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あの日なにを思ったか

    科学的に考える人

    あの日、ボクは新木場の倉庫の2階の事務所でパソコンに向かっていた。

    あの頃ボクは、浦安市の大口クライアントの倉庫に頻繁に訪問しており、そのために近場にあった自社の事務所に自分のデスクを置いていた。そのクライアントは多種多様な雑貨を取り扱う会社で、浦安の倉庫には主に家具系の商材が保管されていた。

    3月は卒業シーズンだ。
    そして人事異動のシーズンでもある。
    そう、もう少しすると家具や生活雑貨などの販売のピークが来るのだ。

    そのクライアントとはピーク時期の取引拡大の約束がされていて、それは会社にとっても社運を賭けた一大チャレンジだった。ボクは相当な期待と相当なプレッシャーを抱え、ロクに食事をする時間もないほどその準備に追われていた。


    あの日、午後2時46分に東日本大震災は発生した。
    マグニチュード9.0、宮城県栗原市で震度7。
    東京23区でも最大震度5強。

    ボクがいた2階でも揺れは大きかった。
    数名いた他の社員と一緒に駐車場に避難して揺れが収まるのを待った。
    新木場は地盤が弱く、あちこちで液状化が起こり、電柱が傾いていた。そんな光景は初めてだった。

    何をすればいいか全くわからなかったが、その日は事務所を閉めて、みんなを帰すことにした。車で来ていた社員数名で手分けをして、電車通勤の人たちを自宅に送り届け、ボクが自宅に着いたのは夜中だった。

    帰り道、ボクは渋滞に巻き込まれながら茫然としていた。
    あんなに必死に仕事をしていても、こんな一瞬で、自分ではどうしようもないことが起きるんだと思った…


    もうすぐ東京でも桜が開花する予報だ。
    あの年は桜など気にする余裕もなかったが、今年はなにごともなく、家族でゆっくり花見ができるといいなと思っている。


    ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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