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#28「目指すチーム像」を全員で言語化する

    ―エンゲージメントカードを使った実践記録―

    はじめに

    新しいチームがスタートする瞬間というのは、教師にとっても生徒にとっても、ワクワクと同時に少し緊張する時間だと思います。

    「どんなチームにしたい?」と聞かれても、頭の中にぼんやりとイメージはあっても、それを言葉にするのは案外難しいものです。特に中学生くらいの年代だと、「優勝したい」「楽しくやりたい」といった単発の言葉は出てきても、それがチームとしての具体的な行動や価値観にまではなかなか落とし込めません。

    私は中学校で部活動・係活動などのチーム指導に携わる中で、新チームが発足した直後の「1回目のミーティング」をとても大切にしています。なぜなら、この最初の話し合いで「自分たちはどんなチームでありたいか」を全員で共有できるかどうかが、その後数ヶ月、あるいは1年間のチームの土台になると感じているからです。

    今回は、その1回目のミーティングで実際に行った実践を、当日撮影した黒板の写真とともにご紹介します。使用したのは「エンゲージメントカード」と呼ばれる、価値観や大切にしたい要素が1枚ずつ書かれたカードです。このカードを使うことで、生徒たちは驚くほどスムーズに、しかも自分の言葉で「目指すチーム像」を語れるようになりました。

    部活動の新人戦前、新学期の係決め、委員会活動のスタート、学級開きなど、「新しいチームや集団が動き出すとき」全般に応用できる内容だと思いますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

    私自身も初めて取り組んでみたので実践報告も併せて読んでもらえたらうれしいです。

    〇なぜ「1回目のミーティング」が大切なのか

    新しいチームが発足したとき、多くの現場では次のような流れになりがちではないでしょうか。

    ・顧問や担当の先生から目標やルールが伝えられる
    ・キャプテンや班長などの役割が決まる
    ・とりあえず活動がスタートする

    これ自体が悪いわけではありません。ただ、この流れだけだと「チームの目標」は先生から与えられたもの、あるいは一部の代表者だけが決めたものになりがちです。メンバー一人ひとりが「自分ごと」として目標を捉えられているかというと、正直なところ怪しい場合も多いと感じています。

    特に中学生の時期は、自分の考えを言語化する力がまだ発展途上です。「目標は?」と聞かれて即座に自分の言葉で答えられる生徒は、決して多くありません。だからこそ、最初のミーティングで「考えるための材料」と「考えを言葉にする手助け」を用意してあげることが、とても重要だと感じています。

    今回ご紹介する実践は、まさにこの「考えるための材料」としてエンゲージメントカードを使い、個人の思いからチーム全体の合意形成までを、無理なく自然な流れで導くものです。

    〇エンゲージメントカードとは

    エンゲージメントカードとは、「努力」「協力」「向上心」「礼儀・礼節」「友情・仲間」「成長」「責任感」「経験」「勝利」「冷静」「行動」「根気・忍耐力」といった、人が物事に取り組むときに大切にする価値観やキーワードが、1枚に1つずつ書かれたカードのことです。

    トランプやかるたのように、複数枚を手元に広げて使うことができ、生徒たちはそのカードを眺めながら「自分はどの言葉にしっくりくるか」「このチームに必要なのはどれか」を直感的に選んでいくことができます。

    このようなカードは、もともとは企業研修やコーチングの場面で、チームビルディングや価値観の言語化のために使われることが多いツールです。市販されているものや、学校現場向けにアレンジされたものなど、いくつかの種類があるようですので、興味のある先生はぜひ調べてみてください。本記事では、カードそのものの詳しい仕様よりも、「学校現場でどう使ったか」という実践の中身を中心にお伝えしたいと思います。

    エンゲージメントカードの最大の利点は、「白紙の状態から言葉を考えさせるのではなく、選択肢の中から選ばせる」という点にあります。

    中学生に「あなたが大切にしたい価値観を1つ書いてください」と言っても、何も書けずに固まってしまう生徒は少なくありません。しかし、「友情・仲間」「努力」「冷静」「向上心」といったカードが目の前に並んでいれば、「あ、これは自分に当てはまるかも」「これは違うな」と、直感的に取捨選択することができます。

