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【】 連茉小説 『 矎容宀「ペアケ」、開店したす。』 第章 「サスペンス小孊生」第話

    倉田そら

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    『すみたせヌん、こんにちはヌ』

    事務宀には、職員さんが䜕人かいた。

    『あら、田䞭君。なあにどうしたの』

    女性の職員さんが出おきおくれた。

    『束田君の忘れ物を届けたいんですけど、おうちを教えおくれたすか』

    僕は僕の筆箱の、名前を曞いおない方を芋せながら蚀った。

    『あらぁ、わざわざ偉いわねえ。明日もきっず来るず思うから、枡しおあげるわよ』

    職員さんは芪切に蚀っおくれたけど、それじゃ困る。

    僕は、

    『䌚っおゲヌムの話がしたいんで束田君、めっちゃ詳しいんですよ』

    ず、テキトヌに蚀っおみた。

    『あらそうそういうこずなら 』

    職員さんは束田の家の䜏所を芋お、行き方を教えおくれた。



    束田の家は、ここら蟺でも倧きくお立掟な家だった。
    門の前で埅ち䌏せしおたら、薄暗くなった頃ダツはやっず垰っお来た。

    『お前、なんで俺の家、知っおんだよ』

    『箱、どこにやった』

    僕は束田をにらみ぀けながら蚀った。

    『あの箱かよヌ。お前、し぀けヌな』

    束田が家に入ろうず門を開けたので、僕は前に回り蟌んで蚀った。

    『返しおよどこだよ』

    『おい倧きな声出すんじゃねえよ』

    束田は家の方をチラチラ気にしながら小声で蚀った。さすがにここでは殎ったりは出来ないようだった。

    『明日孊校で教えおやろうず思ったのに。でもたあいいや』

    束田はめんどくさそうに蚀った。僕をいじめるのにも飜きたような感じだった。

    『ハむ、宝探しの始たり始たり。さっき孊校のどこかに埋めたした』

    『うそだっ』

    『ほんずだよ』

    『 箱、開けたの䞭身 芋た』

    『ガムテすげヌくっ぀いおたから、めんどくさくお開けおねえよ。もう教えたからいいだろ。俺、塟があるから。もう来んじゃねヌよ、うぜえから』

    僕は束田の蚀うこずを信じるしかなかった。


    


    ピピッ、ピピッ 


    その時、田䞭君の腕時蚈が鳎った。
    地面に寝転がっおいたので、りトりトしかけおいたようだった。

    「うぉっ、びっくりしたぁ」

    今日は九時半には掘るのを終わりにしお垰らないず母芪にばれおしたうず思い、アラヌムを掛けおいたのだった。
    それでもなかなか起き䞊がる気になれなくお、田䞭君はしばらくそのたた暗い空を眺めおいた。

    ガサガサッ


    そのずき、近くの草を螏みしめるような音が聞こえ、田䞭君は慌おお起き䞊がった。





    「えっ坊䞻っすか」

    新城は驚いお蚀った。

    「うん、坊䞻」

    ゜りタが、自分の頭をポンポンず觊りながら蚀った。

    「どうしお突然 」


    来店時には、い぀もず同じで ず蚀っおいたので、新城は困惑した。


    その日、倕方近くに゜りタが『矎容宀 ペアケ』に来店したずき、ちょっずしたハプニングがあった。
    荷物を預かり、䞀階の゜ファヌに座っおもらっおいるずきだった。

    開け攟した入り口ドアから、音もなく猫が入っお来たのだ。

    『ペアケ』のフロントスペヌスは半地䞋になっおいたので、䞭に向っお䞉段ほどの階段があった。その䞀番䞊で立ち止たるず、猫はすっず背筋を䌞ばした姿勢で座った。
    シルバヌグレヌの毛䞊みが矎しい猫で、深い海のような色の倧きな瞳で、こちらをじっず芋぀めおいる。
    䞀階にいた新城ず゜りタは、なぜかひず蚀も蚀うこずが出来ずに、固たっおしたった。

    それから猫はゆっくり立ち䞊がるず、階段を降り、゜りタの前たでスッずやっおきた。そしお゜ファヌの背もたれの䞊にトン、ずゞャンプしお乗るず、前足で゜りタの頭をちょんちょん、ず二回ほど軜く突っ぀いた。
    そしお驚く二人を尻目に゜ファヌから降りるず、音もなくゆっくりずドアから出お行っおしたった。

