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きみ 去りし のち



あなたの気配が
まだ 部屋の角に しずかに滞っている

ふれないように ふれて
置いていかれたぬくもりが
息をするように そこにいた

 

洗ったカップが
ひとつだけ 伏せられた夜

この部屋にはもう
わたしの時間しか 流れていないのに
あなたの声が まだ
どこかの壁に 残っている気がした

 

あかりはつけなかった
つけられなかった
つけたら
それが確かになってしまうから

 

音を立てたのは
窓か
それとも
わたしのなにかが壊れた音か

だけど
その音を あなたのものだと
思いたかった

 

ねぇ
これが終わりだとして
どうしてまだ
あなたの足音が
残ってるんだろう

 

…
 

そう思った 少し後で
瞬きをした

なにもなかった

なにもなかったことだけが
なにより確かだった

 

 

 

きみ 去りし のち






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