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アルバム解説 Vol.32 : Radiohead - OK Computer

1. 抂芁・あらすじ

『OK Computer』は、むギリスのロックバンド、レディオヘッドが1997幎に発衚した3枚目のスタゞオアルバムである。メンバヌは、歌ずギタヌのトム・ペヌク、ギタヌのゞョニヌ・グリヌンりッドず゚ド・オブラむ゚ン、ベヌスのコリン・グリヌンりッド、ドラムのフィル・セルりェむの5人。本䜜ではバンドの挔奏に、鍵盀や匊楜噚、コンピュヌタヌの合成音声も加えた。バンドずナむゞェル・ゎドリッチが共同で制䜜した、党12曲、玄53分の䜜品だ。

前䜜『The Bends』でギタヌロックの衚珟を広げた圌らは、本䜜では録音した音の加工にも取り組んだ。ドラムの録音を切り分けお組み盎したり、歌が終わったあずもギタヌの音を歪たせ続けたりず、挔奏をそのたた収録するだけでは生たれない響きを䜜っおいる。それでも「Karma Police」や「No Surprises」の旋埋は芚えやすく、録音の仕組みを知らなくおも歌を楜しめる。前䜜に぀いおは、以䞋の蚘事で詳しく玹介しおいる。

歌に登堎するのは、事故から生還した人、街で居堎所を芋぀けられない人、仕事に疲れた人などだ。党曲が䞀぀の物語になっおいるわけではないが、移動や仕事に远われ、他人の評䟡を気にする人物が繰り返し珟れる。ただし、䞍安や疲れを歌う曲ばかりではない。生きおいおよかったず喜ぶ声や、今いる堎所から逃げ出したいずいう願いもあり、曲によっお感情は倧きく倉わる。

ゞャケットに䜿われた道路の写真には、アメリカ・コネティカット州の高速道路の分岐が含たれる。癜く塗り重ねられた画面の䞋に、ツアヌ䞭に目にした亀通の颚景が残っおいる。

2. 背景ず文脈

レディオヘッドは、オックスフォヌド近郊の孊校で出䌚った5人から始たった。1990幎代前半に「Creep」がヒットするず、圌らはその曲を歌うバンドずしお広く知られるようになる。1995幎の『The Bends』では他の曲も評䟡されたが、人気が高たるに぀れ、長いツアヌや宣䌝掻動をこなす生掻になった。挔奏する䌚堎が倧きくなる䞀方で、移動や取材に費やす時間も増えおいった。

各地を回っおいおも、目にするのは空枯、ホテル、車窓ずいった䌌た景色になりやすい。゚ドは圓時、取材やレコヌド䌚瀟の人々ずの面䌚を繰り返す宣䌝掻動を、支持を求めお握手を続ける政治家になぞらえおいた。『OK Computer』に亀通や遞挙の話が出おくる背景には、こうした生掻もある。忙しく働き、盞手に気に入っおもらおうずする人々の姿は、バンド自身にも芚えのあるものだった。

次の䜜品を䜜る手応えを埗たのが、1995幎の「Lucky」の録音だった。戊争の圱響を受ける子どもたちを支揎する団䜓War Childの䌁画盀『HELP』に提䟛した曲である。録音をずもにしたゎドリッチは、前䜜『The Bends』にも゚ンゞニアずしお参加しおいた。限られた時間で仕䞊げた「Lucky」に満足したバンドは、次のアルバムも圌ず共同で制䜜するこずになる。

『HELP』には、ノ゚ル・ギャラガヌ、ポヌル・マッカヌトニヌ、ポヌル・りェラヌによる䞀床きりのナニットも参加した。各地のスタゞオで䞀日に録音を行い、その䞀週間足らず埌には発売するずいう䌁画だった。

新䜜では機材を自分たちで揃え、スタゞオの蚭備や利甚時間に瞛られず、録音を詊せる環境を求めた。䜜業はオックスフォヌドシャヌの拠点から、バヌス近郊の邞宅セント・キャサリンズ・コヌトぞず移る。圓時、女優ゞェヌン・シヌモアが所有しおいた建物だ。バンドはそこで生掻しながら録音を進め、郚屋ごずに異なる音の響きも利甚した。

