ホントにミント?
苔テラリウムを作って以来、園芸熱が高まっている。
どうせ栽培するならベランダでハーブ栽培なんてどうだろうか。
そうだ、ミントがいい。
ミントがベランダで採れたら、夏の間モヒートが作り放題だ。
このように、すぐ二兎を追い始めるところが私の強欲ぶりを象徴しているのだが、我ながらナイスアイデアである。
念のためモヒートについて書いておくと、ラム酒のソーダ割りにライムとミントの葉をたっぷり入れた、夏にピッタリのカクテルだ。
シュワシュワのソーダにミントやライムが浮かんで、いかにも爽やかな見た目をしている。
いわば大人のハーバリウムである。(誰も言っていない)
私はこのモヒートが好きで、居酒屋などでもよく飲んでいる。
家でも毎日風呂上がりにキューっと、モヒートをキメたい。
そう思ったらもう、頭の中はミント栽培計画で一杯だ。
そんな折、近所の道を歩いていたところ、側溝の蓋の網目から、葉っぱが溢れんばかりにはみ出している。
ギザギザの縁で、葉の表面がちりめんみたいに凸凹している。
これはもしやミントでは?
そう思った私は、葉っぱを1枚ちぎって匂いを嗅いでみた。
ハーブの匂いがする。ミントだ!
やった!ミント取り放題やん!
…お気づきだろうか。
ミント栽培計画がいつの間にかモヒート飲み放題計画にすり替わっていることに。
欲に目がくらんでいるので、側溝の怪しいミントを摘んで食べようとしているところには触れないで頂きたい。
喜んでいたところに、ふと、一輪の花が目に入った。
これは知ってる。ランタナだ。
ちっちゃいアジサイみたいな形で、ピンクや黄色の鮮やかな花を咲かせる外来種だ。
私の住んでいる地域では、空き地という空き地にはびこる、今最も勢いのある植物の一つである。

まさか!と思いついさっきまでミントだと信じて疑わなかった葉っぱの写真をグーグルレンズにかけてみたところ、そこに表示されたのは無慈悲な「ランタナ」の文字…
ミントだと思い込んでいたのは、ランタナの小さな若葉だったのだ。
くっそー!!紛らわしいっ!
自分の雑なミント判定を棚に上げ、プンプン怒りながら思い返してみると、匂いもメントールというより青臭さだった気がするし、ちょっと葉っぱがミントにしては固い気がしてきた。
欲に目がくらんで、よりにもよってあの迷惑外来種のランタナとミントを間違えた自分が情けないやら腹が立つやら、恥ずかしいやら。
誰も見ていない路地に転げ回ってジタバタしたくなる気持ちを抑え、その足でスーパーに寄り、パック詰めのミントを買ってきた。
千切って嗅いでみると、ぜんぜんちゃうわコレ…
本物のミントはスパイシーながらも奥に甘さを感じる香りがするし、葉が柔らかい。
見た目も違う。
そうだった。これがミントだ。
今までさんざんモヒートを飲んできたのに、何といい加減なことか。
言い訳をさせてもらうと、ランタナをミントと思い込んだのには一応の理由があるのだ。
実はランタナは「クマツヅラ科」といって、アロマで人気のハーブ「レモンバーベナ」などと同じ科の植物だ。揉むとハーブっぽい柑橘系の匂いがするとのこと。(ただし食用ではない。なんなら毒である。危ない。)
こうして強欲こまクサは正気に戻り、買ってきたミントでモヒートを安全かつ平和に楽しんだのだった。
栽培計画はどうなったかって?
調べてるうちに、ミントにも青虫が付くということがわかった。
虫が苦手なのでテンションが下がってしまって、それっきりである。

