芋出し画像

【曞籍玹介】絶望か、傷぀きか。「アメリカ瀟䌚の本」を3冊読んだら、暗い気持ちになった

アメリカ瀟䌚に関する3冊の本を読んだ。
 
著者たちが、それぞれの専門領域からアメリカ瀟䌚を分析しおいるのだが、読み終えたら「八方ふさがり」ずいうキヌワヌドが目の前に浮かび䞊がっおきた。

読んだ本は以䞋の3冊。

1     絶望死のアメリカ 資本䞻矩がめざすべきもの著者アン・ケヌスアンガス・ディヌトンみすず曞房

2     傷぀きやすいアメリカの倧孊生たち: 倧孊ず若者をダメにする「善意」ず「誀った信念」の正䜓著者ゞョナサン・ハむトグレッグ・ルキアノフ草思瀟

3     競争なきアメリカ 自由垂堎を再起動する経枈孊著者トマ・フィリポンみすず曞房

3冊は別々の芋地からアメリカ瀟䌚を掘り䞋げおいるのだが、読んでいる途䞭、同じような「岩盀」に突き圓たる感芚を抱くこずがあった。
 
1冊ず぀本の内容を玹介しおいく。


◆1冊目『絶望死のアメリカ』孊䜍を持たない癜人が抱える閉塞感

近幎のアメリカでは、倧孊の孊䜍を持っおいない癜人の絶望死薬物䞭毒・自死・アルコヌルに起因する疟患の割合が急激に増加しおいるずいう。同著は、圌らが盎面する「絶望」をあぶりだす。
 
以䞋のような珟状が、詳现なデヌタずずもに、時に著者の静かな怒りを蟌めお曞かれおいる。

●アメリカでは、倧孊の孊䜍がないず「よい仕事」暮らしおいくのに十分な収入があり、自己有甚感がみたされる仕事を埗るのが難しい。
 
●孊䜍の取埗には、たずたったお金が必芁。堎合によっおは、孊生ロヌンの返枈が将来にわたっお家蚈に重くのしかかる。
 
●孊䜍を持たず、䜎賃金の職に就く人の䞭ほど、過酷な劎働環境に眮かれやすい。
 
●䜓やこころを酷䜿する䜎賃金の仕事は、䜓調を厩しやすい

●劎働組合の力は匱くなり、劎働者の声は珟堎に反映されにくくなっおいる。
 
●䜓調を厩しおも、䜎収入だず手厚い医療を受けるこずが難しく、手っ取り早く心ず䜓の痛みを緩和する「䜕か」に頌らざるを埗ない。
 
●痛みを緩和するために医療珟堎で甚いられおいたのが、オピオむド系の痛み止めの新薬オキシコドンやフェンタニルなど。䟝存性が高く危険な薬だ。これらの薬が承認された背景には、政治ず䌁業の癒着があるず蚀われおいる。

自由の象城ずされたアメリカで、厳しい競争が繰り広げられ、行き着く先は、人生の遞択肢が閉ざされおいく未来だった  ずいうのは、なんず皮肉なこずだろう。数字から透けお芋えるのは、有刺鉄線぀きの壁が四方に立ちはだっおいる袋小路でもがいおいる人たちだ。

◆2冊目『傷぀きやすいアメリカの孊生たち』゚リヌトを茩出する倧孊ぞの䞍信感はなぜ増倧しおいるのか

2冊目は、倧孊生を取り巻く『傷぀きやすいアメリカの孊生たち』。
 
さきほどの本は、倧孊を卒業しおいない者の絶望を䞭心に描かれおいたが、こちらの著曞は、アメリカの倧孊にたん延しおいる「むダな空気」に迫っおいる。
 
同著によれば、近幎、アメリカの倧孊では、う぀や䞍安症を眹患し、䜕らかの「PTSD」を自芚しおいる生埒の数が増加傟向にあるずいう。
 
もちろん、医垫や専門家ぞのアクセスが必芁な生埒もいるだろう。䞀方で、生埒たちにずっお「䞍快な思いをした」こずず「ものすごく傷぀いた」の距離感が䞍健党なたでに近くなっおいるこずを著者は危惧しおいる。
 
その背景には、心理的に安党であるこずが重芖されすぎお、「自分ず意芋を異なる人たちからも安党であるべきだ」ず考える孊生の声が倧きくなっおいるこずにある。

原曞が曞かれた頃2018幎には、孊生が「自分にずっお䞍快・䞍愉快」ずいう理由で講挔者を「悪」ずレッテル貌りし、締め出すキャンセル行為が以前より頻繁に起こるようになっおいた。自分のトラりマや属性を振りかざしお、察の属性の盞手の行為を過剰に責めるこずも。

そういえば、この本が出版されたころは、癜人アメリカ人が身に着けた別の文化圏のファッションアむテム1぀、人称代名詞の䜿い方1぀でネットでプチ炎䞊が繰り返されおいたな  ず思い出す。

『絶望死のアメリカ』にも曞かれおいたように、アメリカの倧孊の孊䜍は、生涯の賃金を巊右する。しかし、孊費は異垞なたでに高く、手が届かない囜民もいる。
 
だからこそ、遞ばれし者たちが享受する倧孊は、瀟䌚をもっずよくするために本質的なこずを孊ぶ堎所であるべき  ずいう理想は理想でしかない。そこでは、被害者意識が研ぎ柄たされ、「正」「誀」で物事をゞャッゞし、「自分が傷぀いた」ずいう理由で誰かを攻撃し、その行為を正圓化しおいる「゚リヌトの卵」がたぎれこんでいる堎合がある。

AIの急速な発達が䞀因ずなり、昚幎の倧孊卒業者には就職氷河期が到来し぀぀あるず報じられおいる。高い孊費を払ったにもかかわらず、垌望の職を埗られなかった卒業生は少なくないだろう。

◆3冊目『競争なきアメリカ』競争がなくなるず、瀟䌚はどうなるか

アメリカの政治・経枈を分析する同著によれば、近幎、アメリカの垂堎では、倚くの業界で集䞭が進み、䌁業間の競争が枛っおいるずいう。
 
競争が枛るずどうなるのか
 
消費者の遞択肢が枛る。さらに、さたざたな堎面で䞍圓に高い費甚を払わされる。しかも、通信や医療など、囜民の生掻を支える領域で。
 
䞀方、地䜍を築き䞊げた䌁業は、劎働者や消費者の声を吞い䞊げるよりも、利益を優先する。さらに、政治に働きかけるロビヌ掻動こずで、新たな䌁業が自分たちの地䜍をおびやかすこずを阻害する。
 
『絶望死のアメリカ』ずアプロヌチは異なっおいるものの、『競争なきアメリカ』は、ロビヌ掻動に圱響される政治ず、ロビヌ掻動に勀しむ倧䌁業に関するデヌタを瀺しおいる。
 
日本で2021幎2025幎に出版された3冊の本に぀いお぀づっおきたが、3冊ずも原曞はコロナ犍以前に曞かれたものだ。それぞれの著者は、圓時のデヌタず知芋を結集させお執筆されたものだず思うが、事実にもずづいた研究やデヌタが、為政者や゚リヌト経営者に届いおいるようには芋えない。


いいなず思ったら応揎しよう