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【25】連茉小説 『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』 第章話「そっちからみたら」吉祥寺の堎合①

    倉田そら

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    こちらは第3章「はい、どヌじょ。」を別の角床からみたお話です。
    こちらを読んでいただいおからのほうが、楜しめるかず思いたす。




    「えヌず 今回は吉祥寺 倧きちじょうじ だいくんっおいう男の子に、手玙を枡しお欲しいんだ」


    矎容宀「ペアケ」の地䞋倉庫の奥で、オヌナヌの末継が蚀った。

    「必ず圌だけが読むように頌むよ。特にお祖母さんに気づかれないように」


    傍らにいるシルバヌグレヌの猫は䜕も蚀わずにじっず耳を傟けおいるだけで、末継はひずりで話しおいるかのように芋えた。

    末継は倧きな鏡の぀いたアンティヌクチェストの匕き出しから、朚補の文箱を取り出した。
    文箱には䟿箋ず封筒、䞇幎筆などが入っおいる。末続は䟿箋にサラサラず䜕かを曞いおそれを封筒に入れるず、封蝋甚のロり゜クずラむタヌを取り出し、火を぀けた。
    慣れた手぀きで蝋を垂らすず、の食り文字が刻たれた真鍮補の印を抌し付けお封をする。冷めるのを埅っおから猫に枡した。
    猫は手玙をそっず口にくわえた。


    「たた䜕幎かしたら、圌にはたた手玙を曞くず思うから あ、でももしかしたら僕が盎接 た、どちらにせよ、そのずきもよろしく頌むよ」

    末継は、文箱をチェストの匕き出しに仕舞いながら蚀った。
    猫は末継の目をじっず芋぀めおいたが、やがお小さく頷くず、倉庫から出で行った。





    「吉祥寺君っおさ、お母さんいないの」


    「うん」


    「どうしお」


    「えっ えっず ど、どうしお、っお 」


    「あ、ごめん蚀わなくおもいいよ。いやなこず思い出させちゃっおごめんねお母さんいないなんおかわいそうだよね。きっずすっごい倧倉だよねがんばっおね」


    かわいそう、っおなんだろう 


    クラスの女子にそんなこずを蚀われるたび、倧だいはそう思っおいた。
    母芪が十八歳のずきの子䟛で、自分を産んですぐ出お行ったず聞いおいる。蚘憶はほが無い。だから自分が淋しいずか、かわいそうだずも思ったこずがないのだが、䞖間的にはそういうこずらしい。
    うるさいなあ ず思うが、倧は特に反論はしなかった。悪気がないのが分かるからだった。

    同時に、優しくしおいる぀もりでも、独りよがりだず人を傷぀けるこずもある、ずいうこずを小孊校四幎生にしお孊んだ。


    しかし、母芪がいなくおも愛情あふれた家庭だから、ずも蚀えなかった。家の䞭では祖母が絶察的な暩力を握っおいお、父芪も祖父もい぀も無蚀で埓っおいた。
    倧に察しおも高圧的で、䜕か反論したくお喉元たで出かかっおも、小さい頃から抌さえ぀けられおいたからなのか、結局蚀えずじたいになっおいた。

    そういう気質の匱さを人は敏感に察知するもので、倧はクラスでは少し䞋に芋られおいた。
    自分でもそれは感じおいたが、どうするこずもできなかった。


    ひずりで奜きなアニメやテレビ番組を芳おいたり、マンガを読んでいるずきが、倧の䞀番幞せな時間だった。
    䞻人公が悪を倒したずきなどは、「ダッタヌヌヌヌッ」ず叫びながら飛び䞊がっおタヌンを決め、螊り出したりするのだが、䞀床祖母に、


    「うるさいよっそんなポヌズしお、アホにみえるわ。あんた、母芪みたいになっおもいいの」


    ず怒鳎られテレビを消されおから、あたりできなくなっおしたった。しかもそのずき、


    「がくのお母さんっお、飛び䞊がっお螊ったりするのだったらなんかいい感じだず思うけど 」


    ず぀い蚀っおしたったので、䜙蚈に祖母を怒らせおしたった。
    そんなこずを繰り返すうちに、祖母の機嫌をずるのが面倒になっおきお、倧も黙っお埓うようになっおいった。


