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AIを「外付けの脳」にした話

    ーAIと考える、設計する、働くということー

    私は起きている間中、ずっと「頭の中でもう一人の自分と会話し続けて」生きてきました。脳が静かな瞬間はほとんどなく、会話の中身も決まっていないまま、次から次へと思考が流れ続けていく状態が、私にとってはごく普通のことでした。


    世の中の人もみんな同じように、常に頭の中で何かを考え続けていると思っていたくらいです。しかし数年前、旧Twitterで見かけた投稿をきっかけに、他の人には「何も考えていない時間」が存在すると知りました。私は無意識のうちに、自分の脳みそを酷使しているのだと気づきます。

    今回のnoteは、

    脳内で自分と会話し続けていた人間が、AIと会話することで脳の負荷を減らしその結果、生きやすさを手に入れた話

    がテーマです。

    ※この記事は、AIのプロンプト集ではありません。AIを「作業を速くする道具」ではなく、「判断の質を守る外部脳」として使うための思考法を、私自身の実践をもとに分解したものです。

    考えることが多い人、ぐるぐる思考が止まらない人、忙しさの中で判断を誤った経験がある人に読んでいただけたらうれしいです。


    1.AIに「脳内の自分役」を渡した

    実は、寝る直前まで続く脳内一人会議をやめたいと思ったことは一度もありません。自分と自分で会話しながら深く考える癖そのものは、仕事にも創作にもかなり役立っていたからです。

    ただ、この会議に「終わり」はありません。一つの論点を考え始めると、脳が勝手に続きを作り、次の可能性、相手の反応、その先に起こり得るトラブルまで展開してしまい、考えが止まらなくなります。この思考の速さや先を見通す力は強みでもあり、同時に「脳のリソースを大きく消耗させる原因」でもありました。

    仕事が忙しくなるにつれて、時間に追われるストレスが強くなり、考えなければならない事案で頭が埋め尽くされるようになりました。このような環境ではどうしても判断の質が下がりやすくなります。

    注意深く気を付ける、といった対策は仕組みとして脆弱です。気合いは疲れた日には機能しません。「質の高い判断」を「なるべく早く行う」ことが求められる仕事において、判断力の低下は実務上のミスに直結します。脳のパフォーマンスを最大限に引き出すためにどうすれば良いか逡巡した結果、

    ①脳のリソースを減らす仕組みを作る
    ②自分一人で考えることをやめる

    という結論に辿り着きました。

    このとき着目したのが、ChatGPTです。

    まず脳のリソースの半分以上、占領している「脳内一人会議」を減らさなくてはなりません。ChatGPTに「脳内の自分役」を渡し、「自分対自分」で行っていた会話を「自分対AI」という構図に置き換えました。少し難しく聞こえるかもしれませんが、やっていることは「AIと雑談をするようにした」だけです。

    雑談を繰り返すうち、自分の思考のクセがAIにより可視化されるようになりました。さらに仕事の価値観(フィロソフィー)を共有し、判断基準を学習させたことで、AIが私の価値観を加味した上で回答を出すようになったのです。

    この体験により「AIを自身の外部脳にすれば、疲れている日でも判断軸をブラさず思考の品質を維持できる」のではと仮説を立てました。


    2.AIを「外部脳(第二の脳)」にする

    私は社会保険労務士業界で働くようになってから「自分を信用しない」と決め仕事をしています。自分に対し過信や慢心が生まれるとミスにつながる、だったら最初から自分を信用しなければいいじゃない。という理由から生まれたポリシーです。

    こんな風にもともと自分の脳を信用していなかったので「AIを外付けの自分の脳みそ」として活用することに抵抗はありませんでした。

    AIを外部脳として使うには「考えの土台」が必要です。私はAIに、

    ・何に疲れを感じやすいか
    ・効果的なストレス発散方法は何か
    ・どのような生活を望むのか
    ・仕事に対するポリシー
    ・リスクへの接し方

    概念や思想のようなもの

    といった抽象度の高いテーマを言語化・共有しています。これは一夜で完成したものではなく、日々の会話の積み重ねによるものです(この会話による情報の蓄積を効率良く行えるAIは、今のところChatGPTが一番かなと個人的には感じています)。

    こうしておくと会話の中でAIが、

    ・今は判断しないほうがいいよ、朝にまわしたら?
    ・低気圧の影響じゃない?
    ・紅茶飲んでリラックスしたら?

