
【創作文】静けさの中で
草原はただある。
穏やかな風と古びた案内板、腰掛けになる切り株とポツポツ落ちている小石。
草は揺れ、サワサワと風の存在を知らせる。
静けさに満ちている草原。
そこに人が静かに座った。
『お、誰か来たね』草原は言う
『少し寂しそうだ』案内板が言う
『ゆっくり座れば良いよ』切り株は言う
『僕を記念に持って行くかな』小石が言う
『どうしたんだろうね』『それはわからないよ』『うまくいくと良いね』『うまくいくってなんだろうね?』
『あ…!』
座っていた人は少し穏やかな顔で立ち上がる
『良かったね』『うん、良かった』『嬉しいね』『そうだね』『あ、僕を拾った』『見守ってきて』『大人しくするんだぞ』
『君たちは騒がしいな』
風が笑いながら言った。
静けさの中、
誰一人喋らない草原。
そこはとても賑やかで穏やか。
帰り道その人は少しゆっくり歩いた。
ポケットの小石を触りながら。