
管理会社も警察もダメだったので、1000円で『神』を買った話
たなかは静かな空間で眠りたかった。
音に悩まされず、朝まで爆睡したかった。
しかし、そんな割と当たり前な「穏やかな空間」というものを、手に入れるのが難しかった。
なぜか。
とにかく階下が「うっっるせぇ」のだ。
常識はずれなのだ。
ケタ違いなのだ!
そこにさらに、我が愛犬のイビキが加わるのだ。
おかげで、たなかの睡眠の質はみるみる低下し、体力はちっとも回復しないのであった。
毎日イライラおじさんになっているようでは、快眠なんて程遠い。
たなかは眠たい目をこすり、「音」をどうにかしようと思った。
騒音で警察を呼んでもダメだった件
階下の騒音対策としては、まずは管理会社への連絡だろう。
なにせ「管理」会社という名だ。
クソうるせぇ住民をビシッ!と黙らせ、管理してなんぼの会社なのだ。
【たなか】
「あ~もしもし?階下の住人が昼夜構わず騒音をなんちゃら……」
【管理会社】
「承知しました!注意喚起いたしますので!」
いや、注意喚起なんぞ手ぬるいのだ。
いいからこんぼうで殴りたおせ!
被害者の方なら分かると思うが、騒音野郎に注意喚起なんて、なんの効果もないのだ。
直接住民の部屋に殴り込んで、「これ以上騒ごうもんなら追い出すぞボケナス」くらい追い詰めて欲しいのだ。
だってね、注意喚起したってね、
住民に電話 → 電話に出ない
注意喚起のチラシ郵送 → 読まずに丸めてポイ
注意喚起のアプリメッセージ → 開かない・読まない
それでいて、管理会社の方は「注意しましたよ!(ドンッ!)」としか言わないのだ。管理会社とは名ばかり。失望である。
管理なんてもういいから、さっさと奴をこんぼうで殴れ!
管理会社がポンコツとなると、次は「警察」と相場は決まっている。
あぁ呼んだよ。4回は呼んだ。
しかし、まったく改善なしだ。
おそらく事情を聞いた上で「周りの迷惑も考えましょうね?」という話をちょろっとしただけなのだろう。
話なんていいから、玄関が開いたら警棒で殴れ!
「殴って・手錠して・連行」の3コンボを決めろ!!
こうして、管理会社にも警察にも、これ以上言ってもムダだなと思わされたのである。
たなかはもう疲労困憊だった。軽くウツっぽかった。
「相手を変えようとするな。自らを変えよ。」
なんかどっかの本で読んだ気がする。
「仕方ない。自衛するか。」
こうして、たなかは「耳栓」をする道を選んだのである。
どれがいいのか分からないので試す!
さっそくAmazonで「耳栓」と検索すると、大量に出てきた。
多すぎて、どれがいいのかサッパリ分からない。
そういや、選択肢が多すぎるとかえって決定できなくなるという「決定回避の法則」や「選択のパラドックス」というものを聞いたことがあるな……。
まんまとその罠にハマり、選びきれない。
たなかはAmazonをそっと閉じた……。
「まずはテキトーに試すか。」
近所のドラッグストアに足を運び、耳栓コーナーを見る。
そこで「ピップ・イヤーホリデイ」に出会った。
ピップエレキバンで超有名どころだし、2個セットで手頃であるし、「うるさい所での安眠に」と謳い文句が書かれている。
しかもネーミングが「耳の休日」だぞ。完璧だ。
「おーし、その休日、ゲットだぜ!」
たなかは歓喜した。
その夜、寝る前に装着し、恋人と初めてのベッドINくらいウキウキして眠ろうとした。
しかし、残念ながら、あの耳栓はホリデイ(休日)ではなく、ただのウィークデイ(平日)だった。
妻の寝っ屁すら、しっかり聞こえるじゃねーか!
弱い!弱すぎる!!どうしたんだピップ!!
どうやら、たなかの耳の穴のデカさに対し、イヤーホリデイのサイズは小さすぎたらしい。きちんとフィットせず、遮音性能が低くなったようだ。
「個人差があるから仕方ないか……。」
ピップ大好き「ピッパー」たちには大変申し訳ないが、レイカーズ・八村塁の勢いでゴミ箱へダンクシュートを叩き込んだ。
さぁ、次の試合だ。
気持ちを切り替えて行こー!!
神の耳栓「サイレンシア」に出会う
Webの海をただよい、とにかく調べた。
近所のドラッグストアにも足を運びまくった。
「どれも同じに見えるでござるー!」
そして「サイレンシア」という耳栓を見つけた。
Amazonの口コミも悪くなく!
スポンジタイプなので横向き寝でも気にならない!
30年以上の老舗と安心感!
おまけに10ペアも入って1000円とリーズナブルだ!
しかし一つ、問題がある。
前回はド派手にピップに裏切られている。
ワクワクしてベッドINしたら、実は男でした~♡というくらいにショックを受けた後だ。
小心者のたなかは、二度目の失敗が怖かった。
ポリウレタン素材のスポンジタイプが信用ならなかった。
いや、しかし!
たなか40代、男。なにを悩む!
ベッドINして男だったらキャンタマ握りつぶしてしまえば良いのだ。
戦え!たなか!!
意を決して購入し、恐る恐る付けてベッドIN。
「おお~……!?」
たなかは「神」に出会った。
G・O・Dと書いて「神」だ。
若干大きめサイズの耳栓だが、それが逆に良かった。
たなかの耳の穴にフィットし、慣れれば横向き寝でもあまり気にならない。しっかりハマれば遮音性はかなり高く、寝ている間に抜けることもない。
階下の騒音はもちろん、愛犬のいびきや妻の歯ぎしりもシャットアウトだ。
完璧であった。
たなかの「神器」として、神棚に飾ってやろうと思った。
一応お伝えしておくと、新品を使った場合は耳に入れたあとの膨張が大きく、朝に少しだけ耳に違和感があったりする。
人によっては、その膨張で軽い痛みを感じる人もいるだろう。
だが2~3回使えばポリウレタンが馴染んでくるハズだ。
また、たなかはメニエール病によって左耳の耳鳴りに悩まされており、耳栓をつけることで耳鳴りがハッキリ聞こえるようになる。
それでも、不快な騒音をシャットアウトできる方が、よほど快適であった。
騒音のために「耳栓」をするか、耳鳴りのために「ノイズマシン」をするか、その時々で使い分けをしている。(最近はほぼ100%耳栓)
2~3週間ごとに交換をする形になるので、1ヶ月で2ペア消費。
10ペアで1000円なので5ヶ月はもち、1ヶ月たったの200円という神設定のアイテムだ。
「もっと早く耳栓しておけば良かった……。」
こうして、階下の住民を殴り倒すことなく、平和に(?)解決へ向かった。
おわり
こうして、騒音に悩まされ続けたたなかは、「サイレンシア」という神装備を手に入れ、快眠にまた一歩近づいたのである。
とはいえ、階下はあいかわらず昼夜問わずうるせーのである。
「管理会社も警察もダメなら、次はなんだろうな……。」
たなかは、そっと「こんぼう」を手に取り、磨き始めた。