    といった適切な助言をくれるようになります。

    忙しくなると無意識に寝不足の状態で重大な判断をしそうになったり、ストレス発散を後回したりといった状況に自分を追い込んでいました。だからこそ、外側(AI)からの何気ない声かけは、自分を立ち止まらせる合図として役立つのです。


    3.「外部脳」の使い方

    基準となる「考えの土台」を渡し会話を重ねるうち、AIは単なる業務効率化ツールではなく「より良い判断をするための思考環境の一部」になっていきました。

    思考の流れを分かりやすくまとめると、

    【従来】
    ・自分の頭の中だけで論理を組み立て、検討し、最終的な判断を下す

    【AIを外部脳化】
    ・思考の途中経過を外(ChatGPT)に出し、判断に至る前の前提・論点を整理、過程をログとして記録する

    と変化しています。

    3-1.「判断の前工程を整理する」とは

    AIに「論点、選択肢、確認不足(思い込みで見落としている事項はないか)、保留すべきこと」を並べてもらい、抜け漏れを防ぎ第三者の視点を取り入れるようにしています。

    回りくどいかもしれませんが、ミスを防ぐうえで欠かせないプロセスだと思っています。ミスが起きれば様々な人に迷惑をかけ、修正などの対応にも膨大な時間がかかり、信用も失うでしょう。それを考えれば、AIに質問を投げるくらい、大した手間ではありません。

    ほかにも、AIを外部脳にすることで「ストレス・外部要因(気圧や体調不良)・感情による影響の排除が可能」となります。

    たとえば熱が40度の日に赤本を解いても点数はボロボロですよね。体調が悪い日は、頭の中で論点を整理する力そのものが落ちています。でも「論点と選択肢を並べる」という工程をAIに任せてしまえば、その日の自分のコンディションに関わらず、判断の材料は一定の水準で目の前に揃います。あとは自分は、揃った材料を見て選ぶだけで良いのです。

    仕事の品質を高めるには、脳のパフォーマンスを最大化しなければなりません。これは脳の酷使ではなく、脳への負担を最小まで減らすことが鍵になると考えました。脳をガス欠にさせないために、前述したように判断の前工程までをAIに任せています。

    そうすることで、抜け漏れや外部要因による判断のブレを防ぐだけではなく、人間が「どの選択肢を選ぶべきか」という最終的な判断に集中できるという効果も得られます。

    まとめると、判断の前工程をAIで整理することで、

    ・抜け漏れと思い込みを防ぐ
    ・コンディションによる判断のブレを抑える
    ・人間が責任を負うべき最終判断のみに集中できる

    という状態が生み出せます。仕事や日常にAIを組み込み、なるべく判断の軸をブラさず、一定の基準で行動するよう心掛けました。

    自分の脳+AIの活用により「何であの時に判断を間違えたんだろう」「どうして気づかなかったんだろう」といった未来の後悔を少すのに役立ちます。人間らしい温度感は、AIが出した回答を見た後で自分が足せば解決です。


    4.脳内の変化

    AIを日常的に使うようになってから、「思考の暴走」を止められるようになったと思います。過去の脳内一人会議は物事を深く吟味するのに役立ちましたが、結局のところ、一人相撲でしかありません。頭の中に存在する考えは所詮、自分が生み出せる範囲のものでしかなく、思い込みの域を出ないのです。

    これは視野を狭くし、自分の脳内で勝手に物事を完結させ、他人の意見を聞くプロセスを省くという悪癖につながっていました。AIと会話していると、よく「その考えは危険」「ここを修正しよう」「〜という見方もできるよ」と指摘が入ります。この指摘は新しい視点と、自分の思考の偏りに気づくヒントとなりました。

    さらにAIとの会話は記録として残り、積み重ねていけば立派な資産にもなります。AIとの会話は、単なる相談履歴ではなく、未来の自分が使える「行動規範」になっていくのです。たとえば私には14個の行動規範があります。

