
子どもが生まれてから、旅の選び方が変わった
子どもが生まれてから、旅の選び方は少しずつ変わった。
どこへ行くかよりも、どう過ごすか。
そんなことを考える時間が増えた気がする。
以前は、朝から外に出て、気になる店をはしごしながら朝ごはんを楽しむこともあった。
一食ごとに、その場所の空気を感じていくような感覚が好きだった。
昼に行きたい店や、いろいろなメニューを食べてみたい店があるときは、あえて朝ごはんを食べなかったり、軽めにしたりすることもあった。気になる店があれば少しだけ立ち寄り、また別の店へ向かう。
そんな自由な旅をしていた。
でも今は、ホテルの朝食ビュッフェのような“外さない安心感”がありがたい。子どもにとっても、自分にとっても、失敗がないということが思った以上に心強い。
昔はむしろ、ホテルの朝食は少しもったいない気がしていた。
その土地らしさが減ってしまうような気がして。
旅行中の貴重な一食を、そこに使っていいのか迷っていた。
ホテルのラウンジで過ごす時間にも、あまり惹かれなかった。外に出れば、まだ見たい店や景色がたくさんあった。
でも今は、あると少し嬉しい。
軽食があって、大人は一杯飲める。「少しだけ」のつもりが、もう一杯となることもある。子どもはデザートをつまんでいたりする。ちゃんとした食事ではないけれど、こういう“ちょっとした逃げ場”があるのは助かる。
うちの子は食べることがわりと好きだ。
新しいものにも、海外でも、わりと挑戦するタイプだと思う。ひと口食べる前に、「これ何?」と聞くことはあるけれど、たいていは食べてみる。
それでも、お腹が空くのは待てないし、大人ほど柔軟でもない。やっぱり、慣れたものがいい、となることもある。
だから旅先では、「何を食べるか」の選び方が少し変わった。
思った通りに進まないこともある。

大人の予定に、子どもが急に飽きる。
まだ行きたい場所があっても、「今はそれじゃない」となる。
お腹が空くタイミングも待ってはくれない。
わざわざ旅先でなくても買えそうなおもちゃを欲しがる日もある。
でも、それはそれで旅の一部なのだと思う。
子どもと旅をするようになって、できなくなったこともある。
夜遅くまで飲みに行くこと。
予定を細かく詰め込むこと。
何カ月も前からパズルのように予約を組むこと。
その代わりに増えたものもある。
キッチン付きの部屋に泊まって、その土地のスーパーで買った食材を料理すること。
途中で見つけた公園に立ち寄ること。
予定を決めすぎず、その日の気分で動くこと。
できることが減ったというより、旅の形が変わったのだと思う。
以前は見えていなかったものも、少しずつ見えるようになった。
だから今の旅も、楽しい。