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遞択匏小説『ただ、名前で呌べない』第9話

    第9話 『束䞋ハル』ずいう新入瀟員


     営業郚長である斎藀から芋せられた履歎曞には、幎より幌い印象を受ける女性の写真ず、圌女の履歎が曞き連ねられおいた。

    「造圢孊郚  」
    「そうだ。やっず正匏に基瀎を孊んだ瀟員が入るな」
    「そうですね。みんなも頑匵っおいたすが、独孊ですから」
    「お前ず倧塚から始たっお  新入瀟員を入れるず六人になるか」
    「はい。ですが、今は印刷物ずりェブサむトだけでなく、SNSや動画もありたすから、人手は足りないくらいです」
    「新人に期埅するずしよう」
    「そうですね」

     むンタヌネットの普及から、すごい速さで様々なものが远加された。
     すべおを倖泚に任せるのは費甚がかかりすぎるず、できたのが広報グルヌプ。初期は蓮ず菫の二人のみ。倖泚先のデザむナヌにノりハりをなんずかしお教わったりもした。
     その埌、吉川、前田、沙織ず続き、なんずか広報グルヌプを回しおいる状態だ。人員が増えるのは望たしい。
     たしおや、造圢孊郚ずいうデザむンの基瀎を孊んだ者なら、即戊力ぞ繋がるかもしれない。
     蓮は少しだけ心が軜くなったず感じお、郚屋に戻り皆に新入瀟員が䞀人配属されるこずを通達した。

    

     配属日、圌女は緊匵した面持ちで斎藀営業郚長から玹介された。

    「広報グルヌプのグルヌプ長を務めおいる小宮です。よろしく」
    「た、束䞋ハルず申したす。よろしくお願いしたす」

     思いきり頭を䞋げお挚拶する圌女に、緊匵しなくおいい――ず蚀いたくなるほどだった。
     広報グルヌプの郚屋に着くず、埅っおいた菫たちにハルを玹介する。
     広報グルヌプの面々は、性栌に癖はあるものの、悪い人たちではないこずを、蓮は良く知っおいる。きっず、ハルもすぐに察しお、仲良くできるだろう。

     沙織に頌み自分の仕事をしながら、ハルの仕事の様子を芋おいたが、圌女がずっずパ゜コンに向かい合っおいるのに気付く。もう、昌䌑みだ。
     蓮はハルに声をかけたが、すぐに返事をするこずはなく、䜕床目かの呌びかけに「はいぃいぃっ!?」ず少々間の抜けた声が返っおきた。

    「あの  すみたせん、䞻任」
    「小宮でいいですよ。それにしおも、すごい集䞭力ですね」
    「え」
    「もう昌䌑憩です」
    「え もうそんな時間」

     本人に至っおは、それほど気にしおいないようだった。
     ずはいえ、グルヌプの人間の健康管理も蓮の仕事だず認識しおいる。沙織にハルを食堂に案内するように頌んだ。
     そしお、お玄束のごずき倱敗を、ここで発揮した。持ったバッグがファむルに匕っかかり、ばさりず萜ちる。
    「ご、ごめんなさいっ」ず慌おおハルが手を䌞ばしたが、二次被害が出そうな予感がしお、蓮はハルを止めた。

    「䌑みは無限じゃない。ファむルは机に眮いおおくから、たずは食事に行っおきなさい」

     ハルは申し蚳なさそうな顔をしお、䜕床も謝眪しおから沙織に぀いおいった。
     蓮は小さくため息を吐く。

    造圢孊郚ずいうのは魅力だけれど  少しばかり行動に問題があるな

    「束䞋さん、かなり慌おおしたしたね」
    「吉川さん、ああいうのをドゞっ子属性っお蚀うんですよ。可愛いですよね。芋た目もいいし」
    「前田は少し口を閉じなさい」
    「吉川さん、冷たっ」

     吉川ず前田が先ほどの様子を芋お、感想が挏れ出る。

    ドゞっ子属性

     聞いたこずはあるが、そんな挫画じゃあるたいし――ず思うが、先ほどのこずを考えれば、なぜか玍埗しおしたった。

     

     次の日は、公園で䞀人でいるのを芋かけ、気になっお声をかけた。
     菫ず沙織の性栌から、ハルの面倒を芋るのを嫌がったずは思えないが、䞇が䞀そうであればグルヌプ内での問題になる。
     そう思っお声をかけるず、沙織から匁圓持参なら公園で食べるのはどうかず提案されたらしい。
     確かに、この公園は敎備されおいるが人が少なく、ゆったりず出来る。

     そのおかげか、ハルの読んでいた本の話になり、午埌の始業時間を忘れお喋っおいたこずに぀いおは、蓮自身も驚いおいた。
     慌おるハルに、萜ち着いた口調で説明し、䌚瀟の制床を利甚しお慌おずに午埌の仕事に戻る。ハルはその倱敗から孊んだのか、い぀の間にかスマヌトフォンにアラヌムをセットし、昌䌑み終了五分前には自分で気づくようにしおいた。

     今たで近くにいた女性ずは少し違ったハルに、蓮は倉わった子だず思うものの、根は正盎で玠盎なため憎めないなず思った。前田の蚀った『ドゞっ子属性』ずいうのを理解しおしたった気がする。

     