    つまりエンゲージメントカードは、思考のハードルを下げながら、自己理解とチームの価値観の言語化を同時に進められる、非常に優れたツールだと感じています。

    〇実践の全体像

    今回の実践は、新チーム発足後の1回目のミーティングで行いました。学年やチームの構成によって人数は異なりますが、今回は男子2グループ、女子4グループに分かれて、それぞれ1枚の模造紙(画用紙)を黒板に貼り付けながら作業を進めました。

    全体の流れは、大きく分けて次の3ステップです。
     
    ① 個人の目標を紙に書く
         point: 理由を口頭で班員に伝えながら書く

    ② エンゲージメントカードから個人で3枚選ぶ
         point: 目標達成に必要な要素を選び、理由も共有

    ③ 班としてさらに3枚に絞り込む 
         point: 「どんなチームにしたいか」を全員で合意形成 

    所要時間は1チームあたりおよそ20〜30分程度です。グループのサイズや話し合いの活発さによって多少前後しますが、1回のミーティングの中で無理なく完結できるボリュームだと思います。

    それでは、各ステップを詳しく見ていきましょう。


    ステップ①:個人の目標を紙に書き出す

    最初のステップは、とてもシンプルです。

    グループごとに1枚の紙(画用紙や模造紙など、ある程度大きさのあるもの)を配布し、その紙の上に、メンバー一人ひとりが「個人の目標」を書き込んでいきます。

    ここで大切にしているのが、「ただ書くだけで終わらせない」ということです。書いた目標について、なぜその目標にしたのか、その理由を班のメンバーに口頭で伝えながら書くようにしています。

    例えば、「レギュラーになりたい」という目標を書いた生徒がいたとします。そのときに、

    「なんでレギュラーになりたいと思ったの?」

    「去年は試合に全然出られなくて悔しかったから、今年こそはって思って」

    というように、目標の背景にある思いまで言葉にしてもらうのです。

    この「理由を伝える」というひと手間が、後のステップに大きく効いてきます。なぜなら、個人の目標とその理由を最初にしっかり共有しておくことで、班のメンバー同士が「この子はこういう思いを持っているんだ」とお互いを理解した状態で、次のステップに進めるからです。

    目標を紙に書くという行為自体は、よくある実践かもしれません。しかし、「同じ紙に、班のメンバー全員の目標を、理由付きで書き込んでいく」という形にすることで、個人の目標が「自分だけのもの」ではなく、「班のみんなが知っている、共有された目標」に変わっていきます。これが、その後の話し合いの土台になります。


    ステップ②:エンゲージメントカードで「必要な要素」を3つに絞る

    個人の目標とその理由が出そろったところで、いよいよエンゲージメントカードの出番です。

    ステップ②では、ステップ①で書いた「自分の目標」を達成するために、どんな要素が必要かを考えます。エンゲージメントカードを使いながら、一人につき3つのカードを選び、絞り込んでいきます。

    ここでのポイントは、「目標」と「カード」を切り離さないということです。あくまでも「自分が立てた目標を達成するために、自分にとって何が必要か」という視点でカードを選ばせます。漠然と「好きな言葉」を選ぶのではなく、ステップ①で言語化した目標と地続きの作業にすることで、思考に一貫性が生まれます。

    生徒たちは、机の上やグループの中央に広げられたカードを見ながら、

    「自分の目標を達成するには、やっぱり『努力』は外せないな」

    「去年うまくいかなかったのは、仲間との関係だったから『友情・仲間』を選ぼう」

    「感情的になって失敗することが多かったから『冷静』を入れよう」

    というように、自分の経験や反省を踏まえながら、3枚を選んでいきます。

    そして、ステップ①と同様に、なぜそのカードを選んだのか、理由を班のメンバーに伝えながら作業を進めます。これにより、単に「カードを選ぶ」という作業ではなく、「自分のこれまでの経験や課題を振り返り、言語化して人に伝える」という、深い自己内省を伴う活動になっていきます。

    このステップで重要なのは、カードという「外部の言葉」を借りることで、自分の内側にある感覚を言語化しやすくなるという点です。何もないところから「自分に必要なものは何か」を考えるのは大人でも難しい作業ですが、選択肢として目の前に言葉が並んでいると、「あ、これだ」という感覚で選び取ることができます。これは、語彙力や言語化能力がまだ発展途上にある中学生にとって、非常に大きな助けになります。


