「教育の幹を見つける旅(grokと共に歩く)」㊴~終章 そして旅は続く
振り返ると、今この文章を書いている私自身もまた、「教育」というプロセスを経て得られた体感を通して、無意識のうちに自らの中に円を取り込んでいました。
私は教師という両親の仕事柄、母方の祖父と過ごす時間が多くなりました。私にはめったに声を荒げないひとでしたが明確に規範を提示した3つの出来事がありました。
ひとつめは内容は覚えていないのですが、私が母親に対してぞんざいな物言いをしたときに「親に対してその言い方はない」と叱りました。ふたつめは恥ずかしいことに祖父が畑仕事をしている最中に、三輪車に乗ったまま畑に入っていったことがありとても怒られました(当然です)。最後に私が就学する際に、母を引き合いに出し「(母のように、毎回)遊びにいくなら宿題をしてからにしなさい」と受け取れる発言をしました。これらの3つは言い変えると
1親への礼を尽くすこと(親は他者や相手とも言い換えられる)
2他人の領分を侵さないこと
3役目(義務)を果たしてから権利や自由を謳歌すること
という規範になります。
これらは原体験として深く私に刻まれました。(ただし今でも守れていると断言することは決してできませんが)そこにはじまり、言葉にならない違和感や身体的な感覚、詰め込み教育からの脱却で生まれたゆとり、そして何より、カリキュラムを工夫しながら私の成長に寄り添ってくれた先生方の存在――それらすべてが、今の私を形作っています。今回の「幹を見つける旅」は、はじまりこそ父の「覚悟」という言葉の投げかけでしたが、私自身の幹を確認するための旅でもありました。父はかつて、「教師の仕事は勉強を教えるだけではない」ともあわせて言っていました。あの時、父はそれとなく、授業前の教室の環境調整の方がむしろ大事だと付け加えていました。その言葉の意味が、今なら少しわかる気がします。もしその環境調整が、家庭内での話を「聴く」準備を整えることまで含むならば、他ならぬその家庭環境そのものが、私自身の幹を支えてくれていたのです。
私は危機的状況を招く原因への注意喚起に対して特に敏感に育ちました。人間関係も含めて、日常のなかでの危うい瞬間をあげれば枚挙に暇がありません。そういったものに対して家族は普段教師として他人に見せる顔以上に私に厳しくあたり、時にはできる限り私を危険から遠ざけようとしました。カリキュラムから危険が予想できる場合は本番を前に事前に練習させました(それでも意味づけと体の動きの連動が不十分で当日に失敗することは度々ありました)。私が父の言葉を「覚悟はあるか」という問いに変換し、職務への脅威としてしまった背景にはこの幼少期からの関係性があるのかもしれません。反面教師になっている部分も含めて、すべてが私自身の幹の一部だと思います。
特に令和の時代において、当人の気持ちを顧みない不用意な厳しさは、かえって子どもの発達に悪影響を及ぼすことも指摘されています。(この点については脳科学の章や合理的配慮も参照のこと)かといって、ひとつひとつを先回りしてあらかじめ小粒の石までも拾ってしまうことでかえって成長の機会を奪ってしまうこともあるでしょう。
結局は子どもの気づきや訴えやわずかな変化と地道に向き合い、少しだけ手を出すことを控えて自分の力でできるレベルをあげるような挑戦を繰り返すことが遠回りのようでいて、大事な我が子や教え子の命を守る一番の近道なのかもしれません。
ただ、私の場合は家庭の垣根を越えて、外の世界(両親が見せてくれた学校というひとつの社会の縮図と母方の祖父と父方の祖母が見せてくれた畑の中の生態系や季節の営み)にも目線が広がっていったことが幸いでした。他にも母方の祖父と両親が身近で見せてくれた学ぶ姿勢、言語体験、知的好奇心を大切にし、実際に目に触れる場を用意してくれたこと。それらがすべて学びへとつながっていくのです。
盲目的に教育制度に従うだけでは、これまでに触れた視点は培われなかったでしょう。地図が示す森の中心へと至る道筋の先には、また次の学びが待っています。一人の成長が微力でも、社会の意識を変える手助けになれば幸いです。
補足資料・年表
〇政治(戦争,災害,環境問題,感染症)
1986年 チョルノービリ原発事故
1991年 湾岸戦争
1995年 阪神淡路大震災(1.17)・地下鉄サリン事件(3.20)
2001年 ユーゴスラビアの解体
2001年 アメリカ同時多発テロ(9.11)
2001年⁻2021年 アフガニスタン戦争
2002-2003年 SARS流行
2003年⁻2011年 イラク戦争
2008年 ジョージア戦争
2010年-2012年 アラブの春
2011年 東日本大震災(3.11)
2016熊本地震(4.14),2024能登半島地震(1.1)
2011年 シリア内戦
2013年 スノーデン事件
2014年 ロシアがクリミア併合
2014年頃 IS(イスラム国)の台頭
2015年 国連持続可能な開発サミット
(「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択。
