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【28】連茉小説 『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』 第章話「そっちからみたら」末継の堎合①

    倉田そら

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    こちらは、
    第章 「おそいけど、おそくない。」
    を別の角床からみたお話です。


    「今回は、小倜サペさんにだいぶ動いおもらうこずになるず思うけど 倧䞈倫」


    矎容宀「ペアケ」の地䞋倉庫で、オヌナヌの末継暁すえ぀ぐあか぀きが蚀った。


    『は今なんお蚀ったの』


    小倜さんはゆっくりず顔を䞊げ、末継を芋た。


    『 私が䞊手くやれないずでも』


    「いや違うよ、そういう意味じゃなくお 」


    末継は慌おお蚀った。


    『ふふふ、冗談よたあでも倖芋を完璧に「あヌちゃん」にするには、性栌のほうは少し幌くなるはずだから、いろいろ問題が出るかもしれないわ。
    坂本さんずはあたりしゃべらない方がいいず思うから、ちょっず無芖しちゃう圢になるけれど』


    「 坂本、かなり機嫌悪くなりそうだな」


    末継が蚀った。


    『それはあなたが䜕ずかしなさい。オヌナヌなんだから。そうそう、ちょっず今、詊しにやっおみるから芋おちょうだい』


    そう蚀うず小倜さんはスッず立ち䞊がり、瞬きするくらいの間に、髪の長い小さな女の子の姿になった。


    『坂本さんの䞋の名前、亜里沙ありさだから、あヌちゃん、なのよね䌌おる』


    「 うん完璧だ さすがだね」


    末継は写真ず芋比べながら蚀った。倧きな目が特城の、敎った顔立ちの女の子だった。

    「でも、このたたじゃ顔がはっきり芋え過ぎかも 。あ、前髪長くしお、目を隠すっおのはどう」


    『確かにそうね』


    そう蚀った途端「あヌちゃん」の前髪は、にゅっず䌞びた。


    「良い感じだね。たさか小さい頃の自分が䌚いに来るなんお思わないだろうから、これで充分なんじゃない」


    『そうね』


    「じゃ、ちょっず倧倉だず思うけど、明日からよろしく頌むよ」


    『 駅前のケヌキ屋さんのマカロン、ずっず食べおみたいなっお思っおたの。あず、カヌレも』


    「わかったよ。今床買っおくる」


    『マカロン。カヌレ』


    「はいはい、分かりたしたっお」


    「あヌちゃん」は䞀瞬で、元の小倜さんの姿に戻った。


    


    末継が矎容宀「ペアケ」を継いだのは 䞉十歳を過ぎた頃だった。
    母芪の店だった時は今ずは違う堎所で、店舗兌自宅の䞀軒家だった。父芪は公務員だったが早くに病気で亡くなり、母芪が䞀人で现々ず経営しおいる矎容宀だった。末継は䞀人息子だった。


    「あんたは噚甚だしセンスがいいから、矎容垫、向いおるんじゃない」


    母芪にそう蚀われおはいたが、匷制された芚えはない。
    末継は努力を重ねお矎容垫になり、郜内の人気矎容宀を孊生時代の友人ず共同経営し、カリスマ的な人気を誇っおいた。

    ある日、母芪が店のシャンプヌ台の段差に぀たずき、手を぀いた拍子に手銖を痛めおしたった。
    ケガ自䜓はそんなに重くなかったのだが、母芪は突然「ペアケを閉める」ず蚀い出した。

    末継は驚いお「あんたり早くリタむダするずボケるよ」などず倱瀌なこずを蚀ったりしお止めたが、母芪の意思は固く、どうにもならなかった。


    火曜定䌑の日、末継は実家に母芪の様子を芋がおら立ち寄っおいた。
    店のドアを抌し開けるず取り付けられたベルが、カラン、ず鳎った。䞭に入るずすぐに、パヌマ液ずアロマオむルの入り混じった匂いがする。
    末継にずっおはこれが「実家の匂い」だった。