    ステップ③:さらに3枚に絞り込み、チーム像を言語化する

    ステップ②までは、あくまで「個人」の作業でした。一人ひとりが、自分の目標のために必要な要素を3枚選んだ状態です。

    ステップ③では、ここから視点を「個人」から「チーム」へと切り替えます。

    班のメンバーがそれぞれ選んだカードを持ち寄り、「どんなチームにしたいか」を考える要素として、班全体でさらに3枚に絞り込んでいきます。

    ここが、この実践の中でも最もエネルギーを使う、そして最も価値のある場面だと感じています。なぜなら、個人がそれぞれの思いを込めて選んだカードの中から、班としての合意形成を行わなければならないからです。

    例えば、ある生徒は「勝利」を強く推すかもしれません。別の生徒は「友情・仲間」を大切にしたいと思っているかもしれません。それぞれに理由があり、それぞれに譲れない思いがあります。だからこそ、

    「なんで『勝利』が大事だと思うの?」

    「去年悔しい思いをしたから、今年は絶対勝ちたい」

    「私は『友情・仲間』も大事だと思う。仲が良くないと、結局試合でもまとまらないと思うから」

    といった対話が自然と生まれます。これはまさに、合意形成のプロセスそのものです。多数決で機械的に決めるのではなく、お互いの理由に耳を傾けながら、納得感のある3枚を選び取っていきます。

    そして最終的に、絞り込んだ3枚のキーワードをもとに、班としての「目標とするチーム像」を一文(短いフレーズ)にまとめます。これを、黒板に貼った付箋やメモ用紙に書き出して掲示するところまでが、1回目のミーティングのゴールです。


    6グループの実際のアウトプット

    今回の実践では、男子2グループ、女子4グループに分かれて活動を行いました。それぞれのグループが選んだ3つのキーワードと、そこから言語化された「目指すチーム像」を、実際の黒板の記録をもとに表にまとめました。

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    こうして並べてみると、面白いことに気づきます。

    同じ「エンゲージメントカード」という素材を使っていても、グループによって選ばれるキーワードはかなり異なります。「友情・仲間」を重視するグループもあれば、「向上心」「全力」「努力」といった、よりストイックな方向性を打ち出すグループもあります。「勝利」という言葉を入れたグループもあれば、入れなかったグループもあります。

    これは、各グループの構成メンバーがこれまで経験してきたこと、抱えてきた課題、大切にしたい価値観が、それぞれ違うことの表れだと思います。先生が一律に「このチームの目標はこれです」と提示するのではなく、それぞれのグループが自分たちの言葉で、自分たちらしい目標を作り上げていることが、この表からも伝わるのではないでしょうか。

    また、最終的なアウトプットの文章を見ると、ほとんどのグループが「〜のために、〜する」「〜を大切にして、〜する」という構文で、単なるキーワードの羅列ではなく、「何のために、何をするか」という行動レベルまで言語化できていることも、この実践の成果だと感じています。

    〇この実践のねらいと教育的効果

    ここまでの実践の流れを振り返りながら、教育的なねらいと効果について整理してみたいと思います。

    (1) 個人の思いを「見える化」し、チームの共有財産にする

    ステップ①で、個人の目標とその理由を紙に書き、口頭で共有することで、これまで生徒一人ひとりの内側にあった思いが、班全体で見える形になります。誰がどんな思いでこのチームに参加しているのかを、メンバー全員が知っている状態を作ることができます。

    (2) 「選ぶ」という行為を通じて、思考のハードルを下げる

    白紙から言葉を考えるのではなく、カードという選択肢の中から選ぶことで、語彙力や表現力にかかわらず、誰もが自分の思いに近い言葉を見つけることができます。これは、発言が苦手な生徒や、自己表現に慣れていない生徒にとって、特に大きな助けになります。

    (3) 個人の視点からチームの視点への自然な移行

    ステップ②(個人で3枚)からステップ③(班で3枚に絞り込み)へと進む過程で、生徒たちは自然と「自分にとって大事なこと」から「チームにとって大事なこと」へと視点を移していくことになります。これは、チームスポーツや集団活動において非常に重要な「自分ごと」から「みんなごと」への意識の転換を、無理なく促す仕組みになっていると感じます。

    (4) 対話を通じた合意形成のトレーニング

    ステップ③での絞り込みは、単なる多数決ではなく、「なぜそのカードが大事だと思うか」を伝え合いながら進めます。これは、異なる意見を持つ人同士がどう折り合いをつけ、納得感のある結論を導くかという、合意形成のトレーニングそのものです。社会に出てからも必要とされるこの力を、部活動や係活動といった身近な場面で経験できることには、大きな価値があると思います。