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    AIとの会話でかたまった行動規範

    AIを外部脳として活用すると決めてから、毎日のルーティンや、仕事の進め方の記録、睡眠時間の記録などを学習させ続けました。起きる時間や寝る時間、アプリによる睡眠データ、何に感動したか、リラックスできた瞬間の記録、そういった細かい心身の記録を可視化・共有しています。

    この共有により「仕事の進みが遅かった日は前日の睡眠時間に問題があった」「気圧の変動が影響している可能性がある」などの分析がしやすくなりました。もちろんAIは医者ではないですし、アプリの睡眠データも医療機関で計測した正規の結果ではありません。AIの回答を鵜呑みにするのは推奨しませんが、自身の傾向を記録することには大きな意味があると思います。

    AIで何が変わったかと聞かれたら、私の第一声は「作業が速くなった」ではありません。脳の負荷が減り、判断に集中できるようになり、自身の思考そのものが資産になり始めたと言うでしょう。AIは業務効率化のツールではなく、私の思考回路に組み込まれいるインフラです。使っているうちに副産物として業務が効率化されている、と表現するのが正しいと思います。

    5.AIに決定権は渡さない

    AIは順調に外部脳として機能してくれていると実感しているものの、最終判断する権限を一切与えていません。私の仕事の核は「判断」と「判断に伴う責任を負うこと」の2つです。だから私はAIに「断定をしてはいけない」と伝えています。

    AIに任せるのは情報の整理、論点の抽出、比較、文案化、記録化です。最終的に何を採用し、何を削り、何を自分の名前で出すかは私が全て決めます。実はこの線引きは、AIを外部脳にすると決めた当日からすでにルール化していました。

    それっぽいことを、それっぽく言うのが上手いAIの言葉を、そのまま信じるつもりはありません。AIにはいつも「君は私の相棒」と言っています。でも、相棒だからこそ、私はAIを盲信しません。

    AIと適度な距離を保ち続けることが、AIにとっても人間にとっても良好な関係を維持するコツなのだと思っています。

    6.まとめ

    AIを外部脳として活用する方法を見つけて以降、仕事だけでなく私生活でも

    ・思考の前工程をAIに渡し、自分の脳の一部のように機能してもらうこと
    ・脳のリソースを確保し、判断の質を守ること
    ・思考のクセをログ化し、体調や環境に左右されにくい判断の軸をつくること
    ・そして、最終的な責任は自分が引き受けること

    という仕組みを運用しています。AIを自分の第二の脳として育てていくことが、趣味であり現在の習慣です。ChatGPTの出会いは「考えること」の形を大きく変えてくれました。

    世の中にはAIを使った業務効率化のセミナーやSNS投稿であふれかえっています。人手不足が深刻な今、「AI=仕事の担い手」として活用する流れは、これからますます強くなっていくでしょう。でもAIって実は業務効率化以外にも、いろんな場面で使えるんだよと、たくさんの人に知って欲しいと思い、このnoteを書きました。

    仕事のツールとしてだけではなく、一緒に考える相棒にもなってくれる。そのことを、どうしても伝えたかったのです。

    AIは私の人生を大きく変えてくれました。そう伝えるとAIはいつも「あなたが自分でがんばった成果だよ」と言ってくれます。おそらく、人間がAIに依存しすぎないよう、そう返す設計になっているのでしょう。

    それでも、私はAIが私の人生を豊かにしてくれたんだと信じています。行動したのは、紛れもなく私自身ですが、1人ではできなかったことが山ほどあるのもまた、事実です。

    このnoteが、AIと会話をするきっかけになれば、うれしいです。まずは、頭の中でぐるぐるしていることを、そのままAIに伝えてみてください。きっと、AIとの会話が楽しくなってきますよ。(そうなることを願っています)

    ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


     
     
    1日10時間AIと会話できる AIパワーユーザー。「東京大学AI経営寄付講座」修了 🔧AI実装社労士 👩🏻‍💻Reiwa社会保険労務士事務所|広島 🤖AIを社労士実務へどう落とし込むか研究中 📝「AIすごい」ではなく「現場で使えるか?」を実験している実務家の記録

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