
第12話「なんか、パレード」│小春日記
文化祭初日、通称『模試』の目玉行事は昼のパレードだ。
舞台は二高のそばのショッピングモール。そこに各クラスの代表生徒が仮装行列のようになって手を振りながら無言で歩く、それだけの行事だ。
(ほんと、変な行事)
小春は去年、大喜利大会の宣伝のために浴衣で歩いた。今年はピンクのロリータ服で歩くことになる。2-Cからは他に、アメリカンダイナーの服の生徒たち、執事の三田村、メカ村UMA、それにCレンジャーが出ることになった。
3年生は劇の衣装で出ており、他のクラスは出し物のポスターを持って歩いたりする。呼び込みは禁止だが、チラシだけは配って良いということになっていた。
ショッピングモールに入ると、たちまち視線にさらされた。だがその視線は案外温かいものだった。
さっそく執事の三田村に注目が集まっていた。三田村からチラシを受け取った女子たちは一様に頬を赤く染めていた。
「執事、顔がいい……」
「やば、明日行こうかな」
一方、子供たちは違うものに惹かれていた。
「あ、レンジャーだ!」
Cレンジャーは子供に駆け寄り、ハイタッチをしてまた列に戻っていった。
その時、おばあさんが持っていたショッピングバッグが破れて、床にリンゴが散らばった。
すかさずCレンジャーたちが揃って出動した。
「あら、すみませんね」
「いえ!これも我らの使命ですから」
Cレンジャーは速やかにリンゴを拾うと、懐からショッピングバッグを出してそこへ入れ、おばあさんに手渡した。小春は少し感心した。
(レンジャー、やるじゃん)
パレードの列は長い。その列の誘導をしているのも、なぜかCレンジャーだった。
「はい、ここ右に曲がりまーす」
途中でメカ村UMAが故障して動けなくなった。Cレンジャー数名がお神輿のように担いで、何事もなかったかのようにパレードは続行された。
(レンジャー、忙しいな)
劇の衣装での関係で手がふさがっているクラスには、Cレンジャーがついて代わりにチラシを配ってやっていた。
「大義である」
徳川家康役の生徒のねぎらいの言葉に、Cレンジャーは恐縮した。
「ははっ!家臣たるもの、当然の行いであります!」
(家臣だったんだ)
小春は列をなす二高生とともにチラシを配り、道行く人たちに手を振って、ショッピングモールを後にした。
(このパレード、宣伝じゃなくて地域への挨拶なのかもなぁ)
こうして二高の恒例のパレードは終わった。
(明日、来てくれるかな)
小春は来客を心待ちにしながら、文化祭の喧騒に戻っていった。