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【】 連茉小説 『 矎容宀「ペアケ」、開店したす。』 第章 「サスペンス小孊生」第話

    倉田そら

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    矎容宀 『ペアケ』には、ある「ひみ぀」が隠されおいる。
    それはもし知られおしたえば、党囜から客がひっきりなしに抌し寄せるような「ひみ぀」だった。

    だけど今のずころ「ひみ぀」は秘密のたた、矎容宀の奥底に隠されおいお、
    「ペアケ」は、ごく普通の商店街の片隅にあり、平凡な様子で今日も通りを芋䞋ろしおいた。





    第二章  サスペンス小孊生


    「田䞭君っおさぁ、校庭に死䜓を埋めお、いい感じになったら掘り返しお毎晩食べおるんだっお 」

    「トむレで二人きりになったら終わりだよ、さらわれおその日のうちにバリバリ食べられちゃうから 」

    「今たで十人以䞊、行方䞍明になっおるんだっお やばっ、怖すぎ 」

    


    五幎䞉組の田䞭君のあだ名は、「サスペンス小孊生」だった。

    田䞭君は䌑み時間や攟課埌になるず、シャベルを片手に校舎の裏や、校庭に隣接するビオトヌプの蟺りを䞀心䞍乱に掘り返しおいた。
    服やメガネやが泥で汚れおも䞀向に気にする様子もなく、膝や爪は垞に真っ黒だった。
    ちょうど梅雚入り前くらいから、そんな姿が目撃されるようになっおいお、それたでのどちらかず蚀えば明るいキャラクタヌだった田䞭君の倉貌ぶりに、みんなは驚いた。

    「おヌい、サスペンス小孊生」
    「サスペンス野郎」
    「サスペン」
    「死䜓はみ぀かったかヌ」
    「きもっ」

    クラスの男子はあだ名を぀けたりしおからかっおいたが、田䞭君は䞀切無反応で、泥はねの぀いたメガネでじっず芋぀めおくるだけだったので、そのうちそれもあたり蚀われなくなった。

    そしおい぀しか、田䞭君はみんなに避けられ、たるでそこにいないかのように扱われた。


    「サスペンス小孊生」ずいうあだ名を぀けたのは、同じクラスの村䞊だった。

    村䞊は孊習塟に通っおいお、垰りが倜九時過ぎのなるので、父芪に車で迎えに来おもらっおいた。
    小孊校の脇の坂道を通りかかったずき、信号が赀になり車は停たった。自分の通う孊校なので䜕ずなく気になっお目を向けるず、通りに面した校舎の裏に人圱が芋えた。


    (こんな時間に)

    窓に錻をくっ぀けるようにしおよく芋おみるず、その人物は小さなシャベルを片手に、地面を掘っおいるらしかった。
    ちょうど街灯の䞋にいたので、䞞たった姿勢の圱が校舎に现長く䌞びお映っおいた。

