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【24】連茉小説 『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』 第章話「そっちからみたら」コりタ゜りタの゜りタの堎合③

    倉田そら


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    猫は倉庫から出お、すぐ暪にあるペアケの開け攟したドアから入っお行った。
    ゜りタは猫を芋るずびくっずした。最近、ひょっずしたら芋えおるのは俺だけなのかも ず思い始めおいたので、新城も反応したずきは少しほっずした。


    猫は『ペアケ』の半地䞋になっおいるフロントスペヌスに降りおいくず、゜りタの前に来お、じっず目を芋぀めた。
    それから゜ファヌの背もたれの䞊にトン、ずゞャンプしお乗るず、前足で゜りタの頭をちょんちょん、ず二回ほど軜く突぀いた。
    それから猫は゜りタにだけ芋えるように目を现め、なにやら合図をしたかのように芋えた。

    猫はそのたた、ドアから出お行っおしたった。
    あっずいう間に倉庫に戻っお来た猫に、末継が

    「えっもうさすが仕事が早いね。䞊手くいった」

    ず聞くず、猫は軜くうなずいおからチェストに飛び乗り、再び䞞くなっお寝おしたった。


    「た、倧倉申し蚳ございたせんお怪我はないですか」

    新城の声で、゜りタは我に返った。最初は蚳が分からなかったが、猫に芋぀められたずきハッずした。

    ゜りタは小孊生時代は少幎野球チヌムに所属しおいお、ずっず坊䞻頭だった。
    䞀週間ほど前に盞方のコりタずケンカした理由も、坊䞻にた぀わるこずだった。
    テレビ番組の䌁画でどちらかが番組内で坊䞻にする、ずいう案がでた。内容䞊、゜りタが坊䞻にする方が良さそうだったのだが、゜りタが拒吊し、結局、ほかのコンビが坊䞻にした。
    別に坊䞻が嫌なわけではなかった。ペアケにカットに行かれなくなっおしたう、ず思ったからだった。

    「い぀もなら面癜い事なら率先しおやるのにさ 最近なんか倉じゃね䞊の空のこずも倚いし 倧䞈倫か」

    ずコりタが蚀うず、

    「あ䜕蚀っおんだよだったらコりタが坊䞻にしろよ圌女がいるから嫌なのかネタ曞いおんの俺なんだから、いちいちケチ぀けんなよ」

    ず、぀いむラむラしお返しおしたった。コりタが心配しおくれおいるのが分かるだけに、自分の䞍甲斐なさに䜙蚈に腹が立った。
    ゜りタは意を決しお、新城に坊䞻にしおくれるように頌んだ。結局、それでも新城は気付かなかったが、䜕か思うずころがあるような衚情をしおいた。

    もしかしたら気付いおくれるかもしれない。
    そう感じた゜りタは、それをずっず願っおいたはずなのにむしろ怖くなり、その日からペアケに足が向かなくなっおしたった。


    


    「゜りタ、お前、䌑め」


    ある日。テレビ局からの移動䞭の車内でコりタが蚀った。
    倖は激しい雚が降っおいお、ワむパヌが䜕時にない速さで動く音が響いおいた。


    「あたた蚀っおんのかよ。今、䞀番の頑匵りどころだろ䌑たねヌよ」


    ゜りタは怅子を倒しお寝おいたが、目も開けずに蚀った。


    「いや、䌑め。俺がその間は䜕ずか頑匵るから。この頃、䜕でもないずきでも涙が出おきたりするんだろ目もう぀ろなこずが倚いし。寝れおないんだろ」


    「お前、俺がちゃんず仕事しおないっお蚀うのかよ」


    「そんなこず蚀っおないだろむしろ逆だよ、しすぎなんだよ。䜕床も蚀っおるだろ」


    「だからこっちだっお䜕床も蚀っおるだろ倧䞈倫だっお。倧䜓、誰がネタ曞くんだ」


    「䌑んでる間はピンで頑匵るから」


    「お、俺はもういらないっおのか」


    「だからっそんなこず蚀っおないだろ」


    コりタは゜りタの胞ぐらを぀かんだ。運転しおいたマネヌゞャヌの笠原が息を飲んだ。゜りタはそれでも目を開けず、面倒くさそうにされるがたたになっおいた。
    ちょうど信号で停車し、氎滎の぀いた窓から赀くゆらいだ光が差し蟌み、二人を照らしおいた。

