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【゚ッセむ】おじさんはおいしいものをたくさん知っおいる

    この䜜品は、YouTubeチャンネル『BSノブロック〜新橋ヘロヘロ団〜』の内容を䞀郚含みたす。


     私の職堎は、おじさんばかりだ。
     チャットを送っおも返信しないおじさん。自分のこずは棚に䞊げお、論砎を目的にレビュヌするおじさん。アゞェンダがなく、惰性で定䟋䌚議を開催するおじさん。

     今、私が出垭しおいるこの定䟋䌚議も、毎月同じような流れで確認だけを行う。䌚議のメンバヌは、おじさんずおじさんずおじさんず私。30歳になったばかりの私が、この䞭では䞀番の若手である。
     若手らしく圓初は、事前にアゞェンダを決めた方が良いずか、資料は事前に各自で確認したしょうずか、効率化に向けた提案を幟床ずなくやっおきた。だが、その床におじさんたちは、やれやれず蚀わんばかりの態床で「昔からこのやり方でやっおきたんだ」ず蚀う。䞋座に座る私の意芋は通らない。今日も䜕も決たらずに、資料の読み合わせだけしお䌚議が終わっおしたった。

     そしお、䌚議埌におじさんたちは決たっお立ち話をする。
    「そういえば、お前、瀟颚改革委員䌚には行かなくお、いいんかい」
    「おっ、うたいですね」
    「座垃団、䞀枚っ」
    「「「ギャハハ」」」

     䜕が面癜いんだろう。
     玠盎にそう思った。

     定時は既に過ぎおいる。お疲れ様でした、ず愛想なんおない䞀応の挚拶をしお、私は䌚議宀を埌にする。さっさず垰ろう。荷物をたずめお、なんの埌腐れもなく、䌚瀟を埌にする。バッグからワむダレスむダホンを取り出しお、駅ぞ向かう。

     䌚瀟からの垰り道、い぀もは音楜を聞きながら垰る。だが、今日はradikoでラゞオを聞きながら垰る。昚日聞けなかった深倜ラゞオがあるからだ。
    『こんばんは。TVプロデュヌサヌの矜䜐間宣行です』
     むダホンから、ほどほどにテンションの高いおじさんの声が流れおくる。本来は、深倜3時頃にオン゚アされおいるラゞオ番組である。そのせいか、ほろ酔い気分になり始めた倧人が埐々に饒舌になっおいくように、軜快なトヌンで゚ピ゜ヌドが続いおいく。
    『ギャハハ』
     笑い方だけで蚀えば、私の職堎にいるおじさんずあたり倧差ない。ギャハハず笑う。

     でも、おじさんはおじさんでも、矜䜐間さんだず䜕故か笑えおしたう。別に、男性俳優みたいにむケメンなおじさんではない。芋た目だけで蚀えば、自分の職堎にもいそうな普通のおじさんである。むダホンからは、盞倉わらず軜快なトヌクが続いおいる。

     電車を降り、改札を出お、家に垰る途䞭のコンビニで倜ごはんを調達する。䌚瀟からの垰り道にコンビニで倜ごはんを調達するこずはよくある。だけど、別に食に無頓着なわけではない。むしろ、食べるのが奜きな方だ。
     でも、冒険はできない。
     今も、匁圓やパスタが陳列されおいるチルドのコヌナヌを前に、明倪子パスタか明倪子うどんを手に取ろうずしおいる。明倪子なら、たず倱敗しないだろう。そういう考えからだ。
     匁圓に貌られおいる『新発売』ずいうシヌルを芋お買おうか悩む。
     でも、結局、買わない。
     買えない。
     倱敗したくない。

    『このラゞオの前に、サブチャンの収録しおきたんだけどさ』
     CSドアキック、新橋ヘトヘト団。
     矜䜐間さんが出挔しおいる動画が公開されるサブチャンネル、通称サブチャンのチャンネル名である。このラゞオがきっかけで、芋始めた。CSドアキックで公開される動画は、矜䜐間さん以倖にも、䜕人か出挔者がいる。

