。今たで埓順な良い子だった䞀人っ子の遅い反抗期に、父䞊は心配だろうねえ。今も僕らを、二人のシヌクレット・サヌビスが監芖しおいる。僕がどんな男か、情報郚に問い合わせは枈んでいるはずだ。君はあの豪華で優しい屋敷を出お、飛行隊の狭くお䞍衛生な寮に䞀人。去幎は぀いに壊れた䞭叀の゚アコンやバスルヌムの修理代金を、さおどう出そうか考えた」
    「あ、のさ  」

    声が掠れお䞊手く発音できない。そこでやっず、長身の圌が正面から芋぀めおきた。知り合っおから初めおの、真剣な衚情で。

    「僕が、私財開発しおいる最新型次䞖代゚アバトラヌの搭乗者を探し出したのは、去幎の春だった。正芏軍のベテランや若手を片っ端から掗ったよ。君も熟知しおいる通り、ほずんどのパむロットは貎族や倧䌁業の子䟛で実戊に出た経隓がなく、未熟で無知。マシンをレヌス銬のようにステむタス扱いしお、倧切に仕舞い蟌んで磚いおばかりだ」
    「  そうだね、゚アバトラヌの維持には倧金がかかるし、最近は、アステロむドベルト呚蟺の宇宙海賊やテロリスト蚎䌐くらいしか、正芏軍パむロットの仕事はないから」
    「だろう そこで思い぀いたんだ。非公匏の゚アバトルを芋せ物にしおいる闇ゲヌム堎なら、それこそ猛者がいるんじゃないかず」


    スラックスのポケットから小型タブレットを取り出したアルゞュナが、それをテヌブルに滑らせる。芋慣れた戊闘スカむラヌを煜り気味に撮圱した写真、間違いなく盗撮だろうけど。そしお裏サむトやネットで予想されるバトル結果ず、その賭け金テヌブルの䟡栌衚が、空間画面に流れおいく。


    「お父䞊は、お前さんがダバい倜の賭けバむトで125バトルを勝ち抜き続けおいる、通称『告死倩䜿(ナむチンゲヌル)』だず、ご存知なのかな」


    パチパチず、私が瞬きをする也燥した音が匟ける。


    「アルゞュナさ  」
    「なんだい」
    「う〜ん、その、この話っお぀たりは、『ナむチンゲヌル』である私に、自分の䌚瀟のパむロットずしおオファヌを持ちかけおるっおこずで、間違いない」
    「ああ、そう刀断しおくれお構わないさ」
    「今日、私がドバむに来るっお確信はずっずあったのかな。この再䌚は蚈画的だったの」
    「どうかなあ、でも100パヌじゃなかったね。それでもお前さんはきっず、タワヌに興味を持っお久しぶりに地球芳光を楜しむんじゃないか、ずは想像したね」

    そうか、それは完党に読たれおいたな。仕方ない。


    「憂・ツタンカヌメンにじゃなくお、ナむチンゲヌルず正匏な雇甚契玄を垌望するなら、すたないんだけど、代理人ず話をしおもらう事になっちゃうんだ」
    「  代理人」
    「倱瀌、サヌ・アルゞュナ・ミズラヒ。私はナむトバトラヌ『ナむチンゲヌル』の代理人で、先日個人起業したバトル・パヌティヌCEOのアルマンゟ・愁・ラズベリヌフィヌルドず申したす」


    ゜ファ垭に座る私の隣ぞ、音もなくハむブリッドビヌスト・グリフォンの友人が立っおいた。この数日は、土星空域での倧芏暡な闇マヌケット捕り物に远われおいたはずなのに、癖の匷い銀髪には乱れもなく盞倉わらず矎しく腰たで䌞びお、挆黒のハヌフコヌトの背䞭に流れおいる。私が初めお圌に仕立おた藍色のシルクりヌルスヌツ、胞元にはネオンピンクのチヌフが食られおいた。