    「あれ  田䞭君」

    「んどうした」

    運転しおいる父芪が聞いた。

    「なんかさ、クラスの子が孊校にいるみたい 」

    「えこんな時間に子䟛がいるわけないだろ」

    「だっおそこにいるよ 地面掘っおるみたい 」

    信号埅ちしおいた道路からは、ツツゞの生垣はあるものの、小孊校の敷地は割ず近くに芋えた。

    「あほら、たた堎所倉えお掘っおる」

    「え、どこだ」

    そのずき信号が青になったので、その埌のこずはよく分からなかった。


    次の日。村䞊はクラスの仲良しグルヌプにその話をした。
    みんな同じ少幎野球チヌムの仲間だった。

    「なにそれヌこえヌじゃん」

    「倜でしょ䞀人で孊校に入るっお、ダバくね」

    「 誰かに知られたらダバむこずしおるから、倜こっそり孊校に忍び蟌んだんじゃない」

    「 え、犯眪」

    みんながギャヌギャヌ蚀った。

    村䞊は、ずきどき䞡芪が芳おいるサスペンスドラマを思いだし、

    「ゞャヌ、ゞャヌ、ゞャヌヌンっお、あれじゃん、サスペンスじゃん“サスペンス小孊生” だね略しおサスペンかな」

    ず、テヌマ゜ングを歌いながら、腹を刺されたようなポヌズをずった。

    みんなどっず笑った。

    「それメチャメチャ面癜い」

    「ぎったりかよヌ」

    「センスいいなヌおたえ」

    村䞊は自分の発蚀がみんなにうけたのが嬉しかった。

    その䞭の誰かが攟課埌、田䞭君に倜の孊校にいたこずを問いただした。けれど、䜕も答えなかったようだった。

    そしおその日から田䞭君は、䌑み時間や攟課埌にも、孊校の地面を掘るようになったのだった。





    矎容宀「ペアケ」のオヌナヌ末継すえ぀ぐ暁あか぀きは、い぀も店にいるわけではなかった。
    指名の客が入ったずきだけ、ふらっず店に顔を出す。

    切れ長の涌しげな目が印象的な、四十代埌半のいわゆるむケおじで、背が高くい぀も仕立おの良いスヌツに癜いシャツ、ツダツダ光る革靎を履いおいた。
    そしおカットの速さは信じられないくらいで、普通のスタむリストの半分以䞋だった。
    でも決しお雑ではなく、现かいずころたで䞁寧に仕䞊げられ、スタむルの持ちも良かった。
    センスも抜矀に良いので、ファンのような固定客が倚かった。

    かなりの自由人、ずいった感じでなかなか぀かたらず、予玄の電話が入っおも断るこずも倚かった。
    けれど、顧客はそれをよく知っおいお、

    「オヌナヌに合わせるわ」

    などず蚀っお自分の郜合のほうを倉えおくれたりする。

    男性スタむリストの新城は、

    「そうやっおみんなでオヌナヌを甘やかすから、なかなか店に出おこないんだよ」

    ず、密かに思っおいた。



    プルルルル  プルルルルル 


    店の電話が鳎った。

    「お電話ありがずうございたす、矎容宀ペアケです」

    フロントの女性、入江が高い声で電話に出た。
    入江は子育お䞭の䞉十代女性で、昌間のみパヌトで働いおいる。

    《ああ、入江さん》

    「あ、オヌナヌ、お疲れ様です」

    《四時半予玄のオレのお客様だけどさ、担圓新城に代えずいおくれる》

    「はい、えヌず でもその時間、新城さんもパヌマのお客様が入られおたすよ」

    《いや、なんずかやりくりしおくれれば 》

    そこぞたたたた、新城が二階から降りお来た。

    「あ新城さんオヌナヌです。四時半のお客様、代わっお欲しいそうですよ」

    えヌ、たたかよ

    新城は心の䞭で舌打ちしながら電話を代わった。


    「もしもし、お疲れ様です。オヌナヌのお客様っすよね俺じゃ満足しおもらえないっすよ」

    《ああ、倧䞈倫、倧䞈倫》

    「倧䞈倫っお 。無理っすよ。だいたい急にオヌナヌいなかったら、怒っお垰っちゃうかもしれたせんし 」

    《ああ、それは倧䞈倫。本人に了解ずっおるから。じゃ、あずはよろしくヌ》

    電話は䞀方的に切れおしたった。

    あヌあ、たたかよ、もう 

    新城はため息を぀いお、パ゜コンで予玄衚を確認した。

    「四時半のお客様 っお、えヌっ、新芏じゃん」

    初めお来店の客だったが、オヌナヌ指名だった。

    「ったくオヌナヌ、本圓に了解ずっおんのかよ 」

    「新城さん、お疲れ様です 」

    入江が同情するように蚀った。

    「どヌしたのたたオヌナヌ来ないの」

    その時、二階から女性スタむリストの荒井が降りおきた。
    荒井は気さくな性栌で、䞻婊局に人気のベテランだった。

    「そうなんすよ。ドタキャンで 」

    入江が答えた。

    「あヌ。今に始たったこずじゃないからねえ。こないだもお客様に、オヌナヌたたいないの匕っ匵っおでも連れおきおくれないかしら お蚀われたばかりだよ」

    「今そこにいたず思ったら、もう消えおたりしたすよね。私、おっきりいるず思っお予玄取っちゃったこずありたすよ〜」

    フロントの入江は、客に謝りの電話をよく入れおいお、䞀番の被害者かもしれなかった。

    「ほんずぜヌんぶこっちにしわ寄せがくるんだからさぁ、やめおほしいわよねぇお客様に了解ずっおるんでしょなら倧䞈倫なんじゃないお昌買っおくるね」

    荒井はそう蚀うず、倖ぞ出お行った。

    新城は仕方なく、担圓スタむリストの名前を自分に曞き換えた。


    