    コりタはそのたた、䜎い声で蚀った。


    「同じような感じでそのたた頑匵り続けお、䞀幎以䞊も家から出られなくなった人のこず、俺は知っおるんだ」


    ゜りタは目を開けた。


    「コりタがそうなる前に 俺は  俺は、お前ずずっず挫才しおたいんだよ」


    コりタは゜りタから乱暎に手を離すず前を向き、かぶっおいたキャップで顔を芆うずそのたた寝おしたった。

    コりタがここたで蚀うのは初めおだった。
    ゜りタはしばらくコりタを芋぀めおいたが、再び目を閉じた。
    そしおしばらくするず、抌し殺したような嗚咜をもらした。

    結局、゜りタは笠原に匕きずられるようにしお心療内科に行き、カりンセリングを受け、しばらく䌑業するこずになった。


    


    䌑業圓初は、テレビが芋られなかった。
    自分がいなくおも回っおいる䞖の䞭。盞方だけが売れお、俺はもう甚枈みになるのかもしれない。そう思うず苊しくお目を背けたくなる。

    ベッドから起き䞊がれなくお、ただダラダラしおいる自分に焊り、䜕かしなければず思う。医者にはのんびりしろず蚀われたが、どうのんびりしおいいのかが分からない。
    日々「のんびりするこず」を頑匵ろうずしおいる自分に気付き、少し笑った。
    しかし、コりタが匷匕に医者に連れお行ったお陰で、重症になる前に䌑むこずができたようだった。

    自分では倧䞈倫ず思っおたけど 気付けないもんだな

    だいぶ良くなっおから、゜りタは思った。
    心配した母芪がしばらくの間、泊たり蟌んで身の回りの䞖話をしおくれた。久しぶりに手䜜りのおかずを食べながら涙が出おきたが、母芪は芋お芋ぬふりをしおくれ、普段どおりに接しおくれたのも有り難かった。


    「すごいすごいわ、そうちゃんっこんな景色、なかなか芋られないわよ頑匵ったのねぇ」


    高局マンションの眺めに嫌気がさしおいたが、母芪が手を叩いお喜ぶ姿を芋お、少しは芪孝行できおるのかもな、ず思えるようになった。


    半幎ほど経っお医者の蚱可も降り、仕事に埩垰するこずが決たった頃、マネヌゞャヌの笠原が様子を芋がおら、家にやっおきた。

    「゜りタさヌん、これ、今めっちゃ話題なんですよそれからこれはコりタさんから。今日の倕飯甚にデパ地䞋うなぎ匁圓」


    笠原はチョコレヌトが掛かったラスクの箱ず、匁圓を差し出した。


    「おっ、矎味そうじゃん、ありがずう。うなぎかぁ、豪華だなあ。コりタにも埌でラむンしずくわ。俺、コヌヒヌ淹れるよ」



    ゜りタは湯を沞かし、その間に豆を挜いた。時間をかけおドリップしたコヌヒヌずラスクを出し、ダむニングテヌブルに二人で座る。


    「い぀もならペットボトル、ドヌンっお眮いお、はいこれ飲んでだったじゃないですか䞁寧な暮らしっおダツですか」


    笠原がラスクに手を䌞ばしながら蚀った。


    「ははは、䌑んでおするこずなかったからさ、なんかコヌヒずかオシャレな道具そろえお淹れたらモテんじゃねっおさ」


    「埩垰したらたた忙しくなるんで、ペットボトルドヌンになりたすよ」


    「そうはならなかったりしお」


    ゜りタは笑っお蚀ったが、自分の戻る堎所はあるんだろうか、ず毎日、毎時間考えおしたうのも事実だった。


    「゜りタさん」

    笠原が、い぀になく真面目な顔で蚀った。


    「コりタさんがこの半幎間、『コりタ゜りタ』を守っおきたした。゜りタさんの堎所、たんた残っおたす。けど、今たでみたいに自分を削んないで䞋さい。䜕かあったら俺のこずも頌っお䞋さい。頌りないかもだけど、党力で䞀緒に走るこずはできたす。もちろん、歩いおもいいです。止たったっおいいです」


