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オスイルカを間引けないか考えたら、人間の方がよほどクズだった

    とあるカフェでイルカ漁について問題提起しているパンフレットをもらった。和歌山県太地町では、約400年にわたって捕鯨・小型鯨類漁の歴史が続いている。ここ数十年間は国際社会や環境保護団体から「極めて残酷」と非難されているが、日本、ヘタレかと思っていたがなかなかの根性をみせイルカ漁を継続し続けている。

    イルカの捕獲方法、追い込み漁と呼ばれる手法は確かに残虐だ。
    1・野生のイルカ発見
    2・イルカが嫌がる音(金属の棒をハンマーで叩く)をたてる
    3・音で嫌がらせをして、イルカを入り江に追い込む
    4・漁師が小型ボートに乗り、紐付き金属棒を何度も海に投げ入れる
    5・イルカをさらに浅瀬に追い込んでいく
    6・イルカを網で捕らえる

    ここでイルカの選別を行う。水族館や海洋公園に売るイルカ。売り物にならないイルカは食用。

    食用と選別されたイルカの末路
    赤ちゃんイルカ、子どもイルカ、妊娠中イルカも同様に扱われる。パンフレットでは、捕獲数制限があるため、肉量の少ない赤ちゃんイルカは「海に捨てられることもある」と説明されていた。
    1・呼吸孔付近に鋭利な金属棒を何度も突き刺して脊髄を損傷させる
    2・血が流れ出るのを防ぐため木の栓を差し込む
    3・パンフレットでは、絶命まで30分ほど苦しむこともあると説明されていた。実際、獣医学的にもこの方法の即死性・人道性には強い疑問が示されている。

    水族館や海洋公園に売られたイルカの末路
    パンフレットでは、野生のイルカを死魚に慣らすため、強制的な餌付けや調教が行われると説明されていた。また、家族や仲間と引き離され、狭い水槽の中でショーや調教を繰り返すストレスにより、同じ行動を繰り返すなど、精神的に壊れてしまうイルカも少なくない、と記されていた。


    イルカはニコッと笑ったような顔をしていて見た目がとても愛らしい。人間を感動させるショーもできて賢いし、自閉症児などへのイルカ介在療法も知られていて優しいイメージ。水族館でイルカの頭を撫でたり、イルカにキスされるなんていう体験もできて人間好きでフレンドリーなイメージ。

    さて、夏になると海水浴場で、人間がイルカに噛まれる事故が起こる。ある時は小学生が指を20〜30針縫うはめになった、男性が骨折した等々。被害はなかなか深刻である。イルカをみても可愛い♪と思って近寄ってしまうのも怖いと思えないのもあの外見とイメージでは仕方ないことなのかもしれない。

    しかも相手はあくまでも野生動物である。初見相手から突然頭や体をなでまわされたり、あり得ないほど距離詰めされたら思わず暴れてしまうのも理解できる。野生動物をナメてた人間が悪い。しかしこれは、ことイルカに関しては、メスイルカと子イルカに対してだけの私の見解である。

    オスイルカは元々とんでもない習性持ちである。しかも賢い分よほどたちが悪い。主にハンドウイルカなど一部の研究で観察された行動として、

    オスは2~3頭、時にはもっと多い仲間と長期的な同盟を組む。ここまでは仲睦まじくいい話だ。が、気に入ったメスを見つけると集団で囲いこみ拉致する。メスが逃げようとすると噛んだり体当たりしたり何時間も追いかけたりして何日間も監禁する。目的は性的強制。メスが嫌がっても無視して強引に交尾をする。オスの歯跡がメスの体にびっしり残るレベル。

    特にハンドウイルカのオスは、自分の子ではない赤ちゃんイルカを見つけると集団でボコボコにして殺す。子育てしている母イルカは発情しないが、子を殺せばすぐ交尾可能になるからだ。観察では実際に51分間も新生児を空中に投げ飛ばしたり、口先で突き上げたり、頭や体を何度も殴打して攻撃して殺したとか、母イルカが必死で守ろうとするのを無視して群れから引き離し深場に連れていき沈め殺すなどが複数確認されている。ライオンオスと同じ戦略だが、イルカは賢い分たちが悪い。オスイルカは想像以上に海のギャングである。