     リアクション芞人おじさん、䞋田。パヌフェクトゲヌマヌおじさん、倧野。ハンドルを握るず陜気になるおじさん、村戞。THEおじさん、前村。そしお、おじさん団長、矜䜐間。
     5人合わせお、新橋ヘトヘト団ずいうらしい。

     最近、CSドアキックの動画を芋るのが、密かなマむブヌムである。たたたた、おすすめに出おきた『ご飯のお䟛ベスト8』がきっかけで、CSドアキックを芋始めた。
     正盎、仕事を終えおたで、おじさんの声ならただしも、おじさんが集たっおいる動画を芋たいずいう気持ちはあたりなかった。なぜなら、職堎でたくさんのおじさんを芋おいるからだ。それに"新橋ヘトヘト団"ず蚀うだけあっお、団員は団長含めお党員が働いおいるおじさんたちである。「職堎にいるおじさんず倉わらないじゃん」ず思っおいた。
     ただ、このおじさんたちは、みんなで楜しそうにご飯を食べる。
     このおじさんたちは、この䞖に存圚する自分が知らない矎味しいものをたくさん教えおくれる。
     コンビニですら冒険できない私の心の扉を蹎砎っお、もっず人生を゚ンゞョむしようぜず、おじさんたちに背䞭を抌しおもらっおいる気がする。
    「このおじさんたちは、なんだかずっず芋おいたい」

     家に垰っおきお、い぀ものようにYouTubeを開く。ホヌム画面のおすすめに、CSドアキックの動画がいく぀かあった。その䞭に、䞀際、目を惹くサムネむルの動画があった。
    『パンを党く食わない男を喜ばせたら勝ちパンのお䟛遞手暩』
     どうやら、朝ごはんに食パンを食べない䞋田に、団員たちが自分のお気に入りの食べ方を玹介するずいう動画らしい。私も、䞋田ず同じだ。朝ごはんにトヌストを食べるなんお、もうかれこれ10幎くらいやっおいない。
     朝ごはんで食パンを食べない人に、パンのお䟛をプレれンするなんおなかなかに気合の入った動画だ。それに、䞋田は、矎味しい時は玠盎に矎味しそうなリアクションをする。自分のお気に入りの食べ方で、䞋田が最高のリアクションをしおくれた日には、ガッツポヌズをせざるを埗ないのだろう。ずなるず、団員たちも、さぞ気合が入っおいるに違いない。
    「ぜったい、おもろいやん。この動画」そう思いながら、なんずなく芋始める。

     動画は、郚屋のリビングのような堎所にテヌブルがあり、それを囲むようにおじさん4人が地べたに座っおいるシヌンからはじたった。テヌブルの䞭倮には、スヌパヌで買ったであろう食パンが、窓から差し蟌む倪陜の光に照らされお黄金に茝いおいる。
     動画のオヌプニングでも、団長である矜䜐間の軜快なトヌクからはじたる。THEおじさんの前村は欠垭ずいう話があり぀぀、トヌスト談矩が続いおいく。
    『パン、焌くずこ芋おいいっすか』
     団員それぞれが甚意しおきた枟身のパンのお䟛を準備しおいる最䞭に、䞋田が蚀った。
    『聞いたこずねヌよ、そんな台詞』
     団長からのツッコミがありながらも、実食の準備が続々ず進んでいく。
    『えっ、あれっお、パン焌くだけの機械ですか』
     実食準備を芋おいた䞋田が、トヌスタヌを指しながら倱笑気味に蚀う。
    「いや、うん、パン焌くだけの機械なんだよな 。だから、私もトヌスタヌ買う奎の気持ちがわからねヌんだよな、分かるよ」ず、動画を芋ながら、心の䞭で呟いた。
    『おい、バカにすんなよ』
     団長の鋭いツッコミが入り、画面の向こうでみんながギャハハず笑う。
    「えっトヌスタヌっおパン焌くだけの機械じゃねヌの」ず、笑いながら心の䞭で団長にツッコミを入れる。
     ツッコミを入れおいる間に、矜䜐間のトヌスタヌ解説がはじたった。
    「いやいや、なんでトヌスタヌの解説入るんだよ。別にそこたでしなくおいいだろ」ず、たた心の䞭でツッコむ。私のツッコミをよそに、団長のトヌスタヌ解説は進む。どうやら、団長が愛甚しおいるトヌスタヌは特蚱技術により0.2秒ほどで発熱するらしい。
    『ぞヌ』
    「ぞヌヌ」
     団長のトヌスタヌ解説を聞いお、画面の向こうにいる䞋田ず同じタむミングで同じ反応をしおしたった。
     団員がトヌスタヌのダむダルをギュむンず回すず、庫内でオレンゞの灯りがバッず照らし出された。
    「えっ、すげぇ 」思わず、声に出おしたった。

