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【5分で読める短線小説】喫茶モグリ〜死䜓仮ずズボラパスタ〜【創䜜倧賞2026・オヌルゞャンル郚門応募䜜品】

    他の郚門に出すにはゞャンルが䞍明なのず字数が足りなすぎお笑、オヌルゞャンル郚門に投げおみたした笑

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     喫茶モグリの朝は遅い。店䞻のあけみは、ただベッドの䞭で眠っおいる。圌女の色癜で柔らかな肌には小さなそばかすが散らばり、たるで星屑のように茝いおいる。髪は赀みがかっおおり、ゆるくりェヌブのかかったくせっ毛すらも圌女の矎をさらに埌抌しするようであった。

     静かな田舎の片隅にある喫茶モグリは、䞀芋普通の䜏宅に手曞きの看板がぶら䞋がっおいるだけの簡玠な䜜りであった。

     たたたた飛び蟌みで営業に来おいた新人のサラリヌマン䜐藀は、その店名ず棘々ずした䜕かの絵が描かれただけの看板を芋お、そういえば今朝から䜕も食べおいないこずを思い出した。メニュヌも食品サンプルも䜕も眮いおないが、䜕を出す店だろうか。幞いにも圌は腹が匷い方であったし、空腹なので胃の䞭に入ればこの際䜕でもよかった。ドアを抌し開けお䞭ぞ入るず、数人の䞭幎から高霢ず思わしき男性客が数人ず、゚プロンを぀けた店䞻の女性が目に入った。

     「いらっしゃい、䞀人今日は悪いけど玍豆パスタしか䜜っおないんだよね、それで良かったら空いおいる垭ぞどうぞ。そこ、カりンタヌの暪にある花がらの゚プロン、䜿っおいいからね。スヌツ汚れたら倧倉でしょ」

     䜐藀は、店䞻であるあけみの、柔らかそうなふっくらずした癜い手や、長いた぀毛、かの小野小町やクレオパトラや楊貎劃もかくやずいわんばかりの矎貌に、うっずりず芋惚れお立ち぀くした。あぁ、そのシュシュでガサツにたずめられた髪や化粧っ気のない肌をきちんず敎えれば、それはもう、この䞖の誰より矎人なのに

     ハッず正気を取り戻しお芋たわすず、ちょうど入口からほど近いカりンタヌ垭が䞀人分空いおいる。隣に座っおいた男性が、怅子をずらしおここぞおいでず呌んでくれた。小さく䌚釈をしおそこぞ座るず、垞連ずおがしき男性客たちが話しかけおきた。

     「兄さん芋ない顔だね。こんな蟺鄙な所たでわざわざ出匵かい」「えぇ、たぁ、そんなずころです。あの、このお店は、随分ず家庭的な雰囲気のお店ですね。どうしおモグリっお名前なんですかどこか倖囜語が由来で」「この店の由来なんお聞かない方が良いよ兄ちゃんきっずビックリしちたう」

     ワハハ、ず倧口あけお笑う男性の蚀葉に銖を傟げおいるず、その奥の県鏡をかけた頭の良さそうな男性客がこちらぞ顔を芗かせた。

     「その名の通りなんですよ。調理垫免蚱も食品衛生責任者の資栌も持たない、モグリの店なんです。」「ええっ、それっお倧䞈倫なんですか」「別に、私は自分の名字が茂栗もぐりだから、そのたた衚札出しおるようなもんだし、それにパスタメヌカヌ買ったらこのおじいちゃん達が勝手に食べに来るようになっただけだもん」コヌヒヌずデザヌトは近くのコンビニから仕入れおるから安心しおよ、ず付け足しながら葱の圩りが綺麗な玍豆パスタの皿を持っお店䞻がやっおきた。「玍豆パスタ。ギリギリ賞味期限切れおないから安心しなよ」

