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台風の目の中は静かだよ

父にそう言われて空を見上げると青空が広がっていた。

昭和40年代の秋のある日、東京から埼玉のあたりは、公立小学校が休みになるほどの台風直撃だった。

父は強まる風雨に怯えるわたしを膝にのせて新聞の台風進路予測を見ていた。

そろそろかな?

父はヨイショと私を下ろして立ち上がり、窓のほうに歩いた。わたしは父の手につかまってついていった。一緒に窓の外を見ながら父は言った。

台風は渦巻きだからね
風と雨を連れてくるんだけれども
渦の真ん中は静かなんだ
台風の目、っていうんだよ
そろそろ真上を通るらしい
珍しいことだ
見ていてごらん

好奇心が湧いて、わたしは、そっと目を開いた。

青空が見えた。

風雨もぴたりと止んだ。

しばらくすると、ガラス戸がガタガタするような風が吹いてきた。

風向きが変わったね

父との会話でハッキリ覚えているのは幼少期では、その時だけだ。父はとにかく忙しくて、なかなか家にいなかった。

東京都板橋区の公立小学校で社会科の教員をしていた父は、教育熱心、研究熱心、人付き合いも良かった。だから、後輩に頼まれると公開授業の教案を見てあげたり、授業研究大会の座長をしたりもしていた。

なんてことを当時は知る由もなかったのだが、やがて私も教員になり、高校の英語で同じようなことをする立場になる頃、
平成10年3月に亡くなった父の遺品整理で目にしたノートの記録から、
父が職務上の「台風の目」の中に居た日々のことを追想したのだ。

いっそ台風の目の中に入ってしまったほうが、視界が明るくなる。

父との記憶がわたしに勇気と覚悟をくれた✨

プロジェクトをするなら推進役に手を挙げた。

園子台風か(笑)

不用なものを吹き飛ばし
本質をあらわにしてくれるなら
応援するよ
❣️

平成17年度4月、埼玉県立南稜高等学校でスーパーイングリッシュランゲージハイスクール(SELHi)の研究開発委員長を拝命した時の同僚との会話だ。

それにしても今年は台風が多い🌀

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