
remember me
【あらすじ】
20××年の日本に「ゴールドフィッシュタウン」というテーマパークができた。そこは今人気のゴールドフィッシュというアニメのテーマパークだ。そのテーマパークには世界中から注目されているアトラクションがある。「remember me」というタイムスリップできるアトラクションだ。過去に戻ることのできるそのアトラクションが巻き起こす、過去に大きな後悔を持つ3人のタイムスリップの物語。
【ホリデー金魚】
株式会社ホリデー金魚がテーマパークを作った。ホリデー金魚とは「ゴールドフィッシュ」というアニメを大バズりさせた制作会社だ。ゴールドフィッシュは金魚が生活する水槽の中の金魚やエビ、メダカを中心としたほのぼぼアニメである。特に主人公のキンピーが人気で、キンピーグッズやガチャガチャなどがすぐに売り切れることから金魚現象という言葉が生まれるほどだった。そんな中でのテーマパークができたことでホリデー金魚は波に乗っている。
そのゴールドフィッシュのコンセプトの「ゴールドフィッシュタウン」というテーマパークで、関西の田舎の山奥に東京ドーム2個分の大きさのテーマパークを作ったのだ。ゴールドフィッシュタウンに行くには事前にチケットを抽選で当てなければ入園できない。そのチケットの倍率は高く誰もが当てたいと望むチケットだった。転売ができないようなシステムで入園前には必ず身分確認を行う徹底ぶりだ。そんなゴールドフィッシュタウンには、ゴールドフィッシュをベースにしたジェットコースターや、お化け屋敷、メリーゴーランド、急流滑り、夏にはプール、小さな水族館など楽しめるコンテンツが盛りだくさんだ。
そんな中ゴールドフィッシュタウンのあるアトラクションが日本中、いや世界中の人たちに注目されている。そのアトラクションの名前は「remember me」というアトラクションだ。これは簡単にいうと過去に戻れる、タイムマシーンだ。アニメの中でも「remember me」として主人公や水槽の仲間たちがタイムスリップしている。
「remember me」は過去に戻ることのできるアトラクションで入園料とは別で「remember me チケット」が必要だ。値段は1人8万円と少し高めだが8万円を払うと好きな過去の時間に戻れるなら高くはない。実際にプレオープンで過去に戻った芸人が自身のYoutubeチャンネルで感想を述べる動画を投稿したが、それが1日で1億回も再生回数が回った。
「remember me」について詳しく説明する。
(1)過去に行くには2パターンの方法がある。(8万円)
1:アトラクションのように4人乗りの乗り物で過去に行く方法。
これは複数人で同じ時間に行くことができる。例えば4人組で乗り物に乗って10年前の⚪︎月⚪︎日⚪︎時⚪︎分⚪︎秒に行くを設定するとその乗り物ごとその時間に到着する。だが場所はどこに到着するかがわからないという点では希望に添えないことがある。だが到着してからは自由時間で決まった時間に戻ってきて全員で帰ってくるという流れだ。この場合は全員がきちんと時間を守らなければいけない。1人でも遅れてくるとその日の現実時間に戻ってくるチャンスを逃すのだ。
2:扉を開けて設定した時間に一人で行く方法。(15万円)
これは一人ずつ設定した時間場所に行くことができる。帰りも同じ扉を開けて戻ってくることになる。この方法は乗り物で行くよりもより明確な場所に行くことができるが、扉を開けると20センチほどの真っ暗な隙間がありそこから道の世界へ引っ張られることがあり少しリスキーである。
またこの方法で過去に行く人は12時間以内に現在に戻ってきてあと1度だけ違う時間に行くことができる。
(2)1の場合で過去に行った場合は6時間以内に現在の時間に戻ってくること
2の場合で過去に行った場合は12時間以内に現実に戻ってくること
過去に行く人全員に専用の腕時計が配られる。そこに残り時間が表記されるのと同時に過去の自分が近づくとお知らせをしてくれる機能がついている。また現在時間のスタッフと連絡を取ることができる。
時間を過ぎてしまうと戻れるタイミングがいつになるかわからなくなる。その人にタイミングを渡してしまうと他の人が過去に戻れなくなったり、現実に戻れなくなる可能性が発生するのだ
(3)過去を変えてはいけない
過去を変えてしまうと、少しずついろんな人のタイミングが変わってしまい現実の世界に戻れなくなるから。
基本的には現在会えない人に会いに行ったり、今はない景色を見に行ったりすることしかできない。
(4)過去の自分には絶対あってはいけない
過去の自分には絶対あってはいけない。会ってしまうと過去の自分も今の自分も消えてしまう。
(5)20歳以上(社会人)~80歳以下の成人のみ
未成年または20歳以上でも学生は乗車できない。自分で責任が取れる方のみ乗車可能。
以上は必ず守らなければいけない。また過去に何かあった場合は株式会社ホリデー金魚は責任を負いません。
またremember meのスタッフが同じ時間にいる時があり
誓約書を書いてやっと過去に行くことができる。
【 ずっと一緒だよ 】
ゴールドフィッシュタウンがオープンして2年が経った夏。私はとうとうチケットを手に入れた。この日をどれだけ待ち侘びていたことか。
2年前テレビのニュースで知った「remember me」過去に戻ることができる。おそらく全世界の人が初めは疑ったであろうそのニュース。ゴールドフィッシュはほのぼのしていて流し見でよく見ていた。ガチャガチャがあれば回すし、グッズがあれば一応チェックする。でもゴールドフィッシュのテーマパークは行ってみたいと思った。「remember me」を見た時、そういえばアニメでも過去に戻る放送界があった。主人公のキンピーが水槽にある閉ざされた洞窟の中に入ったら過去に戻っていたという話だった。よくある展開だったので特に気に求めていなかったのだがそれを現実にした株式会社ホリデー金魚は、あの夢の国よりもすごいなと個人的に思ってしまった。
プレオープンでお笑い芸人のさかな番長が魚繋がりで招待されていた。もちろん「remember me」も体験したみたいだ。プレオープンの三日後にはゴールデンフィッシュタウンの感想を個人チャンネルにあげていた。私はアップから3日後に動画をみた
古田:いや~ゴールデンフィッシュタウンすごかったね!本当に
箕田:マジで入った瞬間アニメの世界
古田:俺好きで見てたからさほんとに嬉しくてさ
箕田:俺は正直見てなかったんだけど入った瞬間某夢の国みたいにワクワクした
古田:でもやっぱみんなが知りたいのは「remember me」だよね、あれやばかったよね
箕田:なんかずっと夢の中にいる気分だった、ちゃんと過去に行ってた
古田:俺らは一緒に2人でおんなじ時間に行く方に乗ったんだけど、あれは10年前かな?俺らが結成したての時期に行ったんだよな
箕田:そう、マジで当時のままでコロナ禍でみんなマスクしてて人がいなかった
古田:俺らは結成当初の自分達を見に行こうってなったんだよ、あとはその時の彼女とか家族を見に行ったんだ。まじあの頃の俺痩せてた、でも自分にあっちゃダメだからバレないように必死に隠れたり変装したりで大変だった。
箕田:俺も死んだばあちゃんに会いに行ったんだけど流石に泣いちゃった。過去を変えないようにちょっと話したんだけど今思い出すだけで俺本当にグッとくる
と話していた。コメント欄には「マジで行きたい」「私も死んだ家族に会いたい」などが書かれていた反面。「嘘っぽい」「なんかAIなんじゃないか」というう声も上がっていた。確かに嘘っぽい。でもこの人たち以外にプレオープンに行った人たちも凄かったと本当に過去に行っていたと感想を述べていた。私は一か八かでこの奇跡のタイムマシーンにかけてみたいと思った。
