海の向こうの、親戚たち 梅干し界の紙芝居風 三話目

紀州王国の学校の翌朝、
タッタッタッタッタッ!
若梅がものすごい勢いで教室へ入ってくる。

一言目に質問。
先生が、大きな古地図を広げる。
紀州から海を越え、中国大陸、台湾など東アジアへ広がっていく地図。

実際、ウメは東アジアを中心に広く分布しているのじゃ。
どちらが先というのも、明らかにはなっておらぬ。

はるか昔の東アジアの梅の木。
まだ王国も、梅干しにキャラ立ちもされていない。

小さな木造船。
人々が植物や文化を運んでいる。

人と共に渡ったのじゃよ。
海の向こう。日本ではない、違った雰囲気のある古い街。
黒く皺のある烏梅(うばい)が現れる。

若梅 「そなたも梅干し?」
烏梅「いや、そうではない」
若梅 「えっ。」
烏梅は、梅の近成熟果実を燻したり低温乾燥などで加工する文化があり、日本の梅干しとは別物である。

火と煙。梅が静かに加工されていく。
若梅 「なるほど…違う製法なんだ」

若梅が興味津々に覗き込む。
ふと脳裏を過ぎる、若梅の疑問。
若梅の夢は、おにぎりの真芯。

中国では烏梅などを用いた酸梅湯の文化があり、梅を飲み物として利用する歴史も長いのじゃ。

台湾など、気候の異なる土地にも梅の木がある。
同じ梅なのに、山、気温、植生、暮らしが違うのじゃよ。

いろいろな土地の梅たちが並ぶ。
色も、大きさも、加工方法も違う。
若梅が少し考える。
「親戚って、同じじゃないんだね。」
夕方の帰り道。
若梅と先生が港へ戻り、市場の端を通る。

白い装束。木桶。米。蒸気。
静かに仕事をしている一人の職人。

若梅「あの人、だれ?」
米麹を丁寧に扱っている人がいた。

先生 「発酵界の者じゃよ。」
若梅 「梅干し界とは違うの?」
先生 「違う。」

麹師も若梅をちらっと見るが、
何も言わなかった。
若梅「また会えるかな…」

これまでの記憶が重なる。
梅畑。
農家の手。
完熟梅。
塩漬け、天日干し。

若梅「わしが、梅干しである理由は?」
自分たちの土地
紀州の山、梅畑、海、人の営み。

和歌山の梅栽培は、田辺・南部地域の気候風土と人々の営みの中で発展し、江戸時代から栽培が広がったと伝えられているのじゃ。

「普通とは、そういうものじゃろう」
現在の南高梅も、
長年の優良系統の探索・選抜を経て成立したものなのじゃ。
夕暮れ。紀州の高台から海を見る二粒。
海のずっと向こうには、出会った遠い梅の親戚たち。そして港のさらに遠く、小さく麹師の船が進んでいる。
若梅「先生。」
先生「なんじゃ?」
若梅「遠くまで行ったら、紀州が前よりよく見えた。」
先生は、笑っていた。
でもね、でもね、わし…

先生「行けると良いな。」

紀州王国の王は、もっと広い歴史と、深い歴史を歩み、刻み続けている。
王「続きはまた今度じゃ」
………
まだまだ、梅干し投稿。
続けます。喰い続けます。

ウメボッチャンよぉ
毎回、長ったらしい投稿にお付き合い頂き、ありがとうございます🔴
記者「梅干し小説を毎日更新しているそうですね?」
私「しておる。」
王「味わって欲しいものじゃ。」
🐹「チュウ!」
🐕「クンクン」

若梅「わし、リムジンより、おにぎりの真芯がいい。」
先生「そうじゃな。空風マナミ率いる、梅干し界一同は、別の製法なのじゃろう。」