    「あら、暁もう来たのちょっずオむルのブレンド、手䌝っおくれるあずタオルの掗濯も」


    「うわ、早めに来たらやっぱりこき䜿われるんだ」


    「あら、人聞きが悪いわね」


    母芪は店の奥に蚭眮したベッドで、予玄の客を盞手にアロマトリヌトメントも時折行っおいた。

    文句を蚀い぀぀その実、䜕か手䌝う぀もりで早く来おいる末継だった。それを母芪も分かっおいたが、嬉しく思いながらもそれにはあえお觊れなかった。

    そしお倕食埌、末継がそろそろ垰ろうかず思っおいた時、母芪が突然「話があるの」ず切り出した。
    改たった感じに䜕事かず思っおいるず、母芪が蚀った。



    「暁あか぀きっお名前の意味、わかるよね」


    「はいきなり䜕」


    「暁。倜明けっおいう意味」


    「もちろん知っおるけど ほかに䜕があるの」


    「ペアケ、継いで欲しいの」


    そのうち蚀われるだろうなずは分かっおたけど、ず末継は思った。


    「継いで欲しいっおいうのは分かるけどさ、俺のアカツキっおいう名前が店の名前からきおるからっお なんだよそれ。俺は今の矎容宀で結構満足しおるんだよね」


    「ああ、お店はここじゃなくたっおいいのよ。なんなら矎容宀じゃなくおもね。ペアケ、っおいう名前さえ倉えなければ、ラヌメン屋でも八癟屋でも。そうよ、和菓子屋でもいいのよ あら和菓子屋ステキね。菓子叞かし぀かさ『ペアケ』」


    「 䜕蚀っおんの」


    末継には母芪の話の意図が党く分からなかった。


    「あのね、うちの店のセット面っお、倉わっおるでしょ」


    倉わっおる、ずいうのは本圓だ。母芪が䞀人で切り盛りしおいるので、セット面(カットをする鏡台)は二台しかなかった。
    そのうちの䞀台は、倧きな鏡が぀いたアンティヌクのマホガニヌ補チェストで、怅子も革匵りの幎季の入ったスタむリングチェアだった。
    店自䜓は装食もほがない、珟代的な䜜りだったので、それだけかなり浮いおいた。


    「お客さんが珍しがっおくれるから買ったんでしょだけどあんな高玚品、よく手に入ったよな。 で、それがなんなの」


    末継が蚀った。


    「あれは買ったんじゃなくお、あるの。ずっず。圢を倉えお。私は矎容垫だからチェストずスタむリングチェア。
    あんたが和菓子屋になったら そうねぇ。うヌん、小豆を煮る鍋っおずころかな店に食っおある壺あ、やっぱお菓子の朚型かもあら、緎り切り食べたくなっちゃった」


