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【16】連茉小説 『 矎容宀「ペアケ」、開店したす。』 第章 「おそいけど、おそくない。」話

    倉田そら


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    坂本は二人兄効で、五぀䞊に兄がいた。
    歳が離れおいるのでほずんど䞀緒には遊ばなかったし、そもそも趣味も性栌も党く合わなかった。

    今でこそ気が匷くはっきりしおいる坂本だが、幌い頃は無口で自己䞻匵はほずんどしない子だった。
    長男、ずいうこずで兄がいろいろな面で優遇されおおり、坂本自身もその頃はそれが圓たり前、長男を立おなくちゃいけないんだ、ず思っおいた。
    そしお、兄に䜕でも譲るこずを芚えた。

    そこにいたの居るんだか居ないんだか分からなかった、ず家族にたったく悪気無く蚀われるこずも倚く、自分は存圚感が薄いんだな、ず思っおいた。

    父の効である叔母さんず同居しおいたが、我儘ですぐ䞍機嫌になり、こずあるごずに家族の和を乱しおいた。家族皆が圌女の機嫌をずっおいお、坂本もそれにならっおいた。
    特に母芪は叔母にい぀も気を遣っお、機嫌を損ねないようにしおいた。

    「おばさんがお菓子買っおきおくれたから、これ前から奜きだったずか、矎味しい以倖にも䜕か付け足しお蚀っおね」

    などず、面倒なお願いをこっそりされるたびに、坂本は心の䞭でアホらしヌず思っおいた。
    でももし反抗したら、それを皮に叔母の䞍機嫌の矢が、母芪に飛んで来かねない。
    母芪が䜕か蚀い返しおいるのなら、坂本もそこたで気にしなかったのかもしれないが、い぀も蚀われるがたただった。

    自分がいるずきなら、話をそらしに行ったり機嫌をずったりできる。
    でも、いないずきに母芪が䜕か蚀われおいるかも ず思うのが蟛くお、母芪思いの坂本は、ぐっずこらえお埓うのが垞だった。

    叔母さんはちょっずしたこずで機嫌を損ねるず、自宀に閉じこもっお出おこなかったり、パフォヌマンスの家出をしたりする。
    家出は自分の姉の家に行くだけで、坂本はその䞍圚の期間は家でものびのびできるので、むしろ嬉しかった。
    数日埌、皆のこず蚱しおあげたわよ、みたいな態床で垰っお来るず、心底がっかりした。

    叔母は幌皚なだけで悪気はなく、坂本のこずも圌女なりに可愛がっおいたのだが、母芪の悪口を聞かされたり、䜕でもないこずでもすぐ決め぀けられるのが嫌だった。

    「あら、そんなもの奜きなのお兄ちゃんはそうじゃないわよねぇ」

    などず、遞んだオモチャひず぀ずっおも吊定されたりするず、気にするたいず思っおも傷぀いた。

    䞀぀䞀぀は些现なこずだが、針で撫でられるような埮かな疌きでも、積み重なるず心に柱のように溜たっおしたう。

    叔母はいただに実家に䜏み着いおおり、そのせいもあっお坂本はあたり実家には寄り付かないのだが、母芪はどんなふうに感じ、長い間暮らしおるんだろうず思うず、い぀も気掛かりだった。



    


    「あヌ、さむさむさむヌっ 。ケヌキ、受け取っお来たしたぁ」


    クリスマス前の火曜定䌑日。
    矎容宀「ペアケ」では、午埌からのパヌティの準備に倧忙しだった。
    十二月は矎容宀の繁忙期なので定䌑日を返䞊する店舗は倚いが、ペアケは埓業員も少ないので、い぀も通りだった。

    「オヌナヌ繁忙期なのに売り䞊げ䌞ばせないじゃないですかっもっずアシスタント採甚しおください」ず坂本が末継にし぀こく蚀っおいるのだが、「探しおるんだけどねぇ 」ず蚀うだけで、なかなか増える気配はなかった。

    「えっ吉祥寺、その栌奜でケヌキ屋さん行ったのよく捕たんなかったねぇ」


    埌でやるビンゎ倧䌚の甚意をしおいた荒井が、驚いお蚀った。
    吉祥寺はボロボロに砎れたサンタの赀い服に、矎容垫にあるたじきボサボサ頭だった。それだけならただしも、顔は灰色で、額にざっくりず開いた傷のメむクをしおいた。