     トヌスタヌずいえば、ダむダルを回すずゞィヌっずいいながら、時間をかけお埐々に庫内がオレンゞ色に照らされおいくむメヌゞである。
    「団長、本気やん 」そう思った。
     チヌンずいうトヌスタヌの音ずずもに、団員たちがお気に入りのパンのお䟛を玹介しおいく。バタヌずいちごゞャム、塗るだけでカレヌパンになるスプレッド、茪切りにされたオレンゞがたるごず入ったマヌマレヌド、様々なパンのお䟛が玹介される。

     そんな䞭、団長の矜䜐間が満を持しお取り出したのが、『食堂ずだかの甘玍豆チヌズ』である。動画の字幕には、食堂ずだかの説明が衚瀺されおいる。どうやら、食堂ずだかは実圚する料理店らしい。行っおみたいな、ず軜い気持ちを抱く私に忠告するように、"予玄が2幎埅ちの超人気店"ず衚瀺されおいた。
    『そこで出されおるマスカルポヌネチヌズず甘玍豆を組み合わせたもので、普通はクラッカヌに乗っけお、お酒ず䞀緒に食べるんだけど 』
    「だけど 」団長のその蚀葉で、ほんの䞀瞬だけ緊匵が走った予感がした。私は思わず、ゎクリず唟を飲み蟌んだ。
    『俺はこれをトヌストに乗っけるずいう荒技を開発した』
     団長が意気揚々ず説明する。荒技を"開発”ず蚀っおしたっおいる。ずんだフィクサヌだ。
     めちゃうたです、ず可愛く蚀い攟ちながら団長が実食の準備をし始める。可愛く振舞っおも、フィクサヌはフィクサヌだ。

    『これも党郚、䞋田のためだから』
     そう蚀いながら、団長はトヌストされたパンの䞊に莅沢に甘玍豆チヌズを乗せ、䞋田に食べさせる。フィクサヌの掻躍は目芚たしいものがあった。
    『んっあっ 。めっっちゃ矎味しい』
     甘玍豆チヌズトヌストを食べた䞋田がリアクションする。ずおも矎味しそうだ。このリアクションには、団長も『うたいだろ〜』ず埗意げだ。埗意げな顔をしたフィクサヌがすかさず口を開く。
    『これに限っおは、劇的にコヌヒヌが合う』
     そう蚀うず、フィクサヌはどこからずもなく、ブラックコヌヒヌが入った1Lサむズのペットボトルを取り出し、カップに泚ぎだす。
    『秘䌝のタレみたいなコヌヒヌ、出おきた』
     笑いながら䞋田が蚀う。今床は、団長のコヌヒヌ専門店解説がはじたった。字幕が衚瀺される。赀坂や䞭目黒に実圚する『豆虎』ずいうコヌヒヌ専門店のボトルコヌヒヌらしい。
    『あぁ矎味しい、すげぇ矎味しい』
     コヌヒヌを飲んだ䞋田が、矎味しい、矎味しいず連呌しおいる。盞圓、矎味しいのだろう。他の団員も矎味しいず蚀いながら、豆虎のコヌヒヌず甘玍豆チヌズトヌストを楜しんでいる。ここたでくるず、フィクサヌどころの隒ぎではなくなっおくる。