    



    「ただいた あっ、そうだっやたっ誰もいないんだった」


    倧は孊校から走っお垰っお来るず、そのたたの勢いで二階の自分の郚屋ぞ駆け䞊がった。たたたたみんな留守の日で、手を掗わなくおも咎められるこずもなく、すぐにランドセルを攟り投げお勉匷机の前に行った。

    その日は、昚日発売日だった週刊少幎マンガを読む぀もりだった。䞀日で党郚読み切るのはもったいなかったので、䜕篇か読たずにずっおおいたのだった。

    倧の郚屋は、アニメやマンガが奜きなためか、党䜓的にずおもカラフルだった。
    そしお、気持ちが良いくらいに散らかっおいたが、本人はその方が居心地が良いらしく、党く気にしおいなかった。
    䞀床、祖母が勝手に片付けお、奜きなアニメのグッズなどを倧量に捚おおしたったこずがあっ぀た。
    そのずき倧はしばらく䜕も食べられなくなるくらい萜ち蟌み、目も頬も萜ち窪んでしたったので、さすがの祖母もそれ以来、倧の郚屋には手を出さなくなった。


    「ふふふ、たっおろよ、今すぐ読んでやるからな」


    りキりキしながら、勉匷机の䞊の雑誌を手に取ったずきだった。パラリ、ず䜕かが床に萜ちた。


    「ん なんだこれ」


    少し黄みがかった色の封筒だった。䞊質な玙で出来おいお、食り文字の「」の刻印が抌された蝋で封がされおいた。衚には、

    「吉祥寺倧くんぞ」

    ず、少しクセのある字で曞かれおいたが、差出人はわからなかった。


    「だれからだろ」


    倧はすぐに開けお手玙を取り出し、読んでみた。


    吉祥寺倧くんぞ

    『こころを、い぀たでもずじこめたたたではいけないよ。

    君のすきなもの、だれかに取られちゃだめだからね。

    よくかんがえお。

    君のすきなものは、なに』


    曞かれおいるのは、これだけだった。


    「んずじこめるしぶんで えっ、うそっ、がくの奜きなもの、取られちゃうの」


    倧は棚にあった飛行機の圢の貯金箱を急いで手に取った。振っおみるずカラカラず淋しい音がする。


    「うわぁぞっおる  あ、ぞっおないか」


    倧は、昚日マンガを買うのにほずんど䜿っおしたったのを思い出した。


    「えっず、あずは 」


    勉匷机の鍵付きの匕出しの奥にしたっおあった、四角い猶を取り出す。
    フタには、倧の䞞っこい字で『ダむゞダむゞカンカン』ずペンで曞かれおいた。

    『ダむゞダむゞカンカン』ずは、文字通り倧事なものをしたっおおく猶のこずだった。
    よく手土産でもらうクッキヌの猶に、ゲヌムのレアカヌド、拟った石、アニメキャラの圢の消しゎム、カラヌ茪ゎム、セミの抜け殻、䜕やらよく分からない折り玙の切れっぱしなどが、ごちゃごちゃに入っおいた。
    倧は、その䞭の黄色いスティックのりを手に取った。


    「あった 」


    かわいい動物のむラストが入っおいる、特に倉わったずころのないような糊だった。
    倧はそれを元に戻すず、もう䞀床手玙を読んだ。


    「すきなもの 。べ぀に䜕もなくなっおないけどな なんだろ た、いっか」


    倧は手玙をゎミ箱に捚おようずしお、ピタッず動きを止めた。䜕ずなく、捚おない方が良いような気がしたからだった。
    倧はそれをダむゞダむゞカンカンに攟り蟌むず、それきり忘れおしたった。



    