ゴールドフィッシュタウンのチケットは月頭の1日に2ヶ月後のチケットを抽選することができる。日付指定はできなくランダムで当たった人がその日に振り分けられる。その抽選に当たった人が「remember me」のチケットを買うことができる。1日に入園できる人数は1000人なので1ヶ月でも最大31000人しか入園できない。その動画を見た日から毎月1日に抽選の申し込みを行った。
そして約2年かけて私はやっとチケットの抽選に当選した。2ヶ月後の7月21日の入園だった。「remember me」の申し込み欄があった。一人で行く予定だったので私は15万円のチケットにチェックをつけた。入園1週間前までに15万円の振り込みを行い当日入園をし誓約書にサインをするという流れだ。15万円の方に申し込んだ人は当日朝の8時までに入園し8時30分までに「remember me」に搭乗しなければいけない。過去に戻れる時間が12時間あるからだ。私は1週間前までに15万円振り込みを行い、1週間ずっとどこの時間に戻るかを考えた。
7月21日私はテーマパークを楽しみたいので7時オープンぴったりに入園した1時間だけテーマパークを楽しむことができる。本当にゴールドフィッシュタウンはアニメのまんまだった。水槽の中のようで植物たちも水槽の中にあるような植物だった。淡水エリアと海水エリアがあった。アニメにも海水の水槽が登場する。水槽から水槽に移動する通路は現実世界で飼い主の家の中を忠実に再現されていた。入園人数が限られている分アトラクションもそこまで待たずに乗れるしグッズやご飯を食べるのに並ぶことはなくストレスのなく楽しむことができる。あっという間に1時間がすぎとうとう8時になった。「remember me」は入園して淡水エリアを抜け海水エリアの奥にあるアトラクションだ。今日「remember me」に登場するのは合計で37人だった。予想以上に少なかった。1000人中37人、年齢層はバラバラだが半分以上は40歳以上の方が多かった。順番に誓約書を書いて説明を聞く、スタッフさんは命にも関わる登場なので真剣に話をしていた。説明を聞き腕時計を受け取り行きたい時間に設定を行う。受付に来た順に搭乗を始める。今日は団体が少なく3組だった。そのほかは1人ずつの登場で最後に到着した私は一番最後のタイムトラベルだ。私の前の女性の方と待ち時間に話をした。その人は道子と名乗った。道子さんは62歳で死別した旦那さんにもう1度会いに行くために過去に行くそうだ。旦那さんは55歳の時に癌になり3年間の闘病の末亡くなったそう。でも2年間は道子さんにはがんのことは内緒にしており、整体に通うと言って病院に通院していたそう。娘が里帰りしていた当時旦那さんの癌に気づけなかったという。道子さんが気づいた時には末期で余命宣告もされていたがなんとか1年耐えたそうだ。桜の開花宣言がされた日に旦那さんは家のソファで亡くなったと。道子さんは本当に悔しそうにしていた、会って謝りたいと言っていたそして「愛している」と言いたいそう。道子さんの話を聞き終えた頃、道子さんの番が来た。「気をつけてください」と握手して道子さんは行った。5分間の感覚をあけて私の番が来た。重たい扉を押した、扉が開いたら20センチの真っ暗の世界が広がっていた。足を1歩踏み出した黒いの隙間からすごい力で引っ張られている感覚になった。重たい一歩をなんとか踏み出し過去の扉に手をかけ勢いよく扉に飛び込んだ。私が設定した日程は20××年7月17日朝7時、場所は当時住んでいたマンションの近くのコンビニのトイレの扉。この日は私がどうしても忘れられない元恋人に振られた日だ。私はどうしても忘れられない彼が私を振った後の行動や表情を見たくてここに来た。歩いて5分以内の家に向かう、猛暑だ朝7時なのに暑い。
前日彼が私の家に泊まりに来ていた、大好きな彼にその日は久々に会えた日だった。最近メッセージの返信が少ないことやなかなか会えないのがストレスだったが会えると考えただけで当時の私は嬉しかった。一緒に家でご飯を食べて、身体も心もキスをした。でも夜中に振られたのだ彼の理由は彼を理解している私は拒否することはできなかった。私は快諾しその日は眠りについた。次の日彼が早めに家を出た、私は玄関で泣きながら彼を見送った。その時の彼の顔は今でも忘れられない。
そんな当時のことを思い出していたら彼が出てきた。そこまで待たずにすんだのが救いだった。彼はすごく不安そうな顔をして出てきた。そして駅に向かって歩いて行った。すぐにイヤフォンをつけるかと思ったが、下を向きながらずっと歩いて駅まで到着した。私も後ろをゆっくり追いかけた。服装と髪型も違うしメガネもしているし当時よりも痩せているからバレはしない。彼の顔が見たい。私は必死に追いかけ、最寄り駅に入った。ホームで電車を待っている時も彼は下を向いていた。しっかり顔を見たい、表情を確認しないと納得がいかない。とうとう彼の最寄り駅までついて来てしまった。
彼はコンビニの横でタバコを吸い始めた。ここは数ヶ月後電車でばったり彼と会って3時間近く話す場所だと思い出し聖地巡礼している気分になった。朝が早く、世間は休みで人通りが少なかった。彼にできるだけ近づいてバレないように観察した。彼の頬がきらりと光った。タバコをふかしながら涙を流していた。その後も何粒か涙が流れた。私はびっくりして彼の前をゆっくり通り彼の顔をじっくり見た。確かに泣いていた、その瞬間私の目から涙がこぼれ落ちていた。辛かったのは私だけじゃなかったんだと気づけた、嬉しかった。私はそのまま電車に乗り込み、前の家の最寄りを目指した。そのままこの時間にきたコンビニのトイレに向かった。そしてまたトイレの扉を強く押して現在時間に戻った。
約1時間半で戻って来たのでスタッフの人もびっくりしていた。「おかえりなさい、いかがでしたか?会いたい人には会えましたか?」と声をかけてくれた。私は「はい、涙が止まりませんでした。あと1回過去に戻れますよね?戻ってもいいですか?」15万円のチケットは計2回過去に戻れるのだ。
スタッフは「もちろんです!腕時計で設定しましょう」と。腕時計でまた行きたい時間を設定した。今回は時間を設定した時から心が重たい、怖いけど行きたい会いたい。そんな気持ちを抱えながらまた扉の前にたった。残り10時間と腕時計に表示されている。私は強く扉を押し勢いよく一歩踏み出した。
20××年12月24日昼12時またさっきと同じコンビニのトイレに来た。私はドキドキしながらコンビニを出てあるところに電話をした。「はいHappy動物病院です」
私はさっき行った過去の彼と別れた1年後の夏にワンコを家族に迎え入れたのです。保護施設で出会ったみんなに愛想を振り撒いて施設を歩き回る子に恋をした。フレンチブルドックの5歳の男の子で名前は「わさび」と名付けた。わさびは私の生活に色をつけてくれ見たことのない景色を見せてくれた。毎日が楽しく愛おしく幸せな日々を送っていた。引き取った当初から肺が弱いかもと病院の先生から言われていた。去勢もまだなので落ち着いたら去勢もしようねと先生と話していた。楽しく毎日過ごしていて、涼しくなったら散歩も毎日行けるようになりわさびはるんるんで歩いていた。その後ろ姿を見ながらする散歩は私のかけがえのない日々でずっと見ていたいと思っていた。寒くなると散歩に行くのを嫌がり始めたわさびを無理やり連れて行くもすぐに家に変えるわさびも可愛く思えた。クリスマス前日私はわさびを虚勢手術をするために病院に預けた。わさびは友達に会えるのが嬉しくて私の方を見ずに病院の奥に入って行った。去勢手術は順調で次の日にはお迎えに行けるとのことで私は仕事の合間を縫って迎えに行くつもりだった。でもわさびは元気な姿で帰ってくなかった。仕事中何度も病院から電話が来ていた。私はすぐに電話に出れず30分ほど経って折り返しの電話をした。「わさびが危ない」と電話が来てた急に体調が悪くなって、急いで来て欲しいと。私は頭が真っ白になり病院に向かったがその時私は病院から電車で1時間半くらい離れた場所にいた。急いで戻ったが病院に着く前にわさびは亡くなった。その日に戻って最後を看取りたいと。せめて亡くなる前に顔を見て大好きだよと、私のとことに来てくれてありがとうと伝えたかった。でも私が行くと過去を変えてしまうことになるから、作戦を考えて今回のタイムスリップに挑んだ。