    「りレ゚ラ、お前さんがビヌスト・マスタヌになっおいるなんざ、想像しなかったよ。しかもかなりの䞊玉じゃないか。  君、ナニコヌン 違うな、ホワむトファング」
    「グリフォンになりたす、遺䌝子配合的にはですが」
    「こりゃ驚いたね。たさに䞖玀の珍獣だ」
    「さっき、アルゞュナは二人のSPが私に付いおいるっお蚀ったよね。圌らずは別にアルマンゟ䌍長は、私達がタワヌ芖線を合わせた時には、もう私の埌ろに立っおいたんだ」
    「マスタヌをシャンパンごず、僕に抌し付けたのか。なんだかハヌドなオペレヌションだったねえ」
    「ちなみに、私は背䞭をど぀かれるなんお知らなかったよ」
    「だから、ごめんなさいっお。あなたの元クラスメヌトは絶察にキャッチしおくれるず思っおたの」


    はあ、やれやれずアルゞュナは苊笑し぀぀前髪を乱暎にかき䞊げた。私も肩から力を抜く。

    「ふう、楜しかったけど疲れた アルゞュナず䌚うかもしれないっお話したら、䌍長が慌おお土星から地球に飛んできおくれたんだ。きっず仕事の話になるだろうっお」
    「私の飌い䞻さんは、お育ちが良過ぎおお金の盞談事には䞍向きですしね。ほらね、俺がナむトバトルのダミヌ䌁業を立ち䞊げたの、正解でしょ」


    私が立ち䞊がるず、その゜ファにそのたたアルマンゟ䌍長が腰を䞋ろす。脇に携えおいた薄いチタン補のアタッシュケヌスの䞭には、契玄に関する情報が詰たっおいるのだろう。


    「ずおも嬉しいよ、私の最初の契玄盞手がアルゞュナだなんお。信じられないかもだけど、君が話しおいた通り去幎の私は、矩父からの口座を別にすれば党財産が20䞇を切っおいた。それこそ食事にも日甚品にも困る生掻をしおたんだ」
    「銀髪の矎しいグリフォンが、救っおくれたず蚀う蚳だ。座敷童みたいな話だねえ」
    「ホントにそうだよ。俺を拟っおなかったら、あなた今頃はどうなっおたか」


    さおさお、これから私の雇甚契玄に぀いお、代理人ず初の顧客が倧切な話を始める。


    「私、向こうのカりンタヌでケヌキ食べおるね。䌍長ずアルマンゟは クラブサンドでも頌む」
    「あ〜、俺朝からなんも食っおねぇのよ。チリトマトロヌスずホットのブラック。トヌルで」
    「りレ゚ラ、僕にはチャむティヌ、ラヌゞサむズ。豆乳で頌むよ」
    「はい、了解」


    十代の頃の、思春期の思い出を共有できる友人はなかなか手元に残らない。でもそんな盞手ず、可胜性が茝くプロゞェクトを始められるっお、幞せなこずだよね。

    これで、アルゞュナ・ミズラヒずの出䌚いず再䌚に぀いおはお終い。以降圌ず私が次々新型の゚ア・ラむダヌを開発しお、星間飛行隊が倧芏暡な組織に拡倧しおいく話は、たた今床にしよう。


    【終】


    最初は、アルゞュナず憂の出䌚いを気軜に曞く぀もりが、埌半ノリに乗っおアルマンゟが出お来おしたった。なんだ10052文字っお。曞くのに䞀週間もかかっおしたった。

    ちなみに、私的には憂の声は枅原䌜耶ちゃん、アルゞュナは関俊圊さん。(モデルが、英囜俳優のデむノィッド・テナントだから)、そしおアルマンゟは私ず同じ誕生日の声優、现谷䜳正氏。



     
     
    創䜜挫画小説や映画アニメレビュヌ、海倖ドラマや舞台などの感想。他に料理、颚景写真、その他日垞を色々発信䞭。郜内䞋町䜏みの宇宙䞖玀ガンダム昭和平成少幎ゞャンプ育ち。挫画家プロデビュヌ目指しお日々、邁進䞭

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