『時間の結線コードAK61』第2話「警報音」
印刷業と食品業、建設業が小さい
ところからまずいことになって
いるようですが、詳しいことは
まだよくわかっていません。
では、金属加工は?
プロセス設備で長尺ものを納入
する企業体について情報が出て
は来ません。加工といっても
熱をかけるプロセス産業は、
素材ではなくプロセス自体が
命綱ですので、静かに生き延び
ている公算が大きいように思う
筆者でした。
作品が続きます。
副題「警報音」。
【作品ここから】
『時間の結線コードAK61
(2)』
2006年秋口のこと。
金属の溶解炉から技術員が
出て来て建屋の事務所に
入った。保和寧友(ほわ
やすとも)、勤続5年で
基幹炉の管理技術に配転
になりやって来た社員で
ある。
部署には溶解炉技術で業界
一流の知識と経験を持つ
白田治人(はくたなおと)
が技術主幹の職位にあり、
後輩の指導に充たっている
のだ。白田自身が開発した
ものではない溶解炉だが、
品質全般を護る知識と腕
が社内外で認められている。
保和は元々金属材料が専門
でなく、薬剤、化学反応
が専門なので、金属材料
のエキスパートとされる
白田技術主幹の指導を受け
られることを楽しみに、
日々、薬剤運搬や記帳、
倉庫管理など雑多な業務を
誠実にこなしているのだ。
溶鉱炉全体を監視する
指令室で不意に警報音が
鳴った。
ピー ★
ピー ★★
ピーピー ★★★
・・・・( ;∀;)
赤いランプが点灯して
いる。ラインのどこが
異常か、専用コードで
システム内部情報を開か
ねば何が起きているか、
診ることは出来ない。
警報音が鳴り、赤いランプが
点いた工場装置の中央制御盤
を確かめて、工場内から人が
何人も駆けつけ、場所を分担
しながら中を調べ始めた。
加熱炉の周辺は特に危険で、
内部システムを確かめて、
侵入しても問題ないことを
確かめてから2、3人の工員
が入って行った。

異常事態発生した際の緊急
対応チームが即時結成される
のだが、チーム長は技術主幹
の白田だ。各ライン箇所に
送り込まれた工員たちが
次々報告に戻って来て異常
箇所は、
金属表面薬剤塗布ライン
・・・・・・・・・・・
と判明した。現場で何が
起きたかまで把握出来る
まで時間にして約5分。
プロセス系工場系統の管理
は異常事態に向き合う時は
時間との勝負なので、これ
くらい短時間で状況把握
出来るのが当たり前なの
だが、この日、報告した
保和がこの問題解決を
買って出ることになった。
「現象はどうやら異常電流
が流れて非常停止回路が作
動したと考えられます。」
白田が常駐する主幹室で
報告する保和。
白田「異常電流はなぜ流れた
か?」
保和「薬剤を吹き付ける
注射器が何かの衝撃で
落ちていて台座上で
引っかかっていました。」
白田「なるほど。異常電流
は具体的にどれくらい
だったかい?」
保和「レコーダーで見える
限りは平時の2倍以上の値
に上昇していたようです。
具体的な数値は、サーバー
チームにデータを採って
もらっています。」
白田「うん、それなら盤の
ヒューズは無事だな。非常
停止で一旦止まっただけ
だから、他のラインは無事
だ。急ぎ薬剤塗布工程だけ
自動運転から切り離し手動
運転にして、全体をスクリ
ーニングモードに切り換え
再開しなさい。仕掛品に
手で薬剤塗布するため
人を確保するように。」
ラインはその後、30分
もかからず再稼働出来た。
迅速対応で非常時のロスを
最小に出来て来て品質問題や
クレームを出さない、白田
のいまの地位に繋がっている
所以である。
【今回の作品ここまで】
5月16日
トーマス開発プチ起業サバイバル