「はいHappy動物病院です」まずは過去の私の設定で電話をする「わさびの飼い主です。わさびが少し心配なので私の双子の姉がわさびの様子を30分後に見に行きたいのですが大丈夫ですか?」と双子の姉がいる程にする。「わかりました、お姉さん到着しましたら受付まで来るようお伝えください」うまく行った。病院から電話がかかって来たのが13時ごろだったので12時30分ごろに向かってわさびが倒れる前くらいに会えるかと考えた。病院につき受付に「わさびの飼い主の家族です」と伝えた。「こんにちは!わさびちゃん元気ですよ、連れて来ますね」と看護師さんは受付の奥の扉に入って行った。少しするとわさびが出てきた。元気なわさびだった。涙が止まらなかった。看護師さんは不思議そうな顔で見ていたがそんなの関係ない。「すみません、久しぶりで嬉しくてすぐにいかなければいけないのですが」と伝えた。わさびだわさびだ、わさびだ。わさびは喜んで飛びついて来てくれた。「大好きだよ、わさびママのところに来てくれてありがとうね大好きだよ」その後5分ほどずっとわさびに大好きを伝え続け膝の上で撫でていました。そろそろいかないと過去が変わってしまう。私は看護師さんを呼び「すみません元気な姿が見れてよかったです妹に伝えます。迎えは妹が来ます何かあったら妹に電話お願いします。」看護さんも「わかりました!ありがとうございました~」と。病院を出た瞬間私はまた涙が止まらない、雨が降っていた。あと2時間後に過去の私は到着するそれまで待つことに決めた。到着するであろう時間に病院の近くで待っていると1台のタクシーがやってきた、私だった。目をぱんぱんにしふらふらになりながら現れた。それを見てまた涙が止まらなかった。数十分後先生と私とわさびが病院から出てきた。先生は私を家まで送ってくれた。私はわさびを抱きしめながら家に入って行った。それを見届けた私はコンビニに向かった。残り6時間ほどあったがもう後悔はないタイムスリップになった。現在に戻った私はそのあしでゴールドフィッシュタウンを出て、わさびの骨を埋めた実家に帰った。家に着いたのは夕方で、夏なので日が長く外はまだ明るかった。わさびの元に向かい線香をあげた。わさびの匂いがした。
わさび大好きだよ、ずっとずっと一緒だよ。
【 ルールを破ってでも 】
郁人「とうとう俺らも30歳になっちゃったな」
建「三十路だな」
勇作「一瞬のようで長かったね、勝そっちはどんな感じ?」
俺たちは小学校の入学式から大学卒業までずっと4人でいた。小学校の入学式名前の順で並ばなければいけなかった。俺たちはあ行で1番~4番を背負って講堂を歩いた。
赤井勇作・青木郁人・上山建・江口勝
4人とも同じ赤色ランドセルと、同じキャラクターの筆箱を使っていた。俺たちは運命を感じた。当時赤色のランドセルは女の子が多かったが、仮面ライダーの赤色に憧れた俺たちは全員赤色のランドセルを選んだのだ。教室で顔を合わせた時「え、ランドセル一緒じゃん」俺のその言葉で4人の物語が始まった。すぐに仲良くなった。家は方向が全員違ったが学校に行く道で俺たち全員が4方向から合流する交差点があった。そこで毎日7時30分に集まって一緒に学校に向かっていた。習い事の話や、前日見たテレビの話など毎日話は尽きなかった。俺たちは全員タイプの違う人間だった。俺はアクティブで人見知りせずスポーツが得意でどちらかというとクラスの真ん中にいるタイプの性格だ。
勇作は真面目で勉強が好きで、英語の塾に昔から通っていてスポーツ神経もよくなんでもそつなくこなすタイプだ。
建はゲームが大好きで、少しオタク気質でも顔がいいからモテた、とにかくモテた。色白で優しくて穏やかな性格だ。
勝は誰にでも優しく、絵が得意で人たらし笑顔が可愛くて先生から気に入られるタイプだ。
一緒に登校し下校する、たまに予定が合えば遊ぶ。部活動や個人の趣味はお互いに応援して否定はしないのが俺らのルールだった。小学生ながらませたルールを作っていたと思うが全員納得していたし同じ価値観だった。小学校のクラス替えでは4クラスあったのでバラバラになったり2人だけ一緒になったりいろんなパターンがあったが登校下校は絶対に一緒にしていた。そのおかげで中学校も仲良く同じ中学校に通っていた。俺はバレーボール部に入部し、グングン身長を伸ばして気づけば176センチあった。勇作はサッカー部に入部したが相変わらずの運動神経で1年生でレギュラーを獲得していた。また勉強もしっかりいい点数を叩き出していて学年で10番には入る実力だった。建は安定の帰宅部。それ以外はずっと本を読んでいた。ある日、「僕小説家になりたいかも。」と言った日は全員でお祝いをした。建が夢を見つけたお祝いだ、バカなお祝いだ。勝は吹奏楽部と美術部を掛け持ちしていた。そんなことができるのかと思ったが、できていた。吹奏楽部ではドラムを叩いていた、めちゃくちゃかっこよかった。吹奏楽部が休みの日は美術部に行き絵を描いていた。
夏の大会で部活動は引退し後は高校受験だけが残っていた。中学3年生になってから4人で毎週休日は図書館で勉強を行なっていた。みんなで同じ高校を目指していた体。俺だけ勉強が苦手で俺のために休日も図書館に集まって勉強を一緒にしてくれた。
俺はその高校でバレーボールがしたかった。その高校はスポーツ推薦がなく進学校で勇作のような頭も良くてスポーツもできる人が行くような高校だった。
寝る間も惜しんで勉強をした。おかげで4人で同じ高校に行くことができた。3年間は部活動に打ち込み大学進学のためにも勉強も頑張った。4人がお互いにお互いを支え合い、集まれる時は集まって勉強会やお茶会をして楽しい時間を過ごしていた。それぞれ別で仲の良い友達グループもいたし恋愛も全員それなりにしていた。
高校3年生になり進路の話になった。勇作は東京のプロのチームからスカウトが来ていると、建は小説家や作家を目指す人の学校に通うために上京すると、勝は東京の芸術大学に進学すると。俺は、勉強を頑張りすぎて東京で有名な高学歴と呼ばれる大学に行くことになった。全員上京すrことになり喜んでいた。同じ最寄駅に住むことになった。勇作以外は大学生の住んでそうなワンルームに住んで、勇作は少し広く綺麗なマンションに住むことに。これからサッカー選手になる男は違うなと思ったが誇らしくも思った。俺は留学プログラムがあるので大学3年生で留学することを目標に勉強を始めた。
大学生活が始まり、友達づくりや授業の選択、サークルに入るか入らないかと毎日目まぐるしい日々を過ごしていた。俺たち4人は月に1回程度に集まった。優作の家でみんなでご飯を持ち寄って食事会を行なっていた。東京でもお互いを支え合いこれからも4人で楽しく生きていけると思っていた。