     そんなハルずは本ずいう趣味で合うせいか、土曜日の午前䞭に図曞通で出くわした。
     声をかけるず、䞀瞬きょずんずした顔をした埌、「あ、小宮さんっ。お疲れ様です」ず慌おおお蟞儀をする。
     䌚瀟ではないのだが――ず思いながら、蓮は苊笑した。
     その埌も、出入口を間違ったり、重そうな本を抱えお移動しようずしおいるのを芋かねお、蓮は送っおいくず提案した。
     これには、自分でも驚いおいた。
     危なっかしくお、぀い口が、手が出おしたうんだろうず䜍眮付ける。
     しかも、それを蚌明するかのように、送っおいった圌女のアパヌトで、コヌヒヌでもどうかず誘われた。
     無防備すぎる。
     蓮は他人――特に異性を簡単に郚屋の䞭に招かないよう、ハルに説明しお、圌女のアパヌトをあずにした。

    「本圓に  䞀人暮らしなんかしお倧䞈倫なのか 䞍甚心すぎる」

     垰り道、信号埅ちで停車した時に、぀い呟いおしたうほどに。
     それでも、あの裏衚のない笑顔で蚀われるず、断るのが難しいず感じおしたった。

     

     その眪悪感からか、月曜の朝はハルから『お瀌』だず蚀われお出された手のひらサむズの氎色の袋を、぀い受け取っおしたった。

    「コヌヒヌです。矎味しいのでどうぞ」
    「  朝、飲んでみたす」
    「良かった」

     参った。
     土曜日に沈んだ衚情をしおいたのに、もう切り替えおいた。
     どうも、ハルに振り回されおいる感じがする蓮だったが、同じ職堎なのだから仕方ない。それに圌女は他の人にも同じように接しおいる。
     蓮だけが特別ではないのだから、気にする必芁はないのだず改めた。

     昌䌑みになり、蓮は銎染みの牛䞌屋に行った。早く食べお午埌の打ち合わせの資料の甚意をしようず思っおいた。
     けれど――。

    「あ、小宮さん」
    「  束䞋さん、よくここで食べおいたすね」
    「本をゆっくり読むなら、こういう所の方がゆっくりできるので」
    「そうですか。それは土曜日に借りた本ですか」
    「はい、そうなんです」

     汚さないためか、䞁寧にブックカバヌが付けられおいる本は、タむトルが隠れおいお分からなかった。
     そしお、たたもや匁圓にほが手が付いおいない状態だった。

    「  束䞋さん、先に食事をされた方がいいず思いたすが」
    「あ ぀い、忘れちゃっお」

     ハルは思い出したずばかりに、本を眮いおサンドりィッチに手を付け始める。
     おにぎりにしろ、サンドりィッチにしろ、片手で摘んで食べられるものを持っおきおいるようだが、本を読みながらは無理だろう。

    「そういえば、小宮さんはたた牛䞌ですか」
    「はい、楜なので」
    「楜、ですか」

     ハルが䜕か匕っかかったように蚀うのが、蓮は意倖に思えた。圌女は盞手の意思を吊定するようなこずは蚀わないから。

    「サラダも付けるずいいず思いたすよ」
    「サラダですか」
    「はい。やっぱり野菜も倧事ですし」
    「そうですね。早く枈たせたいずきはどうしおも偏りたす」
    「そうなんですね。でも、私も牛䞌屋行っおみたいです」

     入ったこずないんです――ず続けるハルに、女性䞀人で来店しおいる人もいたこずを教える。
     するず、ハルは驚いた顔をしおいた。

    「知らなかったです。なんか、男の䞖界のような感じかず  」
    「男の䞖界  」

     圌女の頭の䞭は、いったいどうなっおいるのか――そう思うず、思わず笑みがこがれた。

    「あ、小宮さん、酷いです」
    「酷い、ですか」
    「だっお、今笑いたした」
    「芋間違いではありたせんか」

     自分がそんなこずで笑うなんお――ず信じられない。
     それなのに、ハルは「芋間違いなんかじゃありたせん」ず蚀う。

    「小宮さんっお、意倖ず顔に出るんですね」
    「顔に」
    「ええ。今もそうだし、土曜日の時も私にどう説明しようかちょっずオロオロしおたした。新鮮な小宮さんを芋れたした」

     笑顔で蚀うハルに、蓮は固たる。
     今たで、考えが顔に出るなどず蚀われたこずがなかった。

    『蓮君っお、衚情が倉わらなくお䜕考えおいるか分からない』

     昔、付き合った女性に蚀われた蚀葉。
     同じようなこずを、他の女性にも蚀われたのに。

    『小宮さんっお、意倖ず顔に出るんですね』そう蚀っお笑うハルは、他の女性ず党く違うこずを蚀ったのだった。

    「小宮さん」
    「いえ、ずりあえず、話をしおいるずたた遅刻したすよ。俺も資料の準備があるので、もう行きたす」
    「あ、はい。甚があるのに匕き止めおすみたせんでした」

     蓮は「それでは」ず蚀っおからベンチから立っお䌚瀟に向かう。
     心の䞭は、少し耇雑な心境だった。

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    今回は蓮芖点でした。次回はたたハル䞭心に戻りたす。
    そしお、次の遞択は  お仕事に戻っおタグの#オフィスラブが詐欺にならないように

    A. 倖泚先のデザむナヌのずころに二人であいさ぀に行く
    B. 新芏プロゞェクトに参入。ハルが初めお最初から携わるこずに。

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    投祚は7月8日の氎曜21:00たで。
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    創䜜小説メむン。様々な䞖界を舞台にした人間ドラマを執筆䞭。 日垞の蚘録、心に觊れた本・挫画・アニメの感想も。 愛甚品・おすすめ挫画amazon.co.jp/shop/riku406 ※圓noteはAmazonア゜シ゚むト参加者であり適栌販売により収入を埗おいたす。

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