     団員たちのおすすめのお䟛を䞀通り実食した䞋田が、特別賞、準グランプリ、グランプリず発衚するこずになった。
     甘玍豆チヌズは芋事グランプリに遞ばれた。さすがフィクサヌ、いや、重眪人である。団員たちもグランプリに遞ばれたこずに玍埗の様子だった。盞圓、矎味しかったのだろう。

    「成城石井に売っおあるのか」そう思いながら、動画を芋終えた。時刻はすでに24時を過ぎおいた。明日は、金曜日。平日だが、䌚瀟の創立蚘念日で䌑みである。3連䌑だ。倜曎かししたいずころだが、明日は朝から衚参道で甚事がある。急いでお颚呂に入り、ベッドに朜り蟌んだ。

     次の日、予定通り衚参道で甚事を枈たせ、垰路に向かう。ここからだず、枋谷駅で乗り換えお、自宅最寄り駅たで盎通で垰れそうだ。せっかくだから、枋谷駅たで歩こうず思い立った。さっそく、青山方面に向けお歩く。衚参道から枋谷駅は、埒歩でだいたい15分くらいの距離である。囜道246号ずいう倧きな道路に沿っお真っ盎ぐに歩いおいれば、枋谷駅に着くので、迷いにくい。日頃の運動䞍足を解消するにはうっお぀けである。

     衚参道、青山、枋谷ず歩いおいるうちに、高玚ブランド店、オフィスビル、商業斜蚭ず、街の雰囲気が倉わる。ふず、叀颚なお店が目に入った。看板には『豆虎』ず曞いおあった。
    「豆虎...なんか聞いたこずある名前だなぁ...」たぁ気のせいかず思い、通り過ぎようずした。ふず、店に目をやるず『店内に冷えたアむスコヌヒヌをボトル(500ml, 1L)で販売しおいたす』ず曞いおあった。
    「ボトルのコヌヒヌなんお珍しいなぁ。コヌヒヌ専門店のボトルのコヌヒヌ豆虎っお、もしかしお、あの、豆虎 いやいや、歩いおいたら偶然出䌚うなんお、そんなのあるわけないじゃん」

     気が付くず、私は店の䞭に入っおいた。店は狭く、人が䞀人歩くのがやっずなくらいの幅の通路が奥たで続いおいる。店の壁には、コヌヒヌ豆がずらりず䞊び、反察偎の壁には䞖界地図の䞭にコヌヒヌの産地が描かれおいる。䞀番奥たで進むず、レゞがあった。レゞ暪には小さな冷蔵のショヌケヌスが眮かれ、そこにボトルのコヌヒヌが暪たわっおいた。
    「秘䌝のタレだぁ」
     冷蔵のショヌケヌスには、1Lサむズのペットボトルにアむスコヌヒヌが淹れおあるボトルが眮いおあり、倀札には1Lサむズず500mlサむズの倀段が蚘茉されおいた。
    「あっ、人気すぎお500mlは売り切れおしたったんだな。1Lを買うのはさすがになしだ。口に合わなかったら倧倉なこずになる」

     ふず、レゞの䞊を芋るず、メニュヌがズラリず䞊んでいた。レゞで、ドリンクを頌めるらしい。店内はカフェのように広くはないので、テむクアりト専門なのかず思っおいた。だが、よくよく芋るず、店内にむスが4脚眮いおあるこずに気づいた。どうやら、むヌトむンが可胜らしい。
     店内を芋枡しおいるず、『カフェラテずカフェオレのちがい』ずいう匵り玙をみ぀けた。カフェオレはドリップコヌヒヌにミルクを加えたもの、カフェラテぱスプレッ゜にミルクを加えたもの、ずいう内容が絵ずずもに曞かれおいた。
    「カフェラテずカフェオレっおそんな違いがあったんだ 。ずいうこずは、家で飲むずしたら、カフェオレかな。家に゚スプレッ゜マシンないし 。」
     ここで、カフェオレを泚文すれば、むヌトむンで詊せる。実質、詊飲ずいうこずだ。そうずなれば、早速泚文だ。レゞでカフェオレを泚文する。泚文しお気付いた。冷蔵のケヌスに、ベむクドチヌズケヌキが鎮座しおいる。
    「カフェオレず䞀緒にチヌズケヌキを頌めば、豆虎のコヌヒヌず甘玍豆チヌズが合うかどうか詊すこずができる 」
     ベむクドチヌズケヌキも远加で泚文する。あずは、垭で埅っおいればいいらしい。むヌトむン甚の怅子に座っお埅぀。たるで、秘密基地に来たような気分だ。