    (5) チームのビジョンを「自分たちの言葉」にする

    最終的に出来上がった「目指すチーム像」は、先生が与えたものではなく、生徒たち自身が選び、対話し、言語化したものです。自分たちで作り上げた言葉だからこそ、その後の活動の中で立ち返る拠り所になりやすいのではないかと感じています。

    (6) 「聞く力」を鍛える機会になる

    合意形成というと、つい「自分の意見をどう通すか」という発信側のスキルに目が向きがちですが、この実践で同じくらい重要なのが「聞く力」です。ステップ③で3枚に絞り込む際、生徒たちは自分の意見を主張するだけでなく、仲間がなぜそのカードを選んだのかを聞き、理解しようとする場面が何度も生まれます。

    「なるほど、そういう理由なら納得できるな」と、相手の理由に共感して自分の意見を変える生徒の姿も見られました。これは、単に「折れた」のではなく、「相手の理由を聞いて、自分の考えをアップデートできた」ということだと捉えています。こうした経験の積み重ねが、チーム内の信頼関係や、今後の活動の中での建設的な話し合いの土台になっていくのだと思います。

    (7) 「正解のない問い」に向き合う経験

    「どんなチームにしたいか」という問いには、唯一の正解がありません。だからこそ生徒たちは、知識を問われるテストとは違う種類の難しさ、そして面白さを感じていたように思います。

    正解のない問いに対して、自分なりの考えを持ち、それを仲間と擦り合わせながら一つの結論を作り上げていく経験は、学校生活の中でも意外と機会が限られています。エンゲージメントカードという「考えるための足場」があることで、答えのない問いに対しても臆せず向き合える生徒が多かったことも、この実践の隠れた効果だと感じています。

    〇やってみて感じた生徒の変化

    実際にこの実践を行ってみて、いくつか印象的だった生徒たちの様子をご紹介します。

    普段はあまり自分の意見を積極的に発言しないタイプの生徒も、カードを手にすると「これとこれで迷うんだけど」と、自然と口を開く場面が見られました。何もない状態で「意見を言って」と言われるよりも、目の前に具体的な選択肢があることで、発言のきっかけをつかみやすくなっていたように思います。

    また、ステップ③の絞り込みの場面では、複数のグループで「最初は意見が割れたけれど、お互いの理由を聞いているうちに、自然と落ち着くところに落ち着いた」という様子が見られました。誰かが強引に決めるのではなく、対話の中で着地点を見つけていくプロセスは、見ていて非常に頼もしく感じました。

    そして何より、最終的に出来上がった「目指すチーム像」を読み上げるときの生徒たちの表情が印象的でした。自分たちで考え、選び、言葉にしたものだからこそ、どこか誇らしげで、納得感のある表情をしていたのが心に残っています。

    表を見返してみると、グループによって最終的なフレーズの「型」にも違いがあることに気づきます。女子G1やG4のように、語尾に「!!」をつけて勢いよく言い切るグループもあれば、男子G2のように「一人一人が違う目標を持っているから」と、メンバーそれぞれの違いを前提とした、やや内省的な言葉を選んだグループもありました。これは、グループの雰囲気や関係性がそのまま言葉のトーンに表れているようで、見ていて非常に興味深いポイントでした。

    また、活動後にいくつかの生徒に感想を聞いてみると、「カードがあったから、自分が何を大事にしているか初めて気づけた」「みんなの意見を聞いて、自分とは違う考え方があることがわかった」といった声が聞かれました。普段はなんとなく過ごしている日常の中で、自分の価値観を立ち止まって言語化する機会というのは、生徒たちにとっても新鮮な経験だったようです。

    〇実践する上でのポイントと注意点

    最後に、この実践を他の先生方が取り入れる際のポイントと、いくつかの注意点をまとめておきます。(個人的なものです。)

    ポイント

    理由を伝え合うことを徹底する:ステップ①〜③すべてにおいて、「なぜそれを選んだか」を言葉にして伝え合うことが、この実践の核心です。理由を省略してしまうと、単なる作業になってしまい、対話や相互理解が生まれにくくなります。

    班のサイズは4〜6人程度が適切:今回の実践では1グループあたり数名程度で構成していました。あまり人数が多いと、一人ひとりが発言する時間が確保しづらくなるため、適度な人数で区切ることをおすすめします。