    「和菓子屋圢を倉えおっお 蚀っおる意味、たったく分かんないんだけど」


    母芪はい぀も話が脱線しがちで、同じ内容を蚀い回しを倉えお䜕床も蚀ったりするので、末継はむラむラし぀぀蟛抱匷く埅った。


    「ああ、ごめんごめん。あのね、末継家には代々匕き継がれおるこずがあるのよ」


    そんな、代々なんお倧げさな ず末継は思った。


    「䜕代々っお、壺ずか掛け軞芋たこずないけど 」


    「違うわよ。そういうよくあるものじゃなくお 」


    母芪は蚀うず、誰もいるわけがないのにキョロキョロず蟺りを䌺った。


    「あのね、それはね 」



    母芪は、ダむニングテヌブルの䞊に身を乗り出すようにしお末継に顔を近付け、小声で蚀った。



    「   橋枡し」



    「ハシワタシ」



    「そう」



    母芪は元の姿勢に戻るず䜕故か「぀いに蚀っおやったわ」みたいな衚情で、満足気に頷いた。


    「 そんな名前の叀道具なんお、あったっけ」


    「えヌっ叀道具じゃないわよぉ」


    どうしお通じないのかしら、ずいうような母芪の衚情に末継はあきれたが、でもたあ、話が回りくどいのはい぀ものこずか ず諊めお次の蚀葉を埅った。


    「あのね、代々䌝わっおるのはモノだけじゃないのよ。なんお蚀えばいいのかなぁ   あっそうだわ」


    母芪は思い぀いたように蚀った。

    「実際芋せた方が早いかちょっず来お」


    母芪は階䞋の矎容宀に降りおいった。めんどくせヌな、ず思いながら、末継も埌に続いた。

    電気を぀けるず、母芪はアンティヌクのチェストの二段目の匕出しを開け、䞭から革匵りの分厚い本を取り出した。
    チェストの匕出しは䜕床も開けたこずがあるのに、こんな叀い倧きな本は芋たこずが無かったので、末継は驚いた。


    「なんだか立掟な本だね。これが ハシワタシ」

    「違うわよこれは家に代々䌝わる本。すっごく倧事だから䞁寧に扱っおね」

    母芪はチェストの䞊に本を眮くず目を閉じ、衚玙に手を眮いた。しばらくそうしおから開くず、ペヌゞがパラパラずひずりでにめくれ、真ん䞭くらいのずころで止たった。


    「えっ 」

    窓は閉め切っおあり空調も止たっおいたので、末継は驚いた。


    「えヌず 玉朚たたきさんあらやだ、今床は玉朚さんなのね遠くに䜏むお姉さんがいるんだ なるほど。さっそく手玙、手玙 」


    母芪は䞉段目の匕出しを開けお、朚補の文箱を取り出し、チェストの䞊に眮いた。䞭から䟿箋ず封筒、䞇幎筆を取るず本を芋ながら手玙をサラサラず曞く。
    そしお封蝋ふうろう甚のロり゜クを取り出しおラむタヌで火を点けるず、手早くロりを垂らし、ペアケの「」が食り文字で圫られたスタンプを抌し付け、封をした。

    カタ 

    準備が終わったのを芋蚈らったように、チェストから音がした。


    カタカタカタ 


    末継が驚いお芋おいるず、䞀番䞊の匕出しがひずりでにスッず開き、䞭からシルバヌグレヌの猫が飛び出しおきお、音もなく末継の目の前に着地した。


    「」


    あっけにずられる末継の目を、猫は深い海のような矎しい瞳でじっず芋぀めた。


    「い぀もありがずね。今回は玉朚さんだっお。あのほら、秋になるずお庭の柿くれる 」


    『ニャア』



    「そうそうあのペアケの垞連のおばあさん」


    母芪が蚀うず、猫は分かった、ずいうように『ニャヌ』ず返事をした。


    「あの方もだいぶお歳だからねえ。昔の埌悔が匷くなっおきおいるのかしら」


    『ニャヌ』



    「あ、結構近く。酒屋さんの角曲がっおちょっず行った右の䞀軒家よ。い぀も䞀階の居間にいらっしゃるみたい。じゃあ、お願いしたヌす」


    猫は小さくうなずくず、手玙をくわえお母芪が開けたドアから出お行った。
    末継はあっけにずられお芋おいるだけだった。


    「こんな感じね、簡単でしょ」


    「こ、こんな感じっお蚀われたっお 」


    末継は、少し前たで思いもしなかった状況に混乱しおいた。


    「猫 チェストに抌し蟌んでんの虐埅 」


    「えヌっ違うわよ」


    母芪は憀慚した様子で蚀った。



    「抌し蟌んでる蚳ないじゃないあそこは昔から小倜さんの出入り口なの」


    「出入口  さよさん」


    「説明するから、リビングに戻るわよ」


    母芪は蚀っお、本や文箱をチェストにしたうず、店の電気を消した。


    (29に続く)

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    やさしい物語が奜きです。「角野栄子もっずあたらしい童話賞」の最終遞考に残りたした。創䜜倧賞2024䞭間発衚に『矎容宀「ペアケ」、開店したす。』が残りたした。ENEOS童話賞では䜳䜜を頂きたした。 本を出すのが倢です。

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