    「   」



    ゜りタがう぀むいお、しばらくそのたた䜕も蚀わなかったので、笠原は慌おお蚀った。



    「あっなんか俺、䜙蚈なお䞖話だった䞊から目線だったかもすみたせんっ」



    「いや、違う。 そんなこず 」



    ゜りタは䞋を向いたたた小さな声で「ありがずう」ず蚀った。
    笠原の顔が少し歪んだが、すぐに元気な調子で、


    「ほら、゜りタさんも食べお䞋さいよ」


    ず蚀うずラスクの袋を開け、倧きく頬匵った。


    「うたっほらやっぱりここの ムハッグホッ」


    笠原はむせおしたい、急いでコヌヒヌを流し蟌んだ。


    「アッチアチッ」


    コヌヒヌは淹れたおで熱く、慌おおいる笠原を芋お゜りタは涙を流しお笑った。
    笠原も涙目で、䞀緒に笑っおいた。


    笠原が垰るず、゜りタは寝宀の棚に眮いおいた、新城が最近送っお来たハガキを手に取った。
    ゜りタは䌑業䞭もペアケのこずを考えおいお、埩垰する前に、ボサボサに䌞びた髪を切っおもらおうず決めおいた。


    今床こそ、逃げないで向き合おう


    ゜りタは、DMに印刷されおいた、新城のラむンのQRコヌドを読み取った。

     

    


    「本圓にありがずな。ったく䜕幎掛かっおんだろうな でもお陰でちゃんず蚀えたよ。蚱しおもらおうなんお思わないけどさ でも謝れたよ」


    久しぶりに新城に髪を切っおもらい芋送られた埌、建物の隙間に䜇むシルバヌグレヌの猫を芋぀け、゜りタは声を掛けた。


    「ほんず、䞖話が焌けるや぀ っお思っおんだろでもさ、䞖話っおずきどきは焌かせちゃっおも良いのかもな、っお最近思えるようになったよ。助けお、っおいっお良いんだ、っおね」


    猫は深い海のような瞳で、゜りタをじっず芋぀めおいた。



    「あの ゜りタさん」


    埌ろから声を掛けられ、゜りタは驚いお振り返った。

    「ああれ、新城さん、なにかありたしたか」


    「あの えっず、単独ラむブっお 」

    「えっ」


    「もし良かったら、行きたいなっお思っお 」

    新城が蚀った。


    ゜りタはチケットを莈る玄束をし、新城に深く頭を䞋げた。

    猫はい぀の間にか、いなくなっおいた。


    


    「お、゜りタくん埩垰だっお。良かったな」


    「ペアケ」の地䞋倉庫の奥で、末継はスマホのニュヌスを芋ながら蚀った。


    「ああいう優しい子も病気なんかにならないで掻躍できるような䞖界であっおほしいけど、そう願うのは珟実的じゃないのかもしれないね」


    スタむリングチェアヌに寝そべっお聞いおいた猫は座りなおしお、「ニャヌ」ず、非難めいた声を出した。


    「そうだね うん。少しず぀ 。ひょっずしたら、ひょっずするのかもしれないね」


    猫は「そう思わないず、やっおられないでしょ」ず蚀っおいるように芋えた。


    「そろそろ指名のお客さん来るな。遅れたらたた坂本に怒られる あい぀、怖いからな」


    末継は猫に軜く手をあげるず、倉庫を埌にした。
    猫もすぐにチェストに入っお行ったので、倉庫には再び静寂が蚪れた。


    『コりタ゜りタの゜りタの堎合』おわり・『吉祥寺の堎合』に続く


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    やさしい物語が奜きです。「角野栄子もっずあたらしい童話賞」の最終遞考に残りたした。創䜜倧賞2024䞭間発衚に『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』が残りたした。ENEOS童話賞では䜳䜜を頂きたした。 本を出すのが倢です。

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