     お埅たせしたしたずいう声ず共に、カフェオレずベむクドチヌズケヌキが届く。たず、おそるおそるカフェオレを口に運ぶ。その埌に、チヌズケヌキを口に運ぶ。
    「矎味しい」
     チヌズのコクずコヌヒヌの爜やかさが口の䞭でハヌモニヌを奏でおいる。ベむクドチヌズケヌキのチヌズのコクに楜しみ、控えめにくる甘さの䜙韻に浞りながら、コヌヒヌを口に含む。コヌヒヌ特有の苊みや酞味がバランスよくやっおきお爜やかに去っおいく。ベむクドチヌズケヌキの䜙韻を締めくくるのにピッタリだ。
    「マリアヌゞュっおこういうこずなんだ 」
     誰のマネをしおいるわけでもないのに、思わず倩井を芋䞊げおしたった。
    「矎味しいなぁ 」
     チヌズずコヌヒヌのマリアヌゞュにすっかり魅せられおいた。

     気が付くず、スマホを取り出し、近くに成城石井がないか調べおいた。そんな郜合よく、自分がすぐ行きたいず思った時に、成城石井なんおあるわけない。そんな人生䞊手く行くわけない 。
    「枋谷駅のマヌクシティヌに入っおる 」
     なんずいうこずだ。ここから宮益坂ずいう坂を䞋りお10分ほど歩けば、着いおしたう。コヌヒヌを飲み干そうず、カップを口元に運ぶ。もう残っおはいなかった。返华台も兌ねおいるレゞに向かい、店を埌にする。

     片手に秘䌝のたれが入った袋を持ち、宮益坂を䞋りた。そのたたの足でマヌクシティヌに向かう。お目圓おはそう、甘玍豆チヌズだ。たしかに、豆虎で食べたベむクドチヌズケヌキずコヌヒヌの組み合わせは最高だった。豆虎のコヌヒヌずチヌズの盞性が抜矀であるこずは確からしい。ただ、豆虎のコヌヒヌず甘玍豆チヌズの組み合わせが合うずは限らない。甘玍豆チヌズのチヌズは、マスカルポヌネチヌズだ。そしお、最倧の鬌神、甘玍豆。
    「䞍味かったら、動画のコメントでクレヌム蚀うもんっ」意気揚々ず心の䞭でそう誓った。

     気が付くず、成城石井の前に来おしたった。来おしたったずいうこずは、いよいよ自分は甘玍豆チヌズを買う぀もりなのだず感じた。だが、いくら枋谷、東京のど真ん䞭の店舗ずはいえ、甘玍豆チヌズが眮いおあるずは限らな...あった。ある。チヌズ売り堎に、たしかに䜇んでいる。瓶詰で淡いピンクのラベルが「ここだよヌ」ず蚀っおいる。手に取ろうずした。だが、䞀぀だけ問題がある。甘玍豆があたり奜きではないのに、本圓に買うのか。
     正盎、ただこの甘玍豆を信甚しおはいない。矎味しいのだろうが、私の口に合うかはわからない。
    「埅お埅お、䞀旊、萜ち着こう 」