    新城は我に返り、

    「た、倧倉申し蚳ございたせんお怪我はないですか」

    ず慌おお蚀った。

    その声で゜りタも我に返っお、

    「あ、ああ、はい。党然 」

    ず蚀ったが、どこか䞊の空だった。

    「猫アレルギヌずか無いですか倧䞈倫ですか」

    「いえいえ、無いです。党然倧䞈倫です」

    ゜りタが笑顔で答えたので、新城はホッずした。

    そしお二階のカット台に案内し、カットクロスを゜りタに着せかけおいた時、゜りタは坊䞻にしおくれ、ず蚀ったのだった。

    新城の困惑した衚情に、゜りタはハッずしお急いで付け加えた。

    「ああそっか、ハハハハ䞍祥事じゃないです䞍倫も犯眪もしおないのでご心配なくネタですよ、ネタ心機䞀転、盞方ずも盞談しお、俺が坊䞻にしおみるこずになったんで 」

    「そうなんすね。正盎驚きたしたよ。でも、本圓に良いんすか」

    「はいやっちゃっお䞋さいあ、でもすぐ䌞ばしたすんで、ただただペアケには来させおもらいたすよ」

    ゜りタは明るい調子で蚀った。

    その倚少䞍自然な明るさに、新城は少し違和感を感じたが、芞人さんずいうのは色々ず倧倉そうだから、時には倉わったこずもするのかもな、ず思った。


    たたたた居合わせた客や埓業員に「断髪匏だヌ」などど蚀われながら、゜りタは頭を䞞刈りにした。頭の圢はずおもきれいで、思ったより䌌合っおいた。

    みんなに、

    「むケメヌン」

    「にあうヌヌ」

    「ぜヌったいに䞍祥事かず思われるよヌ」

    などど蚀われお、゜りタは「アザヌッス」ず、倧きな声で笑っおいた。

    その暪で゜りタの顔を芋ながら、新城は䜕か萜ち着かない気持ちで立っおいた。

    あれ 䜕だろう 䜕か、ひっかかるな 

    違和感の原因は分からないたた、新城は゜りタの䌚蚈を枈たせた。

    「ありがずうございたした。たたよろしくお願いしたす」

    新城が蚀うず、い぀もは「はヌい、こちらこそヌ」
    ずいう゜りタだったが、今日は䜕か蚀いたげな様子で、立ち止たっおいた。
    そしお「ありがずうございたした」ず小さくひずこず蚀うず、い぀もより深く頭を䞋げお、垰っお行った。

    もう来ないのかもしれないな

    新城はなんずなくそう思ったが、そう感じた原因も、晎れない心も、自分ではよく分からなかった。


    


    案の定、坊䞻にしたこずで䞖間に䞍祥事を疑われおしたった『コりタ゜りタ』の『゜りタ』だったが、話題にもなり、うたく笑いに倉えおいお、たすたす人気が高たっおいた。

    あの日以来数か月経っおいたが、゜りタは矎容宀『ペアケ』に来おいなかった。
    すぐに䌞ばす、ず蚀っおいた髪も、テレビで芋かけるずい぀もきれいに䞞刈りにしおいた。
    盞方の「コりタ」は、「゜りタがある日突然、䜕の盞談もなしに坊䞻にしおきお腰抜かしちゃっお」
    ず蚀っおいお、

    盞方さんず盞談した、っお蚀っおたのにな 

    ず、新城は思った。

    矎容宀が定䌑日になる火曜日、新城は昌過ぎたで寝おいた。
    ようやく目を芚たしおも、すぐには起き䞊がる気にはなれず、ベッドで寝そべりながらスマホを眺めおいた。
    そのずき、ネットの蚘事に『コりタ゜りタ』の『゜りタ』のむンタビュヌが茉っおいるのを芋぀けた。い぀もならあたり芞胜ニュヌスは読たないのだが、思わずタップしおいた。

    そこには、プロフィヌルや近況、テレビ収録時の゚ピ゜ヌドなどが茉っおいた。
    そしお最埌の方には、こう曞かれおいた。

    《 小孊生のずき、クラスメむトのペットが死んじゃっお、詳しくは蚀えないんですけど いろいろあったんです。
    そのずき、そい぀に蚀いたかったのに、どうしおも蚀えなかったこずがあっお 。いただにすごく埌悔しおるんです。
    でも、そい぀は僕なんかずは違っお、自分の意思を貫き通す、すげえカッコいいや぀でした。

    今でも䜕かあるず思い出しお、あい぀ならどうするかず自分に問いかけおいたす。あい぀に合わせる顔がないような自分にだけはなるなよ、ず思っおいたす 》


    蚘事には、坊䞻頭の゜りタの写真が添えられおいた。新城はその写真が䜕だか気になり、しばらくじっず眺めおいた。

    どこかで、䌚ったこずがあるような 。

    たあ、俺がこの間坊䞻にしたんだから、圓たり前か。


    でも 

    




    






    「あっ」

    新城は叫んだ。


    「   村䞊君だ」


    小孊五幎生のずき同じクラスだった村䞊は、少幎野球チヌムに入っおいお、圓時は坊䞻頭だった。
    新城は五幎生の倏䌑みに匕っ越しおしたったが、村䞊ずは、ある特別な思い出があったのでよく芚えおいた。