上京して初めてのクリスマスがやってきた。全員クリぼっち予定だったのでクリスマスパーティをすることになった。勝が「俺好きな人ができた」と言った。話を聞くとバイト先の年下の女の子だと。その子とはよくシフトが被り、愛想があり誰にでも平等だとそんな彼女に惹かれていると。最近は2人でよく帰っていて連絡も頻繁に取っていると。これは脈アリだとみんなで盛り上がった。次シフトが被ったら告白するべきだと3人で盛り上がって、勝もその気満々だった。
12月27日シフトがかぶる日らしい。その日に全員のグループトークに勝から「バイト終わった、一緒に帰るからその時告白する。終わったらみんな集まってくれる?」とメッセージが来た。
そこから1時間後優作の家に勝がやってきた。笑っていた。成功したのだと思った「振られた」「バイト先の先輩としか見れない」と言われたらしい。その日俺らは4人で失恋映画を見ながらお菓子をたくさん食べて慰め合った。「もっと良い人いるよ!」「次だ次!!」とみんなで勝の失恋を慰めた。
年が明けて、勝が前より痩せていた。実家には帰っておらず、ずらして帰ると言っていたのでバイトをしていたのだと思うがおかしいくらいげっそりしていた。俺は実家から帰ってきてすぐにその変化に気づいた。そこから1週間くらい勝の家に通った。でも勝は何もない、課題とバイトがあって忙しくて食べてなかったと言っている。何か隠していると思った。バイト終わりの勝に会いに行った。疲れ切っていた。「勝本当にどうしたの?」俺を見てびっくりして勝は泣き出した。近くの公園で話を聞くことになった。年末に告白した女の子が、根も歯もない嘘をついてバイト先での居場所がなくなっていると。その女の子の好きであろう2個上の先輩にいじめられていると。その先輩は勝にだけきつい仕込みをさせたり、わざと水をかけてきたり、ロッカーをぐちゃぐちゃにしたりと学校であるようないじめをバイトでやってくるのだという。店長に相談して注意してもらったが治らない。バイトを辞めようと思ったがシフトを出してしまい、今あるシフトだけは頑張って終わらせようと頑張っているんだと。責任感のあるかっこいい男だ、俺は誇らしくなり涙を抑えきれなくなり勝を抱きしめた。俺はこのことを2人に伝えバイトの終わりは迎えに行ける人が迎えに行って勝の話を聞くというルーティンをすることにした。勝は頑張ってバイトを終わらせ辞めることができた。最後の日は3人で迎えに行ってファミレスでパーティをすることにした。家の近所のファミレスは夜中にはすきすきで、俺らはバカほどオーダーをした。「あ、そうだ俺みんなにプレゼントがあるんだ、料理が来る前にちょっと取ってきていい?」俺らは後でいいよそんなのと軽く止めたが内心欲しくて強く止めなかった。勝はニコニコしながら走っていった。ファミレスから勝の家までは5分ほどだったので往復10分程度で帰ってくるはずだったが、20分経っても、30分経っても勝は帰ってこなかった。建が電話をかけたが出なかった。その間にご飯がテーブルに届いた「そのうち戻ってくるだろ先食べておくか」と言って俺らは何も考えずに食べ始めた。そして全部食べ終わってしまった。勝は帰ってこなかった。俺らは何かおかしいと思って急いでお会計をし勝の家に向かったが、勝はいなかった。テーブルに手紙と3つのプレゼントがあった。
「俺のためにありがとう、やっぱり無理だった。みんなありがとう大好きだよ」
俺らは必死に探した、この短時間で勝がどこに行ったのか分からなかった。一晩中探した。勝の親にも連絡した。見つからなかった。朝方勝の家に帰ってきた。ぼーっとテレビを見ていた。朝9時ごろテレビのニュースに近所の川が映っていた。よく見ると「男性が浮いていると110番通報が入った」とアナウンサーが原稿を読み上げていた。俺たちは顔を見合わせて近くの警察署に駆け込み事情を説明した。家で待つようにと言われ俺らは勝の家で3人で待っていた。勝の親も合流しみんなで連絡を待った。「みんなお腹空いてるやろ、なんか作ってあげるわ」勝のお母さんは自分たちじゃなく一晩中探した俺らを気にかけておにぎりを作ってくれた。勝のお母さんのおにぎりは塩加減がちょうどいいと昔から俺らの中では好評だった。でも今日のおにぎりはしょっぱかった。警察に勝の親の電話番号を伝えていた、14時ごろ勝の親の電話が鳴った。警察署に来てほしいと。
それから葬儀から火葬までは一瞬の出来事だった。
勇作は試合で勝のためにゴールをたくさん決めて大活躍だ。
建は勝を主人公にした小説を出版社に出して書籍化することが決まった。
俺は留学が決まり1年間イギリスに行くことになった。
俺たちはがむしゃらに毎日を生きた。そこから疎遠になっていった。勇作の活躍はスポーツ番組でチェックし、建の新作は本屋さんでチェックした。
俺は、イギリスに本社がある貿易会社に勤めイギリスと日本を行き来していた。
29歳の俺は、株式会社ホリデー金魚のゴールドフィッシュタウンの「remember me」のニュースを見た。俺はその日から毎月応募を始めた。
応募を始めてから3ヶ月後、久しぶりにあるグループラインが動いた。
勇作「久しぶり、最近どうしてる?」
建「久しぶりだね、執筆活動して旅行しての繰り返し笑」
郁人「久しぶりだな、どうした?」
勇作「ゴールドフィッシュタウンのチケット当たったんだけど一緒に行かないか?」
俺の心臓が跳ねた。
郁人「え、まじ?俺もずっと応募してた3枚で」
建「俺も応募してた」
勇作「やっぱりみんな「remember me」だよね?日付はもう決まっていて9月16日明けておいて」
建「ありがとう」
勇作「「remember me」なんだけど、どのコースで行く?みんなで一緒の時間に行く?」
郁人「みんなで行こう、あの日に」
9月15日。タイムスリップする前に3人で勝の墓参りに行くことになった。
郁人「とうとう俺らも30歳になっちゃったな」
建「三十路だな」
勇作「一瞬のようで長かったね、勝そっちはどんな感じ?」
そのまま車でゴールドフィッシュタウンに向かった。車内では今どんなところに住んで、どんな家族構成か、どんな仕事をしているかなど細かく話した。勝がいなくなってからの人生を事細かく。
勇作と建は結婚して子供もいるみたいだ。俺にも彼女がいるが、彼女は結婚願望がないため結婚の話は一切上がらずほっとしている。3人で久しぶりにいると4人でいる頃を思い出して涙が込み上げてきた。バレないように涙を拭った。
9月16日。俺たちは朝イチで入園した。少しゴールドフィッシュタウンを楽しんだ後、「remember me」の入り口にやってきた。
3人とも真剣な表情で説明を聞き3人で話し合った。説明では過去を変えてはいけないと説明された。でも俺たちは過去を変えるために来たんだ、どうなろうと関係ない俺たちの大切な友達を取り戻すために。
勝がバイトを最後の日にするか、女の子に告白する日にするか、そもそもそのバイトの面接を決めた日にするかを話し合った。が俺たちはあの試練を乗り越えていた勝は最高に格好良かったことを思い出した。勝がこの世を去った日にすることにした。バイトが終わるのが夜の11時、その後ファミレスに着いたのが11時30分勝が自殺をしたとされる時間が12時。最大6時間しか入れないので帰る時間も加味して夜の10時に東京都の勝のバイト先周辺に到着するように設定した。みんなで一緒に行くタイプはアトラクションのようにボックスタイプの乗り物に前2人後ろ2人で座れるようになっており時間を設定すると暗い世界に動きだす。そして設定した目的地の周辺のどこかにそれに乗った人たちが座ったまま到着するのだ。例えば同じ公園の番地にそれぞれ着席した状態でタイムスリップしたり、同じ駅のホームのベンチにバラバラにタイムスリップしたりするらしい。
