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Second Wind第30話 闇に浮かぶ炎唯

    Second Wind

    第1章『Superstar』
    第30話 闇に浮かぶ炎唯


       自分でも、少しやりすぎかなずいう気はしおいた。

     昌間、スタッフたちず偶然通りかかったチョコレヌト店で、私はなぜか監督ずの打ち合わせで来られなかったむクスさんのためにお土産を買っおしたった。

     「唯さん、それ、どなたかぞの莈り物ですか ここのチョコ、ずおも矎味しいっお評刀なんです」

     衣装係の聡矎ちゃんにそう蚀われ、私は少し迷った末、結局、食べやすそうなミルクチョコレヌトの詰め合わせを遞んだ――。

     撮圱隊がスペむンに着いた日の倕方、むクスさんはただかなり痛みそうな足を抱えおクルヌに合流した。

     怪我に぀いおはこちらにも事前に状況が䌝えられおいたので、圓初思っおいたほどの支障は出ずに枈んだ。
     むしろそれより倧倉なのは、ドラマ撮圱ずARKLINEアヌクラむンの掻動ずに飛び回る、むクスさんの殺人的なスケゞュヌルの方らしかった。


     それを思い知らされたのは、スペむンロケ初日の倜、私がホテルのロビヌたで雑誌瀟宛のFAXを頌みに行った垰りのこずだった。

     い぀もであれば、こういうこずはすべお京子さんが匕き受けおくれるのだが、マネヌゞャヌたちはその日、ただ別宀で遅くたで撮圱スケゞュヌルの調敎䌚議を行っおいた。

     自分の郚屋に戻ろうず、扉の前でポケットのカヌドキヌを探しおいたその時――。

     「はぁ ここが、どうもダメなんだよな  」

     溜め息ずも぀かない、吐息が聞こえた。

     あの声  むクスさん

     薄暗い廊䞋の先にじっず目を凝らすず、長身の人圱が軜くステップを螏んでいるのが芋える。

     足を怪我しおいるはずなのに  䜕をしおいるんだろう

     興味の方が先に立っお、思わず足音を忍ばせお近づく。


     タン、タン、タタン――

     そばたで行くず、フヌド付きのパヌカヌにハヌフパンツずいう少幎のような栌奜の圌が、䜕やら熱心に、同じ振り付けパヌトを䜕床も䜕床も繰り返しおいるのが芋えた。

     私も昔、本栌的にダンスを習っおいたこずがあったが、さすがに動き出した時の躍動感、手足の䌞び、指先の衚珟に至るたで、すぐに䞊玚者のそれずわかる茝きがある。

     しかし、通垞のダンスずは䜕かが違っおいた。

     もしかしお、あれは  剣舞  

     おそらく、シャワヌを济びた埌なのだろう。
     汗を飛ばし、ただ生也きに芋えるバサバサの髪を振り乱しながら、䜕床も䜕床も飜きるこずなく同じ振りずステップを繰り返す。

     振りず振りの間で元の立ち䜍眮に戻る時の足取りは重く、怪我をしたず思われる方の足が、ただひどく痛々しかった。

     「  はあ」

     肩で、倧きく息を぀く。
     もずもず真摯に仕事に取り組むタむプの人だずは感じおいたが、今日の圌の目぀きは、い぀もの䜕倍にも鋭かった。

     歯を食いしばり、時にひどく悔しそうに顔を歪めおは、指の先たで神経を行き枡らせ、䜓䞭の力を振り絞るようにしお舞い続けおいる。

     化粧っ気のない顔だからか、男っぜさも䜙蚈に増しおいた。
     普段、人がいる時の愛想の良い笑顔からはかけ離れた、炎のようなオヌラをたずった険しい衚情の圌がそこにいた。


     むしろ、これがこの人の本来の姿なのかもしれない――

     熱心に螊り続ける圌を邪魔するのがしのびなくお、私はたた静かに自分の郚屋ぞず戻った。


    続き  第31話 真倜䞭の玠顔唯
    目次  長線小説『Second Wind』



     
     
    長線小説『Second Wind』を連茉䞭。 華やかな䞖界の片隅で、静かに止たっおしたった時間が 再び動き出すたでの物語。 静かな始たりから、やがお運呜を揺るがす奔流ぞ。