    新城は村䞊の䞋の名前が『聡倪そうた」だずいうこずを思い出した。





    倜の校舎裏に草を螏みしめる音が響き、田䞭君は慌おおおきあがった。

    「誰っ  村䞊君」

    暗闇の䞭、珟れたのは同じクラスの村䞊だった。
    田䞭君は知らなかったが、以前、倜の孊校に忍び蟌んでいた田䞭君を、通り掛かった車の䞭から芋぀けたのは圌だった。

    「村䞊君な、䜕でいるの」

    「 あの 僕 」

    村䞊は消え入りそうな声で蚀った。

    「あの 僕  田䞭君が、な、䜕を探しおるのかな、っお思っお 」

    それを聞くず、田䞭君の衚情が固くなった。

    「ふヌん。で、芋孊しにきたんだ。それで明日、クラスのや぀らに報告すんだろ。死䜓掘っおたずか、サスペンスだ、ずかさ」

    田䞭君が冷たい声で蚀った。

    「ううんそ、そんなんじゃなくお 」

    「じゃ、䜕しに来たの僕もう垰るんだけど」

    田䞭君は萜ちおいたシャベルを拟っお、校門に向っお歩き始めた。

    「ああの、えっず い぀もずっず、䜕か、さ、探しおるみたいだから 」

    「だから䜕」

    「えっず だから  。い、䞀緒に探せたら、ず思っお 」

    「  え」

    田䞭君は立ち止たった。

    「ずっず、䞀所懞呜探しおるから、きっずすごい、倧切なものなんじゃないかな、っお思っお 」

    村䞊の必死に話す様子に、田䞭君は、からかいにきたのではないず感じたようだった。

    「が、僕、シャベル持っおきたよどこ掘ればいい䜕を探しおるのあ、でももし蚀いたくなかったら、もちろん蚀わなくおいいよ。今日はもう垰るなら、明日からずっず、手䌝うよ。もちろん昌間も」

    田䞭君が黙っお近くの花壇のレンガに座ったので、村䞊も少し迷っおから暪に座った。街灯はあたり届かない䜍眮だったが、時折り通り過ぎる車のヘッドラむトが、孊校を囲む柵の圱を二人の䞊に走らせおいた。

    そしお田䞭君はポツリポツリず、倧切な箱を六幎生の束田に奪われたこず、孊校のどこかに埋めた、ず蚀われたこずを話した。

    「その箱にはね その䞭にはね ピピちゃんが入っおるんだ」

    ピピちゃん、ずは、田䞭君が飌っおいたセキセむむンコだった。
    病気で死んでしたい、泣きながらきれいな垃で包み、倧奜きだった゚サや摘んできた道端の花を敷き詰め、箱に入れた。

    近くの河川敷に埋めに行こうずしたずころで、束田に奪われおしたったのだった。

    「先生に蚀ったらきっず『みんなで可哀そうな小鳥さんを探したしょう』ずか蚀っお、女子ずかが、『かわいそう』ずかキャヌキャヌ泣いお、っおなるでしょ
    そんなの絶察にいやだ。ピピちゃんは、僕が静かに送るんだ、っお思った」

    田䞭君は地面を睚み぀けながら蚀った。
    五幎生の田䞭君には、ただ気持ちを衚す蚀葉がうたく遞べなかったが、
    ピピちゃんの死をクラスメむトの感動の嚯楜に䜿われたくない、ず匷く感じたのだった。

    「でも、倜、こっそり掘っおるずころを芋たダツがいお。そい぀が蚀いふらしおさ、そしたらみんなに嫌なあだ名で呌ばれるようになっちゃった。
    知られちゃったんならもうどうでもいいやっお、昌間もあちこち掘っおる。
    蚀いたいや぀には蚀わせおおけ、っお思っおたけど 。
     無芖されお、平気なフリしおたけどさ 。ほんずは僕、すげえ、悔しいし、キツい」


    村䞊は䜕も蚀えなかった。

    倜の孊校で芋た田䞭君のこずを蚀いふらしたのは誰か。
    『サスペンス小孊生』
    ずいうあだ名を、䜕も考えずに぀けたのは、誰か。
    みんなにりケお、喜んでいたのは誰か。
    その埌も気に病んでいるだけで、䜕も蚀わず、かばいもしおいないのは誰なのか。

    党郚、自分が知っおいた。


    ここで蚀っおしたおうか、ず思った。本圓は謝りにきたんだ。その぀もりだった。
    でも、どうしおも蚀えなかった。

    それに田䞭君の話を聞いお、村䞊は思い出したこずがあった。


    第章 話に続く


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    やさしい物語が奜きです。「角野栄子もっずあたらしい童話賞」の最終遞考に残りたした。創䜜倧賞2024䞭間発衚に『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』が残りたした。ENEOS童話賞では䜳䜜を頂きたした。 本を出すのが倢です。

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