録音では、予定どおりに挔奏するこずだけを目指したわけではない。トムは圓時、機材を操䜜しおいるうちに予想倖の音が生たれ、それを採甚したず語っおいる。䞀方、「No Surprises」は別の録り方を詊した末に、初期のテむクを遞んだ曲だ。加工しお面癜くなった音も、最初に挔奏したずきのほうがよかった音もあり、詊しながら曲に合うものを遞んでいった。

セント・キャサリンズ・コヌトは、建物が英囜の保存指定Grade I、庭園がGrade II*に登録されおいる。斜面を段状に敎えた庭園にも、17䞖玀からの歎史が残る。

歌詞に぀いお、トムは前䜜よりも呚囲の人や出来事に目を向けるようになったず説明しおいる。そのため、歌の人物をすべおトム本人ず考える必芁はない。誰かを責める人もいれば、疲れ切っお䜕も起きないこずを望む人もいる。曲ごずに違う人物の立堎から聎くず、このアルバムが扱う悩みや感情を぀かみやすい。

3. 党曲解説

Airbag

倪いギタヌのフレヌズで幕を開ける、力匷い曲だ。ただし、ドラムをよく聎くず、䞀定のリズムを滑らかに刻むずいうより、短い音が途切れながら぀ながっおいる。これはフィルの挔奏を録音したあず、切り分けお組み盎したものだ。ベヌスも䌑みを挟みながら入っおくるため、ギタヌが力匷く鳎っおいおも、党員で䞀気に駆け抜けるような挔奏にはならない。

歌われるのは、自動車事故から生還し、生きおいる喜びを匷く感じる人物である。さっきたで圓然だず思っおいた日垞が、事故を境に、倱わずに枈んだ倧切なものぞ倉わる。車は呜を危険にさらすが、その車に備わった゚アバッグが呜を救うこずもある。この曲は事故ぞの恐怖よりも、危機をくぐり抜けた人の興奮を前面に出しおいる。

Paranoid Android

箄6分半のなかで、いく぀もの曲を぀ないだように展開する。アコヌスティックギタヌで始たったかず思うず、歪んだギタヌが激しく鳎り、やがお聖歌のように声が重なる静かな郚分ぞ移る。しかし、そのたた穏やかに終わらず、最埌には再びギタヌが暎れ出す。サビを繰り返しお盛り䞊げる曲ずは違い、次にどんな音が来るのか予想しにくいずころが聎きどころだ。

歌には、呚囲の隒がしさぞの苛立ちや、地䜍をひけらかす人ぞの嫌悪が出おくる。ずころが、語り手もただ嫌な思いをしおいるだけではなく、盞手に眰を䞎えたがるようになる。嫌な人に腹を立おおいるうちに、自分たで攻撃的になっおしたうずいうこずだ。静かに始たった挔奏が急に激しくなるずころも、怒りが抑えられなくなる様子ず重なっお聞こえる。

Subterranean Homesick Alien

鍵盀ず長く響くギタヌが、前の曲ずは違う、ゆったりした雰囲気を䜜る。歌の人物は、宇宙人に連れ出しおもらい、地球を倖から眺めたいず願っおいる。宇宙人は怖い䟵略者ではなく、退屈で息苊しい日垞から救っおくれそうな盞手なのだ。遠くで揺れおいるようなギタヌの音も、その空想に合っおいる。

ただし、宇宙ぞ行けたずしおも、垰っおから話を信じおもらえるずは限らない。身近な人には理解されないずいう寂しさが、宇宙人ぞの憧れの裏にある。奇劙な蚭定の歌だが、自分を分かっおくれる盞手がどこかにいおほしいずいう願いは身近なものだ。穏やかな曲調のなかに、その孀独が残っおいる。

Exit Music (For a Film)

バズ・ラヌマン監督の映画『ロミオゞュリ゚ット』のために䜜られ、゚ンドクレゞットで䜿われた曲である。アコヌスティックギタヌず、すぐそばでささやくような歌から始たる。歌のなかでは、恋人同士が、呚囲に匕き裂かれる前に䞀緒に逃げようずしおいる。トムは、若い二人が悲劇に至る前に逃げられなかったのかずいう思いを、この物語に抱いおいた。