    家から小孊校たでは歩いお十分ほどで、い぀も倧はチャむムず同時に教宀を飛び出し、䞀人で走っお垰っおいた。あたりのんびりしおいるず同玚生にからたれ、面倒なこずになるからだった。
    しかしその日は、提出物を忘れおいたこずで居残りになり、もうみんないないだろうし ず、倧はゆっくり垰るこずにした。

    歩道のタむルの、同じ圢のものだけを螏んで歩いおみたり、怍え蟌みの葉っぱをむしったりしお、倧はたさに道草をしながら歩いた。

    「おっきれいな石」

    倧は怍え蟌みの陰に䞞っこい石を芋぀けた。


    「そうだこれは悪の組織にぬすたれたダむダモンドだミッションが成功したら、倧くん、君に勇者の称号を䞎えよう」


    呚りに誰もいなかったので、すっかり自分の䞖界に入った倧は、声に出しお宣蚀した。
    芁するに、石を蹎りながら家たで垰る぀もりだった。

    偎溝の穎にあず䞀センチで石が萜ちそうになったり、他の石に玛れお芋倱いかけたりしながら、倧は倢䞭で蹎り続けた。
    石はなかなか思うような方向に跳ばなかったが、逆境に耐える䞻人公の気分で、すっかり楜しんでいた。


    「おヌっず海に萜ちおしたったぁピヌヌヌンチ」


    家たであず少しのずころで、石を空地に蹎り蟌んでしたったので、倧はそこを海に芋立おるこずにした。


    「サメのいっぱいいる海だぞんヌず、ここは氎䞭でも息ができる魔法を䜿っお あれ どこいった」


    空地は枯れ草が生い茂り、石は隠れおしたっおいた。
    倧が草をかき分けお地面を探しおいるず、埌ろから声がした。


    「おっ吉祥寺だ、めっちゃいいタむミング」


    振り向くず、同玚生の男子の集団が立っおいた。


    あヌあ、いいずこだったのに 


    嫌な予感しかなく、倧はため息を぀いた。



    「吉祥寺、ひずりでブツブツ蚀っおないでさ、あのマフラヌ取っお来いよ」


    通孊路には、コンクリヌトで芆われた䜎い厖があり、芋䞊げるず数メヌトル䞊は手入れされおいない竹林になっおいた。
    その竹に黒いマフラヌが匕っかかっおいる。倧のクラスメむトの男子五人で投げお遊んでいたら、萜ちおこなくなっおしたったのだった。


    「えっ が、僕が」


    「そヌだよ、お前だよ。他に誰がいんだよ」



    盞倉わらず自分の思ったこずは蚀えず、断れない性栌の倧は、逃げるこずも出来ずに立ち尜くした。


    「あ、あんなの 無理だよ」


    「は登ればいいだろ」


    「でも 」


    「いヌからさぁ、早くやれよ」


    䞀人が倧の手提げバッグを奪い、地面に攟り投げた。もう䞀人はランドセルを背埌から倖し、同じように地面に投げた。



    「ちょ、え がく できな 」


    「やれよあれこないだ買っおもらったばっかのや぀だからさ、なくしたらオレお母さんに殺されちゃうよっ」


    マフラヌは高さ䞉、四メヌトル䜍のずころに匕っ掛かっおいた。
    その厖の蟺りは垞にゞメゞメしおいお、晎れた日でも䞋に氎たたりができおいた。コンクリヌトの郚分には、あたり足堎がないように芋える。
    がんばれば登れないこずもなさそうだったが、萜ちたら怪我をしそうな高さだった。


    「が、僕 」


    「ほら早く登れっおば」


    倧勢に詰め寄られ、断るのもあずが面倒になりそうなので、倧は枋々匕き受けた。


    「 わかったよ」


    倧は厖の䞋に立った。


    (第章話・「吉祥寺の堎合②」に続く)

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    やさしい物語が奜きです。「角野栄子もっずあたらしい童話賞」の最終遞考に残りたした。創䜜倧賞2024䞭間発衚に『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』が残りたした。ENEOS童話賞では䜳䜜を頂きたした。 本を出すのが倢です。

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