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Second Wind第66話 畏れ知らず唯

    Second Wind

    第2ç«  霧の䞭の岐路
    第66話 畏おそれ知らず唯


     新曲のレコヌディング、女優ずしおの次回䜜の遞定、雑誌の取材。埩垰しおからずいうもの、ありがたいこずにスケゞュヌルは次々ず埋たっおいく。
     そんな仕事をこなしおいるうちに、あっずいう間にドラマの攟映日が近づいおきた。

      「さあ、今日からいよいよ、『Superstar』な日々が始たるわよ」

     そう宣蚀した京子さんず共に、テレビ局たでの移動の車の䞭で、数日分のスケゞュヌルを確認する。
     今朝は、早朝䞉時の入りだった。メむンの仕事のひず぀である、朝のワむドショヌぞの生出挔を控えおいるのだ。

     局に着くやいなや、さっそく楜屋をノックする音がした。

     「どうも、倱瀌したす。ARKLINEアヌクラむンのマネヌゞャヌのリりです。本日はよろしくお願いしたす」

     京子さんがドアを開けるず、今では芋慣れた顔のリりさんがにこやかに姿を珟す。その暪には、やはりこれたで䜕床か顔を合わせたこずのある、日本人のマネヌゞャヌもいた。

     その埌ろから、シックな、けれど少しカゞュアルなゞャケットを矜織った長身のむクスさんが顔を芗かせる。
       久々に目にする、柔らかな笑顔。どうやら、髪を少し短く切ったようだ。
     盞倉わらず、芪しみやすさの䞭にも、その黒曜石のような切れ長の目には䞀筋のきらめくような光があった。その瞳で、圌は呚囲に広がるこの党䞖界を芋぀めおいるらしかった。

     「どうも、ご無沙汰しおいたす。撮圱䞭は、本圓にいろいろずありがずうございたした」

     そう蚀うず、圌はたたい぀かず同じように、深々ずお蟞儀をしおみせた。

     「ディレクタヌから䌺いたしたが、ドラマの䞻題歌、唯さんが掚しおくださったそうで。むクスはもちろん、他のメンバヌたちも倧倉喜んでいたす。本圓にありがずうございたした」

     京子さんが楜屋の゜ファに垭を勧めるず、リりさんは出されたお茶に手を぀ける間もなく、すぐさた私に向き盎り瀌を述べた。

     「むクスさんから頂いたCDを聎かせおいただいたら、あのドラマのラストシヌンにすごく合いそうな気がしたしたので。先日の詊写䌚でも奜評だったそうです。こちらこそ、ありがずうございたした」

     最埌の蚀葉は、むクスさんの方も芋ながら、私も䞁寧にお蟞儀を返す。

     するず圌は、少し遠慮がちな埮笑を浮かべ、けれど真剣な目ですぐに私に問い返した。

     「あの  僕らの曲の印象は、具䜓的にはどんな感じだったでしょうか もしよければ、䜕か感想やアドバむスをいただけたら――」

     日本人にはなかなか芋られない、その堎の空気を読むより先に知りたいこずをたっすぐ尋ねおくるその熱心さに、少し面食らう。けれど圌のそんな真摯な態床には、盞倉わらず奜感が持おた。

     「そうですね――。アドバむスなんお、そんなえらそうなこずは蚀えないですけれど。でも、埌半にかけおのたたみかけるような盛り䞊がりが、本圓に玠晎らしいず思いたした。実はその展開に感じるものがあっお、今回のドラマの䞻題歌に掚薊させおいただいたんです」

     私が蚀っお軜く頷きかけるず、途端にむクスさんの顔がパッず茝いた。

    「ありがずうございたす   そうなんです本圓に、たさにそこに力を入れたコンセプトだったんです   あの、PVも、芳おいただけたんでしょうか」

     京子さんの芖線を意識したあちらのスタッフたちが、暪で少しハラハラし出すのがわかる。

     「ええ、拝芋したした。あの、ラストで皆で背を向ける挔出が栌奜良いですね。それに墚汁を跳ね䞊げたり  、高䜎差を䜿ったダンスも、ずおも面癜くお芋応えがありたした。皆さんのパフォヌマンスはもちろん玠晎らしかったですが、衚情の现郚に至るたで、あれほど気を遣いながら動けるずいうのはやはりさすがですね」

     「あれは 、本圓に撮圱倧倉でした。䜕床も撮り盎したんですが  」

     むクスさんはたた顔をほころばせるず、口元に手をやり、嬉しそうにそう蚀いかける。その時――。

     「 さお そろそろリハが始たるし、これ以䞊はお邪魔になるだろうから、たたの機䌚にな、むクス」

     いくぶん匷い調子で攟たれたそんなリりさんの蚀葉に、はっず我にかえるむクスさん。

     「あっ  、倱瀌したした。長話をしおしたっお、すみたせん」

     蚀っお、私ず京子さん、それぞれに向かっお慌おお頭を䞋げたかず思うず、「たた埌ほど」 ずだけ蚀い残しお、急いでリりさんを远っお立ち去った。

     「  たあ、盞倉わらず、〈有石ありいし唯ゆい〉を盞手に物怖じしないずいうか」

     撮圱日皋を経お、もはやむクスさんの行動の倧抵のこずには驚かなくなった京子さんが、閉められたドアを眺めたたた呟く。

     「これは果たしお良い傟向なのか、それずも悪い傟向なのか。いったい、どちら」

     どうやらむクスさんは、䞀郚のスタッフの間で "氷の淑女" ず呌ばれおいる京子さんの調子をい぀もどこか狂わせおしたうようだ。

     そう蚀った圌女の衚情が珍しく緩んでいるのを芋お、私は笑いを堪えおいるのが粟䞀杯だった――。



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    長線小説『Second Wind』を連茉䞭。 華やかな䞖界の片隅で、静かに止たっおしたった時間が 再び動き出すたでの物語。 静かな始たりから、やがお運呜を揺るがす奔流ぞ。