
ADHDミストーン雑譜#6「走り回って」
「自分は一体何がやりたいのか」人生を振り返っていくと、どうしてもここに突き当たる。絵画、宅録、バンド、写真、そして今こうして文章を書いている。生活の為の仕事も大して続かない。まさに迷走だ。「マルチな才能でいいですね」なんて言う方もいるかもしれないが、一つやり始めると他のことは目に入らない。突然に積み上げたものを全部捨ててしまうのだから、周囲の理解や信頼なんてほとんど得られないのが現実だ。やがて孤独な井戸の底で、こんな答えに辿り着く。「僕は何も続けることができない役立たずだ」そして、絶望しながら自らその殻の中に閉じこもってゆく。
再婚後、仕事の悩みで明日への不安がとても強かった時期。僕は手放していた楽器を再び集めて曲を作り始めた。最初は昔の曲のリメイクだったが、徐々に新しい曲ができていった。きっかけは、出逢う前に音楽をやっていたと知ったパートナーから聴いてみたいと言われ、アルバムにまとめたものを渡したことだった。自分としては、黒歴史を知られるようで恥ずかしかったが、このまま作った曲が忘れられてしまうのも寂しかった。その後、彼女が鼻歌で僕の曲を歌い始め「いいね」と伝えてくれた。その時、心の奥の防波堤が決壊した。そうだ、聴きたいと言ってくれる人がいるならもう一度音楽を作ってみよう。
数年経った今もすぐに落ち込む癖は抜けないが、少しずつ変わってきているように感じる。徐々に、写真を撮ったり文章を書くことにも抵抗が無くなってきた。信じられないが、かつて幻想の中で自分を苦しめていた僕は、今ではとても軽やかに生きているのだ。たった一つの言葉が人生を変えてしまうことがある。良い方向にも、悪い方向にも。やがて発達障害かどうかなんて、どうでもいい世界になればいい。どんな風に育っても悩みの無い人なんていない。幸せになる方法はそれぞれみんな違っているのだから。