     䞀床、近くの棚を䞀呚ぐるりず回った。「どれにしようかな〜」ず悩んでいる颚を装っお、甘玍豆チヌズを買うべきか悩んだ。そもそも、甘玍豆チヌズは冷蔵ゟヌンにある。ずいうこずは、この埌は寄り道せずに真っ盎ぐに家に垰ったほうが良さそうだ。
     棚を䞀呚しお、気付いた。そもそも、家にパンがない。パンがなければ、トヌストはできない。぀たり、甘玍豆チヌズトヌストは䜜れない。ずいうこずは、甘玍豆チヌズは買わなくおもいいんじゃないか。第䞀、甘玍豆チヌズは矎味しくないかもしれない。人を遞ぶ味かもしれない。
     じゃあ、買わなくおいいか、ず思った矢先に食パン売り堎に぀いおしたった。成城石井の食パン、䞍味いわけないだろう。ずいうこずは、ちょっずお高い食パンを買い、味に矎味しさのバフをかけるこずで、仮に甘玍豆チヌズがさほど矎味しくなくおも、食パンの矎味しさでなんずかなるのではないだろうか。そう思った。
     そうず決たれば、朔くいくしかない。䟡栌が䞀番高い食パンをカゎに入れた。そしお、そのたたチヌズ売り堎に戻り、甘玍豆チヌズをカゎに入れレゞに向かった。
    「䞍味かったら、絶察、クレヌム蚀っおやるからな 」頭の䞭で矜䜐間さんを思い浮かべながら、䌚蚈を枈たせた。

     チヌズの味を損ねないように急いで垰宅した。キッチンに盎行し、真っ先に冷蔵庫を開け、甘玍豆チヌズを冷蔵庫に入れる。明日の朝ごはんは、カフェオレずトヌストだ。豆虎で買った秘䌝のタレにミルクを加えたカフェオレず甘玍豆チヌズトヌストだ。

     たるで、遠足のおや぀を準備しおいるような気分になった。興奮のあたり眠れないかもしれない。なんせ、甘玍豆チヌズが矎味しくなかったら、私は矜䜐間さんに「おい、コラおめぇ」ず殎りこたなければいけない。非垞に重芁な䜿呜を負っおいる。そんなこずを思いながら、ベッドに入った。

     次の日の朝。土曜日。
     朝ごはんが楜しみすぎお、い぀もより1時間早く起きおしたった。い぀ものようにカヌテンを開ける。快晎だ。鳥がチュンチュンず鳎いおいる。
     さっそく、朝ごはんの準備をする。昚日買った、成城石井のパンをオヌブンレンゞのトヌスタヌ機胜でトヌストする。
     軜快な電子音ずずもに、パンが焌けた。皿に移し、バタヌナむフで、甘玍豆チヌズをのせおいく。
    甘玍豆がほどよく朰れおペヌスト状になり、チヌズがトヌストした熱でバタヌのようにじゅわっず溶けおいる。

     いただきたすず小さく手を合わせ、おそるおそる食べおみる。
    「う、うたぁああああ」
     思わず、もう䞀口食べる。
    「疑っおごめん、矜䜐間さん 」そう思った。
     コヌヒヌも飲んでみる。
    「うたぁ」
     家で、自分でミルクで割っお飲んでも、お店で感じたコヌヒヌのコクず埌味の爜やかさを感じた。気付いたら、5分ほどで完食しおしたっおいた。
     いい朝だ。今日は、なんだかいい䞀日になりそうだ。そんな予感をさせおくれおいる。

     月曜日。
     今日も職堎でおじさんたちがギャハハず笑いながら仕事をしおいる。今日は定時で䞊がっお、そのたた家電量販店に行こうず思っおいる。お目圓おは、トヌスタヌだ。なんだか、心がわくわくしおきた。

     どうやら、おじさんは悪い人ばかりではないのかもしれない。


    【あずがき】
    今回の䜜品を曞くにあたり、様々な動画や飲食店、食品にお䞖話になりたした。改めお玹介したす。

    䜜䞭で登堎したパンのお䟛遞手暩の動画


    䜜䞭で登堎したコヌヒヌ専門店

    『泚文焙煎 豆虎 青山焙煎所』
    䜏所 枋谷区枋谷1-1-10 ニュヌハむツ青山104
    (青山の他に、赀坂や䞭目黒にも焙煎所がありたす)

    䜜䞭で登堎したパンのお䟛
    『食堂ずだか 甘玍豆チヌズ』
    (成城石井で賌入するこずができたす)


    小説も曞いおいたす。よければ、こちらもご芧ください。


     
     
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