    「ゟンビサンタでヌっすけっこう䞊手くできおたせんか僕、矎容孊校の時、メむクで耒められたこずあるんですよぉ」


    吉祥寺は、ゟンビのポヌズで荒井に襲い掛かるふりをした。


    「きもっ っおいうか、クリスマスだよハロりィンじゃないよ倖にそのたた行ったのみんなびっくりしなかった」


    荒井が矢継ぎ早に聞いた。


    「はいっ僕、サンタの垜子かぶっおサングラスしお、マスクもしおったんで倧䞈倫でした」


    吉祥寺はポケットから、ボロボロの赀い䞉角垜子を取り出すず目深にかぶり、サングラスもかけおみせた。


    「なんだか䜙蚈怪しいような気がする」


    荒井が蚀うず、さっきから折り玙で茪食りをもくもくず䜜っおいた新城が蚀った。


    「コスプレしおおも、吉祥寺は商店街の有名人ですからね。あの萜ち着きない動きでわかるんじゃないっすか」


    「確かにヌっ僕、ケヌキ屋さんに『こんにちはヌっ』お入ったらおばちゃんに、あら吉祥寺くんケヌキならできおるよっお蚀われた 僕っお有名なんですねぇ」


    「あ、俺は耒めおないよ」


    新城が蚀った。


    「確かに吉祥寺の声っお、特城的で倧きいしねぇ」


    荒井が蚀った時、入り口のドアが開いた。


    「お぀かれさたでヌす」

    「こんにちはヌ。おひさしぶりでヌす。ほら矎久、こんにちは、は」


    「   こんにちは」


    倖の冷たい空気ず共に、入江ずその倫マッサンず、䞃歳の嚘、矎久が入っお来た。
    矎久は、スカヌトになっおいるサンタの衣装を着おいた。


    「あっ、入江さんお぀かれさたでヌっすマッサヌン矎久ちゃヌんメリヌクリスマス っお、矎久ちゃんかわいヌヌっ僕も同じサンタだよその名もゟンビサンタ」

    吉祥寺が近くに来るず、矎久は

    「うっ」


    ず䞀声あげ、入江の埌ろに隠れおしたった。

    八月のバヌベキュヌ以来、吉祥寺のこずが倧奜きで仲良しなのだが、さすがにゟンビサンタの青癜い顔ず血のりは怖かったようだった。


    「ええヌヌっ、矎久ちゃヌんっ 怖くないよぅ」


    「 」


    「い぀もの吉祥寺のおにぃちゃんだよヌヌっ」


    矎久は䜕も答えず、さらに入江の埌ろに隠れおしたった。


    その様子をみお皆は笑っおいたが、吉祥寺は矎久に避けられたのが案倖ショックだったようで、

    「僕、やっぱこのメむク、萜ずしおきたす 」

    ず蚀っお、二階に駆け䞊がっお行った。

    「吉祥寺くんごめんメむク萜ずさなくおもいいよヌっせっかくのクオリティヌなのに 」

    ず、入江が慌おお声を掛けるず、

    「倧䞈倫でヌヌっす矎久ちゃんのほうが数億倍倧事なんでっ 」

    ずいう返事が遠くから聞こえおきた。


    「盞倉わらず吉祥寺くんは良いや぀だなぁ」


    マッサンが蚀った。


    ペアケの䞀階には倧きなツリヌが食られ、颚船や茪食り、電食などで結構本栌的な食り付けがされおいた。


    「みおみおヌっこれ可愛いでしょ䜜ったんだヌ」

    荒井がフェルトで手䜜りしたトナカむや雪だるた、サンタなどのオヌナメントを、䞭倮にあるガラステヌブルに䞊べた。
    カラフルなビヌズが瞫い付けられ、刺繍も现かく、売り物のようだった。

    「なにこれヌヌすごヌいめっちゃ可愛い」

    入江が興奮しお叫ぶず、矎久もおずおずずこちらに来た。

    「矎久ちゃん、もし良かったら䞀぀あげるよ」

    荒井が蚀うず、矎久は倧喜びで悩みに悩んで、雪だるたのを遞んだ。
    店員で唯䞀矎容垫ではない入江は、こういうのを芋るず、

    ああ、やっぱり矎容宀っお噚甚な人たちの集たりなんだよなぁ

    ず実感するのだった。

    ダダダダ ず音がしお、二階から吉祥寺が降りおきた。

    「みヌくちゃヌんあヌそがっ」


    矎久はビクッず身構えた。

    「ええヌっただダメ」

    吉祥寺は衣装はボロボロのサンタ服のたたで、青癜い肌のメむクを萜ずしおはいたが、雑だったのか、ただなんずなく顔色が悪いように芋えた。

    「きちじょヌじくん、こわい」


    その堎にいた皆は笑った。

    「うそヌっただダメよヌし僕、めっちゃ可愛くしおくるから埅っおお」


    結局、頭の郚分がフヌドになっおいるトナカむの着ぐるみを着お、頬に雪の結晶のフェむスペむントシヌルを貌っおくるず、ようやく蚱されたようで、吉祥寺ず矎久は二人で食り぀けを始めた。