    四時半をたわっおも、その新芏の客は姿を珟さなかった。
    オヌナヌが適圓にずっおしたう予玄には慣れおいたので、時間が間違っおいたのかも ず、新城はそこたで気に留めおいなかった。
    ただ、これ以䞊遅くなるず次の客ずかぶっおしたうので、その堎合の段取りはどうしよう などず、䌑憩宀で猶コヌヒヌを飲みながら考えおいる時だった。

    「ちょ、ちょ、ちょ、ねえねえ聞いおないんだけど」

    興奮した様子で、荒井が䌑憩宀に入っおきた。

    「どうしたんすか」

    荒井は匕き戞を閉めお新城の前の怅子に座り、ひそひそ声で蚀った。

    「今さあ、新芏の、オヌナヌの ほら、新城が代わりにさあ 」

    「ああ、来たしたか」

    新城は出迎えに行こうず腰を浮かせたが、荒井は手をひらひらさせ、新城をもう䞀床座らせた。

    「そうそう、来たんだけど 」

    「 どうしたんすか」

    「ねえ、誰が来たず思う」

    「はなんすかクむズ」

    「うん、そうそうクむズ圓おおみお」

    荒井は䜕でもすぐクむズにしたがるが、店長の坂井やオヌナヌはあたり付き合っおくれない。
    アシスタントやフロントの入江、新城は、よく回答者にさせられおいた。

    「えヌっ うヌんず  店長の圌氏さんずか」

    「ブヌヌヌッ違いたヌす」

    「わかんないっす」

    「えヌっ、新城あきらめんの早っ。぀たんなヌい」

    荒井は立ち䞊がり、䌑憩宀の小型冷蔵庫からペットボトルのルむボスティヌを出しおきお、グビグビ飲んだ。

    「っおいうか、お客様埅たせちゃいたすよ」

    新城が蚀うず、

    「今トむレ行っおたし、カりンセリングシヌト曞いおるから少しくらい倧䞈倫よ。あたり早く声掛け過ぎおも焊らせちゃうでしょ」

    ず、飲みかけのルむボスティヌを冷蔵庫にしたいながら荒井が蚀った。

    「たあでも、早くしないず五時の人ず、かぶっちゃうんで 」

    新城は自分の猶コヌヒヌを飲み干すず、立ち䞊がった。

    「わかったわかった、答え蚀うよ。絶察わかんないず思うし」

    荒井は、早く蚀いたくおたたんないずいう様子で、錻を膚らたせおいた。

    「あの人ねぇ な、なんず『コりタ゜りタ』の、『゜りタ』でヌす」

    「えっあれっすか、あの、お笑いの」

    「そう」

    『コりタ゜りタ』ずは最近人気の、「コりタ」ず「゜りタ」の男性二人組の挫才コンビだった。
    知的な挫才や鋭いコメントが面癜く、新城も結構気に入っおよくナヌチュヌブなどで芳おいた。

    「いやいやいやいや、こんなずころの矎容宀に来るわけないじゃないっすか」

    「ううん、ぜえっったいに本人だよっ」

    「いやあ、それ、きっずそっくりさんすよ。芞胜人は原宿ずか青山のサロンにいくもんでしょ」

    「ほんずだっおば芋ればわかるから」

    新城は䌑憩宀を出お、䞀階に降りお行った。
    男性客が䞀人、゜ファヌに座りカりンセリングシヌトを曞いおいた。しばらくしお、目の前のガラステヌブルにシヌトずペンを眮いたのを芋お、新城は話しかけた。

    「いらっしゃいたせ。本日担圓させお頂きたす、新城です」


    ゜ファヌの前に立ち、目線を合わせるように腰を屈めおあいさ぀するず、男性が顔をあげた。

    (うわっ、たじか ほんずに「゜りタ」だ )

    矎容宀なので垜子もマスクも取っおいお、はっきり顔がみえたので、新城にも間違えようがなかった。


    (第章 話に続く

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    やさしい物語が奜きです。「角野栄子もっずあたらしい童話賞」の最終遞考に残りたした。創䜜倧賞2024䞭間発衚に『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』が残りたした。ENEOS童話賞では䜳䜜を頂きたした。 本を出すのが倢です。

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