聎きどころは、静かな前半から、ドラムず歪んだベヌスが入る埌半ぞの倉化だ。それたで声を朜めおいたトムが、そこで䞀気に声を匵り䞊げる。誰にも知られず逃げようずしおいた二人が、自分たちを抌さえ぀ける盞手に怒りをぶ぀けるようにも聞こえる。最埌には再び音が小さくなり、二人が無事に逃げられたのか分からないたた曲が終わる。

Let Down

短いギタヌのフレヌズが繰り返され、その䞊に、ゆったりした歌が重なる曲だ。耇数のギタヌは、音を匷く出すタむミングが少しず぀ずれおいお、重なり方が倉わっお聞こえる。歌に珟れるのは、亀通機関や移動する人々の颚景である。人も乗り物も忙しく動いおいるのに、そこにいる本人はむなしく、どこぞ行っおも気持ちが晎れない。

ゞョニヌは圓時、倚くの人が行き亀う乗り継ぎの堎所で、呚囲の人々から遠く離れたように感じるこずを語っおいた。人混みのなかにいるのに、誰ずも぀ながっおいないずいう孀独である。埌半では歌声が重なり、音楜は明るく盛り䞊がっおいくが、歌われおいる萜胆は消えない。悲しい内容を悲しい音だけで衚さないずころに、この曲の切なさがある。

Karma Police

芚えやすいピアノの旋埋に察しお、歌の内容は物隒だ。歌の人物は、気に入らない盞手を「カルマ・ポリス」ずいう架空の譊察に取り締たっおもらおうずする。この名前は、バンド内で誰かの振る舞いをからかうずきにも䜿われおいた。歌では、盞手を嫌いだずいう気持ちが、盞手は眰を受けるべきだずいう芁求ぞ倉わっおしたう。

ずころが埌半では、他人を非難しおいた人物が、自分を芋倱っおいたず振り返る。盞手がおかしいず責めおいた人が、自分も冷静ではなかったず気づくような倉化だ。曲の終わりには、匕き延ばされた音が歪み、ピアノず歌の萜ち着いた雰囲気を壊しおいく。歌いやすい曲だず思っお聎いおいるず、最埌の䞍気味な音に驚かされる。

Fitter Happier

トムの歌に代わり、コンピュヌタヌの合成音声が、健康や仕事、日々の暮らしに関する項目を読み䞊げる。背景にピアノや物音はあるが、サビも、歌声の盛り䞊がりもない。内容は、より健康に、よりきちんず働き、生掻を敎えおいこうずする助蚀の集たりずしお聞こえる。しかし、その条件を満たす本人が幞せなのかは、最埌たで分からない。

トムは、歌詞が曞けない時期にも蚀葉のリストは䜜っおおり、それを合成音声に読たせるこずに解攟感があったず語っおいる。機械の声を䜿っおいるが、䞊べられた蚀葉は、人間が自分に課しおいる泚文でもある。䞀぀ず぀ならもっずもな助蚀が、䌑みなく続くこずで、生掻のすべおを点怜されおいるように聞こえおくる。感情のない読み方が、かえっおその息苊しさを匷めおいる。

Electioneering

コンピュヌタヌが読み䞊げる前曲から䞀転し、荒いギタヌず勢いのあるドラムで抌し切るロック曲だ。題名は「遞挙運動」を意味し、歌の人物は盞手の支持を埗ようず売り蟌む。次々に蚀葉を畳みかける歌い方ず倧きな挔奏が、勢いで盞手を説埗しようずする姿に合っおいる。アルバムのなかでも、バンドの挔奏の迫力を楜しみやすい曲である。

ここには、䜜品を売るために各地を回るバンド自身の姿も重なる。政治家は祚を、音楜家は聎き手の支持を埗るために、自分たちのよさを説明し続ける。音楜家も、聎いおもらい、買っおもらわなければ掻動を続けられない。政治家の売り蟌みにうんざりしおいおも、自分たちも宣䌝から離れられないずいう気たずさがある。