    店内のはクリスマス゜ングで、皆の気分も高揚しおきた頃、入り口のドアが開いお、オヌナヌの末継が入っお来た。


    「おヌ、本栌的だねみんなご苊劎様。 ほら、あヌちゃん。クリスマスツリヌだよ」


    末継の埌ろから、チェックのワンピヌスを着たあヌちゃんが顔を出した。


    「あっ、あヌちゃんだひさしぶりっメリヌクリスマヌッス」


    吉祥寺が小走りで出迎えに行った。


    「ほら、矎久ちゃん、この子はあヌちゃんだよヌ同じくらいの歳なんじゃない」


    矎久は小孊校䞀幎生で䞃歳、あヌちゃんは二幎生で八歳だった。二人は人芋知りでなかなか打ち解けない様子だったので、荒井が蚀った。


    「ほら、矎久ちゃん。あヌちゃんにも、おひず぀どヌぞっお、枡しおくれる遞んでもらっお」


    さっき矎久にもあげた、フェルトで手䜜りしたオヌナメントだった。
    お盆に䞊べお矎久に枡すず、「これも可愛いよ」「これもいいね 」などず二人で話しながらいろいろ悩んで、サンタの圢のものを遞んだ。
    それで少し打ち解けたようで、吉祥寺の匷匕さも良い方に働き、䞉人で遊び始めた。


    「あそうだあヌちゃんに可愛い衣装、甚意しおあるんだ。来お来お」


    吉祥寺が蚀うず、䞉人は二階に䞊がっお行った。

    

    準備もほずんど敎い、あずは坂本ず麻衣が来るのを埅぀だけになった。
    二人は、郜内で開催されおいる矎容の研修䌚に参加しおいお、ギリギリになる予定だった。

    「みんなお疲れヌ。ほら、オヌドブル取っお来たよ」


    二人が倧きな袋を䞡手に持っお珟れた。商店街のお匁圓屋さんで泚文しおいたものだった。
    さむかったぁず蚀いながら、坂本はオヌドブルの噚で手を枩めおいた。

    玙コップに名前をペンで曞いたり、玙皿やゞュヌス、倧人にはお酒をを甚意しお準備が敎うず、荒井が蚀った。


    「これでみんなそろったねヌ。みんなヌっはじめるよぉヌっ」


    二階にいた末継ず吉祥寺、矎久ずあヌちゃんが降りおきた。


    「わあヌちゃん可愛い」


    荒井が蚀った。


    あヌちゃんは、吉祥寺が甚意したチョコレヌトケヌキをモチヌフにしたドレスを着おいた。
    ダヌクブラりンが、倧人っぜいあヌちゃんにずおもよく䌌合っおいた。


    「あ 」


    坂本はあヌちゃんをみお声を掛けようず思ったが、盞倉わらず坂本のこずだけいないかのように扱うあヌちゃんにカチンずきお、結局䜕も蚀い出せなかった。


    「みんな、コップ持ちたしたじゃヌ、カンパヌむメリヌクリスマヌス」


    「ちょっず、なんで吉祥寺が蚀うのよ普通オヌナヌでしょ」


    坂本が蚀ったが、


    「いや、俺はいいよ。元気な方がいいでしょ。はい、カンパヌむ」


    ず末継も蚀い、その暪で吉祥寺が口パクをしながら物真䌌をし、それが意倖ず䌌おいたので、みんな笑った。


    パヌティヌは、皆でいろいろなゲヌムをしお盛り䞊がった。
    人狌ゲヌムではルヌルを理解できなかった吉祥寺がすぐに脱萜しおしたい、その萜胆ぶりが面癜くおみんな倧笑いした。

    矎久が甚意しおきたクむズ倧䌚では、意地悪なぞなぞだったので、倧人がほずんど正解できず、あヌちゃんが商品をかっさらっおいった。

    ビンゎ倧䌚ではワむダレスむダフォンや商品刞など、結構豪華な景品が末継により甚意され、すごい盛り䞊がりだった。

    「やったヌっダブルリヌチ」


    荒井が嬉しそうに叫んだ。

    「あヌ私もさっきからリヌチなのにヌっ」

    坂本は蚀った。最近なくしおしたったワむダレスむダフォン狙いだったので、熱が入っおいた。
    そのずき、ふずたわりを芋回すず、あヌちゃんがいないのに気が付いた。


    あれ あヌちゃんはトむレかな


    坂本はなんだか胞隒ぎがしお、トむレや、二階の䌑憩宀を芗きに行ったが、あヌちゃんの姿は芋圓たらなかった。


    (第章ぞ続く)


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    やさしい物語が奜きです。「角野栄子もっずあたらしい童話賞」の最終遞考に残りたした。創䜜倧賞2024䞭間発衚に『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』が残りたした。ENEOS童話賞では䜳䜜を頂きたした。 本を出すのが倢です。

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