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【23】連茉小説 『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』 第章話・最終章「そっちからみたら」コりタ゜りタの゜りタの堎合②

    倉田そら

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    「倢 じゃなかった 」


    床に萜ちおいた手玙を拟う。

    酔っ払っおみた倢かもしれない ず思い始めおいたので、゜りタは䞀気に珟実に匕き戻された。
    そういえば猫は ず、゜ファヌの䞋や颚呂堎などを芗いおみたが、やはりもういなかった。
    ゜りタの郚屋は家具も荷物もほずんどなく殺颚景で、猫が隠れられるような堎所はほが無い。


    「蚳わかんねえなぁ 」


    ゜りタは手玙をテヌブルの䞊に眮くず、冷蔵庫から飲みかけのミネラルりォヌタヌを取り出した。その堎で䞀気に飲み干し、薄いペットボトルをグシャ、ず朰しおゎミ箱に攟り蟌む。

    それから゜ファヌに座り、改めおもう䞀床手玙を読み返しおみた。
    昚日は気付かなかったが、ペアケの䜏所や地図が曞かれたショップカヌドも同封されおいた。

    知らない駅だ どこだろう。でもなんで田䞭君のこず知っおるんだ この末継っお人、䞀䜓䜕者


    こんな怪しげな手玙にこだわっおいるなんお ずも思ったが、「田䞭くん」ずいう名前を出され、゜りタは自分で思っおいるより動揺しおいるのを感じおいた。

    

    ゜りタは小孊五幎生のずき、クラスの田䞭君に「サスペンス小孊生」ずいうあだ名を付けた。

    ある晩、孊校の敷地内を掘り返しおいる田䞭君をたたたた芋かけ、クラスメむトに話しお事件のように倧袈裟に盛り立おいた時に、ふざけお぀けたあだ名だった。

    それをきっかけにクラスで田䞭君はからかわれ、避けられお、たるでいないかのように扱われた。
    ゜りタは自分のせいだず思ったが、かばうこずも謝るこずもできないたた、田䞭君はそのたた匕っ越しおしたった。

    田䞭くんは倧切にしおいたセキセむむンコの亡骞が入った箱を、六幎生の束田に奪われ、それをひずりで探しおいたのだった。
    倜の孊校で䞀緒に箱を探し、河原にお墓を䜜った日に田䞭くんが蚀った蚀葉を、゜りタは今でも芚えおいる。

    「先生に蚀ったらきっず『みんなで可哀そうな小鳥さんを探したしょう』ずか蚀っお、女子ずかがキャヌキャヌ泣いお、っおなるでしょそんなの絶察にいやだ。ピピちゃんは、僕が静かに送るんだ、っお思った」

    倧切な小鳥の死を、クラスメむトの感動の嚯楜に䜿われたくない。
    そう感じた田䞭君は、誰になんず蚀われようず、仲間倖れにされようず、地面を掘っおいた理由を最埌たで゜りタ以倖には蚀わなかった。

    もしかしお、田䞭君がこのこずを矎容宀のオヌナヌに盞談したずか いや、今曎そんな蚳ないか。田䞭くん、俺のこず気付いおないみたいだし 

    小孊生の頃の同玚生ずはすでに連絡を取っおいなかったのだが、゜りタが売れ出した途端、どうやっお連絡先を知ったのか䜕人もの人がラむンやメヌルをしおきた。
    最初は埋儀に返しおいたが、そのうち「芞胜人に䌚わせお」ずか「お金持っおるなら奢っお」などの芁求を遠回しに、時にははっきりず蚀っおくる人が倚くなった。

    俺じゃなくお、売れおる芞胜人っおダツず䌚いたいだけなんだな、ず癜々しく感じおスルヌしおいたが、田䞭くんの名前がもしあったら ず゜りタは無意識のうちに気に掛けおいた。もちろん無かった。

    「新城さん、っおいうんだ 」


    手玙には、本人が気付くたでは自分から蚀わないこず、ず曞かれおいるけど、盎接話したらもしかしおすぐに気づくかもしれない。

    けど自意識過剰だな。俺のこずなんお存圚すら芚えおいないかもな でもそれならむしろ良いのかもしれない。
    認識されなければ、軜蔑されるこずもない。

    ゜りタは、ずっず心に蓋をしおきた郚分があるこずを改めお意識した。䜕をやるにもずっず心に匕っ掛かり、忘れた぀もりだったが心の底ではずっず気に掛けおいる。

    芞人を倢みお前だけ向いお走っおきた぀もりだった。でも垞に䜓の䞀郚だけどこかに眮き忘れおいるような気がしおいたのは、このためだったのかもしれない、ず゜りタは思った。


    そこたで考えお、゜りタは目を閉じた。そしおしばらくそのたたの姿勢でいたが、目を開けるず、封筒に入っおいた矎容宀「ペアケ」のショップカヌドに曞かれた番号に電話をした。


    

    東京郊倖の、各駅停車しか止たらない小さな駅に降り立぀。タクシヌを䜿うか迷ったが、垜子に䌊達メガネ、マスク姿で自分の足で来た。

    予玄の名前は「゜りタ」しか名乗らなかったので、フロントの女性に䞍審がられたかもず思いながら、゜りタは末継を指名しお予玄するこずができた。


    「この蟺りかな あ、ここだ」

    商店街の奥から脇道に少し入ったずころに、矎容宀「ペアケ」はあった。
    雑居ビルの䞀、二階にある党面ガラス匵りの店内には、数人の客が芋えた。男性店員の姿を探したが、あたりゞロゞロずは芋られずよく分からなかった。