    ハーバーポーポイズ(ネズミイルカ。イルカに近縁な小型鯨類)を食べる目的ではなく、ただ殺す。追いかけて体当たりしたり、投げ飛ばしたり、溺死させる。死んだ後も死体で遊ぶ個体もいる。理由はまだはっきりしない。

    オスイルカはフグを優しく噛んで皮膚から出るテトロドトキシン(猛毒)を摂取してトランス状態になっていると解釈される映像もある。仲間同士でそのフグを回し飲みしている姿すら目撃されている。

    オス同士の抗争もエグイ。頭殴って気絶させるレベル。他にも死んだ子イルカを攻撃し続けたり、死んだメスイルカと性行為したり、水族館のオスイルカが人間に性的攻撃したりイルカかどうかすら関係ない。少なくとも人間が勝手に抱く「イルカ=優しくて可愛い」というイメージは、オスの行動を知るとかなり崩れる。

    そこで私は考えた。イルカ漁をやめる必要はない。むしろ、オスイルカだけ狙う漁にして、オスだけ適度に捕獲すればいい。可愛いメスと子イルカは捕獲禁止。オスイルカをイルカが絶滅しない程度に適度に間引いたほうが余程イルカ社会の平和が保たれるってもんだ。ただ苦しんで死ぬのは可哀想だからそこは考えないといけないが。

    追い込み漁で捕まえた中からオスだけ選んで他は逃がすというのはどうだろう。イルカの性別確認するには直接触って確認するか超音波検査(エコー)でするか、数百頭を一頭ずつ検査するのは現実的ではない。これは却下。しかもこの方法は可愛いメスイルカたちにもストレスがかかる。

    イルカは外見からの性別特定は難しい。ドローン+AI画像認識でオスっぽい個体を捕獲。船上で性別確認。一頭ずつ捕獲して船上で性別確認するにはやはり時間がかかり過ぎる。商売として非効率的すぎて不可。

    メスを囲んで拉致している集団や子イルカをいびっている集団を見つけて捕獲するのが手っ取り早い。行動が目立つしクズ度が高いオスイルカから間引くのは理に適っている。しかしこれも非難轟々だろう。イルカ漁をやめろ!と言っている人たちの多くは、イルカを知能が高く愛らしい存在として見ている。そこへ「実はオスイルカも相当えげつない」と言っても、たぶん簡単には届かない。これにはオスイルカの行動がいかにえげつないかという啓蒙が不可欠だ。

    他に、メスイルカ型の誘引デコイをつくって、フェロモン的なものを出し、オスを誘引して捕獲する、なども考えてみた。しかしフェロモンは海水で超希釈されてしまう。効果範囲が狭い。しかもそれをオスイルカが気に入ってくれるかも未知数だ。それに腹黒で賢いイルカほどなんか怪しいと察知したら逃げる。イルカは賢い、一回怪しまれたら警戒するから次はない。可愛いメスイルカや子イルカが寄ってきたらそれも困る。

    お金と技術をうんとかければ小規模ならオスイルカだけ捕獲はできるかもしれないがコスパ悪すぎてだれもやらない。絶望だ。

    そもそも、オスだけを選んで捕獲しても、食用や展示用として商売が成り立つのかは怪しい。

    まぁ、オスイルカのあの性質でイルカ社会が絶滅せず成り立っているし、オス同盟がメスを守る時もある。子殺しや強制交尾もイルカの進化戦略。下手に人間の手を加えるとまずいのもわかる。

    そっか……オスイルカだけ適度に間引くのは無理か……と絶望していたら、もっと嫌なことに気づいた。オスイルカよりも、人間のほうが断然クズではないか、と。

    イルカのオスは、進化の中でそういう戦略を取っている。ひどい。かなりひどい。でも人間は違う。倫理も法律も宗教も教育も持っているふりをしながら、戦争、虐殺、奴隷、身売り、嬰児殺し、家族内暴力、集団いじめをやってきた。しかもそれを「時代」「家のため」「国のため」「仕方ない」で包んできた。

    イルカのオスを見て「なんてひどい生き物だ」と思ったのに、最後に鏡を見たら人間が映っていた。

    イルカの世界は、進化戦略として残酷だ。人間の世界は、倫理を知っているふりをしながら残酷だ。どちらがマシなのか考え始めた時点で、もうだいぶ疲れている。

    あーもう引きこもりたい。苦笑