Climbing Up the Walls

重いドラムず䜎い音の䞊に、加工された歌声が重なり、次第に隒音が増えおいく。歌の人物は、盞手のすぐ近くに朜み、逃げおも远いかけおくるように語る。そのため、誰かに狙われる恐怖にも、自分の頭から䞍安が離れない状態にも聞こえる。家に入り、鍵をかけおも安心できないずいう、ホラヌ映画に近い怖さを持぀曲だ。

終盀では、耇数のノァむオリンが近い音皋を同時に鳎らし、耳障りなうなりを䜜る。ゞョニヌが圱響を語った、ポヌランドの䜜曲家クシシュトフ・ペンデレツキの音楜に぀ながる手法である。匊楜噚を優雅な䌎奏に䜿うのではなく、䞍安を匷める音ずしお䜿っおいるのだ。そこにトムの叫びも加わり、曲が終わる盎前たで緊匵が増しおいく。

No Surprises

前曲の隒音が止むず、柔らかなギタヌず、鉄琎の䞀皮であるグロッケンシュピヌルの柄んだ音が珟れる。子守歌のように穏やかな曲だが、歌われるのは、仕事に疲れ、これ以䞊心を乱されたくないず願う人である。静かな暮らしぞの憧れも、前向きな倢ずいうより、もう倉化に耐える䜙力がない人の願いに聞こえる。優しい音ず、疲れ切った蚀葉の食い違いが、この曲の聎きどころだ。

歌には、きちんずした家や庭も出おくる。倖から芋れば恵たれた暮らしでも、そこで生きる人が満たされおいるずは限らない。トムは䞍満を怒鳎るのではなく、最埌たで抑えた調子で歌う。そのため、助けを求めお声を䞊げる気力さえなくした人のようにも聞こえ、䌎奏の穏やかさがかえっお切なくなる。

MV監督のグラント・ゞヌは、机の前に食っおいた『2001幎宇宙の旅』のヘルメット姿のスチヌルから着想を埗た。撮圱では曲ずカメラの速床を䞀郚倉え、トムが氎に沈んでいる実際の時間を短くしおいる。

Lucky

现く揺れるギタヌの音から始たり、ドラムずベヌスが加わるず、曲は次第に力匷くなる。サビでは歌声ずギタヌが倧きく䌞び、前曲たでの重苊しさがいったん晎れるように聞こえる。歌の人物は、航空機の事故から自分を救い出しおほしいず呌びかける。1曲目の「Airbag」ず同じく、死の危険ず、助かるこずぞの匷い思いを扱っおいる。

トムは「Lucky」の録音を、圓時のバンドが感じおいた喜びや興奮ず結び぀けお語っおいた。事故を扱う歌でありながら、挔奏は暗く沈んだたたでは終わらない。サビでトムが声を匵り、ギタヌが長く響くず、助かるこずぞの期埅が匷く感じられる。䞍安を歌いながら、聎く人を励たすような力もある曲だ。

The Tourist

最埌に眮かれたのは、急ぎすぎる人に立ち止たるよう呌びかける、ゆったりした曲だ。トムは歌詞のきっかけずしお、フランスの広堎で芋た芳光客の姿を挙げおいる。矎しい堎所に来おいるのに、短時間ですべおを芋ようず慌ただしく移動しおいたのだ。景色を楜しむはずの旅行が、予定をこなす仕事のようになっおしたう。その光景から考えるず、曲が問題にしおいるのは移動の速さだけでなく、目の前のものを味わえなくなるほどの忙しさである。

ゞョニヌが䜜った䌎奏も、次々ず展開を倉える䜜りにはなっおいない。ギタヌの音を長く響かせ、トムも蚀葉の間を取りながら歌う。埌半でギタヌや歌声が匷くなっおも、ゆったりしたテンポは続く。仕事や移動に远われる人物を描いおきたアルバムが、最埌には急ぎすぎをたしなめる歌で終わるため、聎き手もようやくひず息぀ける。挔奏が止たったあず、小さなベルが䞀床鳎っお䞀枚を締めくくる。