SDGS17目標を設定)
2015年末 パリ協定締結
2016年 Brexit
2017年 トランプ政権(2025年より再選)
2020年 新型コロナの流行
2022年~現在 ウクライナ戦争
2023年~現在 ハマスとイスラエルの戦闘(ガザ地区)
2025年 高市政権発足(日本史上初の女性首相)
2026年 ホルムズ海峡封鎖
〇経済・雇用(国内)
1986年(4.1~)男女雇用機会均等法施行
1986年 労働者派遣法施行
1989年 日経平均株価最高値(バブル経済期間)
1991年 バブル崩壊
1997年 アジア通貨危機
1997年 山一證券の破産
2000年 紹介予定派遣が解禁
2003年 製造業への派遣解禁、専門26業務の期間制限撤廃
2003年 オレオレ詐欺命名
2004年 医療・介護業務の派遣解禁
(当初は産休・育休代替などに限定)
2005年 ペイオフ全面解禁
2005年 日本道路公団民営化(小泉政権)
2007年 郵政民営化(小泉政権)
2008年 リーマンショック
2012年 ブラック企業大賞創設
2015年 労働者派遣法大規模改正
(専門業務の区別廃止、派遣先事業所単位・個人単位で
3年までの期間制限)
2016年 働き方改革(安倍政権)
2017年 退職代行サービス創業
2018年 障害者雇用の促進等に関する法律
(2013年障害者差別解消法制定,2016年より施行)
2018年 隙間バイトサービス開始
2019年~闇バイト横行
〇情報インフラ
2000年Amazonが日本でもサービスを開始
2004年Facebookが創業(2021年Metaに社名を変更)
2005年Youtubeがサービスを開始
2006年ツイッターがサービスを開始(2023年Xに会社名を変更)
2007年初代iPhone発売開始
2008年ツイッターとFacebookの日本版がそれぞれサービスを開始
2015年OpenAI創業
2017年Ticktockがサービス開始
2017年EUがgoogleに対して制裁を本格化
2024年~14歳から16歳をSNS利用開始年齢の下限として設定する国や地域
が出始める
〇学校教育(国内) ※以下文面はgrokが作成。
①1980年代〜2000年代初頭 ゆとり教育の始まり
1977〜1989年改訂 ゆとり教育の基盤
1989年改訂「新しい学力観」(思考力・判断力・表現力など)を打ち出す。
1998〜2002年改訂 ゆとり教育の本格化
生きる力の育成を掲げ、総合的な学習の時間を新設。授業時数・学習内容を大幅に削減
小学校2002年度、中学校2002年度、高校2003年度から完全実施。
目的:子どもたちの心のゆとり、主体的な学び、個性重視。
② 2000年代後半〜2010年代 ゆとり教育の見直し・脱ゆとり
2003年頃PISAショックなどで学力低下が社会問題化。
2008〜2011年改訂 脱ゆとり教育
「ゆとりでも詰め込みでもない」バランス型教育へ転換。
授業時数増加・学習内容復活(特に理数系)。基礎・基本の確実な定着と「思考力・判断力・表現力」の育成を強調。
小学校2011年度、中学校2012年度、高校2013年度から実施。
文科省は「生きる力」の継続を主張しつつ、実質的にゆとり教育の修正版。
③2017〜2020年改訂 アクティブラーニングの導入
2017〜2020年改訂(戦後9回目の大改訂)
「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニングの視点)を全教科に位置づけ。 知識・技能だけでなく、「どう使うか」「どう学ぶか」を重視。
三つの資質・能力の柱
(知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性など)。
小学校:外国語教育の早期化、プログラミング教育必修化。道徳の教科化、
社会に開かれた教育課程、カリキュラム・マネジメントの推進。
2020年度から全面実施
中学校:2021年度から
高等学校:2022年度から
〇大学入試制度(センター試験・共通テスト) の変遷(国内)
※同じく文面はgrokが作成。
1979〜1989年:大学共通第1次学力試験(共通一次試験)実施
国公立大学の一次試験として全国一斉実施。一期・二期校制の解消などを目的に導入。
1990年:大学入試センター試験(センター試験)へ移行・改称
私立大学も利用可能になり、アラカルト方式(大学が科目を自由に指定)が拡大。マークシート中心の基礎学力測定が定着。
2006年以降:英語リスニング導入など一部科目強化。
2010年代:知識偏重是正の議論活発化。
2021年(令和3年度)〜:大学入学共通テスト(共通テスト)へ移行
センター試験を廃止。「主体的・対話的で深い学び」を反映し、思考力・判断力・表現力をより重視した問題設計へ転換。
2021年当初予定:
国語・数学での記述式問題導入(見送り)、英語民間検定活用(2023年度までに撤回)。
2025年度以降:
新学習指導要領対応で科目を7教科21科目へスリム化(情報科目追加など)。