俺たちは1月27日の夜10時に設定し、乗り物に乗り込んだ。アトラクションが走り出した暗い世界に引き込まれた。一瞬四方から引っ張られる感覚になったが目を開けたら勝がいじめられていると話してくれた公園にいた。隣には勇作がいた。建は魔反対のベンチに座っていた。
勇作「多分タイムスリップ成功だな。帰りはここに同じ席に座って腕時計で帰る設定をするんだよな」
建「そうみたいだね、とりあえず勝のバイト姿見に行くか」
勝のバイト先に到着した。勝が笑顔で働いている涙が止まらなかった。あの変わり果てた姿を2度と見たくない一心で俺たちはここにいる。
勇作「そういえばこれ、プレゼント結局開けなかったよね。俺ずっと持っててさまた3人で集まった時に開けようと思ってたら30になってた」
郁人「開けよう、なんだろう。」
開けてみると3人のお揃いの腕時計だった。頑張って稼いだバイト代を俺たちのプレゼントに当ててくれたのだ。おそらく一つ5000円もしない安い腕時計だが大学生の5000円×3は高価なものだ。腕に時計をつけてその時が来るのを3人でまった。
11時勝がバイトを上がり過去の俺たちと合流し、ファミレスに向かった。俺たちは先回りし勝の家の前で待った。
建「翔を助けたらどうなるんだろう。どう未来は変わるかな。俺たち消えてないかな」
郁人「消えてもいい勝が助かるなら。お前ら2人は家族がいるんだ見てるだけでもいい!」
勇作「やめよそういうの。最初から覚悟はできてるから」
郁人「ごめん、そうだな一緒に止めよう。」
待つこと10分勝が帰ってきた、マンションに入っていった勝の後を追いかけた。勝の部屋に勝が入ったのを見てすぐに俺たちも部屋に入った。
勝「あれ?きたの?てかなんかさっきと雰囲気が違う気がするけど気のせいか?」」
勇作「気のせいだよ、早くプレゼントちょうだい」
勝「はいこれ」
勝が俺たちにプレゼントをくれた瞬間、ピロンとスマートフォンの音が鳴った。勝のスマホだった。勝はスマホを確認をした、その瞬間顔がどんどん青ざめていったのがわかった。
郁人「どうした?」
勝「なんでもない!早く戻ってご飯食べよ!先に戻っておいて」
建「一緒に戻ろう」
勝「ごめん、一瞬だけ1人になりたいから先に戻ってすぐ追いかけるから」
勇作「それはできない」
勝「なんでだよ、お願いだから」
郁人「じゃあ、外で待ってるから気が済んだら降りてきて?」
勝「わかった下で待ってて」
俺たち3人はマンションの入り口で待つことにした。出入り口は一つしかなかいので絶対に阻止できると思っていた。
建「1人にして大丈夫かな」
郁人「少しは1人になりたいだろう、でもさっき来たメッセージが気になる」
勇作「俺も思った、明らかに顔が強張ってたし何かあったのかな」
郁人「戻ってきたら聞こう、そして早くファミレスに勝を戻そう」
10分20分待っても戻ってこなかった。さすがに心配になって俺たちは部屋に戻った。鍵は空いていた中に入ったと同時に外でどんという鈍い音がなった。「勝~?もういいか~?」と声をかけてみたが応答話。ベランダの窓が開いている。恐る恐るベランダに出て覗き込んだ、勝が地面に倒れ込んでいた、飛び降りたのだ。俺たちが部屋に入ったと同時に飛び降りたのだ。すぐに119番通報し勝の元に走った。
幸い救急車は5分ほどでやってきた。近くの大きな病院に運ばれ大事には至らなかった。俺たちに残された時間は後5時間だった。管のつながれた勝をみていた。
勇作「このまま目を覚まさないなんてことないよな」
建「信じよう」
病院に来る時、勝の部屋から財布とスマホを持ってきた。スマホを確認してなぜ飛び降りたかを突き止めることにした。勝のスマホのロックは0000だ。開けてメッセージを確認した。最後に「吉岡」というやつから動画とメッセージが送られてきていた。
吉岡:バイトやめたからって逃げられると思うなよ。この動画俺しか持ってないけどいつでも広められるから。
という文言と一緒に動画が送られてきていた。挿画を見てみると。トイレにいる勝に吉岡と思われる声で「ゆい見てオナニーしろ」ゆいは勝が思いを寄せていた女の子だった。女の子の「やめよ」という声も聞こえた。「このくらいやらないとこいつお前のことストーカーするぞ?」その後は勝が何度か殴られ、おナニーするしかない状況になり勝がおナニーをしている動画が続いていた。
俺はいつの間にか涙が出ていたのと同時に、吉岡が許せなく拳を強く握り赤間に餅が上り鼻血が出てきていた。「吉岡を潰しに行こう」
建「でもそんなことして、、、いや行こう」
勇作「まだバイト先にいそうだよな、バイト先に行こう」
俺たちはすぐに勝のバイト先に向かった。案の定まだ数人バイトに残っていた。ゆいがいた、吉岡はどれだろうか。見た目はわからないから彼らが出てくるのを待つ。15分後残っていたアルバイトが全員出てきた。各自挨拶をして解散していったが、ゆいは1人の男と一緒に歩いていた。後ろを追いかけた。
ゆい:勝くんやめちゃったね
男:あいつは逃げた
声が動画の男と一緒だった、あいつが吉岡だ。2人は同じ目的地に向かっているようだし、手を繋いだりひっついたり付き合っているのだろう。
俺たちは声をかけた。
俺は後ろから「吉岡くん!」と声をかけた。吉岡とゆいが後ろを振り返った。
郁人:俺ら勝の友達!勝あいつチキンでさ、よんで来て欲しいって言われて。な?
勇作:そうそう話したいことあるから来て欲しいって。
こんなバカみたいな理由で来てくれるかわからなかったが、いってみたら吉岡はわかったと言って簡単についてきた。ゆいはその場でバイバイし後で行くと言っていた。
人影のない、防犯カメラもない公園の多目的トイレに連れていった。全員入って鍵をかけた瞬間俺は吉岡に殴りかかった。俺はこの日のためにボクシングと柔術を習っていた。何かあってはみんなを守れないと思ったからだ。吉岡は倒れ込んだ。俺は夢中になって吉岡に馬乗りになって殴り始めた。建と勇作が俺を必死に止めた。吉岡はびっくりしていた、「俺が何したってんだよ」と。「お前のせいで勝が自殺した」と伝えた。吉岡は固まったまま動かなかった。
郁人:お前犯罪者だからな。証拠もあるから殺人罪とかで捕まるよなきっと
吉岡:そんなの誰が信じるんだよ。
病院に運ばれた勝の写真を見せた
郁人:親にもちゃんと連絡するし、警察にもいう。知り合いの弁護士使ってお前を訴えるから。
吉岡:ごめんなさい、ごめんなさい、親にだけは言わないでください。なんでもするから
俺たちは吉岡の携帯の動画のフォルダから動画を消した。削除ボックスからも削除した。吉岡の身分証を写真を撮って、証拠を全部揃えた。勝のお母さんに全部証拠を送りどうするかは、勝の両親に委ねることにした。
最後にもう1度勝に会いに病院へ行った。勝お前はかっこいいぞ、俺たちの誇りだ、絶対未来で会おうな。と言葉をかけて現実の世界に戻ることにした。
公園に戻る。
建:現実に戻ったらすぐに勝に電話しよう。
勇作:そうだな絶対生きてるよな
郁人:そう信じよう
建:戻ったらスタッフさんには、会えただけとしか言ったらダメだよ。
そして俺たちは現実世界へ戻った。
一瞬で真っ暗な世界に入り5秒ほど明るい光が差し込んできた。元の世界に戻ってきた。キャストのお帰りなさいの声が聞こえた。俺たちはすぐに「remember me」を出て少し離れたレストランに入った。
勝の電話番号に電話をかける。プルルルル、プルルルル・・・5コール目で電話がつながった。「もしもし」と男性の声が聞こえた。「勝か?!」俺は興奮気味に声を出した。「え、?違います」と。俺は相手に謝って電話を切った。
勇作:やっぱりダメだったか、、、
建:助けたのに、何があったんだろう。
郁人:てか俺らの人生は変わってないか?記憶は何も変わってなさそうだけど。自分の名前検索した方がいいんじゃないか?
