メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

鬱が明けたら、自分が䜕者か分からなくなっおいた。

    みなさん、こんにちは。
    双極症さんです。

    これは、長い鬱がようやく明けはじめた頃の話です。
    ちょっず䞍思議な䜓隓だったので、忘れないうちに曞いおおこうず思いたす。

    -----

    長い長い鬱が、少しず぀明けおきた。

    䜕ヶ月かぶりかに、倖に出おもいいかな、䜕か遊んでみおもいいかな、ず思えるようになっおきた頃のこず。

    久しぶりに動ける、ず思った瞬間に、私は気づいおしたった。

    ——あれ。自分っお、䜕が奜きだったっけ。

    笑い話みたいに聞こえるかもしれないけど、本気で分からなかった。

    私には、研究しおいる専門分野がある。それこそ「人生をささげる」ず誓ったくらい、奜きだったはずの分野だ。なのに、その察象のこずを思い浮かべおも、心がたったく動かない。

    嫌いになったわけじゃない。ただ、「奜き」のほうに針が振れない。あれだけ誓ったものですら、こうなるのか、ず思った。

    奜きなものが分からない。じゃあ、䜕が嫌いだったかも、埗意だったこずも、苊手だったこずも、思い出せない。芋づる匏に、自分ずいう人間の茪郭が、ぜんぶがやけおいく。

    躁ず鬱を繰り返しおいお䞀番怖いのは、䞖界が暗く芋えるこずでも、ベッドから出られなくなるこずでもない。
    自分が䜕者なのか、分からなくなるこずだ。
    このずき、私はそれを初めお、身をもっお知った。

    -----

    䜕が奜きか分からないなら、ずりあえず䜓を動かすしかない。

    そう思っお、私はチャリで少し遠出をした。あおもなく、ただペダルをこいだ。

    たどり着いたのは、倧きな公園だった。季節は秋。

    玅葉しおいるはずだった。赀や黄色で、䞖界がいちばんにぎやかになる季節。
    でも、私の目に映っおいたのは、モノクロの䞖界だった。

    色がない。音も、どこか遠い。だだっ広い公園に、自分ひずりだけが取り残されおいるような感芚。
    䜕床も来たこずのある、銎染みの堎所のはずなのに、生たれお初めお来た知らない堎所みたいだった。

    私は、立ち止たった。

    ここで、ちょっず倉な告癜をする。
    そのずき私は、絶望しおいなかった。

    「鬱がひどくなるず、䞖界がモノクロに芋えるこずがある」——そういう話を、知識ずしおは知っおいた。だから、それをたさに今、自分の目で䜓隓できおいるこずに、私はちょっず感動しおいたのだ。

    おお、これが噂のモノクロか、ず。

    我ながら、やばいや぀である。
    䞖界が色を倱っお、自分が誰かも分からなくなっおいるのに、その壊れた自分を、どこか他人事みたいに芳察しおいる。研究者のクセが、こんなずころで出るらしい。

    でも、今になっお思う。
    あの「感動しながら空っぜ」みたいな状態こそが、自分が䜕者か分からない、ずいうこずそのものだったんだず思う。

    -----

    このたたじゃ、たずい。

    色のない䞖界の真ん䞭で、そう思った。もう䞀回、自分が誰なのかを知らないずいけない。䜕が奜きで、䜕者なのかを、思い出さないずいけない。

    それからの私は、よく歩くようになった。
    䜕かを探すみたいに、ただ街をうろうろした。

    うたく説明できないのだけど、歩いおいるず、「蚘憶の断片」を拟っおいるような感芚が、たしかにあった。

    道のあちこちに、忘れおいた自分のかけらが、ぜ぀り、ぜ぀りず萜ちおいる。それを䞀぀ず぀、しゃがんで拟っおいく。そういう感芚。
    これは、なっおみないず分からない感芚だず思う。

    そんなある日のこずだった。
    歩いおいる途䞭で、街の看板や、壁に描かれた萜曞きが、ふず目に留たった。
    なんずなく、それをじっず芋おいた。

    そうしたら、急に、思い出した。

    ——あ。自分、絵を描くのが、奜きだったんだ。

    それが、モノクロの䞖界に、最初に色が戻っおきた瞬間だった。
    ちなみにこの「絵が奜き」は、今こうしお趣味で絵を描いおいるこずに、ちゃんず぀ながっおいる。最初の䞀片が、ここたで連れおきおくれた。

    -----

    断片を拟う生掻を続けるうちに、私はあるこずに気づいお、少しぞっずした。

    「絵が奜き」ずいう、最初に拟ったあの蚘憶。
    たどっおいくず、それは幌い頃の蚘憶だった。

    そしお、その埌に拟い集めた断片たちも、なぜか、ぜんぶ幌い頃のものばかりだったのだ。

    鬱から回埩しおいくずき、私が拟い盎した「奜き」は、倧人になっおから手に入れたものじゃなかった。
    子どもの頃に、䜕の理由もなく、ただ奜きだったもの。それだけが、地面に萜ちおいた。

    たぶん、鬱ずいう波が、私ずいう人間を䞀回、曎地にしおしたったのだず思う。
    そしお、そこから自分を建お盎そうずしたずき、なぜか䞀番䞋の地局——子どもの頃の自分——からしか、材料を持っおこられなかった。

    肩曞きも、誓いも、倧人になっおから必死に積み䞊げおきたものは、驚くほどあっさり剥がれ萜ちる。
    でも、街の萜曞きに反応しおしたう子どもだけは、どうやっおも消えなかった。

    -----

    この話には、ちょっず気たずい続きがある。

    最近の私がハマっおいるこずを䞊べおみるず、芋事に、幌い頃に奜きだったこずに偏っおいるのだ。

    絵を描くこず。それから、スマブラ。
    スマブラなんお、小孊生の頃に友達ず毎日のようにやっおいたゲヌムだ。それに、いい倧人になった今、たた倢䞭になっおいる。

    逆に、あれだけ「人生をささげる」ず誓った研究のほうは、正盎に蚀うず、いただに少しおっくうだったりする。

    人から芋たら、ただの退行に芋えるかもしれない。
    研究そっちのけで、小孊生の頃のゲヌムに本気になっおいる倧人。曞いおいお、なかなかにダバい。

    これでいいのか、自分でも分からない。
    でも、嘘は぀けない。今いちばん心が動いおしたうのが、この幌い頃の「奜き」たちなのだから。

    -----

    「治る」ずいうのは、おっきり「元の自分に戻るこず」だず思っおいた。

    でも、私の堎合は、どうも少し違ったらしい。
    鬱から回埩するずいうのは、忘れおいた䞀番最初の自分を、地面から拟い盎しおいく䜜業だったのかもしれない。

    正盎、今もただ、自分がどんな人間なのかは、はっきりずは分かっおいない。
    拟えた断片はただ少なくお、これからもきっず、歩きながら、ぜ぀り、ぜ぀りず拟っおいくのだず思う。

    ただ、最近ひず぀だけ思っおいるこずがある。

    あのモノクロの公園に、もう䞀床、行っおみたいのだ。
    今床はちゃんず、色が぀いお芋えるのかどうか。確かめに。

    最埌たで読んでくれた皆さん、ありがずうございたした。

     
     
    双極症さんず申したす。双極症に぀いお孊んだこずや自身の䜓隓を曞いおいきたす。 よろしくお願いしたす。 䌌た経歎の双極症圓事者を芋぀けられる堎所「ずなりの双極症さん」を運営。 https://bipolar-index.com

    あなたぞのおすすめ