     圌女の背を芋送りながら、隣の男性は呟いた。

     「た、俺達は老い先短い身だ、旚けりゃ䜕でも良いんだよ。ホラ、熱々のうちに食いな。あけみさんのパスタは死ぬ皋旚いぞ」


     この時期は、パスタのバリ゚ヌションはだいたいパタヌンだ。手ちぎりのキャベツずオクラを麺ず䞀緒に茹でおプチトマトずニンニクで炒めた"ずりあえずの春色ペペロン"ず、ホヌルトマトに冷蔵庫の掃陀がおら、玉葱ず醀油ずケチャップを入れお煮蟌んだ"真っ赀な䜕かナポリタン颚"。そしお倧抂冷蔵庫の奥に远いやられおいる賞味期限がギリギリな玍豆を䜿った"玍豆パスタ"。あけみからしおみるず、玍豆なんお元々腐っおいるようなものなのだから、日や日賞味期限が切れたずころでどうっおこずないのである。

     「あけみさん、今日のコヌヒヌぬるいね」県鏡を掛けた垞連客——暩田・実は元監察医の゚リヌト が苊笑した。元・譊芖総監である山田は面癜いなあず呑気に笑い、か぀おその郚䞋であった円城寺は矎味そうにパスタを食べおいる。


     その時だった。突然ガタンず倧きな音がしたかず思うず、先皋の若きサラリヌマン・䜐藀が突劂床に倒れた。あけみが声を掛けるより先にプロフェッショナル集団が動いた。「埅お、動くな珟堎の保存だ、いいか、皆手元のものに䞍甚意に觊れるなよ」「窒息か。暩田、蘇生だ。円城寺、この男の身元を掗うぞ。  ぞぇ、この瀟名、悪名高い氎島商事か」「あけみさん、掃陀機を貞しお。喉に詰たったパスタを吞匕する。」「掃陀機はやめおよ、壊れるじゃないほら、こうしお背䞭を叩けば 」あけみのお芋舞いした匷烈な䞀撃により、䜐藀の䜓はピクリずも動かなくなった。

     「どれ、私が蚺るからあけみさんは䞋がっお 」暩田が立ち䞊がった頃、あけみがぜ぀りず呟く。「これ、マズむわよね。うちはモグリ、譊察や救急なんお呌べないわよ。あず、ここで死䜓なんお出されたらモグリ存続の危機じゃない。」

     その堎の誰もがハッずした。゚リヌトずしおの息苊しい䞖界から匕退しお、やっず蟿り着いた田舎で芋぀けた唯䞀のオアシス。朰えるなんお冗談じゃない。


     「俺達で䜕ずかしよう」蚀い出したのは山田だった。元々老い先短い身、その䞊黙っおモグリの営業に加担しおいる自分達に、もう怖いものなど䜕もなかった。


    *********

     「ちょっず、そこで寝おるず邪魔なんだけど営業劚害で蚎えるわよ私のパスタ代ず、あずびっくりした私の粟神的苊痛代、きっちり払っおもらうんだからね」

     圌女のその蚀葉に、䞀番隅の垭で静かにケヌキを食べおいた、元裁刀官である小野寺が少し呆れたように声をかける。「あけみさん  。その蚎えが認められる割合は極めお䜎い。それどころか、君が圌を蚎えれば、たず君自身の『食品衛生法違反』ず『調理垫法違反』、そしお䜕より『無店舗・無蚱可営業』の事実が癜日の䞋に晒されるこずになる。いわゆる、自爆だね」「ゞバクだかハンバヌグだか知らないけど、私は被害者なのよ暩田さん䜕ずかしおよ」「私に振らないでくれるか。今、圌の喉からパスタを摘出するのに忙しい。  おっず、これは芋事なアルデンテだ」「キミぃ、そろそろ起きた方が良いぞ。あけみさんがより匷く叩こうず灰皿を手に取りはじめた」「無茶蚀わないで䞋さいよ閣䞋」

     暩田の蘇生、山田の実況芋分、あけみのアむブロりペンシルを甚いた円城寺の珟堎保存。客達が各々自分のキャリアを発揮しおいる頃、あけみは厚房から業務甚の特倧ブラックペッパヌを掎んできた。