2人は世間では有名人に属するので検索すると出てくるはずだ。特に違いはなさそうだ。勇作が急にえっと声を出した。
「俺結婚して2人子供いるんだけど、2人とも女の子だったのに男の子の双子になってる。妻は一緒だ。」写真フォルダを見せてくれた、双子の男の子と勇作と奥さんが笑顔で映っていた。過去を変えたから俺たちの過去が少しずつ変わっていたのだ。
建の今は、小説家になってはいたが結婚して離婚していた。そしてシングルファーザーになっていた。俺は彼女もおらず1人でイギリスに住んでおり、1ヶ月前に仕事をやめたようだ。やっぱり過去は変えられないのかと、3人で話していた。
すると電話が鳴った、知らない番号からだ。仕事関係の人かもしれないと思い電話に出た。「もしもし、郁人どこいる?」と聞いたことのある声だった。「え、誰??」
「は?どういうドッキリ?お前今日本帰ってきてんだろ?ご飯行こうよ勇作と建も一緒??」
え、勝?と聞くと「そうだけど何?記憶喪失ごっこ?」
勝は生きていた、あの後意識が元に戻り吉岡から直接謝られたと。吉岡はゆいと喧嘩をし勝を脅したことを両親にチクられ大喧嘩になり家を出た途端に車に轢かれてなくなったと。
もし俺たちのような人が「remember me」を使って過去を変えたなら、4人で今を生きることができるのかな。
現実を受け止めて生きていく方がいいのかな。このことは3人だけの秘密。墓場まで持っていく誰にも言えない。
【 君のいない世界 】
友達のSNSでたまに見かける、「やっとあたった!」とゴールドフィッシュタウンのチケットと共にストーリーズの投稿。私の友達は社会人で「remember me」を経験できる人ばかりでチケットを手に入れた人はみんな「remember me」に高いお金を出して経験している。でも私は何がいいのかは全くわからないのだ。ゴールドフィッシュタウンには行ってみたい。なぜならばキンピーの友達のエビのシュリンが大好きなのだ。あの世界に行けるならと思うと私はワクワクドキドキが止まらない。チケットも毎月応募している。でも応募し続けて3年私はいまだに当たったことがない。どうしてなんだわたいの愛が足りないのか?家族も行きたがっているのでいつも4枚で応募するのが当たりにくいのか。いや、4人組で行った友達を見たぞなんで誘ってくれないんだ。
初めて応募してから42回目とうとう私はチケットを当てたのだ。しかも4枚で!!私は当選メールを見た瞬間叫んだ、走ってリビングへ行った。
「お母さんお姉ちゃんおじいちゃん、落ち着いて聞いて。」息を切らしながら言う。そう私は社会人4年目でまだ実家という楽園から抜け出せていない女です。姉は結婚しているが旦那が出張が多くよく実家に帰ってくる。父親は仕事で、母の父親(おじいちゃん)も同じ敷地内で住んでいる。夜ご飯はよくみんなで食べるので全員集合していることはわかっていた。
「どうしたの?大きな声出して」と母が言う。「なんと、なんと影山りんとうとうゴールデンフィッシュタウンのチケット4枚当てました!!」
そこにいる全員の顔が同じで目を大きく見開き、声が出ないようだ。「え、それ本当に言っている?」とお姉ちゃんが真剣なトーンで声を出した。私は当選メールを机の上に出して見せた。全員一斉に「やったー!!」と経って踊り出した。同じ血が流れているんだと改めて実感した。
姉「これいついけんの?」
私「12月12日だって!」
母「これお母さん行っていいの??」
私「いいよ!だから4枚で応募したんだから!」
祖父「おじいちゃんも行きたいんだけどいいかな??」
私「もちろん!お姉ちゃんも行くでしょ?」
姉「え、いいの?嬉しい行く!でもお父さんは?」
私「前に聞いたらいかないって言ってたよ」
姉「じゃあいいか、めっちゃ楽しみ~」
私「「remember me」乗りたい人いる?」
と私が聞くと、私以外全員手を上げた。やっぱりみんな乗りたいようだった。
私「どのコースで行く?1人8万円で全員で同じ時間に行くか、1人15万円でそれぞれの行きたいところに行くか。私はいかないけど。」
母「どうするみんなどの時間に行きたい??お母さんはビートルズ来日のライブに行きたいの」
姉「私は自分が生まれる前の時代に行きたい!どの時代でもOK」
祖父「おばあちゃんに会いに行きたい」
私「どの時代のおばあちゃんに会いたいの??」
祖父「亡くなる数年前のおばあちゃんがいいな」
私「じゃあおじいちゃんだけ1人で行って、2人は2人で過去に行ったら?」
母「そうする?お父さん1人で大丈夫?若い頃のお母さんに会わなくて大丈夫なの?」
祖父「色々経験したおばあちゃんが一番好きなんだよ」
母「じゃあお姉ちゃん一緒にビートルズの時代に行こうか。」
姉「うん!楽しみだ~その頃のおじいちゃんたちにも会えるよね」
3人はずっと12月のことを楽しみに夜中まで話をしていた。途中父が帰ってきたが父は「お父さんは怖いな、過去の自分に会ったら消えちゃうみたいなこと誰かに聞いたよ。気をつけてね」と。
でも少し行きたそうにもしていた。
次の日3人からお金を徴収し、振り込みが完了した。これで3人は過去に行けるのだ。チケットが届くのを待つのみ。
私はシュリンに会えることが楽しみで楽しみで仕方なかった。でもそれ以上におじいちゃんがすごく楽しみにしていた。毎日おばあちゃんの話をしていた。思い出の写真を見ていた。
私「楽しみだねおじいちゃん、行く日決めているの?」
祖父「天にも昇る気分だよ。決めてるよ。最後に2人で散歩した日に帰りたいんだ。
私「最後に散歩した日?そんな日でいいの?」
祖父「そんな日がいいんだ」
おばあちゃんは2年前乳癌でこの世をさったのだ。違和感はあったとおばあちゃんは言っていたが、病院にはいかずにずっと小さな違和感と痛みに耐え気付いた時にはステージ4で手の施しようがなかったという。気付いた日は確かおじいちゃんと散歩して、帰ったらおばあちゃんがお家で倒れたんだ。そこからおばあちゃんはあっという間になくなってしまった。病気がわかっても家に帰りたいと望み通いで進行を遅らせた。おばあちゃんはいつの間にか終活を行なっていて、遺書も部屋や荷物の片付けも行なっていてほとんどすることがなかった。
おばあちゃんとおじいちゃんはお互いに23歳の時にお見合い結婚だった。だが18歳の時に2人は出会っていたのだ。おじいちゃんの家は裕福で昔からいいカメラを与えてもらっており、昔から景色や人を撮るのを趣味としていた。休みの日には写真のたびに1人で出ていたのだ。
18歳の夏に金魚で有名な奈良県大和郡山に旅に出ていた。カメラ片手に金魚の街にやってきた。ここを知ったのは父が以前写真を見せてくれたのを鮮明に覚えており、ずっといくのが夢だったのだ。
栄えている商店街の奥に1軒風情のある金魚鉢専門店を見つけたのだ。色とりどりの金魚鉢が入り口に並べられていた。太陽の光が反射してキラキラしていた。光がいろんなところに屈折して異世界に迷い込んだような気分になった。キラキラした光がある中で1人の女の子がこちらを見ていた。僕は一瞬で心を奪われた。目が合った瞬間電流が走ったような感覚になった。目が外せられない。徐々に近づいてくるその子は微笑みながら「これ可愛いですよね?観光できたんですか?」と話しかけてくれた。僕は「綺麗で見惚れてました」彼女のことを咄嗟に言ってしまった。彼女は何も気付いておらず「そうですよね~これ私のお父さんが作ったんですよ!すごいやろ!」彼女は無邪気な笑顔を僕にぶつけて来た。暴力だと思った。その日から僕は4日間の旅の中で毎日その店に通った。彼女も僕のことを覚えてくれ毎回笑顔で寄って来てくれたのだ。3日目僕は勇気を出してコーヒーを飲まないかと誘ってみた。彼女はとても嬉しそうな笑顔で行く!と言ってくれた。昼過ぎに近くの喫茶店に入り僕たちはコーヒー1杯で3時間以上も滞在していた。その間話が途切れずずっとお互いの生活や趣味などについて話していた。話に夢中になって気付いたら5寺のチャイムが鳴り始めた。彼女は「そろそろ帰らなあかん」と言ったのだ。寂しいと思った。「明日何時の電車に乗るん?」と彼女が少し寂しそうに聞いてきた。「お昼の12時5分発の電車に乗らないといけないんだ。」
「明日私朝から習い事があって店にいないんよな、今日が最後や」と彼女。僕はこれ以上一緒にいると彼女を抱きしめてしまうと思い冷静を装い「そうだね、短い間だったけどありがとう」と簡単に済ませて店を出た。店の前でさよならをした。僕は彼女の後ろ姿をカメラに残した。
次の日、宿を10時に出て念の為彼女の店の前を通ったが別の店員さんに会釈された。やはりいなかった。駅の近くの定食屋でさば定食を頼み出発までの時間を駅のホームで待った。