    時間配分をあらかじめ決めておく:ステップごとに目安の時間を区切っておくと、話し合いがだらだらと長引くことを防げます。今回は1チーム20〜30分程度を目安にしました。

    先生は介入しすぎない:つい口を出したくなる場面もあるかもしれませんが、できる限り生徒同士の対話に委ね、見守る姿勢を大切にしています。先生が誘導してしまうと、せっかくの「自分たちの言葉」が薄れてしまいます。

    注意点

    カードの内容によっては、中学生にとって少し抽象的に感じられる言葉(例えば「根気・忍耐力」など)もあるため、必要に応じて言葉の意味を簡単に補足してあげると、よりスムーズに進みます。

    グループによって話し合いのスピードに差が出ることがあります。早く終わったグループには、「なぜその言葉を選んだのか、もう少し詳しく聞かせて」など、深掘りする問いかけを用意しておくと良いと思います。

    最終的なアウトプット(チーム像の一文)は、その場で終わらせず、教室や活動場所に掲示するなど、継続的に目に触れる形にしておくことをおすすめします。今回も黒板に貼り出し、ミーティング後も生徒たちの目に入るようにしました。


    アレンジ・応用のアイデア

    今回ご紹介した実践は、部活動の新チーム発足の場面で行いましたが、応用範囲はかなり広いと感じています。

    学級開き:新学期最初のホームルームで、班ごとに「どんなクラスにしたいか」を考える活動として

    委員会・係活動:委員会や係のメンバーが決まった直後に、活動の方向性を確認する活動として

    生徒会活動:新役員が決まったタイミングで、1年間のビジョンを言語化する活動として

    学年末の振り返り:逆に活動の終わりに、「このチームで大切にできたことは何か」を振り返る活動としても応用できそうです

    また、今回は「個人3枚→班で3枚」という流れでしたが、グループの人数や活動時間に応じて、枚数を調整するのも良いと思います。例えば、時間が限られている場合は「個人2枚→班で3枚」など、無理のない範囲でアレンジしてみてください。

    さらに、今回はチーム全体としては「目指すチーム像」を言語化するところまでで1回目のミーティングを終えましたが、今後は次のような展開も考えています。

    定期的な振り返りへの活用:1ヶ月後、シーズン中盤など、節目のタイミングで「最初に決めたチーム像に近づけているか」を振り返る機会を設ける

    個人目標との接続:ステップ①で書いた個人の目標と、最終的に決まったチーム像とのつながりを、定期的に確認し合う時間を作る

    新メンバー加入時の共有:新しくチームに加わったメンバーに対して、エンゲージメントカードで作った「チーム像」を改めて共有し、当事者意識を持ってもらう

    他チームとの比較:今回のように複数グループで同じ活動を行った場合、表のような形で各グループの言葉を並べて掲示し、お互いの違いを認め合う機会にする

    このように、1回のミーティングで完結させるのではなく、その後の活動の中で何度も立ち返る「合言葉」として機能させていくことで、実践の効果はさらに長く続いていくのではないかと考えています。


    おわりに


    新しいチームが発足するときというのは、メンバー全員にとって、ある種の「白紙の状態」からのスタートです。この白紙の状態に、先生が一方的に色を塗ってしまうのではなく、生徒たち自身の手で、自分たちの言葉で色をつけていく。そんなお手伝いができるのが、今回ご紹介したエンゲージメントカードを使った実践だと感じています。

    個人の目標を言葉にし、その理由を伝え合い、必要な要素を選び取り、最終的にチームとしての一つの言葉にまとめあげていく。このプロセス自体が、生徒たちにとって大きな学びになっていると、実践を通して強く感じました。

    「新しいチームがスタートしたけれど、最初に何をすればいいかわからない」「目標設定をもっと生徒主体のものにしたい」と感じている先生方に、この実践が少しでも参考になれば嬉しいです。

    最後までお読みいただき、ありがとうございました。もし実践してみた、あるいはアレンジしてみたという先生がいらっしゃいましたら、ぜひ感想を聞かせていただけると嬉しいです。

     
     
    「授業の主語を教師から生徒へ」を目標に試行錯誤しております。 このNoteでは、私の悩みながらの実践と勉強の過程を共有させていただき、同僚である読者の皆さんと一緒に授業改革できたらいいなと思っております。

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