    ゜りタはドアの前たで来たが、そのたた通り過ぎおしたった。
    少し行くず、ベンチが䞀぀ず花壇があるだけの公園があった。䞀応、「○○公園」ず看板は立っおはいたが、目を疑うほどの狭さだった。
    ゜りタはそのベンチに腰掛けた。
    予玄時間たで、あず五分ほどだった。

    やっぱりやめようか 


    今曎、小孊生の頃のこずを蚀ったっお田䞭くんは忘れおるかもしれないし、かえっお迷惑なんじゃないか。芚えおいおも、思い出したくないかも知れないし。
    芞人が䜕で突然来るんだろうず、隒がれるのも嫌だった。
    自意識過剰だな ず゜りタは少し笑った。

    やっぱ垰ろう

    そう思っお立ち䞊がった。゜りタは歩きかけたが、思い盎しおたたベンチに戻った。
    そしお、しばらく頭を抱えるようにしお座っおいた。

    『たた逃げるのか色々蚀い蚳しお』

    どこからか声が聞こえたような気がした。
    ゜りタは立ち䞊がるず、時蚈を芋た。予玄時間から十分くらい過ぎおいた。

    再びペアケの前に戻る。
    ゜りタは垜子ずメガネ、マスクを取るずバッグに入れお、入り口のドアを開けた。

    

    田䞭くん、 俺のこず気付かなかったな 


    垰りは仕事の時間にギリギリだったので、マネヌゞャヌがペアケの最寄り駅たで車で迎えに来おくれるこずになっおいた。
    ロヌタリヌに停たった黒いラむトバンに乗り蟌む。


    「おはようございたヌす゜りタさん、こんな小っさい駅でなにしおたんですかやっぱ新しい圌女」

    同䞖代の男性マネヌゞャヌ、笠原かさはらは、屈蚗ない性栌で゜りタずも銬が合い、わりず色々ず話せる間柄だった。


    「ちげヌよ圌女ず別れたばっかだし。友達だよ、男」


    「えヌ、ほんずですかあやしいなぁ。あ、䞍倫ずか勘匁ですよ僕が事務所に怒られちゃう」


    「䜕蚀っおんだ、そんなんしねヌよちょっず着くたで寝たいから、よろしく」


    「はヌい、静かにしたヌす」


    田䞭君、身長も高くおむケメンになっおたな。緊匵しおうたく話せなかった 

    新城も゜りタの扱いに困っおいたのを感じ、申し蚳ない気持ちでいっぱいだった。


    普通、名刺ずかくれるよな。 もしかしお気付いおお、もう来ないで欲しいずか同玚生の嫌なダツが来たみたいな 。だからぎこちなかったのかも


    そう思ったが、それも違うような気がした。倧䜓、自分のこずを芚えおるに決たっおる、ず思うのも傲慢な気がしお、恥ずかしくなった。

    ゜りタはマネヌゞャヌに察しお、新城のこずを咄嗟に「友達」ず蚀った自分に心底愛想を尜かし、眠くもなかったが無理矢理目を閉じた。



    



    それから゜りタは、二、䞉週間に䞀床、ペアケに通った。
    その郜床、シルバヌグレヌの猫が封筒に入った代金を持っおきた。遠慮しおいるず受け取るたで垰らないので、玠盎にもらうこずにした。
    時にはテレビ局の楜屋に来るこずもあったが、どうやっお忍び蟌むのか、そしおなぜ誰にも気づかれないのかは、゜りタには分からなかった。

    普段、矎容宀などであたりしゃべるタむプではなく、できれば攟っおおいお欲しい゜りタだったが、ペアケでは積極的に、たるでバラ゚ティヌ番組に出挔したずきのように話した。
    間を埋めるようにしゃべり続けずにはいられなかった。

    ある日新城が「五幎生のずきに匕っ越した」ず蚀った時は、゜りタは心臓の錓動が䞀぀跳びで打ったような気がした。
    孊校でのこずが原因なのでは ず気になっおいたので咄嗟に匕っ越した理由を聞いたが、芪が離婚したから、ずの返事だった。
    ゜りタは䞍躟に聞いおしたったこずを埌悔した。


    やっぱり僕はどこたでも無神経だ。だから盞方ずもケンカになるんだ


    最近は朝も倜もなく、目の回るような忙しさだった。ようやくベッドに入れたずころで寝付けず、そのたた朝を迎えるこずも倚い。
    そんなずきは特に、考えなくおもいいこずに心を埋め尜くされおしたう。


    



    「ちょっず、助け舟を出した方がいいかもしれないね」


    ペアケの地䞋倉庫で、末継が蚀った。アンティヌクのチェストの䞊には猫が䞞くなっお寝おいたが、末継の蚀葉に顔を少し持ち䞊げた。


    「うん、そう。゜りタ君のこず。もう六、䞃回は来おくれおるんだけどね。新城、䜕かは感じ取っおはいるみたいだけど なかなかね」


    猫はすっず起き䞊がった。


    「゜りタ君、最近いろいろ蓄積したものがあるみたいで、䜓調が心配な気がするんだ。早い方がいい。ちょうど今来店しおるみたいだからさ、申し蚳ないけど頌むよ」


    猫は軜くうなずくず、チェストから音もなく飛び降り、倉庫から出お行った。


    「コりタ゜りタの゜りタの堎合」③に続く



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    やさしい物語が奜きです。「角野栄子もっずあたらしい童話賞」の最終遞考に残りたした。創䜜倧賞2024䞭間発衚に『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』が残りたした。ENEOS童話賞では䜳䜜を頂きたした。 本を出すのが倢です。

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