12時に電車がホームへ着いた。僕は電車に乗り込み時間が過ぎるのを待った。12時4分車掌さんが点検を始め出発の準備が始まった。電車が出発する音が鳴る、遠くから待ってというう声が聞こえた。振り返ると彼女が走ってきた。窓を全開にし「君が好きだ、ずっと好きだ、あたいつか会える日を楽しみにしている」と口から勝手にスラスラと出てきた自分に驚いた。彼女も「絶対絶対よ!約束ね!」笑顔だった。僕はすぐにカメラを構えて彼女を写真に収めたのだ。
そこから5年という月日が経った。僕は親の会社を継ぎ毎日を忙しくしていた。心のどこかに彼女がいるものの仕事のことで頭がいっぱいだった。23歳の夏、僕は彼女に会いに行くことにした。1泊2日の弾丸で一眼だけでも見たくて奈良県に向かった。夕方に到着し彼女のお店に向かった。店員さんに彼女はいるかと聞くと、高校卒業と同時に上京したと。ほとんど連絡もなく今どこに住んでいるのかも両親もわからないと。
僕の世界から色がなくなった瞬間だった。あのキラキラしていた金魚鉢も白黒に見えたのだ。僕はすぐに帰路についた。もうどうにでもなってしまえと。
奈良県から帰宅してから私はがむしゃらに働いた。夏が終わろうとしていた頃、父親に縁談の話を持ち出された。僕は誰でもいいと思った。名前も写真も確認せずお見合い当日を迎えた。相手が指定して来た場所に向かった。下町の喫茶店だった。入って一番奥の席で黄色いワンピースを着ているという情報だけを頼りに向かったのだ。
「喫茶 金魚」の看板が商店街の通りに出ていた。金魚か、、、と呟いた。中に入って黄色いワンピースの女性を探す。すぐにわかった、彼女が座っている部分だけが光っていた。運命だった。また僕の毎日に色がついた。咄嗟に首からかけていたカメラを覗き込みシャッターを切った。
シャッター音に彼女が気づいた。彼女はあの笑顔でこちらを見ていた。そこからまた時間を忘れて話し続けた。今回はスイーツも注文して、コーヒーがなくなればお代わりもした。その後の僕たちはトントン拍子で結婚までたどり着いた。子供にも恵まれ、夫婦仲も良くずっと恋人気分が抜けられないまま歳をとっていた。
子供達が結婚し家を出た。長女が妊娠をしたとき、家の敷地に一緒に住みたいと言ってくれた。私の実家の敷地に私たち夫婦の新居をたて家族を作った。そして私の育った家に娘家族が住んでくれる。私はいい娘を持った。この提案は娘の旦那さんがしてくれたという。娘の旦那は家族関係がそこまで良くないみたいで、私たちの親子関係を大切にしてくれていた。そこから孫が生まれ一緒に育て幸せな日々を送っていた。
孫娘も大きくなり成人して、寂しいねと妻と話していた頃僕たちの趣味は河川敷を歩くことだった。ほぼ毎日買い物ついでに2人で散歩に出掛けていた。僕たちが出会った夏がやってきた。夏は暑いから散歩は控えてたが妻が「今日はどうしても散歩に行きたいの」と言って来たのだ。僕は驚いた。妻は暑さに弱くすぐにばててしまうので夏の散歩は基本僕からの提案が多かったのだ。また暗くなる前に行きたいというのだ。僕はびっくりしたがちょうど散歩したいと思っていたので、カメラを首からかけて少し涼しくなる16時ごろに家を出た。やっぱり外は暑い。妻はあの日着ていた黄色のワンピースを着ていた。妻はとても幸せそうだった。終始笑顔だった、河川敷に1列に咲いているひまわりを見て喜んでいる。僕はカメラで彼女を何枚も撮った。1時間ほど散歩を楽しんだ後「今日はそうめんなんかどう?」と夜ご飯の話をしながら家に帰った。玄関で靴を脱いでいる時彼女が急に胸を掴んでしゃがみ込んだ。「大丈夫よ」と言っているが動けていない。僕はすぐに救急車を呼んだ。妻は乳癌だった。ずっと隠していたのだ、痛みを隠して生活をしていたのだ。そこから妻は日に日に細くやつれていった。入院はしたくないの一点張りだったので通いでの治療と言ううなの進行を遅らせるだけの通院が始まった。「こんな私もちゃんとカメラに収めてね」と妻が笑顔で言う。高校生の頃の彼女に見えた。私はそこから彼女の辛い顔も、幸せそうな顔も、うたた寝している顔も撮った。
倒れた日から3ヶ月と10日で彼女はこの世をさった。家のベットで家族に看取られて。また私の色のない生活が始まった。一生キラキラした世界で生きていられると思ったが神様は僕に意地悪だと。どこかの歌手が歌ってそうな文字が浮かんできた。そんな僕を娘家族が励まし楽しませてくれた。特に孫娘のりんは毎日僕とご飯を食べてくれ、妻の話をしてくれ一緒に泣いた。りんは両親が共働きで学生の頃は僕の家に帰って来ていた。娘のようなものだ。
最近ニュースで見た「ゴールデフィッシュタウン」の「remember me」が気になる。過去に戻ることができるとニュースで見た。りんに教えてもらいYoutubeで「さかな番長」の実際の感想を聞いた。もう1度妻に会えるなら全財産を使ってもいいそう決意した。でもここは抽選というう公平な世界だった。ちょうどりんがゴールドフィッシュタウンの大ファンで毎月応募しているのを知っていた。いつか、私が生きている間に80歳にならないうちに抽選に当たるよう願いながら毎日を生きていた。
りんが大声でリビングにやってきた。当たったのだと。ゴールドフィッシュタウンのチケット4枚。僕も連れていってくれると。しかも79歳最後の日にだ。「remember me」も申し込んでくれた。私は最後に2人で散歩した日と、その前日に戻ることにした。前日は私は朝から旧友と会うからと言って夜遅くまで出かける用事があったので少し抜け出してきたと言って家で対話できると考えた。その後は最後の散歩をこっそり陰から見るだけでいいのだ。楽しみで仕方がない。
とうとう12月12日がやって来たのだ。前日にゴールドフィッシュタウンのホテルに泊まり次の日に備えた。当日朝早くに起きて4人で入場した。私は3人を見送った。母と姉は2人でビートルズ来日の時代に、祖父は数年前に1人で行く。私は3人がドッペルゲンガーにうっかり会ってしまわないかが心配だったが、自分が近づくと腕時計が振動で教えてくれるとしり安心した。母と姉はドキドキして口が止まっていなかった。祖父は真剣な表情で当時の写真に目をやっていた。3人を見届けて私は1人でゴールドフィッシュタウンを楽しんだ。乗り物も写真撮影も最高に楽しんだ。シュリンのグッズを見つけるたびにたくさん買ってしまった。ご飯もシュリンの見た目のカレーと、ドリンクをオーダーし最高の気分だった。
時計を見ると14時30分だった。そろそろ母と姉が戻ってくる時間だ。私は「remember me」まで足を運んだ。するとちょうど帰ってきた2人が出てきた。2人は興奮をしておりずっと話していた。
母「本当にに過去に行ったわ!」
姉「これが現実かと思うと信じられない、あんた後悔するよ」
母「お父さんとお母さんにも会ったけど、涙が止まらなかったわ」
姉「そんなことより加山雄三がイケメンすぎた」
母「私たちの服装少し浮いていてたくさん見られたの」
とずっと話をしてくるので近くのカフェに入った。2人は1時間以上その話をしていたが本当に楽しかったよう。2人が落ち着いた頃に少しこの施設を楽しみたいと。20時くらいにおじいちゃんが戻ってくると考えてそれまでは他を楽しむことにした。私は少し胸騒ぎがした。昨日寝る前におじいちゃんがぼそっと言っていたことを思い出した。「戻ってこれないかもしれない」と言っていた。寝ぼけていたのか、聞き間違いかわからないがそのことが頭から離れなかった。
20時「remember me」の横のカフェに来た。そこから出てくる人が見れる。30分経っても出てこない。すると電話が鳴った。「remember me」のキャストからだった。
「影山りんさんのお電話で間違い無いでしょうか?remember meのスッタフの高田と申します。帰還1時間前になってもお連れ様の吉岡収(ヨシオカシュウ)様と連絡が取れずご連絡させていただいています。一度「remember me」までお越しになっていただけませんでしょうか?」
「目の前のカフェにいるのですぐに向かいます。」
母と姉に説明し、「remember me」に3人で行く。高田さんは「remember me」の責任者のようで連絡が取れないことはよくあることだが、だいたい残り時間30分には返信が来ると言う。
「これもし時間までに帰ってこなかったらどうなるんですか?」と母が真剣な面持ちで質問する。「過去にそのような人はいなかったので、研究段階の話になるのですが。戻ってこれなくなるか、過去と現在の間の暗い世界に行ってしまう可能性があるという結果は出ています。これはあくまで研究段階の話です。ですが「remember me」は日々進化しています。なので恐らくその時代に取り残されてしまう。その間に誰かに見つけていただいて連れて帰って来てもらうという形になるかと思います。後は過去の自分に会ってしまうと消えてしまいます。その前に見つけなければいけません」私たちは開いた口が塞がらなかった。
