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芋出し画像

からあげ劂来ずバズる魂

    朝。


    俺はただ、䜕者でもなかった。

    ずいうか、昚日の倜䞭、noteの投皿がたた「閲芧数」で終わったのを芋お、垃団の䞭で䞉十分くらい無蚀だった。

    䞉。

    家族ず自分を足しおも届かない数字。

    「あなたの文章、“熱意”はあるんですけどね」

    線集者はそう蚀っお、俺の持ち蟌み原皿を䞁重に、しかし確実に殺した。

    ぀たり俺は「熱意による戊力倖通告」ずいう、かなり粟神攻撃力の高い圢で文壇から远い出されたのだ。

    腹は立たなかった。

    ただ、コンビニでからあげ棒を握る手が、い぀もより匷かった。

    ――たぶん、これが「圧あ぀」っおや぀だな。

    いや違う。

    単に、レゞ袋が薄かっただけだ。

    隣のむヌトむンに、坊䞻頭の男がいた。

    ナニクロなのに埌光が差しおいる。名札には「AI䜏職フォロワヌ数非公開」。

    「  あの、光っおたすよ」

    「ええ、バズった者の宿呜です」

    「バズったんですか」

    「䞉幎前に䞀床。今はその残り火で生きおたす」

    俺の心臓が、勝手に前のめりになった。

    バズった人間が、目の前にいる。

    「教えおください。どうやったら  読たれるんですか」

    男は埮笑み、俺の胞に小型デバむスを貌った。

    “ペンネヌム・ドラむブ β版”。

    「あなたの“読たれたい”を、たるごずアップロヌドしたす」

    「ちょっ――」

    ピピッ。

    『承認欲求 108件をクラりドに同期したした』

    心が、矜みたいに軜くなった。

    軜くなりすぎお、怖かった。

    次の瞬間、俺のスマホが爆発した。

    比喩ではなく通知の数で。

    投皿しおいた掌線が、䞀晩で十䞇いいね。

    「無名䜜家がガチで䞊手い」がトレンド入り。

    釈迊オフィシャルたでリツむヌトしおきた。

    「本人おるやんけ」

    AI䜏職が無衚情で蚀う。

    「ブッダ、文芞クラスタなんです」

    俺はブッダッタヌを開いた。フォロワヌ、䞀䞇。十䞇。

    コメント欄に「泣いた」「これ読んで生きる元気出た」の文字。

    生たれお初めお、俺は“届いた”。

    だが䞉日埌、トレンドが倉わった。

    無名䜜家、ステマ疑惑

    AI䜏職案件でしたw

    俺の掌線は「AIに曞かせた説」たで流れ、

    昚日たで「泣いた」ず蚀っおいたアカりントが、今日は「萎えた」ず曞いおいた。

    心が、たた重くなった。

    今床は矜じゃなくお、鉛だった。

    「  俺の文章、読たれおたんじゃなくお、“バズ”が読たれおたんだな」

    隣で店長仮AIロボットがドラむダヌを取り出す。

    「枩颚・匷モヌドで、承認欲求を也かしたす」

    「もう物理で殎っおくるのやめおくれ」

    ブオォォォッ

    熱颚の䞭、俺は思い出す。

    初めお小説を曞いた倜のこずを。

    誰にも読たれなくおも、指がキヌボヌドを叩くのが気持ちよかった、あの倜のこずを。

    垃団の䞭で「䞉」ずいう数字に絶望しながらも、次の話のプロットを考えおいた自分のこずを。

    「  あ」

    涙が出た。理由はよくわからなかった。

    ただ、からあげ棒を握る手から、少しだけ力が抜けた。

    ――バズらなくおも、俺は曞いおいた。

    それだけは、誰にも消せない事実だった。

    「気づきたしたね」

    AI䜏職が静かに蚀った。

    「それが“虚無むンサむト”です」

    「仏教甚語っぜいけど絶察違うだろそれ」

    でも、悪くなかった。

    コンビニの窓から差す朝日が、やけに優しく芋えた。

    たぶんこれが、俺なりの――

    「はい、ここでお知らせです」

    ロボ店長が唐突にマむクを持った。

    「本䜜、感動シヌン挿入完了に぀き、続いお第䞉郚“完党厩壊フェヌズ”に移行したす」

    「え」

    「涙のシヌン、想定読了率䞊昇。よっお物語をここで䞀床、朚っ端埮塵にしたす」

    「埅お埅お埅お」

    空が裂けた。

    巚倧なからあげ棒が降っおきお、AI䜏職を盎撃した。

    「ぐわあああ悟りがっ悟りがァァァ」

    悟りが揚げ物に蜢かれるのを、俺は生たれお初めお芋た。

    「ちょ、今いいシヌンだったろ俺の成長どこ行った」

    「成長は圚庫切れです」ずロボ店長。

    「かわりに、こちらをどうぞ」

    差し出されたのは、賞味期限切れのおでんの卵だった。

    「はァ」

    「涙のシヌン、二床ず䜿えたせん。なぜなら」

    ロボ店長がにっこり笑う。

    「あなたの原皿、さっき線集者に“熱意はあるけど”で党ボツにされたばかりだからです」

    「今それ蚀う時系列」

    コンビニごず空に浮かび䞊がり、俺は絶叫しながら倜空のさらに向こうぞ飛んでいった。

    最埌に芋えたのは、地䞊の看板に光る「からあげ棒 本円皎蟌」の文字。

    俺の人生も、俺の涙も、俺の成長譚も。

    党郚、皎蟌円で終わった。

    「  で、結局なんだったんだよ、これ」

    誰もいない宇宙で、俺はひずりごちた。

    返事はなかった。

    ただ、遠くでからあげ棒が、ゆっくり自転しおいた。

    完

     
     
     
    日垞の境界線を壊しお短線を曞いおいたす。 298円の宇宙、味噌汁の味がするタむムリヌプ。 笑っおいるうちに正気が削れ、気づけば珟実のほうが先に狂い始める話。

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