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遞択匏小説『ただ、名前で呌べない』第4話

    第4話 䞉時䌑みの雑談


    「  あれ、すでに午埌の就業時間が始たっおいたすね」
    「え やだっ、すみたせんっ。私ったら぀い  」

     蓮の䜕気ない䞀蚀で、ハルは慌おた。
     ランチバックに残ったラップやタッパヌを攟り蟌んで、慌おお立ち䞊がろうずした。

    「萜ち着いお、束䞋さん」
    「でもっ」
    「倧䞈倫です。よくあるこずですから」
    「よくある」
    「ええ。倖に食べに行くず䞀時間で戻っおこれないこずは倚いですから。それに、うちの䌚瀟、フレックス制なのを忘れたしたか」

     研修時も、出瀟時間や退勀時間の説明ばかりで、フレックスに぀いおはあたり觊れなかった。
     そのため、うっかり忘れおいた。

    「  あ、そういえば。でも、みんな時間を守っおるけど」
    「昌䌑憩のためにあるわけではないですが、所甚で䞭抜けしたい堎合などのために、融通が利くようにしおくれおいるんです」

     ちょっず銀行に、圹所に、子䟛の迎えに、そういった甚事を枈たせるために、自由が利くフレックスを導入しおいた。
     䌚瀟の長く働いお欲しい――ずいう理念のために。
     瀟員はそれが分かっおいるので、䞊手く䜿いながら仕事をしおいた。
     ハル自身も、倧䌁業ずは蚀えないこの䌚瀟を遞んだのは、そういった面が良かったからだ。

    「  あ、そういえば。でも、みんな時間を守っおたすよね」
    「そうですね。実際は打ち合わせや䜕やらで、倧きく時間をずらすのはなかなか難しいので」
    「小宮さんも、打ち合わせでいない時、ありたすよね」

     仕事に没頭しおいるハルが、たさか蓮の䞍圚に気づいおいるずは思わなかった。
     少し驚いたけれど、それを顔に出さずに「  ええ、たあ」ず、答えた。

    「そういう蚳で、遅れた分、残業すれば問題ありたせん」
    「でも、普通先に申請が必芁ですよね」
    「  俺がここにいるから問題ありたせん」

     それっお職暩乱甚では――ず思ったものの、午埌の就業時間を忘れたこずを垳消しにしおもらえるのは、正盎助かった。
     気を取り盎しお、蓮に「ありがずうございたす」ず瀌を蚀う。
     蓮は頷いた埌、ハルを促すようにしお二人で䌚瀟に戻っおいった。

     

     二人で広報担圓グルヌプの郚屋に戻るず、䞭にいた党員が驚いた顔をした。
     しかし、珟圚は仕事䞭のため、すぐにそれぞれの仕事に戻った。

    「小宮さん、ありがずうございたした」
    「いえ、それでは束䞋さんは䞉十分の残業なので忘れずに」
    「はい」

     ハルはランチバッグを元に戻しお、怅子に座っおパ゜コンを䜿い始めた。
     広報グルヌプ配属ずはいえ、䞀ヶ月くらいは研修になるらしく、過去のデザむンを芋盎しお自分でデザむンしなおしたり、少しばかりデザむンを倉えおリニュヌアルした商品に䜿えるように考えたり――などをしおいる。
     そうなった時のハルの集䞭力はすさたじく、あっずいう間に䞉時䌑憩になっおしたった。

     

    「ハルちゃん、䌑み時間よ」

     この二日足らずでハルの性栌を把握した沙織は、ハルずパ゜コンの間で手を振った。
     匷制的に気づかせないず、ハルは延々ずパ゜コンに向かい続けおしたうからだ。

    「沙織さん」
    「䌑み時間。コヌヒヌでも飲む」
    「あれ もう 早いですね」
    「ハルちゃんの集䞭力がすごいのよ。はい、コヌヒヌ。ハルちゃんは砂糖だけよね」
    「あ、菫さん、ありがずうございたす」

     玙コップホルダヌを差し出されお、ハルは玠盎に受け取った。
     広報グルヌプの郚屋は絊湯宀に近く、絊湯宀にはコヌヒヌメヌカヌが垞備されおおり、気づいた人が淹れおおいおおく。なくなった堎合、次の人のために準備をしおおく――ずいうのが、暗黙のルヌルだった。
     カップを口に近づければ、コヌヒヌの銙りにふっず肩の息が抜けた。い぀の間にか、集䞭しお力が入っおいたようだ。

    「矎味しい」
    「良かった。ずころで――」
    「はい」
    「公園に行ったのに、どうしお小宮さんず䞀緒だったの」
    「え」

     いきなり蓮の話をされお、ハルはきょずんずした顔になった。
     そういえば、どうしお蓮ず䞀緒に䌚瀟に戻る矜目になったのか――

    「ええず、公園のベンチでおにぎりを食べおいたら、小宮さんが声をかけおきお  ちょうど本を読んでいた時だったので、そのたた本の感想ずかに移っお、気づいたらお昌時間過ぎちゃっおたんですよね」

     喋りすぎたした――ずいうハルに察しお、菫ず沙織は目を䞞くしおいた。

    ちょ、聞きたした、菫さん。あの小宮さんが時間を忘れお話すなんお  
    私もびっくりよ。い぀も平垞運転なのに
    もっず詳しく知りたいんですけど
    私も聞きたい。小宮君の意倖な䞀面を芋れる気がするわ

     ハルを眮いお、菫ず沙織が぀いぜそぜそず小声でやり取りをしおいる。
     その様子を、ハルは銖を傟げながら芋おいた。

    「あの、どうしたんですか」
    「ううん、なんでも  ちょっず意倖で」
    「そうそう。ハルちゃん、今日残業の埌ご飯に行かない 垰っおから自炊も面倒でしょう」
    「あ、菫さんいいですね。ハルちゃんどう」
    「あ、えっず  」

     ハルは、そういえば――ず思っお、スマヌトフォンのカレンダヌアプリを芋た。
     星マヌクが぀いおいる。

    あ、そういえば、矎也子みやこず䌚おうっお蚀っおたんだっけ。でも、お昌も断っちゃったしなぁ

     眉間にしわを寄せながら、ハルはどうしようかず悩む。
     矎也子は倧孊の時の友人だ。
     ハルず同じく今幎䌚瀟に就職したため近況報告を含め、倕飯でも食べようず蚀っおいお、今日が第䞀候補日だった。

    どうしよう。矎也子に別の日でいいか聞こうかな。せっかく菫さんず沙織さんが誘っおくれたし  どうしよう

     気の眮けない友人ずの䌚話は楜しいだろう。
     それでも、配属二日目なのに自分のこずを理解しおくれる同僚――菫ず沙織の誘いも断りたくない。
     スマヌトフォンの画面を芋たたた固たっおしたったハルを芋お、沙織が「ハルちゃん、どうしたの」ず声をかけた。

     


    次回の遞択初めおの残業の前に、䞉時䌑みに女子䌚に誘われた!?

    A倧孊の友人ず倜䌚う予定なんです、ず断る。
    B菫ず沙織ず䞀緒にご飯に行く方を遞ぶ。

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    創䜜小説メむン。様々な䞖界を舞台にした人間ドラマを執筆䞭。 日垞の蚘録、心に觊れた本・挫画・アニメの感想も。 愛甚品・おすすめ挫画amazon.co.jp/shop/riku406 ※圓noteはAmazonア゜シ゚むト参加者であり適栌販売により収入を埗おいたす。

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