「なので一旦21時まで待ちましょう」と高田さんが。おじいちゃんなので使い方がわからないだけで、タイムトラベルを楽しんでいるのかもと励ましてくれた。
21時10分。祖父は帰って来なかった。
「remember me」のスタッフが騒がしく動き始めた。21時20分高田さんが私たちのところに来た。「緊急事態です。実は先ほど申し上げれなかったのですが、12時間を過ぎると腕時計の機能が低下しほぼただの時計になります。なのでもし21時1分に収様が扉を開こうとしても開けないのです。」私は急に体が震え出した、レビューなどによると扉でのタイムスリップは扉と扉の間に黒い空間がありそこに落ちるともう終わりだみたいなのを見たことがある。
「ですが先ほどほんの少しですが通信ができGPSを確認しました。ちゃんと戻った時代にいましたので安心してください。ただご本人が近づいた際の通知が届かなくなるので、早く連れて帰って来ないといけません。そこでご家族の誰かがその時代にいき連れて帰って来ていただきたいのです。」私たちの3人のうち誰かが?もし見つけられなかったら?おじいちゃんが目の前で消えてしまったら?など頭の中をぐるぐる。
「娘様が行かれますか?と高田が。「私?私で大丈夫かしらどの時代に行くかすら知らないわ。お姉ちゃんどう?」
「りんあんたが行きなさい。あんたが一番おじいちゃんのことを知っている、わかっている。私とお母さんは正直戦力外よ。あんたしかいないの。」姉の力強い言葉。そう、姉はいつも正解を導いてくれる人なのだ。今までどれだけ助けられて来たことか。その姉の言葉だ信じよう。私ならできる。ずっとおじいちゃんと一緒にいたのだから。
「わかった、行く。おじいちゃんに会いに行く。連れて帰ってくるよ。」
そこから高田さんが淡々とタイムトラベルの説明をしてくれた。ただ普段のタイムトラベルと違うことがあると。「今回は「remember me」の時間外活動になります。こちらとしてもどうなるかは正直わかりません。なのでできるだけ早く戻って来てください。危ない何か違和感を感じたらすぐ扉を開けてこちらに戻って来てください。必ずですよ。制限時間が12時間1時間おきに連絡してください。15分返信が遅くなったらこちらのスタッフを送り込みます。その人たちの命もかかっていることを理解してタイムトラベルを行ってください。」私は全てメモに取り覚悟を決めた。母と姉高田さんその他のスタッフに見守られ、私重い扉を勢いよく押し過去に飛びこんだ。
おじいちゃんは1回目のタイムトラベルを終えるとすぐに戻って来たという。そこは1時間ほどだったと。2回目のタイムトラベルは最後のおばあちゃんとの散歩だと言っていた。時間を逆算すると入院した日の夜中に着くはず。案の定空は暗く時計を見ると3時35分だった。ここから1時間おきに連絡をしなくちゃけない。通知を設定した。今おじいちゃんはどこにいるのか探さねければいけない。出て来た扉は家の近くの公衆トイレだった。記憶を遡ろうその日は全員夜には家に帰っていたはずだ。おじいちゃん病院で付き添っていたかな?記憶が曖昧だ。一旦おじいちゃんの家に行ってみた。家族は寝ているはずだが恐る恐る裏口から入った。おじいちゃんはいなかった、病院にいるんだ。おじいちゃんがこんな時間にどこに行くかを考えなくちゃ。まだ時間はある病院に行ってみよう。病院には当時のおじいちゃんがいた、ソファで寝ていた。他の階も行けるところはくまなく探した。いなかった。そうこうしているうちに1時間経った。まだ見つけられていないことを連絡しまた探し始めた。外が明るくなって来ている。私は最後の散歩の河川敷に行った。到着するとまた1時間経っていた。連絡をしたまだ見つからない。特に異常なし。夏は朝方でも暑く汗ばんできた。ランニングしている人もちらほら見える。「おじいちゃーん!!どこ!!?りんだよーーー!!」大きな声で叫んだが応答はなし。残り時間10時間を切った。私は思いつくところ全部に行った。おじいちゃんの友達の家に行ったり、2人が再開した「喫茶金魚」にも行ったがどこにもいなかった。その間に5回も通知が来た。残り5時間だ。私は途方に暮れてまた河川敷に戻ってきた。もう行けるところはない、おばあちゃんの実家まで行かれていたら無理だ奈良県なんて今から間に合わない。でもおじいちゃんはそんな遠くには行かないはずだ。病院にすぐに行ける距離にいると思う、ただの感だが。どんどん気温が暑くなってきて私はおじいちゃんとよく行っていた駄菓子屋でお菓子とジュースを買った。近くのベンチのある公園に来た。小学生の頃ここでおじいちゃんと夜遅くまで遊んだな~と思い出に浸っていた。8回目の通知だ。あと4時間だもう会えないんじゃないかともうおじいちゃんは帰って来ないんじゃ無いかと思い始めた。そういえば高校生の頃、友達関係がうまく行かなくなって学校をサボってこの公園でぼーっとしていたらおじいちゃんが通りかかって声をかけられた。
「りんどうした?サボりかー?いいところ連れて行ってあげよう」と行っておじいちゃんに河川敷のずっと先に連れて行かれたことがある。河川敷のずっと先には小さな原っぱがあった。そこにはたんぽぽや菜の花が咲いていてそれ以外は何もない。
「ここはおじいちゃんが子供の頃からある場所で、うちの土地なんだ。ここは辛いことや悲しいことがあったらぼーっとしに来るために私の父親が何もしないでとってある土地なんだ。」と話してくれた。そういえばおばあちゃんが入院した次の日おじいちゃん家にも病院にもいない時間があった。その日もすごく探した、自殺したんじゃ無いかと思って血眼になって探したら夕方ケロッと帰って来たんだ。そうかおじいちゃんはあそこにいるんだ。私はまた河川敷に戻ってあの原っぱに向かった。どんどん陽が登ってきて汗が止まらない、そんなことよりおじいちゃんを助けなきゃ。足を止めてはいけない、おじいちゃん、、、、30分かけて原っぱに来た。涼しい風が吹いている、おじいちゃんはいない。もう無理だ待ってみるしかないそう思っていると遠くからおじいちゃんが歩いてきた。「おじいちゃん!!!」と大きな声で叫ぶ。「りんか来てくれたのか」。このおじいちゃんはタイムリップしているおじいちゃんだ朝見送った服と同じ服をして腕時計もしている。「ねえ何してるの早く戻ろう?お母さんもお姉ちゃんも心配しているよ!」
「私この世界に入れる時間限られているの、おじいちゃん戻れなくなるかもしれないよ?」そんな言葉でおじいちゃんをなんとか連れて帰ろうとした。
すると遠くの方からこの時代のおじいちゃんが歩いて来ているのがわかった。
りん「おじいちゃんはやくいこ!!」
祖父「僕はもう帰れない」
りん「なんで?私おじいちゃんがいないなんて無理だよ」
祖父「ありがとうりん」
どんどん過去のおじいちゃんが近づいてくる。
りん「とりあえずここを移動しよう?」
祖父「もういいんだ」
りん「何がいいの?ダメだよ」
祖父「僕はおばあちゃんがいないとダメなんだよ」
りん「でもでもでも!私もおじいちゃんがいないとダメなの」
涙が出てくる、心臓がうるさい、加速する脈
りん「お願いおじいちゃん私の前からいなくならないで」
りん「もうおじいちゃんが近づいてきてる、ここから離れてから考えよう?」
やばい、あと10メートル、9メートル、8メートルおじいちゃんがゆっくり近づいてくる。助けて、私がチケットなんか当てなければおじいちゃんは
祖父「りんごめんね、大好きだよ」
おじいちゃんは後ろを振り返った、過去のおじいちゃんと目があった。その瞬間嫌な音がなった不協和音だ。
おじいちゃんが目の前から消えていく。私は叫んだそのまま気を失った。
気がついたら現実世界に戻っていた。お母さんとお姉ちゃんがいた。
りん「おじいちゃんは!?」
母「スタッフさんがあなたと連絡が取れなくてすぐに連れて来て帰ってくれたのよ」
りん「え、」
姉「おじいちゃんは?」
私は今までのことを説明した。目の前で消えたこと、おじいちゃんはおばあちゃんのいない世界では生きれないと言ったこと、全部全部。姿形のないおじいちゃんのお葬式はできなく、おじいちゃんの友達にも説明ができなく失踪したことにした。
おばあちゃんのいない世界では生きていけない、おじいちゃんのように人を愛することができるのだろうか。母は父がいなくなってもお気楽にやっていけそうだし、お姉ちゃんも旦那さんがいなくなっても楽しくやっていけそうだ。
おじいちゃんはおばあちゃんのいる時間で、世界で消えたかったんだね。
私はまたゴールドフィッシュタウンのチケット抽選に応募し始めた、おじいちゃんに会うために。