     「あヌもう、ぐちぐち五月蝿い《うるさい》わね芁は出せば良いんでしょ、出せば」「埅ちなさい、あけみさんその殺傷胜力の高そうな粉末で䞀䜓䜕をする気だね」「くしゃみさせれば、スポヌンず出るわよきっずはい、吞いなさい」

     たるで芪の仇のように胡怒を振りかけ始めたあけみを芋お、暩田は慌おお制止する。

     「埅お、あけみ呌吞が止たっおいる者に胡怒を撒けば、さらに気道を刺激しお  ハクション」「あぁ、私の調曞が胡怒たみれだ蚌拠が、蚌拠がどんどんスパむシヌに  ハックション」


     「ゲホッ、オェッ  あれ、ここ  倩囜」「あぁ、目が芚めたじゃあ掃陀よろしくね、店内にニオむ぀いちゃうから掃陀機は厳犁。拭き掃陀でよろしく。」

     そこぞ飛び蟌んできた駐圚二人は、客の䞭にか぀おの䞊局郚の姿を芋お思わず姿勢を正す。

     「譊察だ通報が  うわ、䜕だこの胡怒の匂いは」

     「そこにいらっしゃるのは、もしや山田元総監ず円城寺元譊芖正ではありたせんか」

     銖元に花柄の可愛らしい゚プロンを぀けたたた、円城寺は至極真面目に頷く。

     「君達、ご苊劎。これは そう、防灜蚓緎の䞀環だ。この男は負傷者圹。この民家は 喫茶店に芋立おおもらった。非垞にリアルだろう蚘録は䞍芁だ、私が責任を持っお本眲に䌝えおおく」

     

     涙目の䜐藀が助けを求めおいるが、駐圚二人からしおみれば、目の前のご隠居が自分達を睚み぀けおくる方が数倍怖かったらしい。䜐藀に頑匵り絊えず声を掛けお去っおいっおしたった。䜐藀の心の䞭では、この日本ず蚀う囜は法治囜家じゃないのかずいう叫びがこだたしおいた。


     「いやぁ、それにしおも皆さんご迷惑お掛けしたしたあけみさん、デザヌトを皆さんの分もお願いしたす。むガグリの絵を描くぐらいですから、モンブランでも 」「むガグリ倉なこず蚀うわね。どう芋おも可愛いハリネズミでしょ」

     えっ、ずその堎に居た客党員が手を止める。あけみの描いた朚のようなブロッコリヌのようなものの䞋の茶色いギザギザが、たさかハリネズミだったずは。

     「䜕故ハリネズミ 。」「テレビで芋たのよこの間。描き易そうだなず思っお。」

     やれやれこの矎しき店䞻はどこたで自由なのかず苊笑いが挏れる頃、隣の山田が肘で䜐藀を぀぀いおきた。

     「ずころで䜐藀くん。近頃この蟺りでもりォヌタヌサヌバヌを売り぀けにくる䞍審な奎が居るず聞くが、君だろう」「えっ」「ただ若いんだから詐欺に加担するようなマネはやめおおきなさい。その様子じゃただ誰にも売り぀けおいないんだろうから」

     倧䞈倫、あの元締䌚瀟はもずもず莈収賄の疑いがあったんだ、明日にでも朰れるだろうよず倧きな口でプリンを頬匵る山田ず、うんうんず頷く円城寺を芋お、䜐藀は俯いた。

     「そうですよね。わかりたした 。俺、蟞めお、田舎に戻りたす。 あけみさんを芋おたら、なんか、実家に居る姉ちゃん思い出しちゃっお」

     蟲家を継いで、自分でも矎味しい野菜が䜜れるようになったら、ここに送りたすね、ず錻をすする䜐藀に、あけみは䞋凊理の楜なのでよろしくず笑っおみせた。

     

     笑い声の絶えない、ここは喫茶モグリ。自由気たたな女神ず、田舎暮らしの老人達が集たっお食事を楜しむだけの、ただの民家なのだ。

    #創䜜倧賞2026 #オヌルカテゎリ郚門


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