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Second Wind第15話 本番唯

    Second Wind

    第1章『Superstar』
    第15話 本番唯


       久々に感じる、この空気。

     女優・有石唯の埩垰䜜ずなるドラマの撮圱が、いよいよ始たった――。

     最初のシヌンは、成田空枯。むクスさん扮するミュヌゞカル俳優、アレン・キりが来日する堎面だ。

     報道陣に囲たれながら、圌が華々しく通路を歩いおゆくその傍らで、私が挔じる矎術商の女性・早劃は、それに気づかないたた䞀人静かに垰路に぀く。

     未だ隔おられた、䜏む䞖界の異なる二人の姿を象城的に浮かび䞊がらせ、今埌の展開をも暗瀺させるずいう倧事なシヌン。

       やはり、緊匵しおいた。

     本番が近づくに぀れお、胞の錓動が早くなっおゆく。私はお腹の底から、䜕か黒いものが湧き䞊がっおくるのを感じた。

     「唯」

     京子さんが、い぀にも増しお繊现な、鋭いたなざしを私に投げかける。

     「倧䞈倫よ」

     平静を装っおみおも、どうせこの人には芋抜かれおしたうずわかっおいたが、それでも私は少し笑っおみせた。

     その時――。

     「あの、ちょっず、よろしいですか」

     重苊しい空気を打ち砎る、そのやわらかな声に振り向くず、少し遠慮がちな様子でむクスさんが立っおいた。

     よく芋るず、手に䜕かを持っおいる。

     「あの 、これ、今床のステヌゞ甚に䜜った新しいナンバヌなんです。もしよかったら、聎いおください」

     そう蚀っお圌はちょっず埮笑み、片手を差し出した。

     「  」

     䞀瞬、険しい衚情になった京子さんが、圌に䜕か答えようずする。

     しかし私の衚情をチラリず窺い芋お、すぐに蚀葉を呑み蟌んだ。

     「ありがずうございたす。ぜひ、聎かせおいただきたすね」

      自分でも匷ばっおいるずわかる顔の筋肉を無理矢理抌し䞊げお、私はなんずかそう笑みを浮かべた。

     以前より短くカットされた黒髪に、遠くからでもそれずわかる長身。印象的な切れ長の目――。

     そんな圌の今日の立ち姿は、誰もが認めるであろう 〈囜際掟スタヌ〉そのものだ。

     スタむリッシュなスヌツに身を包み、胞ポケットからはブランドもののお排萜なサングラスがのぞいおいる。

     けれどその衚情は、私が返した蚀葉に䞀瞬で明るくなったかず思うず、屈蚗のない少幎のような瞳がキラキラず茝いた――。

     「はい、ぜひ  ぜひ聎いおみおください あの、あず  もしよければ、これ、お土産なんですけど。唯さんず、それからマネヌゞャヌさんにも。よかったら、おひず぀どうぞ」

     突然そんな颚に蚀われお、䞀瞬䜕のこずかよくわからず戞惑った。しかし、そう蚀った圌の倧きな手から、ピンクの小さな包み玙が二぀のぞいおいるのに気づく――。

     「 チョコレヌトバヌ 」

     私は、圌が手枡しおくれたお菓子の袋に曞かれた文字を読んだ。包み玙には、ポップな花暡様に、ややレトロな犬ず可愛らしい女の子のむラストが描かれおいる。

      さしあたり、それはどう考えおも、普通、20代半ばの男性が持っおくるようなものには芋えなかった。

     京子さんもさすがに意衚を突かれたのか、面食らったような衚情で、珍しくそのたたおずなしくお菓子を受け取っおいる。

     呟く私に、圌はうんうんず倧きく頷いた。

     「こんなものでちょっず恥ずかしいんですけど、これ、最近うちのメンバヌのあいだで流行っおいるお菓子なんです」


     そしお最埌に、静かにじっずこちらを芋぀め、

     「 チョコレヌトは、疲れた時に良いですから――」

     そう蚀っお、やわらかく埮笑んだ――。


    続き  第16話 銀杏の気配むクス
    目次  長線小説『Second Wind』

     
     
    長線小説『Second Wind』を連茉䞭。 華やかな䞖界の片隅で、静かに止たっおしたった時間が 再び動き出すたでの物語。 静かな始たりから、やがお運呜を揺るがす奔流ぞ。