
ゴリ雄くんとゆめちゃんの青空ねんきん教室Vol.002
1 年金請求手続編~遺族年金(2)
社労士の明日山は、ゴリ雄から渡された年金の書類にじっくりと目を通した。1枚1枚、裏までていねいに確認していく。わずか数分のうちに、書類に書かれた内容をすべて理解したようだった。
ゴリ雄とゆめはジュースを飲む手を止め、かたずをのんでその様子を見つめている。
やがて、明日山は顔を上げて口を開いた。
「ゴリ雄くん、おじいちゃん、すごいね。会社員として50年以上も真面目に働いてこられたんだ。だから、これだけの額の年金をもらえていたんだね。本当に立派な方だよ」
明日山はそう言うと、『令和8年度分 年金額改定通知書』など、すべての書類をゴリ雄に丁寧に返した。
「これはとても大切な書類だから、失くさないようにしっかりしまっておくいようにしてね」
ゴリ雄にそう言い聞かせたあと、明日山は少しトーンを落として問いかけた。
「ところでゴリ雄くん、ひとつ質問してもいいかな?」
「はい……」
ゴリ雄が少し緊張した表情で身構えると、明日山は優しく続けた。
「亡くなった人の家族がもらえる『遺族年金』について、世間で一番多い“勘違い”って何だと思う?」
「うーん……年金のことはほとんど知らないので、全然見当もつきません」
困り果てたゴリ雄の顔を見て、明日山は諭すように静かに言った。
「一番多いのはね、『もらえる金額』の勘違いなんだ。
多くの人が、『亡くなった人がもらっていた年金の、4分の3がそのままもらえる』と思い込んでいる。でも、実はそうじゃないんだよ」
(つづく)