臨界
薄いカーテン越しに
朝の光が ゆっくりと
わたしの心に差し込む
風もない 音もない
ただ 静けさだけが
水面のように広がっていた
ひとしずく
ぽたりと落ちた
朝焼けのような旋律
息をはじめ
目に見えぬほど かすかに揺れ
わたしの中の 眠っていた何かを揺さぶった
呼吸を忘れるほどの
静寂のなかで
熱は 皮膚の裏で震え
疼きにも痛みにも近づく
胸の奥に 擦れるような振動が走り
火花が散る音が 心の奥で弾けた
沈黙のふりをしていた感情が
少しずつ 輪郭を持ちはじめ
怒りにも似て
悲しみにも触れて
それでもどこか 祈りに近かった
誰にも見せず
声にもせず
それでも ずっと 燃えていた
静寂は 耐えきれず
一瞬 空気が止まり
裂けるように すべてがはじけた
抑えていたすべてが
言葉より早く
世界を突き破る
──もう 戻れない
ただの旋律だったものが
今や わたしそのものになって
音をともない
火をともない
この静寂を 飲み込んでいく
たとえそれが 臨界でも
わたしのなかの衝動が
光に灼かれ 灰と散る
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