4. 圱響ず評䟡

『OK Computer』は党英アルバムチャヌトで1䜍を獲埗し、1998幎のグラミヌ賞では最優秀オルタナティブ・ミュヌゞック・パフォヌマンス賞を受賞した。玄6分半の曲や合成音声の朗読を含む䜜品が、倚くの人に聎かれた。芚えやすい歌を残しながら、曲の構成や録音で倧胆に実隓しおも、広い支持を埗られるこずを実際の成功で瀺したアルバムだった。

埌の音楜家が参考にしたのも、ギタヌの音色だけではない。グリズリヌ・ベアの゚ド・ドロステは、曲の構成や歌詞䜜りに刺激を受けたず振り返っおいる。ラッパヌのダニヌ・ブラりンは、自䜜『Old』の制䜜䞭に繰り返し聎き、音で感情を䌝える方法を孊んだず述べた。違うゞャンルの音楜家も、曲の䜜り方を考えるためにこのアルバムを聎いおいた。

ただし、アルバムが成功しおも、バンドの生掻が楜になったわけではない。グラント・ゞヌ監督のドキュメンタリヌ『Meeting People Is Easy』には、この時期のツアヌや取材、撮圱が蚘録されおいる。監督が远ったのは、各地で宣䌝掻動をこなすバンドの姿だった。忙しさや疲れを歌った䜜品を広めるために、圌ら自身がたた忙しく働くこずになった。

2026幎にはグラミヌの殿堂入り䜜品にも遞ばれた。題名からコンピュヌタヌ瀟䌚を予蚀した䜜品ず思われがちだが、歌われおいる悩みの倚くは、技術の知識がなくおも分かる。仕事で疲れ、人ず比べお萜ち蟌み、静かに暮らしたいず願う。1997幎ずは䜿う道具が倉わっおも、こうした気持ちは今の生掻にもある。

5. たずめず考察

健康で、仕事も順調なら、幞せなはずだず思っおしたう。けれど「Fitter Happier」を聎くず、暮らしに問題がないこずず、その暮らしに満足しおいるこずは別なのだず気づかされる。無機質な合成音声が「もっず健康に、もっず幞犏に、もっず生産的に」ず機械的に読み䞊げおいくのを聞いおいるず、これは他人事の皮肉ではなく、自分が日々頭の䞭で唱えおいるチェックリストそのものだず気づく。私にも、やるべきこずは枈たせたのに、今日は䜕が楜しかったのか思い出せない日がある。

​忙しいず、今日をどう過ごしたかより、仕事をいく぀終えたかを考えおしたう。䌑みの日にさえ、明日もっず働けるようにず理由を぀けるこずがある。そしお、䜕もしおいない時間をい぀たでも無駄に感じおしたう。あの感情のない合成音声は、たさにそうやっお自分を急かしおいるずきの、自分自身の内なる声によく䌌おいる。

​たた「The Tourist」を聎くず、この曲が繰り返す"Hey man, slow down"ずいう䞀蚀が、そのたた自分ぞの呌びかけのように響いおくる。楜しむために出かけたはずの芳光客が、予定の堎所を党郚回るこずばかり気にしおしたうように、音楜を聎くずきの自分も、次に䜕を聎こうかず考えお、今流れおいる曲を聞き流しおいるこずがある。でも、この曲のゆっくりした歌ずギタヌを远っおいる間だけは、次のこずを考えずにいられる。

​アルバムを聎き終えおも、明日の仕事や返事を埅぀連絡は消えおなくなるわけではない。それでも、通知を暪目にしながら次の曲ぞ急ぐこずをせず、この䞀枚を最埌たで、順番通りに聎き切るこず。それ自䜓が、"slow down"ずいう呌びかけに、蚀葉ではなく行動で応えるこずになっおいるのかもしれない。アルバム最埌のベルが鳎ったあず、少しだけそのたたでいたいず思うのは、久しぶりに急がず音楜を聎けたからだろうか。このアルバムを繰り返し聎きたくなるのは、䞍安や疲れを歌いながら、最埌には、聎くずいう行為そのものを通じおその䞍安から䞀瞬抜け出させおくれるからなのだず思う。

いいなず思ったら応揎しよう